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写真で見る ホンダ「シビック(11代目)」

2021年9月3日 発売

9月3日に発売される新型シビック

 6月に公開された本田技研工業の新型「シビック(CIVIC)」が、9月3日より発売開始となる。

 新型シビックは人の気持ちよさや楽しさを徹底追求しながら開発が進められたクルマで、その内容はホンダのクルマ作りの根幹である「人中心」の開発思想をより深く掘り下げ、デザイン、ダイナミクス性能、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)のすべてをスペックには現れない感性領域にまで踏み込んで仕上げている。

 また、スタイルについても流れるようなプロポーションと開放的なインテリア、そして操る喜びに満ちたダイナミクス性能に視線、動線、触感に配慮した心地よい仕立てなどから、コンセプトを「爽快シビック」と定めている。

 ボディ形状は先代がセダンとハッチバックの設定だったところ、新型はハッチバックのみとなった。タイプは「LX」「EX」の2種類あり、エンジンは直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴ターボ「L15C型」で、トランスミッションはパドルシフト付きCVTと6速MTがどちらのタイプにも用意されている。

 エンジンのスペックは最高出力134kW(182PS)/6000rpm、最大トルク240Nm(24.5kgfm)/1700-4500rpmで、使用燃料は無鉛プレミアムガソリン。燃料タンク容量は47Lで、駆動方式は2WD(FF)のみだ。ボディサイズは4550×1800×1415mm(全長×全幅×全高)でホイールベースは2735mm、トレッドはフロントが1535mmでリアが1565mm。

 全車に「サポカーS ワイド」に該当する最新安全運転支援システムの「Honda SENSING(ホンダセンシング)」が装備されていて、渋滞運転支援機能のトラフィックジャムアシストはCVT車に装備。なお、6速MT車のHonda SENSINGでは「誤発進抑制機能」「後方誤発進抑制機能」「トラフィックジャムアシスト」の機能が削除されている。また、ホンダ車として初となるアダプティブドライビングビームも採用。こちらは全車が対象で、ハイビーム時に自動配光することにより歩行者に眩しさを与えない配慮が行なえる機能。

 価格は「LX」が319万円、「EX」が353万9800円となっていて、CVT、6速MTとも同じ設定だ。ボディカラーはプラチナホワイト・パール(3万8500円高)、ソニックグレー・パール(3万8500円高)、プレミアムクリスタルレッド・メタリック(6万0500円高)、プレミアムクリスタルブルー・メタリック(6万0500円高)、クリスタルブラック・パール(価格高なし)が用意される。

新型シビック。プラチナホワイト・パールがEX、ソニックグレー・パールがLX。外観での違いはフロントフォグランプのありなし、ドアモール色、アルミホイールの仕上げといったところ
新型シビックEX。ボディカラーはプラチナホワイト・パール
新型シビックLX。ボディカラーはソニックグレー・パール

スポーティだけどおとなしい、そんなイメージのエクステリア

 新型シビックのスタイリングは「親しみやすく、それでいて特別な走りを予感させるたたずまい」であることを意識して作られている。デザインにあたっては、パッケージやインテリアデザインの開発担当者と意識を共用して行なわれ、走る楽しさが感じられるだけでなく乗り込んだときに開放感が感じられるようなデザインを目指したという。

 プロポーションは流れるようにスムーズなフォルムを基本として、そこにタイヤがしっかりと路面を掴むイメージを与えている。さらにベルトラインを低く水平に設定することで、室内の開放感が外から見ても感じられるようにしているとのこと。

 全体のイメージは先代シビックハッチバックに似ているところもあるが、前後バンパーのデザインをシンプルにしているのが大きな違い。また、先代よりボンネット高を低くしたり、リアクォーターパネルのデザインによって横から見たときのボディの厚みが低減されたりしているので「おとなしい雰囲気」ながらよりシャープな印象になっていた。

