ニュース
スズキ、新型「ソリオ」「ソリオ バンディット」発表会
“ストロングハイブリッド”については「トライしている段階」と鈴木俊宏社長
(2015/8/27 00:00)
- 2015年8月26日開催
スズキは8月26日、フルモデルチェンジして発売した新型「ソリオ」「ソリオ バンディット」の発表会を都内で開催した。価格はソリオが145万4760円~196万7760円、ソリオ バンディットが182万5200円~195万1560円。このほかのバリエーションや装備などの詳細、写真解説などは関連記事を参照していただきたい。
スズキ、“マイルドハイブリッド”で燃費27.8km/Lを実現した新型「ソリオ」
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150826_717621.html
写真で見る スズキ「ソリオ」「ソリオ バンディット」(マイルドハイブリッド)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/20150826_717903.html
「3つの新技術を盛り込んだ自信作」と鈴木俊宏新社長
発表会では、6月30日にスズキの代表取締役社長(COO)に就任した鈴木俊宏氏が挨拶を行い、「新型ソリオは5年ぶりのフルモデルチェンジでございます。スズキの小型車において、ソリオとスイフトで販売の90%を占めるということで、このソリオはスズキにとって大事な車種であります。ソリオのフルモデルチェンジは、当社の小型車戦略を語るうえで非常に重要な位置づけになります。先代のソリオは営業と技術がよくコミュニケーションをとって開発を進め、成功いたしましたが、今回のソリオもよりいっそう連携を深め、コンパクトワゴンにふさわしいアイデアと新技術を投入し、さらに進化させました」と紹介。
また、「(新型ソリオは)新型プラットフォームの採用により『外は小さくなかは大きく』に磨きをかけたコンパクトボディー、ISGと専用リチウムイオンバッテリーの組み合わせによるマイルドハイブリッド、デュアルカメラブレーキサポートなどの安全装備を盛り込むなど、自信作となっています」とアピールした。
このほか、「小型車販売では、早期に10万台を達成したいとの目標を中期経営計画で掲げておりますが、新型ソリオはその達成に向けた第1弾として、お客さまに喜んでいただけるコンパクトなワゴンに仕上がったと思っています。新型ソリオを皮切りに、スズキならではの個性を持った、お客さまの期待を超える価値を提供できるクルマを、日本をはじめ海外でも次々と投入していきますのでご期待下さい」と今後の展開についても口にしている。
詳しい商品説明については、まずスズキ 常務役員 四輪技術本部長の笠井公人氏から、新型ソリオに投入された新技術について解説。笠井氏は「新型ソリオは全面改良により、デザインやパッケージングだけでなく、主要な部分で大幅な進化を遂げています。新技術はおもに『小型Aセグメント車用の新プラットフォーム』『K12C型デュアルジェットエンジン』『マイルドハイブリッドシステム』の3つです」と語り、「プラットフォームは、軽自動車、Aセグメント車、Bセグメント車とそれぞれ専用の3種類に統合する取り組みを進めております。その第1弾が、昨年12月に新型『アルト』から投入した軽自動車用プラットフォームです。そして今回の新型ソリオに、小型Aセグメント車用のプラットフォームを採用しました。軽量化と高剛性を達成するためのコンセプトを踏襲し、骨格部をなめらかな形状にして力を分散させて、曲げ、ねじり剛性をはじめ、静粛性、走行性能、衝突安全性などの向上を図り、コンパクトながら多様なパワートレーンに対応できるプラットフォームの実現を目指しました。この新プラットフォームは、現在開発中の、国内、海外のAセグメント車に順次採用していく計画です」と説明した。
次に新開発エンジンでは、「現在、スイフトに搭載しているデュアルジェットエンジンの『K12B』型をベースに、高圧縮比化、熱効率の向上などを図った新しい『K12C型』を開発いたしました。基本的なスペックは同等ですがよりコンパクトになり、エンジン重量で約4%軽量化しながら、低回転域でのトルクを向上させて扱いやすいエンジンにしております。混合気の筒内流動の強化、適正化に加えて冷却性能を向上。これにより、熱効率の向上に取り組みました。この結果、JC08モード燃費で平均熱効率35%、最大熱効率38%という高い熱効率を実現しています」と解説し、このエンジンと組み合わせる新しいマイルドハイブリッドシステムは「ISG」「リチウムイオンバッテリー」を使ったもので、笠井氏は「ISGはこれまでのものから出力を上げて、エンジンの負担を減らして燃料消費を抑えました。こうした技術を投入することで、新型ソリオは高い次元で優れた燃費性能と力強い走りを両立しています」としている。
