写真で見る

写真で見る マツダ新型「CX-60」プロトタイプ

走る歓びを追求した新型SUV「CX-60」。撮影車両はXD-HYBRID premium Modern。ボディカラーは新色のロジウムホワイトプレミアムメタリック

4種類のパワートレーンをラインアップするCX-60の特徴

 マツダがラージ商品群と位置付けるモデルの第1弾となるのが、クロスオーバーSUV「CX-60」だ。同社は2011年から「SKYACTIV TECHNOLOGY」を軸とした新世代商品群をリリースしており、これまで「CX-5」に代表される“ラージ”、「MAZDA3」(旧アクセラ)に代表される“スモール”と、2つのプラットフォーム・アーキテクチャー構想にもとづいて開発を行なってきた。

 そして今回、新世代商品群の第7世代としてリリースされるのが、新たなるラージ商品群となるCX-60だ。クルマ好きにとって大きな訴求ポイントといえるのが、直列6気筒のディーゼルおよび直列4気筒ガソリンエンジンを縦置きに配置し、後輪駆動(または後輪駆動ベースのAWD)を組み合わせている点。「環境だ、EVだ」と効率ばかりが声高に叫ばれる昨今において、新規でこうしたアーキテクチャーを開発していくのは、相当にチャレンジングな取り組み。もちろん、こうした方向性は時代に逆行したのではなく燃費の改善を含めたものであり、マイルドハイブリッドやPHEVなど多彩なパワーソースへの対応を果たすとともに、同社初となるモーター内蔵を念頭に置いたトルクコンバータレス8速ATの採用など、今後の開発まで見据えたものとなっている。ともあれ、運転する楽しさを実現しながら「走る歓び」が感じられるCX-60。同社では「ドライビングエンターテイメントSUV」と位置付け、「自分らしく人生を愉しむ方々」にお届けするとしている。

 なお、今回の撮影車両は本グレードを含めて全てプロトタイプのため、量産車とは異なる可能性があることをお断りしておく。

 CX-60のボディサイズは4740×1890×1685mm(全長×全幅×全高)。同社のSUVラインアップでいえば、CX-5(4575×1845×1690mm[全長×全幅×全高])より大きく、CX-8(4970×1840×1730mm[全長×全幅×全高])より短いものの幅は広い。ホイールベースも2700mm(CX-5)、2870mm(CX-60)、2930mm(CX-8)なので、だいたい中間といったところになる。

 その上に乗るボディはマツダのデザイン哲学「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」をベースに、直列6気筒エンジンを縦型に置くがゆえのロングノーズ/ショートデッキを踏まえ、より深化とステップアップを遂げたもの。ひと目でマツダ車と分かる造形でありつつも、よりダイナミックな印象を与えるシルエットを獲得している。内装はこれまでのモデルのイメージを踏襲しつつ上質感を高めた仕上がり。居住性に関してもショルダールームがCX-5と比べて前席が44mm、後席で50mmと、全幅がワイドになった分が反映されている。

 注目のパワーユニットは直列4気筒2.5リッターガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.5」、直列4気筒2.5リッターガソリンエンジンをベースにPHEV化を果たした「e-SKYACTIV PHEV」、直列6気筒3.3リッターディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 3.3」、同エンジンに48Vマイルドハイブリッドシステムを追加した「e-SKYACTIV D」(M Hybrid Boost)の4タイプが用意される。

 組み合わされるトランスミッションは全車8速ATで2WD(FR)と4WDを設定。マイルドハイブリッド車とPHEV車は4WDのみといった構成。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアがマルチリンクを採用する。

 直列4気筒2.5リッターガソリンエンジンはCX-8に搭載される「PY-VPS」型を縦置き変更にしたモノ。スペックは最高出力138kW(188PS)/6000rpm、最大トルク250Nm(25.5kgfm)/3000rpmとわずかにダウンしているものの、燃費性能はWLTCモードで14.2km/L(最良値)とCX-8の12.4km/L(同)よりアップ。車両重量が1680kgと50kg軽い(ともに最軽量モデル)とはいえ、大きく向上したといえる。

