試乗記

BMWのフラグシップSAV「X7 xDrive40d エクセレンス」は、優雅さのなかにもしっかりとした走りが光る

BMW「X7 xDrive40d Excellence」に試乗する機会を得た

すべてが素晴らしい仕立て

 ドイツ製フルサイズSUVの頂点の一角を占め、BMWのSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)ラインアップの最上位に位置するX7は、2019年6月より日本に導入されている。

 その後、2022年11月に大幅改良を実施。上部がウインカーとデイタイム・ランニング・ライト、下部がLEDヘッドライトとなる上下二分割のヘッドライトを採用し、よりダイナミックでスポーティな表情になったほか、暗闇で光るアイコニック・グロー・キドニー・グリルを採用した。

 堂々たるサイズに印象的なフロントフェイスが目を引く。ちなみに試乗車のボディカラー「ライム・ロック・グレー・メタリック」は、90万5000円のBMW INDIVIDUAL SPECIAL PAINTとなる。

今回試乗した「X7 xDrive40d エクセレンス」
ボディサイズは5170×2000×1835mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは3105mm、車重は2560kg、最小回転半径は6.2m

 件の大幅改良にて、機構面では全車に48Vマイルドハイブリッドが搭載された。今回試乗したのは、「M」の付かないモデルで、直列6気筒3.0リッターディーゼルターボエンジンを搭載する「X7 xDrive 40d Excellence(エクセレンス)」だ。

ヘッドライトはシャープな眼差しを際立たせ、特徴的なデイタイム・ランニング・ライト機能を備えたBMWクリスタル・ライトを搭載
立体的な造形のテールランプのサイド面には印象的で複雑なデザインを採り入れている

 インテリアも最上位モデルに相応しく仕立てられていて、すばらしいのひとこと。試乗車両には、BMW Individualのフルレザー・メリノ・アイボリー・ホワイト/アトラスグレーやピアノ・フィニッシュ・ブラックトリム、Mアルカンターラ・ルーフ・ライニングなどのオプションが装着されていた。

 12.3インチのメーター・パネルと、14.9インチのコントロール・ディスプレイを一体化させ、ドライバー側に湾曲させた最新のカーブド・ディスプレイの採用により、優れた視認性と高い操作性を実現している。シフトレバーが廃されたことで、iDriveコントローラーまわりはすっきりとしている。

インテリアは水平基調ですっきりと視界も広い
運転席前の12.3インチ・マルチディスプレイメーターパネルと中央の14.9インチワイドコントロールディスプレイの組み合わせたBMWカーブド・ディスプレイを搭載
センターコンソールには、シフトセレクターのほかドライブモード、車高調整のスイッチなども備える
オプションのBowers&Wilkins ダイヤモンド・サラウンド・サウンド・システムを搭載。最適に配置された計20個のスピーカーと総出力1475Wのパワーアンプが、魅力的なサウンドを発する
助手席前の「X7」の文字はアンビエントライトと連動していて、さまざまな色に光らせられる
フロントの電動コンフォートシートは、メモリー機能(運転席のみ)、アクティブベンチレーション機能、マッサージ機能、シートヒーティング機能を完備する

 オプション設定の6人乗り仕様では、すべての乗員のシートを肘掛けのある個別のシートとされている。2列目の乗り心地はいうまでもなく快適そのもので、このクルマはドライバーズカーとしてもすばらしいが、主役はやはり2列目なのかなと感じさせられた。

 2列目は肩のレバーを引くと3列目にアクセスするための空間ができて、背もたれを戻すとシートポジションが自動的にもとの位置にもどってくれる。必要に応じて助手席も自動で動く。

2列目コンフォートシート(6人乗り)はオプション設定で、シートヒーティング機能も備えている
運転席と助手席、2列目シートの左右、そして3列目シートで空調を個別にコントロール可能にする5ゾーン・オートマチック・エア・コンディショナーも完備
運転席と助手席の背面には「タブレットホルダー」「収納式テーブル」「ハンガー」など、便利なオプションアイテムを装着するための「トラベル&コンフォート・システム」を備える
パノラマ・ガラス・サンルーフ(チルト&スライド、ブラインド付き)と合わせて、3列目にも独立してサンルーフを装備
3列目の格納と2列目の前後移動はラゲッジスペースにあるボタンで簡単に操作できる。また搭乗者のスペースを最優先にした状態、荷物収納スペースを最優先にした状態を1プッシュで実現する「MAX」ボタンも備える
3列目を使用していてもかなりの収容スペースを確保している。2列目はオプションのコンフォートシート(独立キャプテンシート)のため完全に前には倒れないが、それでもゴルフバッグなどは余裕で積める

