レビュー

【スタッドレスタイヤレビュー】ダンロップ「ウインターマックス SJ8」を1シーズン使ってみた

WINTER MAXX(ウインターマックス) SJ8で雪道を満喫

 いきなり個人的な話になってしまって恐縮だけれども、筆者のカーライフにおいてダンロップ(住友ゴム工業)のタイヤはカナリ大きな比率を占めていたりする。以前、クロスカントリータイプの4WDに乗っていた時は、スタッドレスとして「GRANDTREK(グラントレック) SJ4」を履いていたし、現愛車の初代「マツダ CX-5 XD AWD」のサマータイヤは「GRANDTREK PT3」だ。

 少し本題と外れてしまうが、このPT3。乗り心地、操縦性、静粛性などなどCX-5用に開発されたのでは?と思ってしまうほどマッチングがイイのだ。「もうこれ以外考えられない!」ってほど気に入っていたものの、そこはあくまでもサマータイヤ。2014年2月に首都圏を襲った豪雪では、AWDのパフォーマンスを発揮することができず取材先で立ち往生。幸いなんとか自宅まで帰ることはできたのだけれども、しばらくはクルマで動くことができなくなってしまった。そんなこともあってスタッドレスの必要性を痛感したものの、その後しばらくは緊急を要する事態は発生せず、仕事でも自車で雪国に出かけることもなかったため、スタッドレスタイヤ装着の優先順位を下げていたのだ。

 だが、2016年シーズンになって雪国に出かける案件がいくつか発生。いよいよスタッドレスタイヤが必要になってきた。

 それでは、とCX-5の純正タイヤサイズを確認してみると225/65 R17が標準となっている。19インチの設定もあるけれど、扁平率の低いタイヤは価格も高いし、空気量が多い方が乗り心地はよいハズなので、今回は軽やかにスルー。で、このサイズのスタッドレスタイヤを調べてみると、メジャーなブランドからはほぼSUV用としてラインアップされているようだ。今回は「WINTER MAXX(ウインターマックス) SJ8」を装着してみることにした。

 ダンロップがリリースするSUV向けスタッドレスタイヤは、前モデルまでは「グラントレック」ブランドのSJ7だったのが、このSJ8からは「ウインターマックス」ブランドに衣替えしている。このモデルからは独自の新材料開発技術である「4D NANO DESIGN(フォーディー ナノ デザイン)」により開発した「ナノフィットゴム」を採用するなど、新世代へと進化を遂げていることが理由だろうか。詳しいスペックは(ダンロップの新世代SUV用スタッドレス「ウインター マックス SJ8」の技術を見る)を参照していただきたい。

SUV専用設計のパターンを採用。乗用車向けの「WINTER MAXX 02」よりアグレッシブな印象を受ける

 ということで、2016年も残りわずかとなった12月26日、「タイヤセレクト環七杉並店」(東京都杉並区)に出かけSJ8を装着することにした。最初はPT3を外して純正ホイールに装着する予定だったが、ダンロップ製オリジナルホイールが意外に安価だったため予定を変更。在庫があった「Violento JS」に装着して貰うことにした。「通常の2倍以上の塩害噴霧試験をクリアした塩害対策仕様」ってことらしいので、スタッドレスとのコンビネーションは抜群。それでいて前車の時に購入した16インチの“テッチン”ホイールより安いんだから驚いてしまう(リム幅とか細部は違うけど)。「SJ7よりライフ性能を7%向上した」というのもSJ8のウリではあるけれど、まったく降雪の心配がない季節にスタッドレスの走行距離を伸ばしてしまうのはなんとも勿体のない話。これで冬期に装着した際、SJ8のパフォーマンスをより長期間持続できるハズだ。

組み合わせるホイールもダンロップオリジナルモデルをチョイス
サイズは標準の225/65 R17
「新ミウラ折りサイプ」によりエッジを増加し氷上性能を向上しているという
慣れた手つきであっという間に組み込み完了
インパクトレンチのあとトルクレンチでキッチリ締めて装着完了

オンロードで不安なし

 さて、まずは雪のない普通のオンロード。日常的に雪が降らない西住みほどそこでの走行比率が高くなるワケで、重要なポイントになってくる。

 そんなことを考えつつタイヤセレクト環七杉並店を出発。すぐに感じたのはトレッド面のしっかり感だ。一般的にスタッドレスタイヤだと細かなサイプが数多く刻まれているため柔らかい印象になりがちだけれども、このタイヤはまったくの逆。街乗りの速度域ではとてもしっかりとしたフィーリングで、いかにもスタッドレスといった柔らかさは感じない。峠道などをちょっと元気に走ると若干ヨレる印象はあるものの不安を覚えるほどではなく、「ああ、タイヤが減って勿体ない」と心理的なブレーキが掛かって自然とアクセルを緩めてしまう(?)程度。逆にステアリング中立状態からの反応はPT3以上で、キビキビと走ることができるのが面白い。

 ロードノイズに関しては工事区間を通った時に一度だけ盛大なノイズが発生したことがあるものの、それ以外はPT3とそれほど変わらず静かなもの。この点からもいかにも「スタッドレスタイヤを履いてます」ってフィーリングはあまり感じない。

 高速道路でも印象は変わらず。普通に運転している限りではネガな部分を感じることはほとんどなかった。直進安定性についても同様で、100km/h巡航時でもステアリングには手を添える程度で十分だった。もうひとつ気になる雨天時の性能に関しては、そういったシチュエーションに遭遇しなかったこともあって残念ながら未確認となってしまっている。と、装着当初の印象はこんな感じ。

雪道での印象は?