 新開発の直列6気筒3.3リッターディーゼルエンジン「T3-VPTS」型は、最高出力170kW(231PS)/4000-4200rpm、最大トルク500Nm(51.0kgfm)/1500-3000rpm。WLTCモード燃費は19.8km/L(最良値)と、これまでの直列4気筒2.2リッターディーゼルエンジン「SH-VPTS」型の17.4km/L(CX-5、6速AT車最良値)から大きく向上。排気量、パフォーマンスはもちろん、車両重量が160kgもアップしているのにこれだけの数値が出せるのはオドロキだ。

 マイルドハイブリッド車はさらに驚きで、まずスペックは最高出力187kW(254PS)/3750rpm、最大トルク550Nm(56.1kgfm)/1500-2400rpmへとアップしつつ、WLTCモード燃費はなんと21.1km/L(最良値)をマークする。4WDのみしか設定がなく、モーターや駆動用のリチウムイオンバッテリなどにより重量も増加した上でこの数値なのだ。

 なお、PHEV車のスペックはいまのところ未定となっている。

 フラグシップとなる最新モデルだけに安全性についても高められている。新しい取り組みとして注目なのが、上級グレードに設定される「ドライバー・パーソナライゼーション・システム」。これは運転においてもっとも重要で基本的な部分であるにもかかわらず、忘れられがちな正しいドライビングポジションをカンタンに設定できるシステム。事前に身長を入力しておくとセンターディスプレイ横に設けられたカメラでドライバーの目の位置を認識、最適な位置にシートポジションを設定するとともにステアリング、アクティブ・ドライビング・ディスプレイ、アウターミラーの角度を調整してくれる。最大6名までのドライバーを認識し、乗車時に車両設定なども含めて復元してくれる。

 同様にカメラでドライバーの状態をモニタリングし、異常時にはホーンやハザードによる異常発生を報知するとともに減速~停止を行なう「ドライバー異常時対応システム(DEA:Driver Emergency Assist)」も用意されているほか、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」についても、ブレーキサポートへの新機能追加をはじめ、多くの部分で進化を遂げている。

 パワーユニットが4タイプ用意されることから、グレードはベーシックからプレミアムな仕様まで幅広く設定されている。加えて、内外装のディテールが異なる「PREMIUM MODERN」「PREMIUM SPORTS」「GARANT」「ACTIVE」と4つのパターンが用意され、それぞれ独自の世界観が与えられている。ざっくりと違いを説明すると、上級モデルとなるPREMIUM系は外装にメッキやグロス素材、内装にはレザーやスエードなどを採用することでリッチな雰囲気を演出。コアモデルとなるACTIVEでは加飾を抑えて道具としてのSUVらしさを強調。ミドルレンジをカバーするGARANTでは装備や素材をACTIVEよりグレードアップすることで魅力をアップ、という具合になる。

世界観と対応グレード

世界観対応グレード
PREMIUM MODERNPremium Modern/Exclusive Modern
PREMIUM SPORTSPremium Sports/Exclusive Sports
GARANTExclusive Mode/L Package
ACTIVEXD/S Package

 ガソリンエンジン車は「25S S Package」「25S L Package」「25S Exclusive Mode」の3タイプで、価格は299万2000円~407万円。ディーゼルエンジン車は「XD」「XD S Package」「XD L Package」「XD Exclusive Mode」の4タイプで、価格は323万9500円~465万8500円。4WD車は2WD車より22万5500円高の設定。ディーゼルマイルドハイブリッド車は「XD-HYBRID Exclusive Sports」「XD-HYBRID Exclusive Modern」「XD-HYBRID premium Sports」「XD-HYBRID premium Modern」の4タイプで、価格は505万4500円~547万2500円。PHEV車は「PHEV Exclusive Sports」「PHEV Exclusive Modern」「PHEV premium Sports」「PHEV premium Modern」の4タイプで、539万円~626万4500円。電動化モデルは4DWのみの設定。

 少し複雑だが要はマイルドハイブリッド車やPHEV車といった電動化モデルならPremiumやExclusiveが付くグレードを選ぶ必要があり、純粋なエンジン車ならそれ以外を、ということになる。

