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BYD、2024戦略発表会で「日本でも毎年新しい車種を出すことをここで約束する」と劉学亮社長

2024年3月1日 開催

アップデート版のATTO 3の前に立つ、BYDアジア太平洋地域自動車販売事業部総経理 兼 BYD Japan 代表取締役社長 劉学亮氏(左)とBYD Auto Japan代表取締役社長 東福寺厚樹氏(右)

 BYD Auto Japanは3月1日、「BYD Auto Japan 2024戦略発表会」を開催した。現在の国内累計受注は2000台に届きそうなほどで、累計登録台数は1700台弱。2024年はテレビCMの全国放映や、全国約30か所で展示イベントの実施、認定中古車の販売開始などを行ない、車種展開も毎年1車種の継続的導入をすると発表した。

「もっとグリーンな日本の未来に貢献」とBYD Japanの劉氏

 発表会で最初に登壇したのは、BYDアジア太平洋地域自動車販売事業部総経理でBYD Japan 代表取締役社長の劉学亮氏。まず、日本の関係者、サプライヤー、BYD車を購入したユーザーなどへ感謝を述べたあとでBYDの現在の状況を説明した。

BYDアジア太平洋地域自動車販売事業部総経理 兼 BYD Japan 代表取締役社長 劉学亮氏

 BYDはITエレクトロニクス、新エネルギー、自動車、都市モビリティといった領域でビジネスを展開しているとし、世界70か以上の国と地域、400以上の都市でBYDのEV(電気自動車)を見ることができる。電気バスについても、2015年から国内展開し北海道から沖縄まで半数以上の都道府県で合計200台以上。BYDの電気バスのシェアは70%以上になるという。

BYDのビジネス
世界70か以上の国と地域でビジネスを展開

 自動車についてはBEVとPHEVの2023年のグローバルでの販売台数が302万台、2024年2月までの累計650万台になり、2023年は新エネルギー自動車の販売台数が世界で1位であるとした。

新エネルギー車は累計650万台
4つのブランドを展開する

 自動車のブランドも「BYD」だけでなく、2023年に発表した「FANGCHENGBAO」まで4ブランドで、個性的なクルマからファミリーカー、一般から高級まであらゆる消費者にあらゆるラインアップがそろっていることも強調し、「日本でも毎年新しい車種を出すことを、ここで約束する」と宣言した。

 また、環境についても触れ、BYDの新エネルギー車が1920億km走行し、4623万tの炭素排出の削減を行ない、樹木の植樹に換算すると7.7億本になると説明した。

BYDの新エネルギー車が1920億km走行し、4623万tの炭素排出の削減
Hello e-Life! を掲げる

 劉氏は最後に、「私たちがやろうとしていることは、BYDの最新の技術、消費、サービスを日本に持ってきて、日本のみなさんとともにもっとグリーンな日本の未来に貢献していきます」と締めくくった。

国内は22店舗、認定中古車も開始

 続いてBYD Auto Japan代表取締役社長の東福寺厚樹氏が乗用車戦略についての説明を行なった。

BYD Auto Japan代表取締役社長 東福寺厚樹氏

 東福寺氏は、2022年7月の国内参入時に実施したBYD車のモニタープログラムから、2023年1月の正規ディーラー第1号店として東名横浜店の開店、9月にドルフィンの投入、10月のジャパンモビリティショーへの出展などを振り返った。

2003年の展開
全国各地のBYDの拠点

 現在のディーラーネットワークは、発表会翌日の3月2日に開店する東京の練馬店を含めて国内22店舗。さらに、開業準備室も含めると全国51拠点になるという。練馬店については店舗のビデオも紹介した。

発表会翌日には、東京都練馬区に新店舗が開店

 そして、現在の販売状況を説明、2023年の登録累計台数は1446台、そのうちATTO 3が1198台、ドルフィンが248台。2024年2月までの数値ではこれまでの受注累計がなんとか2000台に届きそうな状況にあること、登録累計数も1700台弱まで伸びてきているとした。

国内での累計登録台数の推移

 そのうえで2024年はBYDのビジネスを加速する1年にしたいとし、新型車種を毎年1車種以上継続的に導入するとし、同時にBYD車の体験機会として全国キャラバンの実施や、ブランド認知のための活動を充実させるとした。

新型車種を毎年1車種以上、継続的に導入

 さらに認定中古車制度についても検討中で4月以降に開始予定。ATTO 3が今回アップデートされ、ディーラーに配備している既存モデルのデモカーなどが中古車として出てくる時期でもあり、少しずつ販売をはじめていくという。

