試乗レポート

BYDの新型e-SUV「ATTO 3」の日本仕様に初試乗 ナビや音声認識も試してみた

1月31日に発売されたばかりのBYDの新型e-SUV「ATTO 3」の日本仕様に試乗する機会を得た

 BYD Auto Japanが1月31日に発売したばかりの新型e-SUV「ATTO 3(アットスリー)」の日本仕様の初試乗会が大阪で実施された。

 ATTO 3はBYDが独自に開発した“刀”のような薄くて細長い蓄電池「ブレードバッテリ」と、8つのモジュールを集約した「8in1 パワーシステムアッセンブリー」を搭載したEV専用のプラットフォーム「eプラットフォーム3.0」を採用したSUVモデル。フロア下に横向きに122枚搭載したブレードバッテリの容量は58.56kWhで、フロントに最高出力150kW(204PS)、最大トルク310Nmのモーターを備えた前輪駆動仕様。車重は1750kgあるが、0-100km/hは7.3秒。満充電での航続距離はWLTC値で485km(社内データ)を誇る。

ATTO 3はBYDの世界戦略EVで、2022年2月に中国で販売を開始して以降、オーストラリアやタイなどのアジア太平洋地域でも発売され、いよいよ日本にも導入された。欧州ではドイツやフランスなどを含む9か国での販売も決定している
ブレードバッテリを採用する専用のeプラットフォーム3.0は、縦横方向をフレキシブルに長さを調整できるのも特徴。バッテリの保証期間は8年、15万kmに設定されている

 外観は流線的で躍動感のあるデザインとスポーティで精悍なフロントフェイスが特徴。また、ダイナミックでシャープなボディ造形は、BYDグループの一員で群馬県にある金型製造会社TATEBAYASHI MOULDINGが担当。インテリアはフィットネスジムをモチーフに、ファッショナブルにまとめつつ、パノラマルーフを採用することで、解放感のある車室内に仕上がっている。

LEDヘッドライト。中央はハイビームとなる
ヘッドライト上の細いラインがデイライト兼ウィンカー
給電ポートは右フェンダーに配置されている
タイヤはコンチネンタルのエココンタクト6で、サイズは235/50R18
社名のBYDは「Build Your Dreams」の頭文字
リアにバックフォグも搭載している

 実はこれまでメディアに登場していた車両は、同じ右ハンドルでもオーストラリア仕様で、走りの性能は変わらないがナビや音声ガイダンスの一部がまだ英語だった。今回用意されたのは完全な日本仕様となり、メディアへの試乗会も初めて実施された。

フロントはモーターを搭載

とても扱いやすく感じたミドルサイズSUV

 普段は家のプリウスα(2019年式)や、実家の初代エクストレイル(2004年式)を運転することが多いが、プリウスαより車高が高いので視界は広いし、ボディサイズは4455×1875×1615mm(全長×全幅×全高)と初代エクストレイルとほぼ同サイズで、ホイールベースは2720mm、最小回転半径は5.35mと見切りもよく、とても扱いやすく感じられた。

 軽くアクセルペダルを踏み込むだけで、1750kgとは思えないほどスッと前に進みだし、あまり奥までアクセルペダルを踏み込まなくても一般道では充分な速度域まで加速してくれる。アクセルOFF時の減速モードは「スタンダード」とちょっと強めの「ラージャー」の2モードで、アクセルペダルだけでしっかりと減速するワンペダル方式は採用していない。そのためブレーキペダルで減速することになるけれど、フィーリングはとてもおだやかでブレーキペダルを踏んだ分だけしっかりと制動してくれる。

アクセルOFF時の減速モードは「スタンダード」と「ラージャー」の2モードを搭載

 また、低重心のおかげかどっしりと直進安定性もあり、道路にできた轍にステアリングを取られることもないし、目の前にあるメーターがスマホサイズとコンパクトなおかげで視界がとても広く、常に落ち着いてリラックスして走れる感じがした。

 さらに、同一車線内走行支援のナビゲーションパイロットやACC(アダプティブクルーズコントロール)、死角をサポートするBSD(ブラインドスポットインフォメーション)、LKA(レーンキープアシスト)、LCC(レーンセンタリングコントロール)、自動緊急ブレーキシステム、道路の速度標識をカメラで読み込む交通標識認識システム、周辺をディスプレイに映し出すBYDアラウンドビューなど、多数の先進運転支援システム(ADAS)を標準で装備しているのもうれしいかぎり。

 そのほかにも、メーカーによってはオプション設定になっていることが多いサンルーフも標準装備。ADAS関連やサンルーフまで備わっていて価格は440万円なので、補助金などを考慮すればかなりお買い得な仕様といえそう。

広い視界が特徴の運転席
メーター内にはADAS機能のアイコンが表示されている
サンルーフの前半分はチルト機能も付いているし、オープンにもできる。もちろんサンシェードも備わっている

ナビやガイダンスもばっちり使いやすい日本仕様

 日本仕様として更新された大きなポイントがナビゲーション。12.8インチの大画面ディスプレイはステアリングまたは画面にあるボタンで回転させることが可能で、縦型にも横型にもできるのが大きな特徴。特にナビを利用する際は、縦型にすることでこれから進む先がどうなっているのか分かりやすくとても重宝する。

 もちろん他社のEVと同様に、充電スポットや駐車場といった周辺施設の検索も利用できるし、名前順や距離順に表示可能。タッチスクリーンはタブレット感覚でスワイプ、ピッチングできるので、ついつい用もないのに触りたくなってしまった。

12.8インチの回転式タッチスクリーンを搭載
近くの充電スポットをワンプッシュで検索してくれる
駐車場も同様にワンプッシュで検索可能

 また、日本語音声認識も利用可能で、「ハイ、ビーワイディー!」と話しかけるとシステムが起動し、「サンシェードを閉めて」「エアコンをつけて」などすぐに反応して作動してくれた。これらの音声認識はBYD独自システムとのことで、ディスプレイでは機能別に「話しかけ方のサンプル」を確認することもできるようになっている。もちろん、サンプルとは異なるワードを使ってもちゃんと反応してくれた。

日本語音声認識にもしっかり対応している
ナビ機能を利用するときの話しかけ方のサンプル
エアコンやシートなどの機能を操作するときの話しかけ方のサンプル
ドライブレコーダーも装備
録画データも確認可能
BTDアラウンドビューモニター
いろいろと視点を切り替えられる
車内外のPM2.5をモニタリングしていて、室内のレベルが上がると自動的に換気する機能も備わっている
シートヒーターやリアウインドウ&サイドミラーヒーターも搭載している

 なお、2月10日からインテックス大阪で開催される第26回大阪オートメッセ2023では、このBYDのATTO 3の試乗会が実施されるので、ぜひこの機会に試乗してみてはいかがだろうか。試乗会場はインテックス大阪の3号館の外。試乗は一般道ではなく敷地内のみ。

 第26回大阪オートメッセ2023の入場料は、一般当日チケットが3000円。また、保護者同伴に限り中学生以下は入場無料(保護者1名につき1名まで。ただし保護者が招待券で入場する場合は不可)。中学生は要生徒手帳となっている。

編集部:塩谷公邦