試乗レポート
新型Cクラスのディーゼル仕様「C 220 d」、FRメルセデスの美点を堪能した
2022年2月28日 10:35
ディーゼルの「C 220 d」がラインアップに
2021年、フルモデルチェンジして日本に登場したメルセデス・ベンツ「Cクラス」。当初はガソリンの「C 200 アバンギャルド」から導入されたが、順次バリエーションを増やしている。最新のCクラスではディーゼル仕様の「C 220 d」がラインアップに加わった。
C 200は1.5リッターの4気筒ターボを搭載したマイルドハイブリットだが、C 220 dは2.0リッター4気筒ターボ+マイルドハイブリットとなっている。出力は147kW/440Nmで低速回転からの力強い加速が魅力だ。
ISG(インテグレッド・スターター・ジェネレター)によるマイルドハイブリットは、発進ではディーゼルエンジンの豊かな低速トルクに加えて電気モーターでサポートする。レスポンスのよさ、エンジン回転の滑らかさが気持ちよく、これは逸品に違いないと確信する。ディーゼルが得意とする高速クルージングに加えて街中のストップ&ゴーなど、どんな場面でも柔軟性のある力強いパワーユニットはメルセデスらしい走りに磨きをかけている。
トランスミッションはトルコンATの9速。スムーズで滑らかな変速なのが持ち味だ。低回転でどんどん変速して、いつの間にか高いギヤに入っている。ディーゼルのトルクはその負荷を補って余りある。しかもノイズ、振動自体も小さいことに加えて遮音もしっかりしているので静粛性は極めて高い。
アクセルを踏み込むと一瞬の間を置いてシフトダウンして加速体制に入る。この一連の流れも滑らで質が高い。高速道路に乗り入れると粛々とクルージングし、メルセデスの真骨頂を示す。高いボディ剛性とメルセデスらしい路面にベタッと張り付くような安定性、それをドライバーに伝える乗り味はFRメルセデスの美点。ドライバーにとっては寛ぎと安心を同時に手に入れられることになる。
レーダークルーズコントロールを使用すれば、見事なレーンキーピング能力とともに、高速域での安定した走りを体験することになる。クルマがまっすぐ走る。一見当たり前だが、それがいかに重要なことかはメルセデスの少し太めのハンドルを握るとすぐに分かる。
乗り心地はプレミアムセダンらしく快適そのもの
街中でもハンドルの切れがよく、全長4755mm、全幅1820mmのサイズをまったく感じさせない。いつも堂々としている3ボックスセダンだが、狭い場所での取りまわしも素晴らしい。2865mmのロングホイールベースに対応して一部スポーツグレードには後輪操舵の4WSの装備も可能だが、小まわり性のよさはそれがないC 220 dでも十分に堪能できる。
ヘッドアップディスプレイにはAR技術を駆使した道先案内が表示されるが、インフォティテイメントの分野でもメルセデスはトップクラスをひた走る。「ハイ、メルセデス(Hi,Mercedes)」の単語に反応して、オーディオやエアコンなどを音声でいとも簡単に操作できる。デジタル世代だけでなく誰にでも使いやすく作られているのがポイントだ。
乗り心地はプレミアムセダンらしく快適そのもの。どの席でもたっぷりしたシートに身を委ねればリラックスでき、路面からの微振動もよくカットされていながら、それでいてクルマの姿勢を把握しやすい。ドライバーにとって路面インフォメーションや姿勢をすぐに感じ取れるのは重要だが、パッセンジャーにとってはクルマ酔いをしにくいクルマがCクラスだ。
トランクスペースもセダンだからと言って侮ってはいけない。リアシートバックが前倒しトランクスルーにもなり、長くて広大なラゲッジルームが出現する。これなら長尺物も積み込める。
価格は682万円で、これに「ベーシックパッテージ」や「レザーエクスクルーシブパッケージ」などを加えて約765万4000円だが、その価値は十分にあると思う。