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ホンダ、“魔法のような燃費と走り”の新型「フィット」発表会

普遍的なユーティリティのほか、3代目は走りも重視

新型フィットが舞台下から登場した
2013年9月5日開催

 本田技研工業は9月5日、新型「フィット」を発表。同日、東京ディズニーリゾート内にある舞浜アンフィシアターで発表会を開催した。代表取締役社長執行役員の伊東孝紳氏は発表の場に駆けつけて「“魔法のような燃費と走り、ユーティリティとデザイン”を実現させたクルマ」と評価するなど、新しいフィットへの自信を語る発表会となった。

特にこだわったのは「1番」の燃費性能

新型フィットから降り立ち、あいさつする代表取締役社長執行役員の伊東孝紳氏

 伊東社長は、まず「クルマづくりの常識を覆し、ガソリンタンクをリアからなくすことで魔法のようなユーティリティを実現させた」と2001年の初代フィット登場時を振り返った。そして「優れたパッケージングと燃費性能で、アコードやシビック、CR-Vに続くホンダの屋台骨に成長し、わずか12年間で世界123カ国、累計販売台数487万台に達した」と実績を示した。

 今回のフィットについては「特にこだわったのは1番へのこだわり」とし、最高の燃費を重視して開発を進めてきたと説明。「1モーターシステムのスポーツハイブリッド i-DCDは、1リッターあたり36.4kmの国内最高の燃費性能を実現したホンダ渾身のハイブリッドシステム。1モーターの軽量・コンパクトさを維持しながら、2モーター同等のEV走行を可能とした魔法のようなハイブリッドシステムで、絶対の自信を持っている」と述べた。

 一方、メカニズムだけでなく、スタイリングも「新しいホンダデザインの先駆け」として「“EXCITING H DESIGN!!!”をキーワードとして、今までにないアグレッシブで先進的なデザインに進化させる」と述る。

 クルマ作りのあり方も進化させるとし「グローバル・コンパクトシリーズを世界中のお客様に地域ベストの価格と仕様でお届けするため、各地域ごとの開発・生産・購買部門が一体となって、全世界でベストなクルマづくりができるよう構造改革をすすめる」と語り、2016年までにコンパクトシリーズで年間150万台の世界販売を目指すとした。

36.4km/LのJC08モード燃費だけでなく、走行性能も大幅に向上
「High Tech.(先進性)」「High Tension(骨格や構成の美しさ)」「High Touch(面質や高い質感)」の3要素を内外装で追求する「EXCITING H DESIGN!!!」
過去にスーパーカブの広告キャンペーンで使用された「世界のナイセストピープル ホンダに乗る(You meet the nicest people on a HONDA)」という言葉を引用

 さらに伊東社長は燃費について「これが限界かというと決してそんなことはない。初本格採用のリチウムイオン充電池はこれからも進化するし、クルマ自体を軽くぎびきびとしたものにすればエンジンも効率が上がる。まだまだ先がある」と話した。

 トヨタとの燃費競争については「1番を継続できるようがんばっていく。お互いにいい刺激になれば」「日本がかなり先行している技術なので、世界に広がるような活動をしたい」と述べた。

“Small Store”を充実、軽自動車とコンパクトクラスで事業基盤を盤石に

専務執行役員 日本営業本部長の峯川尚氏

 次に、日本国内の営業展開について担当の専務執行役員 日本営業本部長の峯川尚氏が説明。「事前受注は2万5000台を超え、初代、2代目をはるかに上まわる好調な立ち上がりとなっている」と発表した。

 販売体制については、ホンダが進めている軽自動車とコンパクトカーの展示・試乗体制が充実した店舗「Small Store」が235店舗となり、ホンダ販売店の約1割に達したことを示した上で、「お客様により身近な販売店づくりを加速させ、国内において軽自動車とコンパクトクラスで事業基盤を盤石にしてきたい」と語った。

 また、フィットの生産は当初、鈴鹿製作所が行うが、11月からは埼玉製作所寄居工場での生産を開始するとして「日本のものづくりの生産基盤をさらに強化し、生産技術で世界をリードする。新型フィットは日本発でホンダのグローバルオペレーションを牽引する中核モデル」とした。