早速、雪国に出かけてきた

 雪道のテスト場所として選んだのは信州。昨年ヒットした某アニメ映画の舞台とも言われているあたりだ。決して、取材のついでに“聖地巡礼”したかった、なんて不埒な理由ではないので念のため。

 シチュエーションとしては高速道路を降りてからしばらく一般道を走り、ワインディングを登っていく途中から雪道になる、って感じ。実際、ルートの途中にもあるのだけれど、スキー場に行くような感覚だと思ってもらえば分かりかりやすい。

 くねくねした山道を登っていくと、日陰になった部分から徐々に路面に雪が現れ始める。聞いたところによると2週間ほど前に降った雪が残っているとのことで、溶けて凍ってを繰り返した結果、ツルツルとは言わないまでも圧雪というよりはアイスバーンに近い状況になっている。クルマのメーターに表示される温度計は-7°程度を示しており、かなり冷え込んでいることが伺える。

 そんな雪とも氷ともつかない路面状況でも、SJ8はしっかりとしたグリップを発揮。路面の状況もキチンとステアリングに伝えてくれるので、安心して走ることができた。半面、スキー場の近くということもあってチェーンで走るクルマがいるためかデコボコになっている路面が多く、それもキッチリ伝えてくれるので「酷い道だな、おい」なんて閉口することにもなるけれど。

 こうした路面を走っていて顕著に感じることができたのは、縦方向のグリップの良さだ。これはアクセルオンでの加速時はもちろん、ブレーキング時にもハッキリと感じられる。試しに安全なスペースで40km/h程度からフルブレーキングしてみたところ、ABSの介入がない状態でも挙動を乱すことなく真っ直ぐにストップ。4輪のグリップバランスが異なる状況でブレーキをロックさせると、停止直前に左右どちらかにスリップしてしまうことがあるけれど、SJ8&CX-5のコンビはそんな兆候をまったく見せることがなかった。ブロックやサイプの形状、それに加えてナノフィットゴムの効果ってことなんだろうけれども、この安定感、安心感はドライバーにとって、「それはとっても嬉しいな」って思えるパフォーマンスだ。ただ、クルマとのマッチングもあるのだろうけれど、横方向に弱い印象も。これは縦方向のグリップが強いため相対的にそう感じてしまうのかも。コーナー入口ではキチンと減速して出口ではトラクションを活かして加速、いわゆる「スローインファーストアウト」で走るのが良いようだ。

サイドウォールのデザインも凝っている
気温が低いためトレッドに付いた雪が溶けない状況
路面も雪というよりは氷に近い状態
信号がある場所や通行量が多いと思われる場所は轍のようになっていた
ストレートはもちろんコーナーやブレーキング時にもしっかりとグリップしていて安心感が高い
新雪がある場所でもチェック
トレッドから雪が剥がれ落ちることで高いトラクション性能を発揮
深い雪でも豪快な走りが可能
圧雪路はすこぶる快適

 続いて15cmほどの新雪が積もっている路面にもチャレンジ。こんなシチュエーションでも走破性は十分で、除雪が行なわれていない駐車場でUターン、なんて場合でも躊躇なく入って行くことができる。ただ、CX-5のi-ACTIV AWDは任意にデフロックを作動させることができないため、ハデに走ろうとすると時折、制御が入って駆動力が抜け失速してしまうのが残念無念。降雪直後の除雪されていない林道にチャレンジ、なんて遊びはヤメておいたほうが良さそうだ。まぁ、クルマ自体がクロカン4駆じゃないしね。

 タイヤの話に戻して圧雪路はどうかと言えば、これはもう快適のひとこと。こうした路面でもグリップ力は十分だし、乗り心地も上々。知らず知らずのうちにスピードが上がってしまう。

 今回、雪道の走行は限られた時間だったためミラーバーンのような路面を試すことはできなかったものの、SJ8は舗装路から雪道まで総じて満足できるパフォーマンスを持っていると実感することができた。

1万km以上走ることに

 最初の予定では冬シーズンが終わった直後にPT3に履き替えて、SJ8には冬まで冬眠(いや、夏眠か)して貰うハズだったんだけれども、2017年は4月に大雪に見舞われたこともあり、履き替えタイミングが遅くなってしまい、なんだかんだで1万km以上走ってしまった。その間、大雨の中を走行することもあったものの、特に不安になるほどグリップレベルが低いという感じはなかった。

1万4000kmほど走行した後のトレッド面。エッジはだいぶ丸くなったもののブロックはしっかりしている

 大昔に履いていたダンロップのSJ4も当時はよいタイヤだと思っていたけれど、イマドキのスタッドレスタイヤであるSJ8が持つオンロード性能にはビックリ、ってのが偽らざるホンネだ。

安田 剛

デジモノ好きのいわゆるカメライター。初めてカーナビを購入したのは学生時代で、まだ経路探索など影もカタチもなかった時代。その後、自動車専門誌での下積みを経てフリーランスに。以降、雑誌やカーナビ専門誌の編集や撮影を手がける。一方でカーナビはノートPC+外付けGPS、携帯ゲーム機、スマホ、怪しいAndroid機など、数多くのプラットフォームを渡り歩きつつ理想のモデルを探索中。