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藤島知子の「KYOJO VITA」参戦レポート
第4回:2026年シーズン開幕戦は激しいバトルの末に9位フィニッシュ!
2026年5月25日 08:00
- 2026年5月10日 開催
「KYOJO VITA」と改められ、新たなシーズンを迎えた
2026年5月10日、富士スピードウェイでKYOJO VITA Rd.1が開催された。女性ドライバーが競い合うKYOJO CUPがスタートして10年目を迎える今季は、最上位カテゴリーとしてフォーミュラマシンで戦うレースが「KYOJO CUP」とされている点は2025年と同様だが、女性ドライバーが活躍するステップとして、「KYOJO KART」「KYOJO VITA」「KYOJO CUP」のピラミッド構造をより明確化。
今シーズンのトピックとしては、昨年は男女混合で行なわれていたVITA-01のレースが、再び女性のみで戦う舞台として用意されたことで「FCR-VITA KYOJOクラス」が「KYOJO VITA」と改められた。そして今シーズンのレースは全3戦で行なわれ、日曜日の1Dayで予選と決勝が行なわれる。私は引き続き2025年と同じTeam Phoenixから参戦することが決まり、出場できることになった。
KYOJO CUP発足当初はVITA-01のみで行なわれていたが、フォーミュラにステップアップしたドライバーが多かったため、女性のみでレースを成立させるためにはある程度のエントリー台数が必要となるなか、KYOJO VITA Rd.1の参加台数は15台が集まった。
ステップアップはせずにこのクラスに留まったドライバーが多いが、いとうりな選手、金本きれい選手の2人はフォーミュラカーのレースとKYOJO-VITAをダブルエントリーで戦うタフなチャレンジを行なっている。
また、マレーシア出身のロー・イン・イー選手は、セパン1000km耐久レースで優勝経験をもつ選手で、日本のチームからエントリーしている。そしてKYOJOのレジェンドドライバーであるおぎねぇが、富士のレースに戻ってきてくれたことも嬉しいニュースだった。
KYOJO CUPがスタートして10年、ずっとドライバーとして参戦してきた私から見ても、かつてはまだVITA-01のマシンを扱い切れていなかった初心者も、今や確実に乗りこなせるスキルを身に付けているし、ラリーなど他のカテゴリーで腕を磨いてドライビングスキルの引き出しを増やしているドライバーも多い。まさしく女性ドライバーが活躍するシーンが確実に増えてきているように感じるし、改めてKYOJO CUPがモータースポーツにおける女性活躍のキッカケを与えた功績は大きいと感じるばかりだ。
さて、2025年の最終戦が12月に行なわれて以来、5か月ぶりに富士を走ることになった。私はレース前に練習走行にきたあと、木曜日からサーキット入り。練習時は雨も晴れも走ったが、幸いにもレースウィークの天候は比較的安定していて、VITAの走行時間はドライコンディションで走れた。
ブレーキの踏み方、ペダルやステアリングの操作の仕方、車両の挙動と向き合うこと、走らせていくイメージなど、毎回同じコースを走っていても次々に課題が生まれていく。同じマシンを共有して走っているレジェンドドライバーの見崎清志さんには、「1周1周考えて走りなさい」とご指導いただきながらも、そうは簡単にタイムが縮んでいかないところがもどかしい。
予選はアタックのタイミングが合わず13番手
レース当日の天候は晴れ。予選は朝8時からスタートとなり、気温は17℃。湿度もそれほど高すぎず、レース観戦する上でも、とても過ごしやすい陽気になった。しかし、20分間の予選では、前走車に続いて周回を重ねるものの、こちらのマシンが追いつき、追いついてしまうのにまた抜かれてしまうという状況が続いて、1周のラップタイムがまとまらない。
前の車両よりもタイムが出せていないことに焦り、最後の1周にかけようと思ったところで、最終コーナーでスピンして停車した車両が出たことで赤旗中断。残念ながら不完全燃焼。走るポジションの見極めの甘さで、13番グリッドからのスタートが決まった。
決勝レースはお昼過ぎからコースインの予定だが、その前に久しぶりのピットウォークの時間が設けられた。インタープロト、KYOJO CUPなど、他のカテゴリーがズラリと並ぶピット。レースカーやドライバーと間近で触れあえる機会とあって、多くの来場者たちが楽しんでいる様子がうかがえた。中には私自身のレースとジャーナリスト活動を応援してくれている人もいたりして、励ましの言葉を掛けてもらえたのが嬉しかった。
10周スプリントレースの決勝がスタート
そして、いよいよ開幕戦の火蓋が切られた。スタート直後、1コーナーに向かって全てのマシンが一斉に突き進むなか、私の前の車両がブレーキを掛けた隙に、後方のグリッドからスタートしたマシンがインの隙間に滑り込んだ。
他の車両に頭を抑えられてしまった私は前へ進めず、序盤から順位を落としてしまうことに。とはいえ、レ−スはまだ始まったばかり。数珠繋ぎになって進むマシンたちのペースはまだ上がりきらない状況なので、とにかく喰らいついていく。