XD-HYBRID premium Sports

 ディーゼルマイルドハイブリッド車のSports系最上級グレード。XD-HYBRID Exclusive Sportsとの違いは内装色が「タン」になるほか加飾やシート表皮に上質な素材を採用、ドライバー・パーソナライゼーション・システムやサンルーフが標準装備になるといった部分。

XD-HYBRID premium Sports。ボディカラーはソウルレッドクリスタルメタリック。外観はピアノブラックやブラッククロームメッキなど光モノを抑えスポーティな印象を高めている
Sports系グレードは「ハニカムタイプ」のフロントグリルを装着
直列6気筒3.3リッターディーゼルエンジンを搭載。マイルドハイブリッドモデルはスペックが若干アップした仕様となる
Sports系グレードのタイヤサイズは235/50R20、アルミホイールはブラックメタリック塗装になる。撮影車両のタイヤはブリヂストンのプレミアムSUV向けとなる「アレンザ001」
ワイド感のある水平基調のインパネ。内装色は「タン」。ルーフカラーがブラックになるのもポイント
ステアリングは本革巻。内装色とブラックのコンビネーションカラーになる
シート表皮はナッパレザーと合成皮革「レガーヌ」のコンビネーション
運転席ドアトリム。タンカラーのレガーヌとマットブラックへアラインの加飾の組み合わせで高級感のある仕上がり
リアシートは4:2:4の分割可倒式
わずかにリクライニングが可能
中央には収納式アームレストを装備
後席ドアトリム。こちらも質感が高い
大型パノラマサンルーフはプレミアム系に標準。そのほか一部グレードにオプション設定される
ラゲッジはアルミ製の3段脚立が縦に積めるサイズを確保。「カラクリトノカバー」はXD以外は標準装備
ラゲッジスペースのアレンジ。従来モデルと同じく壁面のレバーで背もたれの前倒しが可能
フロア下はツール類の収納スペース。ボーズサウンドシステム装着車はサブウーハーを搭載

XD-HYBRID Premium Modern

 ディーゼルマイルドハイブリッド車のModern系最上級グレード。外装はクロームメッキパーツを採用することで華やかさをアップするほか、内装には天然木素材や華やかな風合いの「ルーセントクロス」を採用する。装備や機能はスポーツ系と同様になる。

XD-HYBRID Premium Modern。ボディカラーは「ソウルレッドクリスタルメタリック」「マシーングレープレミアムメタリック」に続く「匠塗り」カラーの第3弾「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」。フロントグリルは縦基調の「バータイプ」になる
フェンダー部には直列6気筒エンジン搭載を表す「INLINE6」のアクセント
マフラーのテールパイプもメッキ仕上げ
テールゲートには車名のバッヂが付く
LEDヘッドライトが全車標準。XDとS Package以外には対向車などに応じて明るさや照射範囲を自動的に変化させるアダプティブLEDヘッドライト機能も装備
リアコンビランプの点灯パターン。リアフォグランプは4WD車に設定
フロア下部は空力を重視してフラットに。マフラーやリアサスのロワアームまで徹底した形状になっている。最低地上高は20インチタイヤ装着車が180mm、18インチタイヤ装着車は175mmとなる
タイヤはSports系と同様だがアルミホイールが切削とブラックメタリック塗装のコンビタイプになる
燃料タンク容量は58L。アドブルー用と思われるスペースが用意されているが日本仕様は不使用のため塞がれている
内装色はホワイト。表皮は掛縫い表現を加えたルーセントクロス。ルーフカラーがライトグレーになるため室内がSports系より明るい雰囲気になる
ステアリングは本革巻。ホワイトステッチを採用する
L Package以上のグレードには12.3インチフル液晶メーターを搭載。走行モードなどによるバリエーションが可能(写真はXD L Packageのもの)
シフトまわりは本杢(メープル)のパネルでデコレート
ペダルまわり。アクセルペダルは従来車と同じくオルガン式
フルオートエアコンは全車標準装備
シフト横にフタ付のカップホルダーを用意
ステアリングコラム右側のスイッチ群
Premium系グレードに標準装備のドライバー・パーソナライゼーション・システム。身長を入力するだけでシートやステアリング位置などを自動調整するほか、各種設定をドライバーに応じて記録、再設定してくれる
L Package以上のグレードのグローブボックスは植毛加工されている
マップランプなどを内蔵するオーバーヘッドコンソール
サンバイザー裏にバニティミラーを用意。照明はルーフ部に設置
シート表皮はナッパレザー。運転席、助手席とも10ウェイパワーシートで、ヒーターとベンチレーターも標準装備
運転席ドアトリム
アームレスト部にドアミラーとパワーウィンドウのスイッチ
4:2:4分割可倒式リアシート。シートヒーターも標準
後席ドアトリム
センターコンソール後部に後席用ベンチレーターとシートヒータースイッチを配置
下部にはAC100VコンセントとUSBタイプC端子
収納式のアームレストにはカップホルダーを用意
パワーリフトゲートはL Package以上のグレードに標準

