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メルセデス・ベンツ、7年ぶりにフルモデルチェンジの“本気を見せた”新型「Cクラス」発表会
Cクラスに初のクリーンディーゼル、PHVモデルを投入することが明らかに
(2014/7/11 22:35)
メルセデス・ベンツ日本は7月11日、同日に発売した新型「Cクラス」の発表会を都内で開催した。セダン、ステーションワゴン、クーペを展開するCクラスだが、今回フルモデルチェンジを行ったのはセダンとなる。価格は419万円~644万円。
7年ぶりに刷新された新型Cクラスセダンは、「C 180」「C 180 アバンギャルド」「C 200 アバンギャルド」「C 250 スポーツ」の4グレードでスタート。C 180 アバンギャルド、C 200 アバンギャルドにはAMGスタイリングパッケージや18インチAMG 5スポークアルミホイール、スポーツサスペンション、AMGスポーツシート&スポーツステアリングといったスポーティさを高めるパッケージオプション「AMGライン」が設定されている。
発表会では上野金太郎社長兼最高執行経営役員(CEO)とマーク・ボデルケ副社長が登壇し、新型Cクラスセダンの魅力について紹介を行ったわけだが、冒頭に会場の幕が降りて登場したのは5台の車両と同社の多数の社員。多くの社員が発表会という場で登壇した理由について、上野氏は「“メルセデスの本気”をお見せしたくて社員ともどもCクラスをお披露目させていただいた」と語っており、そのことから新型Cクラスの完成度の高さ、そしてメルセデスの中核を担う期待のモデルであることが伺える。
上野社長は、はじめにセダンカテゴリーの現況について「20年前、日本で販売された軽自動車を除く乗用車の約半数がセダンだった。お客様のニーズの多様化に伴い、マルチパーパスビークルやハッチバックが現在では約7割を占める市場に変化してきている。しかし、ラグジュアリーカーの市場においてはセダンはまだ半数を占め、今後もとても重要な市場であると認識している」と解説を行った。
そして今回の新型Cクラスセダンについては「進化という言葉では表現できないほどの変貌を遂げ、新しく生まれ変わった」とし、開発コンセプトの“アジリティ(俊敏性)とインテリジェンス”について紹介。
アジリティについては、「俊敏性、軽快な走りといったクルマの性能を表すときにアジリティという言葉が使われるが、メルセデスのアジリティは素材選びから設計、製造工程に至るまであらゆるところに最新鋭のテクノロジーを投入して生まれた、新しい次元のもの。さらに、このテクノロジーは相反する要素である環境性能も高いレベルで実現している」とし、インテリジェンスについては「昨年、私たちは知能を持つクルマとして運転の喜びはそのままに、最高レベルの安全性と快適性を誇るSクラスを発表した。この新型CクラスセダンはSクラスとほぼ同等の知能を備えている」と語るとともに、「内外装の質感を高めて大幅なバリューアップを実現しており、まさに比類なきスポーティセダンの誕生。本日はメルセデスの本気を存分に感じてほしい」とアピールした。
●C 180 アバンギャルド
●C 200 アバンギャルド
●C 250 スポーツ
より詳細についてはビデオで解説が行われるとともに、マーク・ボデルケ副社長が説明。コンセプトで語られたアジリティを支える最先端技術は多数あるが、大きなトピックの1つに高張力鋼板と軽量なアルミを組み合わせた軽量高剛性アルミニウムハイブリッドボディーが挙げられる。この軽量高剛性ボディーはボディーシェルの約50%にアルミニウムを使っており、先代モデルから約70kgの軽量化(ホワイトボディー同士で比較した場合)に成功するとともに、高剛性化、高度な衝撃吸収性能を実現。さらにNVH(ノイズ/バイブレーション/ハーシュネス)特性の最適化に加え、重心高を下げることにも寄与し、走行性能を高めることができたという。
また、インテリジェンスに関しては、「レーダーセーフティパッケージ」をはじめとする多数の安全運転支援システム(同社では「インテリジェントドライブ」と総称)のことを指す。インテリジェントドライブの屋台骨はクルマの周囲360°をカバーする複合的なセンサーシステムで、フロントウインドーの内側に設置され、最大500mの範囲の大まかな様子をモニターするとともに、前方約50mの範囲を立体的に捉える2つのステレオマルチパーパスカメラ、フロント/リアバンパー側面に内蔵される25GHzの短距離レーダー、ラジエーターグリル奧にある77GHzの中・長距離レーダー、リアバンパー中央の25GHzマルチモードレーダーで構成される。