このほかに笠井氏は「国内、海外のコンパクトカーの市場は激しい競争のなかにあり、それぞれの国や地域に求められる機能や装備、パッケージングも異なります。今後は新型ソリオを皮切りに、さまざまな要件を満たす新プラットフォームの展開、パワフルな新型エンジンの投入、燃費向上に貢献する電動化技術を使ったエネルギーマネージメント技術、インフォテイメント技術、安全技術などに対する取り組みを開発の中心に据えて、小型車の商品力強化を図ってまいります」とまとめた。
新型ソリオの技術解説は、スズキ 四輪技術本部 第4カーライン長 ソリオ担当チーフエンジニアの鈴木茂記氏が担当。鈴木氏はまず、2011年に発売された先代ソリオについて紹介し、全長、全幅が軽自動車と一般的な5人乗りコンパクトカーのあいだに位置する独自のパッケージングにより、コンパクトなボディーに広い室内を用意するコンパクトハイトワゴンとしてのポジショニングを確立。「コンパクトなサイズ」「外観からは想像できない室内の広さ」「後席の移動に便利なセンターウォークスルー」「子どもの乗り降りに重宝する両側スライドドア」といった商品特徴を持ち、スイフトとともにスズキの小型乗用車の販売を牽引するモデルになっていると説明した。新型ソリオでは先代のコンセプトを継承しながら、使い勝手や室内の快適性、走りと燃費の向上などを図り「ソリオを凌ぐソリオ」をキーワードに開発を行ったと語った。
具体的には、先代で好評だった運転しやすいボディーサイズについてはほぼ同等としながら、エンジンの搭載角度変更やコンパクト化などでフロントオーバーハングを70mm低減。合わせてホイールベースは30mm拡大し、これによって前後の乗員間距離が55mm、荷室超が25mm広くなっている。さらに全高はデザイン性や空力性能の向上を目的に20mm下げられているが、室内高は15mm拡大。さらに広々としたキャビンを実現している。このほか、エアコンユニットの小型化などによりセンターコンソール足下スペースを広げ、フロントシートを左右に離して好評のセンターウォークスルーをより使いやすくしている。
また、軽さと高剛性を両立する新開発プラットフォーム、燃焼改善技術で熱効率を高めた新型エンジン、独自のマイルドハイブリッドシステムなどの採用でクラストップとなる27.8km/LのJC08モード燃費を実現。エクステリアデザインでは存在感を際立たせてボディーサイズ以上に見えるフォルムを採用。インテリアではセンターメーターを使うシンメトリーデザインを採用し、インパネの両サイドを連続させるアッパーオーナメントを装着して広がり感と上質さを表現している。リアシートにはラゲッジスペース側から座面の前後位置とシートバックのリクライニングなどの操作が可能となる2つのレバーを左右それぞれに新設。さらにシートバックのリクライニング角度を増加してシートアレンジの幅を拡大している。
先進安全装備も先代で採用していた「レーダーブレーキサポートII」から、5月に「スペーシア」に追加され、JNCAP予防安全性能アセスメントで軽自動車最高得点を獲得する原動力となった「デュアルカメラブレーキサポート」(DCBS)にスイッチ。前方を走る車両などとの衝突が避けられない場合に働く「自動ブレーキ機能」の作動速度が、従来の約5km/h~約30km/hから約5km/h~約50km/h未満に拡大した。
これらを解説した鈴木氏は「新型ソリオはスズキがこれまでに培ってきた最新の技術を盛り込み、スズキらしさを凝縮した独創的なコンパクトワゴンです。軽自動車からのステップアップやダウンサイジングを求めるお客さまにとって『ジャストサイズ』『ジャストタイム』な商品になると思います。コンパクトカーへの期待がますます高まるなか、新型ソリオは乗りやすさ、あつかいやすさ、経済性などコンパクトカーに求められる価値を改めて実感していただける1台に仕上がったと確信しております」とアピールした。
発表会の終盤に行われた質疑応答では、記者から「一部報道で年内に『ストロングハイブリッド』を搭載するソリオが市場投入されると報じられているが」との質問があり、これに対して鈴木俊宏社長は「新技術についてはいろいろとトライをしている段階で、準備はさせていただいていますが、年内に出るのかといったところでは、まだ乗り越えなければいけない課題があるのかなと思っております」と回答している。