試乗記

“砂漠の王者”が復活! 三菱自動車の新型「パジェロ」を見て乗った【前編】

2026年12月17日に正式発売となる新型「パジェロ」を見てきた

価格帯は619万3000円~795万800円

 生産終了から7年。先代が登場したのは2006年10月だったことを考えるとかなりの時が経過してしまった「パジェロ」がいよいよ復活する。今回のモデルで5代目だ。これまで世界170以上の国と地域で、4世代にわたって累計325万台以上を販売してきた実績がこれからも続くことになる。ただ、これまでとはやや路線が異なるような印象もある。新型パジェロはこれからの三菱自動車を牽引していくフラグシップとして誕生したこともあるのだろうが、かなり上質に生まれ変わったことだ。

 それを証明するかのように、メーカー希望小売価格はスタートこそ619万3000円に収められているが、トップグレードになると795万800円。かつてのファイナルエディションが453万600円だったことを考えれば、上級に移行したことが伺える。けれども走りの性能は基本的にどのグレードでも変わらずというところは悪路走破性にこだわるパジェロらしさ。走破性重視の方々はGLSやGSRグレードを、デザインや都会的なライフスタイルを想定している方々は20インチアルミホイールを装着するエクシードやスーパーエクシードがオススメらしい。

 今回、事前撮影会が行なわれ、トップグレードとなるスーパーエクシードを見てきたのでその印象をお伝えする。

風格漂うスタイリング

新型パジェロのボディサイズは4920×1925×1910mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2870mm。「SUPER EXCEED」(795万800円)、「EXCEED」(693万円)、「GSR」(676万5000円)、「GLS」(619万3000円)の4グレード展開となり、パワートレーンや駆動方式(スーパーセレクト4WD-II)、乗員(7名)などは共通

 重厚感にあふれ、質感高くまとめられたスタイルを見ると、三菱自動車のエンブレムが付いていなければ欧州車かと思えるほどの風格が漂っている。ボディサイズは4920×1925×1910mm(全長×全幅×全高)でホイールベースは2870mm。先代からすればそれぞれ20mm、50mm、10mm、90mm拡大していることになる。

 ドアの施錠をリモコンで解除すれば、前後のイルミネーションが流れる演出が行なわれ、いかにも現代のクルマらしい佇まい。パジェロの特徴でもあった丸目のヘッドライトがなく(よくよく見ればヘッドライト部は丸いのだが)、これがパジェロの後継モデルというとまだ違和感があるのが正直なところだ。

外観ではグレードによってグリル形状が異なり、「SUPER EXCEED」のみハニカムタイプで、それ以外のグレードでは横桟タイプになる。リアまわりではテールゲートの中央部に歴代モデルの背面タイヤをモチーフとした六角形の造形が与えられている

 リアまわりも背面タイヤを表に出さず、リアのラゲッジ下に抱えるようになったところもまた、これまでとはまるで違う感覚だ。テールゲートの開き方も横開きから、一般的な跳ね上げタイプになった。全長は先代比で20mm延長しているが、先代はスペアタイヤがあっての数値。新型は背面タイヤがない状況で伸ばしたことを考えれば、室内はかなりの余裕が生まれそうだ。

 ちなみに少し気になり下まわりをチェックしてみると、そのスペアタイヤはテンパータイヤでもなければ鉄ホイールでもなく、サイズもホイールもいま装着しているものとまったく同じフルサイズのものがセットされていた。これなら悪路でタイヤをカットしてしまったとしても、きちんと帰ってくることができそうだ。

写真の「SUPER EXCEED」はブリヂストンのオールシーズンタイヤ「Dueler H/T 684 II」(255/55R20)とブラック&切削スモークの20インチアルミホイールをセット。「EXCEED」は255/55R20タイヤとブラック&切削光輝の20インチアルミホイールを、「GSR」と「GLS」は255/65R18タイヤとダークグレーの18インチアルミホイールを採用する。スペアタイヤはフルサイズのものがセットされる

トライトンより重くなった分をトルクアップで補う

室内では水平基調のインストルメントパネルを採用。「SUPER EXCEED」のインテリアカラーには自然素材本来の色合いを追求しながら汚れの目立ちにくさにも配慮した、キャメルとブラックとの2トーンカラーのセミアニリン本革を採用。また、フロントガラスに加えて前後ドアガラスにも遮音ガラスを採用し、さらにボディをはじめとする各部に遮音対策を施すことで静かな室内空間を実現した