新型シビックEX。ボディカラーはプレミアムクリスタルレッド。スポーティさもありつつ落ち着いた雰囲気
フロント部のデザインはシンプルながらスポーティなイメージ。フォグランプはEXのみに装備
リアまわりではマフラーのフィニッシャーをイメージさせるデザインを追加。そのフィニッシャーの間にはディフューザー形状のデザインが盛りこまれている
厚みを抑えたシャープなヘッドライトの点灯パターン。灯体はインライン9灯タイプのフルLEDで、ハイビームユニットをセンターに配置することでロービーム時はライトに「瞳」が残るようにしている。また、ホンダ初のアダプティブドライビングビームを採用した
リアコンビネーションランプのデザインは先代から引き継いだCライングラフィック。新型ではリッド側ランプの上下まで光らせることで夜間でもロー&ワイドな印象
スモールランプ点灯時
ブレーキランプ点灯。別体のハイマウントランプは左右のコンビネーションランプの間にある
バックランプはセンターにある
ウインカーは後方から視認しやすい位置に
ボンネットは左右後端の高さを先代から25mm低くしている。また、フロントピラーの下端は50mm後退
スマートな印象になったボディだが、よく見るとエッジの効いた造形。フロントからリアまで水平基調のラインを低く一気に繋げることで低重心で伸びやかなクーペイメージを強調
サイドスカート部の処理も先代より洗練された
ミラー部はウインカー内蔵。足の部分にはドアミラー下部の気流乱れを抑制するためのボルテックスジェネレーターが付く
リアホイールアーチに端を180度折り曲げて接合するヘミング処理を採用。これによりタイヤを片側5mm外側に張り出し、リアのトレッドをフロントより10mm拡大している
テールゲート後端はダウンウォッシュ低減のため、若干のダックテール形状になっていた
フューエルリッドは左側に付く
燃料は無鉛プレミアムガソリン。タンク容量は47L
ルーフに付くアンテナ。ルーフサイドの溶接にレーザーブレーズ技術を使うことでモールのない仕上げとしている
アルミホイールはタイヤ内部で発生する不快な共鳴音を打ち消す中空構造のレゾネーターを装着したノイズリデューシングアルミホイールアルミホイールとなっている。こちらはEX用で、ベルリナブラック+ダーク切削クリア仕上げ。タイヤサイズは235/40R18
LX用のホイールもノイズリデューシングアルミホイールアルミホイール。カラーはベルリナブラック+切削クリア仕上げ。タイヤサイズは235/40R18

力強さと伸びのよさを両立させた1.5リッター直噴VTECターボエンジン

 新型シビックに搭載されるのは直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴VTECターボ仕様のL15C型エンジン。このエンジンで重視されたのは、ドライバーの感覚にマッチした気持ちいい走りの実現。そのためにターボまわりにも細かな改良が施されている。例を挙げると、まずエキゾースト側のVTEC機構で、先代にも採用されていたVTCに加えてエキゾースト側にVTEC機構を採用したことによって吸排気効率や燃焼効率を向上させている。

 また、排気ポートも気筒ごとの点火順序を考慮した4in2集合部の形状にすることで、排圧の上昇を抑えつつ排気効率を高めている。さらにターボのエキゾーストハウジング側ではタービンブレードの形状変更に加え、ブレードに対して排気を斜め方向から当てる構造を採用することで過給圧の立ち上がりをよくしている。

 トランスミッションはCVTと6速MTが設定された。CVTはエンジンのトルク向上にあわせて先代よりトルクコンバーターを大容量化したうえで、従来以上の高精度制御を採用。あわせてステアリング部にパドルシフトを装備することで操作性も向上させている。ドライブモードはスポーツ、ノーマル、エコの3モード。

 6速MTはシフトフィールにもこだわっている。デュアルマスフライホイールや進化したシンクロ機構によってシフト操作時の荷重変動を低減させ、なめらかで高品位なシフトフィールを実現。また、シフトレバーのブラケットは支持剛性に優れたアルミ製であり、なおかつ各部のクリアランスを詰めているためシフト操作時のダイレクト感が向上している。加えてシフトストロークをショート化しているので、手首の動きで小気味いいシフトチェンジができるようになっている。

直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴VTECターボ仕様のL15C型エンジンは、最高出力134kW(182PS)/6000rpm。最大トルク240Nm(24.5kgfm)/1700-4500rpmを発生
エキゾーストポートを4in2形状として排圧低減。さらにタービンブレードの形状と排気の当て方を変更。これにより幅広い領域で効率よく過給が得られるようになった
エンジン自体、静粛性を高めるための高剛性化が計られている。また、フード裏にも遮音性を高めるインシュレーターを装備
全開加速時は有段ミッションのような段階的な変速フィールを実現するステップアップシフト制御を採用。ブレーキを強く踏んだ際はエンジン回転を高めにキープしながら段階的にシフトダウンする。また、コーナリング時は横Gを検知してエンジン回転数を高めにキープし、立ち上がりの加速に有利な状況を作る
シフトレバーは操作しやすいようドライバー側へ少し傾斜させている
ドライブモードはスポーツ、ノーマル、エコという3モードから選べる。サイドブレーキは電動式
2022年にはe:HEV車とTYPE Rの発売が予告されている。TYPE RにはMTが設定されると思うが、ガソリンエンジンにおける6速MT車は貴重な存在といえる
6速MTではシフトフィール向上に力を入れており、ストロークもクイックになっている
滑り止めが付くアルミペダル。クラッチペダルの操作感は軽く、半クラッチも使いやすい印象だった