 3列目も広さは十分で、成人男性+αの体格の筆者が座っても頭上にコブシが縦に入り、足も不自然な姿勢にならない。それに車軸の上に座っていると思えないぐらい乗り心地がいいことに驚かされた。

 車内に侵入する音は、さすがに2列目ほど静かではないが、あまり意識させられるほどではなく、十分に静粛性も確保されている。見ると3列目専用の空調やサンルーフまであり、ごく日常的に使うことを前提としているようだ。

 テールゲートは上下に分割して開き、2列目や3列目のアレンジも含めすべて電動で操作できる。荷室を最大状態にすると、かなり広い空間を創出できる。

テールゲートは2分割式で、すべて電動で開閉できる。上側だけオープンにした状態だと荷物が落ちてこないので便利な機能。また、荷物の積み下ろしをしやすくするためにエアサスで車高を下げるボタンも完備している

2.5tを超えるSUVとは思えない走り

ワインディング、高速道路、一般道で試乗してみた

 搭載される直列6気筒3.0リッターディーゼルのエンジンフィ-リングはすばらしく、外では音が聞こえるが、車内はディーゼルと思えないぐらい静かだ。走りのほうは、BMWの直6らしく調律されたサウンドとスムーズな吹け上がりを味わえる。ディーゼルになっても、BMWに求められる世界観はまったく損なわれていない。

搭載するエンジンは、直列6気筒3.0リッターディーゼルエンジン(最高出力340PS/4400rpm、最大トルク700Nm/1750-2250rpm)と電動モーター(最高出力12PS/2000rpm、最大トルク200Nm/0-300rpm)でトランスミッションは電子油圧制御式8速ATの組み合わせ。燃費はWLTCモード値で11.8km/L

 最高出力は340ps/4400rpmに達しており、最大トルク700Nmを1750~2250rpmという低い回転域で発生するだけあって、2.5tを超える車体をものともせずひっぱる。

 また、「オートマチック・セルフレベリング・コントロール付きアダプティブ2アクスル・エア・サスペンション」と「電子制御ダンパー付きアダプティブ・サスペンション」が標準装備される足まわりも極めて快適だ。

4輪アダプティブ・エア・サスペンションを標準装備してて、標準状態から最大40mm下げ~40mm上げの範囲で調整できる。高速走行時は空力性能を高めるため、自動的に車高が下がる

 22インチタイヤを履くとは思えないほど、ばね下の重さを感じさせることもなく、普通に走りたいときには快適に走れて、高速巡行時はしなやかにアンジュレーションをいなしながら、フラットライドな走りを堪能できる。衝撃をキャビンに伝えないセッティングがとても巧い。

標準は21インチだが、試乗車はオプションの「アロイ・ホイール・マルチスポーク・スタイリング757バイカラー」を装着し、タイヤはピレリ「Pゼロ」でサイズは275/40R22

 スポーツモードを選択すると引き締まった感じにはなるが、乗り心地がわるくなることはない。さらにワインディングを走っても、ダイナミックなコーナリング時に効果を発揮するという「エグゼクティブ・ドライブ・プロ」も効いて、車両重量と重心の高さのハンデをあまり感じさせることもなく、スイスイと駆け抜けていける。とても2.5tを超えるSUVとは思えない走りっぷりだ。

コーナーも重さと重心の高さを感じることもなくスイスイと走れた

 先進運転支援機能についても、高速道路での渋滞時において、一定の条件下において、ステアリングから手を離しての走行が可能となる「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」や、時速35km以下で車両が直前に前進したルート最大200mまでを記憶し、その同じルートをバックで正確に戻れるリバース・アシスト・プロフェッショナル機能を備えた「パーキング・アシスト・プロフェッショナル」、あらかじめ登録しておいた駐車スペースが近づくと、車両が自動で検知し、検知後は完全自動駐車が可能なパーキング・マニューバ・アシスト(駐車経路自動誘導)機能付き「パーキング・サポート・プロフェッショナル」などが標準装備される。

 さすがはBMWのフラッグシップSAV、見た目も走りも素晴らしい仕上がりで、装備も驚くほど充実していた。

実際の映像にナビを投影する「ARナビゲーション」機能も完備している
見た目も走りも装備も素晴らしい1台だ
岡本幸一郎

1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍も大小もカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもさまざまなタイプの25台の愛車を乗り継いできた。それらの経験とノウハウを活かし、またユーザー目線に立った視点を大切に、できるだけ読者にとって参考になる有益な情報を提供することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:堤晋一