 そこで生まれた室内空間はどうなのかをチェックしてみれば、たしかに3列目に入ったとしても余裕であることが伺える。そもそも乗降性はキツい作りのはずだが、それも苦にならない。座席に収まっても体育座りのようなことにはならないし、2列目下に足入れも可能だし、ボンネットがあるクルマの割にはきちんと座れる3列目であることが感じられる。

 また、エアコンの吹き出し口が上部に存在していたり、カップホルダーやUSBが与えられたりするなど、使える3列目になっていることが好感触だ。2列目のレッグスペースもかなりの余裕が生まれている。1列目ももちろん空間はひらけており、そこにある大型ディスプレイは2枚の14.3インチを奢る。ここは日産の新型「エルグランド」と共通らしい。そこから広がる視界も見切りが良く、サイズアップしたとはいえ扱いやすそうだ。

ステアリングの右側のスイッチで高速道路同一車線運転支援技術「MI-PILOT(マイパイロット)」のON/OFFが可能。マイパイロットは全グレード標準装備
車両運動統合制御システム「スーパーオールホイールコントロール(S-AWC)」を採用し、走行シーンに応じて2H(後輪駆動)、4H(フルタイム4WD)、4HLc(センターデフロック)、4LLc(ローギヤ+センターデフロック)から任意で選択できる。またドライブモードはNORMAL、ECO、GRAVEL、SNOW、MUD、SAND、ROCKを用意
センターコンソールに電動式のセレクターレバーを採用
「SUPER EXCEED」は2枚の大型ディスプレイ(14.3インチ×2)で構成するモノリスディスプレイを採用。同ディスプレイではラリー由来の補助メーターとして「マルチメーター」表示が可能になっており、高度計、方位計、温度計、車体の前後左右の傾き、左右のトルク配分などを見ることができる
「SUPER EXCEED」の前席。インテリアカラーはキャメル/ブラックの2トーンカラーで、セミアニリン本革を採用。シートヒーターやシートベンチレーションが運転席と助手席に備わる
2列目シートは150mmのロングスライドを可能にしたほかタンブル機構も備え、3列目へのアクセスを容易にした。2列目シートにもシートヒーターが付く
5:5分割可倒式の3列目シートも余裕あるヘッドクリアランスとフロア面からの着座高さを確保

 エンジンはトライトンと同形式の4N16型。排気量はかつての3.2リッターから2.4リッターへとダウンサイジングされた。ターボはトライトンの2ステージターボではなく、可変ターボを採用。インタークーラーは水冷式(一部仕向けは空冷式)で、出力や排出ガス対策を行なったことで最高出力は150kW、最大トルクは480Nmを発生することに成功。かつてよりも力強く、トライトンより重くなった分をトルクアップで補っている模様だ。

直列4気筒DOHC 2.4リッターディーゼルターボ「4N16」型エンジンは最高出力150kW(204PS)/3500rpm、最大トルク480Nm(48.9kgfm)/1750-2500rpmを発生。WLTCモード燃費は12.1km/Lとなっている

 先代はビルトインラダーフレームのモノコックだったが、今回は再びラダーフレームに改められた。高張力鋼板の採用拡大、フレーム断面積の拡大など、現代の技術ではいまの形のほうが最適解だという判断だったようだ。今回はトライトンで使っていたラダーフレームをベースに補強を加えた上で、リアサスペンションを新開発の5リンク式リジッドにしたことが特徴的。悪路走破性だけでなく、オンロードの快適性も確保していることがポイントとなる。その上で三菱自動車自慢の車両運動統合制御システムであるS-AWCを採用しているのだから走りにも期待できそうだ。

 このように刷新されつくしたかに思える新型パジェロの走りはどうなのか? 詳しくは後編でお伝えする。

新型パジェロの走りについては後編にてレポートする
橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。2019年に「86/BRZ Race クラブマンEX」でシリーズチャンピオンを獲得するなどドライビング特化型なため、走りの評価はとにかく細かい。最近は先進運転支援システムの仕上がりにも興味を持っている。また、クルマ単体だけでなくタイヤにもうるさい一面を持ち、夏タイヤだけでなく、冬タイヤの乗り比べ経験も豊富。現在の愛車はユーノスロードスター(NA)、MINIクロスオーバー、フェアレディZ(RZ34)。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