 東福寺氏は、一般的にバッテリEVのリセールバリューがよくないことについても言及、初期のBEVと違い「新車から5年、10年たってもバッテリ残量が非常に高くなってきているのも事実」とし、バッテリの心配がないことが広く浸透すればリセールバリューが悪くなることもないとした。加えて、BYDのバッテリは8年、15万kmを保証し、充電回数も4500回の保証になっていることから「充電が4500回というのは毎日充電しても13年以上かかるような数字なので、実質距離無制限でバッテリ保証されているようなもの」と説明した。

 なお、ドルフィンの販売については発表時の目標に届いていない状況とし、その理由として形式指定の遅れなど、PDIの出荷能力面の問題を挙げた。「今後セダンタイプのSEAL(シール)を販売開始するころには問題を解消させ、販売機会の喪失が起こらないよう準備を進めている」と説明した。

ATTO 3のアップデートは、既販車にもOTAで提供予定

 BYD Auto Japan マーケティング部 部長の遠藤友昭氏からは、BYD Auto Japanのビジネスを加速させるという「3つのアップデート」の説明が行なわれた。3つとは今回発表のATTO 3の仕様変更やSEALの導入といったプロダクトのアップデート、その次は体験機会のアップデート、そしてコミュニケーションのアップデートとなる。

BYD Auto Japan マーケティング部 部長 遠藤友昭氏
3つのアップデート

 ATTO 3のアップデートについては「納車の開始から約1年が経過したこのタイミングで、 実際にユーザーの皆さまから寄せられた声を踏まえつつアップデートを行なった」とし、ハードウェア、ソフトウェアの両面から変更を実施したという。

アップデート版のATTO 3は3月1日発売
ディスプレイサイズを拡大

 ハードウェア面で最初に説明したのはディスプレイサイズの拡大。これまで12.8インチだったものが15.6インチに拡大、BYDストアが追加されてAmazon Music、検索ブラウザ、カラオケの3つのアプリの取得が可能になった。

 カラオケについては、別売りで販売予定のマイクをクルマに接続することで、単にカラオケの音楽を流すだけでなく「より本格的なカラオケを車内でお楽しみいただけることが可能になる」と説明した。

 ボディーカラーでは黒系の「コスモスブラック」を追加、合わせて内装色に「ブラック/ダークブルー」を追加、遠藤氏は新色について「ATTO 3の持つスポーティな印象をより際立たせることができる配色」と説明した。

新色「コスモスブラック」を追加
アップデート内容

 一方、ソフトウェアについてはデイライトOFF機能の追加をはじめ細かく機能アップを行なっているが、すでに販売済のクルマについても「年央以降、インターネットを通じたいわゆるOTAでのアップデートを予定している」とした。

 また、体験機会のアップデートについては「Hello! BYD Caravan」をスタート。「さわればわかる、EVのイイとこ」などのテーマにEVに対する不安や疑問にていねいに寄り添いながらBYD車を体験する構成になっているという。キャラバン第1弾は3月9日と10日に東京都渋谷区の代官山T-SITEで行ない、全国約30か所で実施予定。

「Hello! BYD Caravan」での展示イメージ
「Hello! BYD Caravan」の第1弾は代官山T-SITE

 コミュニケーションのアップデートでは、2種類のテレビCMを放映予定。1つめはHIP HOPアーティスト KREVA氏の楽曲とタイアップし「前向きな歌詞とともに、自分らしく生きる人生の相棒となるBYD ATTO 3のプロダクトを訴求するものになっている」と説明、2つめは「人生を走りやすくするBYD ATTO 3がもたらすシーンを訴求するもの」とした。

2種類のテレビCMを放映予定

アップデートしたATTO 3を展示

 2024戦略発表会の会場には、アップデートしたATTO 3が展示された。新色の「コスモスブラック」と「スキーホワイト」の2タイプで、発売予定のカラオケ用マイクについても展示された。

「Hello! BYD Caravan」で使うのぼりを配置して、様子を再現したATTO 3
新色「コスモスブラック」のATTO 3
Dピラープレートをブラックに変更
テールゲートのロゴは「Build Your Dreams」から「BYD」へ変更
デイライトOFF機能を追加
インテリアまわり
ディスプレイサイズを15.6型に拡大
電動回転機構により縦画面にすることも可能
コスモスブラックに組み合わせる内装の新色「ブラック/ダークブルー」
別売りで発売予定のマイク。車内でカラオケが本格的に楽しめるという
マイクはセンターコンソール下のUSB端子に接続する
充電ポートは変わらず、急速充電のCHAdeMOと普通充電ポートが右フロントサイドにある
ホイールのデザインに変更はなし