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アストンマーティン、「ヴァンキッシュ」が新型となって復活 835馬力/1000Nmの5.2リッターV12エンジン搭載

2024年9月2日(現地時間) 発表

新型「ヴァンキッシュ」

アストンマーティンの量産モデル史上最速となる最高速345km/hを達成

 アストンマーティンは9月2日(現地時間)、V型12気筒5.2リッターエンジンを搭載する新型「ヴァンキッシュ」を発表した。年間1000台以下の限定生産となり、デリバリーは2024年第4四半期に開始予定とされている。

 新型ヴァンキッシュは最高出力835PS/6500rpm、最大トルク1000Nm/2500-5000rpmを発生する新型のV型12気筒5.2リッターツインターボエンジンをフロントに搭載。アストンマーティンの量産モデル史上最速となる最高速345km/h(214mph)を達成している。

 トランスミッションにはZF製8速ATを採用し、エレクトロニック・リアLSD(E-diff)も採用。E-diffはESP(横滑り防止装置)に統合され、クルマの動的挙動に直接つながっているため、ホイールのスリップにリアアクスル全体で対応し、あらゆるコンディション下でトラクションを最適化できるとした。

 歴代モデルの「DB12」や「ヴァンテージ」と同様に、ヴァンキッシュもホイールベースが約80mm長くなった接着アルミシャシーにダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションとマルチリンク式リアサスペンションを採用。アンダーボディは「DBS 770 Ultimate」に比べて横剛性を75%向上させている。

新型ヴァンキッシュのボディサイズは4850×1980×1290mm(全長×全幅×全高、全幅はミラーを除く)、ホイールベースは2885mm。乾燥重量は1774kg。撮影車両はオプションのカーボンファイバールーフ仕様
外観のデザイン言語を一新し、引き締まった体格、広々としたたたずまい、流れるような曲線で現代的なエレガンスを表現。Aピラーとフロントアクスルとの間が80mm長くなったことでボンネットも伸び、粋で耽美な輪格が描かれているという。リアの浮かんで見えるようなデザインのシールドは、カーボンファイバーやボディカラーの各種仕上げでカスタマイズ可能
リアのステンレススチール製エキゾーストシステムは新開発。独特な形状のマフラーを備え、クワッドテールパイプが配置される。さらに、究極のサウンドのためにオプションでチタン製エキゾーストシステムも用意
21インチ鍛造アロイ・ホイールと、専用設計のピレリ「P Zero」タイヤを標準装備。タイヤサイズはフロント275/35ZR21、リア325/30ZR21。フロント410mm、リア360mmのディスクで構成されるカーボンセラミック・ブレーキシステムも標準装備される
マトリクスLEDヘッドライトは一体型のデイタイムランニングライトとともにブランドの新しいライトシグネチャーも装備。リアのLEDライトブレードは7つのブレードから構成される
手作業で作られるV型12気筒5.2リッターツインターボエンジン。最高出力835PS/6500rpm、最大トルク1000Nm/2500-5000rpmを発生させ、最高速345km/h、0-100km/h加速は3.3秒となる
新型ヴァンキッシュのインテリア。レザーとカーボンファイバーをふんだんに使用したモダンな印象
ステアリング
10.25インチのTFTドライバーディスプレイ。ディスプレイのカスタム設定も可能
センターコンソールには10.25インチのタッチスクリーンを配置
タッチスクリーンではインフォテインメント、エアコン、車両の一般設定などの操作が可能
センターコンソールには照明付きのガラス製エンジンスタート/ストップボタンを配置。ATの操作には中央のレバーを使用する
ドアパネル。ヴァンキッシュのためだけにチューニングされたBowers&Wilkinsのサラウンドサウンドシステムを標準装備している
スイッチ類

ヴァンキッシュはアストンマーティンのスポーツカーとして最高峰のモデル

 発表に先駆けて行なわれたイベントでは、アストンマーティン APACリージョナルプレジデントのグレゴリー・アダムス氏があいさつ。「私はこの日をとても楽しみにしていました。なぜかというと、9月2日のグローバルローンチに先駆けて日本でコンフィデンシャルイベントが実現できたのは、本社にとっても日本のマーケットが最重要視されているからです。『All will be vanquished』といったスローレンからすでにお分かりになったかと思いますが、111年の歴史の中、もっともパワフルなフラグシップモデルのヴァンキッシュが復活いたします。圧倒的な力を誇るトップクラスのV12エンジン、ビスポークのシャシー、軽量なカーボンファイバーボディに包まれたモダンかつラグジュアリーなインテリアこそ、アストンマーティンのニュースタンドです」とヴァンキッシュを紹介した。

アストンマーティン APACリージョナルプレジデント グレゴリー・アダムス氏

 続けて、アストンマーティン Head of Q Special Project Salesのサム・ベネッツ氏がプレゼンテーションを実施。「ヴァンキッシュはよみがえったアイコンということになります。アストンマーティンの新しいクルマのレンジを完成させる最後のピースとなり、次世代スポーツカーのラインアップの代表的なものになっていくかと思います。アストンマーティンのスポーツカーとして最高峰のモデルであり、今までのモータースポーツ活動から影響を受けた、素晴らしいアストンマーティンのフラグシップです」とコメントした。

アストンマーティン Head of Q Special Project Salesのサム・ベネッツ氏

 ヴァンキッシュについては、ハイブリッド機構などを用いておらず、アストンマーティンが開発した新しい純粋なガソリンV12気筒エンジンを搭載していると紹介。さらに、シャシーの横方向の堅牢性が向上していることにより、サスペンションが効率的に動作するようになっているほか、ドライブ中にESPの介入を感じさせにくくなっているという。

 また、ホイールベースを80mm延長したことで、ボンネットを長くとるアストンマーティンの伝統的なフォルムを実現したと同時に、エンジンをボンネット内の後方に搭載することでフロント51%、リア49%と主軸間の重量バランスがよくなったとのこと。

 ボディはフルカーボンを採用し、軽量化と同時にエレガントかつ筋肉質なデザインを実現。リアデザインはアストンマーティンのレーシングカー「DP215」からインスピレーションを受けつつモダンなデザインに昇華するなど、過去の伝統も継承してきているとした。

 加えて、アストンマーティンのGTカーとして初めてパノラミックガラスルーフを標準装備。ベネッツ氏によると「パノラミックガラスルーフはルーフの左右の堅牢性を維持しなければならいため非常に難しく、過去にはできなかった」と説明。オプションでカーボンルーフを設定していると述べた。

 インテリアはビスポークのキャビンレイアウトとなり、レザーとカーボンファイバーをふんだんに使用。ドライバーディスプレイにはフルデジタルの10.25インチTFT液晶が用いられ、センターコンソールにも10.25インチのタッチスクリーンを配置。タッチスクリーンには最新のテクノロジーが搭載され、さまざまな操作を直感的かつ簡単にできるようになっているという。

 さらに、ヴァンキッシュが2シーターモデルとなった理由として、DBSのカスタマーから「リアシートをほとんど使っていない」というフィードバックを受けたことにより、リアシートを設けるのではなく、荷物の積載スペースとしたことが明かされた。

ベネッツ氏のプレゼンテーションで紹介されたスライド資料

【お詫びと訂正】記事初出時、車名の表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。