これらにより、速度に応じた車間距離を維持することが可能な「ディストロニック・プラス」では車線のカーブと先行車両を認識し、車線を維持しながらステアリング操作をアシストする機能が追加されたほか、車両に危険が迫った場合にブレーキ圧力を高め緊急ブレーキに備える「BASプラス」や、BASプラスの警告にドライバが―反応しないと自動緊急ブレーキが作動する「PRE-SAFEブレーキ」(新たに先行車両に加え歩行者も検知する機能を追加)、後方からの衝突の危険を検知すると、ハザードランプの点滅で後方ドライバーに警告するとともに、ブレーキ圧を高めて自車をロックし二次被害を軽減する「リアCPA(被害軽減ブレーキ付後方衝突警報システム)」、ステレオマルチパーパスカメラが車線を検出してフロントホイールが車線を越えたことを判断するとステアリングを微振動させ、さらに片輪に補正ブレーキをかけて車線内に戻す「アクティブレーンキーピングアシスト」(新たに対向車との衝突の危険性がある場合に警告と補正ブレーキで車線内に戻す機能を追加)といった、多数の安全運転支援システムが用意されている。
パワートレーンはC 180/C 180 アバンギャルドに直列4気筒DOHC 1.6リッターターボ「274M16」エンジンを、C 200 アバンギャルド/C 250 スポーツに直列4気筒DOHC 2.0リッターターボ「274」エンジンを搭載。いずれも新開発エンジンで、燃費は30%以上向上してC 180/C 180 アバンギャルドが17.3km/L、C 200 アバンギャルドが16.5km/Lを達成。C 180、C 180 アバンギャルド、C 200 アバンギャルドはエコカー減税により自動車取得税、重量税が免税(100%減税)される。C 250 スポーツに関しては今秋に型式認証を取得する予定のため、現時点で未定になっている。
ボデルケ副社長は、「新型Cクラスセダンには、メルセデスのフラグシップモデルであるSクラスとほぼ同じ安全装備がついているが、(419万円からという)価格を実現した。1人でも多くの方にメルセデスのテクノロジーを体験していただきたいという、メルセデスの本気」と述べるとともに、今後Cクラスセダンとして初のクリーンディーゼルモデル、プラグインハイブリッドモデルを投入することを明らかにした。
発表会ではこのほか、新型CクラスセダンのCMに登場するサッカー日本代表の本田圭佑選手のビデオレターも放映された。ビデオレターで、本田選手は新型Cクラスセダンについて「想像以上にサイズが大きかったというのが第一印象。本当にしっかりしたボディーで、見た目にもこだわっていて、上野社長から今年は“本気”というのがテーマだと聞かされていたが、CM撮影のときに実車を見て“なるほど”と感じた」と印象を語ったほか、予選リーグ敗退となった2014 FIFA ワールドカップブラジル大会についても触れ、「ワールドカップの応援、本当にありがとうございました。本当に結果が出せなくて残念で、皆さんをもっと喜ばせたかったのですが、いちからもう一度4年後に向けて出直してこようと思っているので、これから本田圭佑ならびに日本代表、そしてJリーグの応援をよろしくお願いします。さらに皆さんを喜ばせるパワーを身に着けて戻ってきますので期待していて下さい」と、今後の抱負について述べた。
●Cクラスセダン主要諸元
C 180 | C 200 アバンギャルド | C 250 スポーツ(欧州仕様参考値) | |
---|---|---|---|
ステアリング | 右 | 右 | 右 |
乗車定員 | 5名 | ||
サイズ(全長×全幅×全高)[mm] | 4690×1810×1445 | 4690×1810×1435 | 4686×1810×1442 |
ホイールベース[mm] | 2840 | ||
トレッド(前/後)[mm] | 1565/1550 | 1584/1573 | |
最低地上高[mm] | 130 | 120 | - |
重量[kg] | 1490 | 1540 | 1480 |
エンジン | 直列4気筒DOHC 1.6リッターターボ「274M16」 | 直列4気筒DOHC 2.0リッターターボ「274」 | |
最高出力[kW(PS)/rpm] | 115(156)/5300 | 135(184)/5500 | 155(211)/5500 |
最大トルク[Nm(kgm)/rpm] | 250(25.5)/1200-4000 | 300(30.6)/1200-4000 | 350/1200-4000 |
燃料消費率(JC08モード燃費)[km/L] | 17.3 | 16.5 | - |
トランスミッション | 7速AT | ||
駆動方式 | 2WD(FR) | ||
タイヤサイズ | 225/55 R16 | 225/50 R17 | 225/40 R19(フロント)/255/35 R19(リア) |