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写真で見る マツダ新型「CX-60」プロトタイプ
2022年6月22日 00:01
4種類のパワートレーンをラインアップするCX-60の特徴
マツダがラージ商品群と位置付けるモデルの第1弾となるのが、クロスオーバーSUV「CX-60」だ。同社は2011年から「SKYACTIV TECHNOLOGY」を軸とした新世代商品群をリリースしており、これまで「CX-5」に代表される“ラージ”、「MAZDA3」(旧アクセラ)に代表される“スモール”と、2つのプラットフォーム・アーキテクチャー構想にもとづいて開発を行なってきた。
そして今回、新世代商品群の第7世代としてリリースされるのが、新たなるラージ商品群となるCX-60だ。クルマ好きにとって大きな訴求ポイントといえるのが、直列6気筒のディーゼルおよび直列4気筒ガソリンエンジンを縦置きに配置し、後輪駆動(または後輪駆動ベースのAWD)を組み合わせている点。「環境だ、EVだ」と効率ばかりが声高に叫ばれる昨今において、新規でこうしたアーキテクチャーを開発していくのは、相当にチャレンジングな取り組み。もちろん、こうした方向性は時代に逆行したのではなく燃費の改善を含めたものであり、マイルドハイブリッドやPHEVなど多彩なパワーソースへの対応を果たすとともに、同社初となるモーター内蔵を念頭に置いたトルクコンバータレス8速ATの採用など、今後の開発まで見据えたものとなっている。ともあれ、運転する楽しさを実現しながら「走る歓び」が感じられるCX-60。同社では「ドライビングエンターテイメントSUV」と位置付け、「自分らしく人生を愉しむ方々」にお届けするとしている。
なお、今回の撮影車両は本グレードを含めて全てプロトタイプのため、量産車とは異なる可能性があることをお断りしておく。
CX-60のボディサイズは4740×1890×1685mm(全長×全幅×全高)。同社のSUVラインアップでいえば、CX-5(4575×1845×1690mm[全長×全幅×全高])より大きく、CX-8(4970×1840×1730mm[全長×全幅×全高])より短いものの幅は広い。ホイールベースも2700mm(CX-5)、2870mm(CX-60)、2930mm(CX-8)なので、だいたい中間といったところになる。
その上に乗るボディはマツダのデザイン哲学「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」をベースに、直列6気筒エンジンを縦型に置くがゆえのロングノーズ/ショートデッキを踏まえ、より深化とステップアップを遂げたもの。ひと目でマツダ車と分かる造形でありつつも、よりダイナミックな印象を与えるシルエットを獲得している。内装はこれまでのモデルのイメージを踏襲しつつ上質感を高めた仕上がり。居住性に関してもショルダールームがCX-5と比べて前席が44mm、後席で50mmと、全幅がワイドになった分が反映されている。
注目のパワーユニットは直列4気筒2.5リッターガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.5」、直列4気筒2.5リッターガソリンエンジンをベースにPHEV化を果たした「e-SKYACTIV PHEV」、直列6気筒3.3リッターディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 3.3」、同エンジンに48Vマイルドハイブリッドシステムを追加した「e-SKYACTIV D」(M Hybrid Boost)の4タイプが用意される。
組み合わされるトランスミッションは全車8速ATで2WD(FR)と4WDを設定。マイルドハイブリッド車とPHEV車は4WDのみといった構成。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアがマルチリンクを採用する。
直列4気筒2.5リッターガソリンエンジンはCX-8に搭載される「PY-VPS」型を縦置き変更にしたモノ。スペックは最高出力138kW(188PS)/6000rpm、最大トルク250Nm(25.5kgfm)/3000rpmとわずかにダウンしているものの、燃費性能はWLTCモードで14.2km/L(最良値)とCX-8の12.4km/L(同)よりアップ。車両重量が1680kgと50kg軽い(ともに最軽量モデル)とはいえ、大きく向上したといえる。
新開発の直列6気筒3.3リッターディーゼルエンジン「T3-VPTS」型は、最高出力170kW(231PS)/4000-4200rpm、最大トルク500Nm(51.0kgfm)/1500-3000rpm。WLTCモード燃費は19.8km/L(最良値)と、これまでの直列4気筒2.2リッターディーゼルエンジン「SH-VPTS」型の17.4km/L(CX-5、6速AT車最良値)から大きく向上。排気量、パフォーマンスはもちろん、車両重量が160kgもアップしているのにこれだけの数値が出せるのはオドロキだ。