運転を気持ちよく楽しむための機能と装備を満載

 新型シビックでは運転を気持ちよく楽しむことも追求。ホンダが考えるHMIでは「直感操作、瞬間認知」という面を重視していることから、ドライビング中に見るメーターの表示にはこだわっている。とくにEXに関しては、全面を液晶パネルとした10.2インチフルグラフィックメーターをシビックとして初めて採用した。このメーターではステアリングスイッチとの関連性にも気を配られていて、ステアリングスイッチ右側の操作であればメーターの右、ステアリングスイッチ左側の操作ならメーターの左側に情報や状況が表示されるようになっている。

 新型シビックに採用された前席の左右シートは、骨盤から腰椎までを樹脂製マットで支える支持構造を持つホンダ最新のシートフレームを採用したボディスタビライジングシートとなっている。

 このシートでは座った際のカラダと座面との均一感やサポート性の高さが体感でき、通常走行はもちろん、スポーティに走るときであっても安定した運転姿勢をキープすることができるようになっている。

EX、6速MT車のインテリア
フロントシートはボディスタビライジングシートとなっている。表皮はプライムスムース×ウルトラスエード。EXはパワーシートとなる
LXのインテリア。LXのフロントシートもボディスタビライジングシート。表皮はプライムスムース×ファブリック
EXのステアリング。LXも本革巻きだがEXはステッチが赤になる
ステアリング奥左側レバー
ステアリング奥右側レバー
EXの10.2インチデジタルグラフィックメーター
LXの7インチデジタルグラフィックメーター
EX用10.2インチデジタルグラフィックメーターの表示例
9.0インチのHonda CONNECTディスプレーは静電式タッチパネルを採用。基本操作に使うハードキーはドライバー側へ配置し、アプリエリアは操作のしやすさを重視した配置。オーディオはEXに「BOSEプレミアムサウンドシステム(12スピーカー)」が標準装備。LXは8スピーカー(4スピーカー×4ツイーター)
Honda CONNECTディスプレーの表示例
空調スイッチ関係
ダイヤル式なので手下を見なくても操作しやすい。エアコンは左右独立の温度設定が可能
吹き出し口前にはメッシュカバーが付き、これが吹き出す風を拡散してくれるので心地よい風となる。また、風向きの調整範囲が広がっているので、あわせて風の当たり方の調整ができる。エアコンの風が直接当たるのが苦手な人には最適な仕様だ
ヘッドコンソールにある「緊急通報ボタン」。体調不良などクルマに乗っているときのさまざまな緊急事態のときにボタンを押すと、Honda Total Care緊急サポートのオペレーターへ繋がり、救急、警察などに連絡ができる
HondaSENSINGのフロントワイドビューカメラ。カメラ視野部には曇り止め用ヒーターも内蔵して冬場などの作動継続性が向上している
電源系装備。EXにはワイヤレス充電パッドが装備される
DC12VのアクセサリーソケットとUSBジャック×充電用USB
アクセサリーソケットのフタを開けたところ
プッシュエンジンスタート/ストップスイッチはステアリング右側に配置
ステアリング位置調整はチルトとテレスコで行なえる。シート側でも座面の高さが調整できる
全車電動パーキング
センターコンソールガーニッシュはヘリンボーン柄。これは印刷やステッカーではなく射出成形で作ったもので実際の凹凸がある。その上からクリアを塗ってあり上質な仕上がりになっている。EXは写真のようにパワーウィンドウスイッチパネルも同様の仕上げになる
センターコンソールの小物入れ。アームレストがフタになる作り。フタ裏はかさ上げしてあるので小物入れの容量アップとなる
ドリンクホルダー。深さのある作りでドリンクを入れないときは小物入れとしても使える
EXの後席。エアコンの温度などのコントロールはできないが、風向きは左右それぞれで調整できる
6:4分割可倒式シートのアレンジ
6:4可倒式シートを倒した状態のラゲッジスペース
左側から引き出すタイプのトノカバー
トノカバーのユニットは取り外しが可能
ユニットを外すことで開口部のサイズを多少広くすることができる。小さいことだが、ここも開発陣が使い勝手向上のためにこだわったところ
ラゲッジフロア下にも収納を用意。ボードを固定する位置が調整できる
スペアタイヤではなくパンク修理キットを積む
ラゲッジ照明は右側に一灯
ラゲッジルーム用のフックは前に2か所、後ろに2か所ある
テールゲートはヒンジ位置を前にすることでゲートが開く際に後端の軌跡が後ろに飛び出ないようにしている。そのため、リアバンパー近くに立った状態で開閉しても後ろへよけずに済む
テールゲートは大型だが、樹脂製なので開閉時に重さは感じない。リアウィンドウ側にもシェードがあり、簡単に取り外すこともできる
テールゲートの開閉は手動。締める際に手を掛けるところが一般的な位置のほか、室内側にも設けてある。クルマの横から締める動作をするようなときに便利

【お詫びと訂正】記事初出時、ステアリング位置調整の表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。