初期の生産を鈴鹿製作所が担当し、11月からは今年7月に新稼働したばかりの埼玉製作所寄居工場で本格量産がスタートする

 なお、フィットのハイブリッド比率についてだが、モデル末期までの最終的な数値としてハイブリッドが70%ほどを見込んでいるとし、ハイブリッドの走りが評価されればさらに高くなるとの考えを示した。

 峯川氏は「今年は東京モーターショーの開催年だが、元気なホンダの勢いは止まらない」と述べ、10月にオデッセイ、年内にNシリーズ第4弾となる新型軽自動車と新価値SUVの3車種を発表するとした。

デザインコンセプト「EXCITING H DESIGN!!!」を強調

本田技術研究所の四輪R&Dセンター 開発責任者の小西真氏

 開発については、本田技術研究所の四輪R&Dセンター 開発責任者の小西真氏が説明を行った。「3代目の開発にあたっては“4輪車のスーパーカブのような存在にしたい”と考えた」と開発スタート時を振り返り、スーパーカブが持っている普遍的価値とは「多くのお客様の暮らしを支え、毎日の生活に喜びをもたらす」とした。

 また、新型フィットの持つ普遍的価値を「空間、燃費、かっこよさ」とし、それらを驚くほど進化させることが開発目標と説明。そういった目標を込めた開発コンセプトとして「The World Best Functional Compact」を定め、さらに新しいホンダのデザインコンセプト「EXCITING H DESIGN!!!」も採用している。

 「EXCITING H DESIGN!!!」ではコンパクトカーの概念を覆してディテールにこだわり、これからのホンダを象徴するスポーティなデザインを採用したフロントビュー、インテリアの質感の高さ、ワンクラス上を目指して静電タッチパネルを採用したオーディオやヒーターコントロールパネルを挙げた。

新型フィットは、世界の人々の生活に根付く「普遍的価値」を持つ製品としてホンダが誇るスーパーカブのような存在になることを目指す
「The World Best Functional Compact」の開発コンセプトでは、走る楽しさも「かっこよさ」の1要素であると定義。走行性能についても妥協してはいないのだ
ホンダ伝統の「MM思想」もしっかり踏襲。使い勝手に影響しやすい全幅と全高を維持しながら、構造の改善によって室内空間を広げている

 パッケージについては全幅と全高は従来どおりだが、全長とホイールベースを拡大。タンデムディスタンス(前後席の間隔)を従来より80mm伸ばし、シートアレンジも大きく使い勝手を進化させているという。

 さらに小西氏はテクノロジーについて説明。エンジン、トランスミッション、プラットフォームの刷新を強調した。ハイブリッド車では、エンジンやモーターのほか、アイドリングストップ時の室内の快適さを実現した電動コンプレッサー、従来サイズのまま大容量化を実現したリチウムイオンバッテリーの採用などを挙げるとともに、36.4km/Lの燃費だけでなく「爽快な走りを実現」という点や、ハイブリッド車以外でもクラス最高の燃費を実現していることを強調した。

 走行性能については新設計を強調し「軽快さやリニアさが実感できる」と説明、ボディーも高張力鋼板の採用などによる軽量化を挙げた。

左から本田技術研究所の四輪R&Dセンター 開発責任者の小西真氏、代表取締役社長執行役員の伊東孝紳氏、専務執行役員 日本営業本部長の峯川尚氏
代表取締役社長執行役員の伊東孝紳氏
会場には歴代フィットが並んだ
ホンダアクセスが販売する専用アクセサリー「Modulo」のパーツを装着した新型フィット
フィット RS
ラゲッジスペースに搭載するリチウムイオンバッテリー
リチウムイオンバッテリー
新型フィットに搭載するエンジン+モーター&トランスミッションを組み合わせた「スポーツハイブリッド i-DCD」のパッケージ
15Xに搭載される1.5リッターエンジン
1.5リッターエンジン搭載車で採用するCVT
13Gに搭載の1.3リッターエンジンとCVT

(正田拓也)