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ちょっと写真で見る 日産「K10マーチ スーパーターボ リトルダイナマイトカップ仕様車」
2022年12月22日 09:15
- 2022年12月17日 開催
日産自動車の技術開発拠点である日産テクニカルセンターには、日産がこれまで生産してきた名車のレストアを行なう「日産名車再生クラブ」という社内のクラブ活動がある。別記事で2021年から2022年に掛けて同クラブが再生したBNR32スカイラインGT-R N1レース仕様車の再生完了式のレポートを紹介しているが、その場所にもう1台の再生車があった。
それが2020年から2021年の活動として再生された「K10マーチ スーパーターボ リトルダイナマイトカップ仕様車」だ。こちらは本来なら作業前のキックオフ式からニスモフェスティバルでのお披露目、そして再生完了式を行なうはずだったが、新型コロナウイルス感染症の影響で例年通りのメンバー募集もできず、イベントも中止となった。しかし、限られたコアメンバーでの作業は行なわれていて再生も完了していた。そこでBNR32スカイラインGT-R N1耐久レース仕様車の再生完了式に展示することになったのだ。
こうした経緯で日の目を浴びたK10マーチ スーパーターボ リトルダイナマイトカップ仕様車だが、今となってはレアな存在なので写真を中心に紹介していく。
1987年にスタートした「マーチ・リトルダイナマイトカップ・レース」では、NISMOが製作したマーチスーパーターボを使用(レンタルされていた)。このレースはNISMOが企画したもので、ドライビングの才能がある若者に実際のレースに出て、レースそのものとテクニックを学んでもらうことを目的としたものだ。
マーチ・リトルダイナマイトカップ・レースへの参戦希望者は、まず所定の書類をNISMOに提出。そして書類選考にパスするとなんと8万円の費用負担でレースに参加できるというシステムだった。
レース用に用意されたクルマには、全域での過給を目指したスーパーチャージャー+ターボチャージャーのツインチャージャーを採用した特別なエンジンが搭載されていた。このエンジン、排気量は987ccだが、ツインチャージャーにより110PSのパワーとなっていた。
1988年8月にはラリー専用車として「マーチR」が市販された。こちらのクルマでは、モータースポーツのクラス分類にあわせて930ccにスケールダウンしたMA09ERT型が積まれていた(過給器付きは排気量に1.7を掛けた数値が分類上の排気量で1.6リッター未満となる)。パワーはリトルダイナマイトカップ仕様車と同じ110PSだった。そして1989年1月にMA09ERTを搭載したストリート仕様のマーチスーパーターボが発売された。
このような経歴を持つリトルダイナマイトカップ仕様車を再生することにした理由は、日産名車再生クラブが再生対象とする市販車ベースのレース仕様車であること。そしてコロナ禍と言うこともあり、活動に制限が出るためなるべく手のかからない状態のいい車両を探したところ、見つかったのがこのモデルだったという。