XD L Package

 ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車のどちらでも選択可能な充実装備のミドルグレード「L Package」。内装に関してもレザーシートが標準で、トリム類も合成皮革を採用するなど高級感のある仕様となる。撮影車両はディーゼルエンジン車。

XD L Package。ボディカラーはソウルレッドクリスタルメタリック。外観はフェンダーアーチやロワ部の樹脂がブラックになるのが大きな違い
フェンダーのアクセントもブラックで文字がないタイプ
安全装備用の単眼カメラ。こちらはグレードによる違いはない
タイヤサイズは235/50R20で上位グレードと共通。アルミホイールはシルバーメタリック塗装
室内色は写真のブラックのほか「グレージュ」も用意
ステアリングは本革巻
シフトまわりはシルバー加飾
シフト前方に「Mi-DRIVE」を操作するトグルスイッチを配置。「NORMAL」「SPORTS」のほか、4WD車には「OFF-ROAD」、PHEV車には「EV」、ヒッチ(牽引)メンバーを装着すると「TOWING」の各モードが選択できる
ヒルディセントコントロールはXD以外の4WD車に標準
ナビゲーションなどの操作が可能なコマンダーコントロール
センターディスプレイは上位モデル譲りの12.5インチタイプ
ワイヤレス給電(Qi)はExclusive Mode以上のグレードに標準。S PackageとL Packageはオプションになる
左右両開き式のセンターコンソールボックス内にはUSB端子、HDMI端子を装備
シート表皮はレザー

25S S Package

 直列4気筒2.5リッターガソリンエンジンを搭載し、唯一300万円を切った299万2000円(2WD車)のプライスが付けられたグレード。内装がファブリックメインになるほか加飾もシンプルになるものの、安全系を含めた基本装備はかなり充実しており、CX-60ならではのアーキテクチャを堪能することを重視するなら、相当にお買い得感が高いと言えるグレード。

25S S Package。ボディカラーはディープクリスタルブルーマイカ
2.5リッター直列4気筒エンジンを縦置きに搭載。フロント重量は他に比べて相当に軽いはずなので純粋に走りを楽しむなら一考の価値アリ
タイヤサイズは235/60R18。撮影車両は横浜ゴムのOE向けタイヤ「アドバン V61」を装着。このタイヤはトヨタ「bZ4X」にも同サイズが採用されている
内装色はブラック。インパネ中央のパネルは樹脂製ながら独特のデコレーションが施されている
ベーシックグレードながらステアリングは本革巻。XDではセットオプションになるシフトスイッチも標準
シフトまわり。上級グレードとの違いは加飾パネルやヒルディセントコントロール、カップホルダーのフタがなくなるといった程度
左右の2眼メーターと中央の7インチ液晶のインフォメーションディスプレイの組み合わせ。Mi-DRIVEスイッチでSPORTを選べば表示も変化
センターディスプレイは10.25インチが標準。撮影車両はオプションの12.3インチが装着されている
シート表皮はクロスになり各部調節は手動式。見た目はごく普通のシートといった印象
リアシートは6:4分割可倒式に
センターアームレストは標準