100Rでは前方で競り合っていた2台のマシンが接触し、118号車 小倉学園VITA 及川紗利亜選手がスピン。路面には砂利や芝が散らばり、土煙が上がったところで、私は一旦アクセルを緩めてしまったが、ヘアピンのブレーキで前走車との距離を詰めていく。
最終コーナーで前走車のインを差そうとしたものの、抜くには勢いが足らない。ここは焦らず、遅れをとらないようについていく。混雑はまだ続いている状況で、ブレーキングで少しずつラインをずらしながらチャンスを狙い、2周目に差し掛かる最終コーナーで前のクルマをパスした。
しかし、スリップストリームに付かれて追い越されてしまい、1コーナーで抑えようとしたももの、1台のマシンがスピンしたのを避けようと減速したら、抜き返されてしまった。
前方には2台が競り合っていて、私を含めた3台が連なって走る状況になった。ストレートでスリップにつきながら真横に並んだ前の2台は、接触スレスレの至近距離で競い合っているので、後ろから様子をみながらチャンスを待つ。
4周目には前の2台に迫ったが、3台でせめぎ合っているうちに、序盤でスピンして再発進した及川選手が追い上げてきた。今度は4台が1つのまとまりになり、「我前へ!」という攻防を繰り返し、並んでコーナーに入ったり、連なったりしながら順位が入れ替わる。
わずかなミスをしてしまえば、スリップを使い合う3台からすぐさま置いていかれそうな状況だ。そうした中、GR GTコーナーでインを突き、前に出ることに成功。スリップで2台目を走るクルマに追いついたが、1コーナーで再び4台目に戻されてしまう。
後方から虎視眈々と前を狙うには、ミスなく、タイヤをいたわりながらチャンスを窺いたいところ。スリップを使い合い、スピードを落としすぎないラインで立ち上がろうと1コーナーに侵入するものの、そう簡単に譲ってはもらえない。
レースは9周目に突入。挙動を乱し始めた前の車両の様子を察して、ストレートで前に出た!
レースは終盤。私の前を走る2台の車両から少し離されてしまう。「ここでめげたら終わり」と、気持ちを引き締めて、とにかく集中してファイナルラップに突入。ダンロップコーナーのブレーキングで距離を縮め、セクター3の登り坂へ。
この一団の先頭を走る車両は、ホームストレートに立ち上がる際に2台目にいるクルマに抜かされまいとブロックして走る中、スリップが効いて勢いを増す私の前にいた車両が右側にラインをとったところで、チェッカーを受けた。私のマシンの鼻先が前に出て、わずか0.04秒差で、9位に順位を上げた。
トップ集団は序盤で接触があった中、優勝したのは31号車 A-PEX☆VITAの永井步夢選手。2位は4号車 グッドスマイル初音ミクVITAの岡本悠希選手が初表彰台を獲得。3位は32号車 ミハラ自動車エムクラフトVITAの保井舞選手が獲得した。
KYOJO-VITAの第2戦は9月6日。4か月ほどの時間が空くが、次戦も激しいせめぎ合いが予想される。今回のレースの反省を活かして、スキルアップを目指していきたいと思う。
53年培った技術の集大成「VITA-02(仮称)」をお披露目
KYOJO-VITAをはじめ、全国各地で行なわれるレースで人気を得ているウエストレーシングカーズ製のVITA-01。発売以来トヨタの「ヴィッツRS」由来の直列4気筒1.5リッター自然吸気エンジンに、5速MTを組み合わせていたが、2026年4月1日、次世代型のマシンとなる「VITA-02」の発売を開始した。予価は490万円。
セミモノコックフレーム+スペースフレームのシャシーには、直列3気筒1.5リッターのトヨタ「ヤリス」が採用しているM15A-FKSエンジンを搭載。ロングストロークの3気筒エンジンは出力特性が異なり、低速から中回転のトルクが力強いほか、車体剛性が上がり、ブレーキ性能の向上などでコーナーの立ち上がりもポテンシャルが高まっているそうだ。
トランスミッションは5速MTで、自社開発のパドルシフトが組み合わされ、車両重量は約545kgとなる(VITA-01は530kg)。さらに、衝突安全面も強化されており、高剛性セミモノコック、大型メーンロールバー、サイドストラクチャー、ヘッドプロテクターに加えて、FIA基準に準拠したコックピットの安全装置が採用されている。
パドルで操作するタイプのトランスミッションはVITA-02向けに専用設計。ウエストレーシングカーズはすでにv.Granzなど、さまざまなレーシングカーを製作しているが、パドルシフトは上位機種で開発してきた実績があり、それらのノウハウが活かされているという。
また、VITAはアマチュアがモータースポーツに参加しやすいように、車両価格を抑えて提供するコンセプトのもとで生まれたマシンということもあり、工夫して設計されているのもポイント。VITA-01にVITA-02向けのエンジンやトランスミッションを載せ換えるキットを予価190万円で用意している。
プライスタグで見ると、簡単に安価と言えないかもしれないが、上位フォーミュラと遜色ないレベルのトランスミッションや安全面の強化、原材料費が高騰している時代に市販車の価格が上がっていることを考慮すると、頑張った価格帯に収められていると感じる。
なお、VITA-02を使ったレースは2027年度シーズンから、VITA-01との混走で行なわれる予定。後日発表される詳報を待ちたい。







