マイルドハイブリッド車はさらに驚きで、まずスペックは最高出力187kW(254PS)/3750rpm、最大トルク550Nm(56.1kgfm)/1500-2400rpmへとアップしつつ、WLTCモード燃費はなんと21.1km/L(最良値)をマークする。4WDのみしか設定がなく、モーターや駆動用のリチウムイオンバッテリなどにより重量も増加した上でこの数値なのだ。
なお、PHEV車のスペックはいまのところ未定となっている。
フラグシップとなる最新モデルだけに安全性についても高められている。新しい取り組みとして注目なのが、上級グレードに設定される「ドライバー・パーソナライゼーション・システム」。これは運転においてもっとも重要で基本的な部分であるにもかかわらず、忘れられがちな正しいドライビングポジションをカンタンに設定できるシステム。事前に身長を入力しておくとセンターディスプレイ横に設けられたカメラでドライバーの目の位置を認識、最適な位置にシートポジションを設定するとともにステアリング、アクティブ・ドライビング・ディスプレイ、アウターミラーの角度を調整してくれる。最大6名までのドライバーを認識し、乗車時に車両設定なども含めて復元してくれる。
同様にカメラでドライバーの状態をモニタリングし、異常時にはホーンやハザードによる異常発生を報知するとともに減速~停止を行なう「ドライバー異常時対応システム(DEA:Driver Emergency Assist)」も用意されているほか、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」についても、ブレーキサポートへの新機能追加をはじめ、多くの部分で進化を遂げている。
パワーユニットが4タイプ用意されることから、グレードはベーシックからプレミアムな仕様まで幅広く設定されている。加えて、内外装のディテールが異なる「PREMIUM MODERN」「PREMIUM SPORTS」「GARANT」「ACTIVE」と4つのパターンが用意され、それぞれ独自の世界観が与えられている。ざっくりと違いを説明すると、上級モデルとなるPREMIUM系は外装にメッキやグロス素材、内装にはレザーやスエードなどを採用することでリッチな雰囲気を演出。コアモデルとなるACTIVEでは加飾を抑えて道具としてのSUVらしさを強調。ミドルレンジをカバーするGARANTでは装備や素材をACTIVEよりグレードアップすることで魅力をアップ、という具合になる。
世界観と対応グレード
世界観 | 対応グレード |
---|---|
PREMIUM MODERN | Premium Modern/Exclusive Modern |
PREMIUM SPORTS | Premium Sports/Exclusive Sports |
GARANT | Exclusive Mode/L Package |
ACTIVE | XD/S Package |
ガソリンエンジン車は「25S S Package」「25S L Package」「25S Exclusive Mode」の3タイプで、価格は299万2000円~407万円。ディーゼルエンジン車は「XD」「XD S Package」「XD L Package」「XD Exclusive Mode」の4タイプで、価格は323万9500円~465万8500円。4WD車は2WD車より22万5500円高の設定。ディーゼルマイルドハイブリッド車は「XD-HYBRID Exclusive Sports」「XD-HYBRID Exclusive Modern」「XD-HYBRID premium Sports」「XD-HYBRID premium Modern」の4タイプで、価格は505万4500円~547万2500円。PHEV車は「PHEV Exclusive Sports」「PHEV Exclusive Modern」「PHEV premium Sports」「PHEV premium Modern」の4タイプで、539万円~626万4500円。電動化モデルは4DWのみの設定。
少し複雑だが要はマイルドハイブリッド車やPHEV車といった電動化モデルならPremiumやExclusiveが付くグレードを選ぶ必要があり、純粋なエンジン車ならそれ以外を、ということになる。
XD-HYBRID premium Sports
ディーゼルマイルドハイブリッド車のSports系最上級グレード。XD-HYBRID Exclusive Sportsとの違いは内装色が「タン」になるほか加飾やシート表皮に上質な素材を採用、ドライバー・パーソナライゼーション・システムやサンルーフが標準装備になるといった部分。
XD-HYBRID Premium Modern
ディーゼルマイルドハイブリッド車のModern系最上級グレード。外装はクロームメッキパーツを採用することで華やかさをアップするほか、内装には天然木素材や華やかな風合いの「ルーセントクロス」を採用する。装備や機能はスポーツ系と同様になる。
XD L Package
ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車のどちらでも選択可能な充実装備のミドルグレード「L Package」。内装に関してもレザーシートが標準で、トリム類も合成皮革を採用するなど高級感のある仕様となる。撮影車両はディーゼルエンジン車。