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自工会 西川新会長、「燃費不正はあってはならない。国交省の指導のもとで再発防止策を講じていく」
定例会見で新執行部をお披露目
(2016/5/19 23:33)
- 2016年5月19日 開催
日本自動車工業会(自工会)は5月19日、定例会見を開催し、新任の会長を含め新たな執行部のお披露目と今後の取り組みについての発表を行なった。
定例会見の前に行なわれた理事会にて、日産自動車の西川廣人 代表取締役CCO兼副会長が新任の会長となり、副会長にはトヨタ自動車の豊田章男 代表取締役社長とマツダの小飼雅道 代表取締役社長が留任、新任となる本田技研工業の八郷隆弘 代表取締役社長、常任の永塚誠一氏の4名が決定した。
本来ならば、三菱自動車工業の相川哲郎社長が副会長に留任する予定だったが、昨今の問題により辞任の意向が伝えられ承諾したという。これにより、自工会の執行部はしばらくの間、会長と4人の副会長で運営されることになった。
冒頭の挨拶で、西川会長は「会長の就任に先立ちまして2点について触れたい思います」と切り出し、「まずは4月中旬に発生しました熊本地震でお亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い致します。自動車生産やサプライチェーンの挽回は道半ばのままです。避難生活を送っている多くの方が、一刻も早く元の生活に戻ることを祈っています」と、まずは熊本地震について触れた。
続いて「燃費の不正についてですが、三菱自動車工業の数値の改ざんや法令に定められた手続きの違反はあってはならないことです。また、スズキの法令違反もあってはならないと認識しています。真の原因を見極めたうえで国土交通省の指導のもと再発防止策を講じてもらいたい。加えまして、昨日の国土交通省の発表では、他のメーカーの不正行為はなかったと報告されています」と三菱自動車とスズキの燃費問題について語られた。
新執行部によって実施された理事会では、平成28年度の事業計画について話合いがもたれ、3つの事項が決まったという。
1つ目が「国内市場の活性化」で、「昨年度の東京モーターショーには国内外から81万人ものお客さまにご来場いただいた。モーターショー休催年に当たる本年度も、この勢いを絶やさぬように自動車業界全体が一丸となってクルマ、バイクの魅力を積極的に発信していく。また、国内市場の活性化に向けては、お客様がクルマ、バイクを購入、保有しやすい環境の整備も重要である。来年4月に消費税の再増税があることも踏まえると、自動車ユーザーの過重な税負担軽減は不可欠であり、引き続き自動車税制の抜本的な見直しを強く訴えていく」と述べた。
2つ目は「事業環境の改善」になり、「日本経済が持続的に成長していくためには、産業の活性化と国際競争力の向上が不可欠である。グローバルに事業を展開する自動車業界にとって、経済連携交渉を推進し、貿易や投資の自由化とそれを支える共通ルールづくりを進めることも極めて重要である。特に、本年2月に全参加国がTPP協定に署名したが、自動車業界としても本協定を活かし、日本経済の発展と域内経済関係の緊密化に貢献していく」とした。
そして3つ目は「安全・快適で持続可能なクルマ社会の創造」で、「日本政府が掲げる2030年度の温室効果ガス排出量削減目標の達成に向けて、次世代自動車の開発や普及、従来型の内燃機関のさらなる性能向上、交通流対策やエコドライブなど統合的アプローチを推進する。とりわけ燃料電池車、電気自動車、プラグインハイブリッド車の普及にはインフラの先行整備が必要なことから、関連業界と連携を図るとともに、車両普及やインフラ整備に対する一層の支援を政府に求めていく」とし、これら3つの項目が今後の事業計画の核になることが報告された。
会見の最後に西川会長は、「国内の市場を改めてみると、4月は16カ月ぶりに前年比でプラスとなりました。ですが、事業環境全般は新興国経済の減速、為替レートの変動などによって決して楽観視できるものではないです。各メーカーは決算発表を行ない、今年度は減益という厳しい見通しを出しています。豊田章男社長の言葉を借りれば『潮目が変わった』とも言えます。一方で、日本の自動車産業は、大きな変化や進化に対しての技術力が十分蓄積されています。日本市場が進化を先取りして、規模ではなく質でもっとも進んだ市場となり、存在感を見せる可能性は大いにあります。自動車産業が雇用や経済に果たす役割は大きいです。なので、各メーカーは競争すべきところはし合って、協調して進めるべきことは進める。そして、2020年の東京オリンピックを大きな節目として見据えています。自工会としては、より多くの話題やファンを作ることを心掛けていきます」と、2020年までの意欲や抱負を語った。