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東海大学、新型ソーラーカー「2015 Tokai Challenger」走行テスト

10月18日~25日開催の「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ 2015」に向けて調整

2015年9月5日実施

 東海大学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクト・ソーラーカーチームは9月5日、10月18日~25日開催の「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ2015」参戦に向けて、新型ソーラーカー「2015 Tokai Challenger」の走行テストを実施した。

レースでは100km/h前後で巡航するソーラーカー
高速走行時の安定性を高めるため、ダンパーの調整など最適化を図った

 テスト走行は、栃木県那須塩原市にある「ブリヂストンプルービンググラウンド」の周回路において行われ、高速走行時の安定性やブレーキバランスなどを確認、ショックアブソーバーのセッティングなどを見直して本番のレースへ備えた。

ドライバー席
バッテリーは約20kg
バッテリーはドライバーの右隣に搭載
タイヤ&ホイールをカバーするカウルを外した状態
テスト走行後、高速走行時の安定性を高めるためダンバーを設定を4輪それぞれで最適化した
さまざまなスプリングを用意

「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ2015」は、約3000kmの距離をひた走るレース。トップチームの争いになると100km/h前後の巡航速度となり、「2015 Tokai Challenger」もレーススピードで効率的に走れるよう空力性能などを最適化。ソーラーカーには約20kgのリチウムイオンバッテリーを搭載しており、満充電されたバッテリーの電力だけでも、90km/h程度の速度であれば約330kmの走行が可能という。ソーラーパネルの発電量を予想しながらバッテリーを使い切らないようレースのペースを考えるのが、このレースのみどころとなる。

前輪のステア角度を小さくするため後輪もステアする4WSを採用。高速走行時は機能しないが低速時の小回り性能を確保した
搭載するモーターは左後輪のインホイルモーターのみ
ブレーキの径が左右で異なるため、テスト走行でブレーキバランスを調整
空気抵抗を減らすためタイヤもギリギリまでカバー。タイヤの切れ角に合わせて作られたエアロパーツ
ホイールのカバーにさらにエアロパーツを装着する細かな改良も実施
バッテリーを搭載しているのでソーラーパネルのない状態でも自走可能

 実際のレースでは、ソーラーカーを監督車が追走し、バッテリーの充電量や太陽光パネルからの発電量などの情報を見ながら、巡航速度などの作戦を決定していくという。

 東海大学チャレンジセンター所長でチーム総監督を務める木村英樹教授は「マラソンと一緒で、一定速のスピードで走ったほうが効率的なのですが、曇るか晴れるか天候によってターゲットスピードが変わってくるので、強気でいくのか弱気になるのか、そこは各チームで駆け引きになっていきます」と話す。

 東海大学 工学部 航空宇宙学科 航空宇宙学専攻の准教授でチーム監督を務める福田紘大准教授は「衛星からの画像と今後の日射量を予想した情報などをもらって作戦を決めるといったことも行っていますが、海外ではブレインスポーツと呼ばれて、駆け引きが強いレースです」と同レースの特徴を話した。

 本番となるレースは10月17日の予選の後、18日にダーウィンをスタート、アデレードまでの約3000kmを走破する。今回、テスト走行を終えた「2015 Tokai Challenger」は、今後レースが開催されるオーストラリアへ輸送される。

 本番への意気込みについて、木村教授は「2013年の車両より確実に性能は上がっています。やはり学生が中心となる大会なので学生に頑張ってもらい、あとはどこまで力を発揮できるのか期待して見ています。個人的には過去3回参加して2回優勝し、前回は準優勝でしたが、このレースに深くかかわれるのは最後となりそうなので、最後は優勝で有終の美を飾りたい」とコメント。

 また、福田准教授は「各国の有力チームがそれぞれ頑張っているので、蓋を開けてみないとどこまで自分たちのレベルが高められているのか分かりませんが、自分たちの努力できるところまでやってきたつもりです。よいレースができて優勝できることに期待したい」とコメントした。

新型ソーラーカー「2015 Tokai Challenger」の走行テスト

(編集部:椿山和雄)