ニュース

JR東海、水素エンジン・燃料電池動力車両向け水素サプライチェーン構築でENEOS・日立と連携

水素動力車両の開発ベースとなるJR東海「HC85系」ディーゼルハイブリッド車両

燃料電池および水素燃焼エンジンを動力とするJR東海の水素動力車両

 JR東海(東海旅客鉄道)、ENEOS、日立製作所は5月16日、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」といった水素動力車両を導入するために必要な水素サプライチェーンを連携して構築することについて基本合意書を締結した。

 3社は、JR東海が進めているディーゼル車両の脱炭素化の手段として開発している水素動力車両の導入に向けて、JR東海の非電化路線へ安定的に水素を供給し利用できるよう連携していくとしている。

水素動力車両導入のための水素サプライチェーン構築
水素キャリア

 JR東海の開発している水素動力車両は、動力としては燃料電池もしくは水素燃焼エンジン(HICEおよびH2ICE、Hydrogen Internal Combustion Engine)を用い、非電化路線におけるディーゼル車両を置き換えるものとなる。

 燃料としては、いずれも水素を用いるものの、常温常圧によるMCH(メチルシクロヘキサン)のほか、H2ICEではマイナス253℃の液化水素を輸送して、高圧の気体水素に変換後車両に充填。高圧水素タンクを用いる形態が想定されている。

 また、ベースとなる車両はハイブリッドディーゼル車両である「HC85系」で、動力を直接駆動に用いるものではなく、動力で発電を行ない電動モーターを駆動する仕組み。いわゆるシリーズハイブリッド車両となる。

 燃料電池およびH2ICEも同様に発電動力として用い、発電した電力(燃料電池は直接発電)で電動モーターを駆動。蓄電池と組み合わせてのハイブリッドシステムを構築するほか、燃料電池はトヨタ自動車のものを利用し、H2ICEはiLaboとともに開発していく。

水素動力車両の開発
模擬走行試験

 水素の「つくる」「はこぶ」はENEOSが、「はこぶ」「つかう」は日立が、「つかう」はJR東海が担当していく。

 鉄道車両上でMCHから水素を取り出して使うのは、世界初の試みになるとしており、MCHから水素を取り出し後に発生するトルエンは回収・再利用を行なっていくという。

 JR東海、ENEOS、日立の3社は、強みを活かして連携することで鉄道分野における水素利活用の促進、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとしている。