特別企画

【特別企画】「アウトランダーPHEV」で春を先取り、ナガシマリゾート“なばなの里”へ行ってきた(前編)

アウトランダーPHEVの燃費性能から肉の焼き加減まで!? いろいろ試してみました

春らしい絵を先取りするべく、三菱自動車工業のプラグインハイブリッドEV「アウトランダーPHEV」で三重県はナガシマリゾートの施設の1つ「なばなの里」へ。なばなの里では梅や河津桜を楽しむことができ、その河津桜の見学を目的とし、前編ではアウトランダーPHEVの燃費について紹介する

 電気を作りながら走行できて、100V AC電源(1500W)を利用すればアウトドアも難なく可能という三菱自動車工業の「アウトランダーPHEV」。エコなだけでなくこうしたお楽しみがあると聞けば、その実力を試したくなるというのも頷ける。

 「アウトランダーPHEVでキャンプをしに行きませんか? 電力使ってバーベキューなんかもして」。Car Watch編集担当から能天気な電話があったのは、たしか2月下旬のことだ。どうも電気を使って何かしたいことは伝わってきた。だがしかし、大雪に悩まされた都心にはまだその面影が残り、寒々しいことこの上ない時期である。頭にあるのは雪のことばかりであり、アウトランダーPHEVで出掛けるのであれば雪山というのが通常の思考だ。

 だからその電話に対してこう切り返した。「ゲレンデへ行ってスキーでもして、その休憩時間にアウトランダーPHEVの電力でコーヒーでも飲むっていうのはどう? 雪道の走破性なんかも紹介できるでしょ」。それに対し編集担当は「いやいや、春っぽい絵が欲しいんですよ。で、考えたんですけどね。河津桜だったら3月上旬でも咲いているらしいので、それと絡めてキャンプしたいんですよ。夜桜だったらさらに絵になりそうですよね!」。

 どうやら彼の頭の中には完全なるプランが出来上がっている模様である。これは仕方がないと指示に従うことに。それにしても、この寒い時期に夜桜でキャンプはないでしょーよ……。編集者VS.ライターの戦いは、あっけなく編集担当に軍配が上がったのでありました。

EVとハイブリッドの両側面を持つアウトランダーPHEVは、充電電力だけを使いモーターで走る「EV走行モード」、エンジンを発電機として使いながらモーターで走行する「シリーズ走行モード」、エンジンの駆動力を主体にしつつ、加速などをする際にモーターがアシストする「パラレル走行モード」を備え、この3つから最適なモードを自動選択する。EVでもありハイブリッドでもある唯一無二のSUV。今回撮影に使用したのはG Navi Package。ボディーサイズは4655×1800×1680mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2670mm
ブラックを基調としたG Navi Packageのインテリア。合成皮革とファブリックを組み合わせたコンビネーションシートを採用する
G Navi Packageは衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)、車線逸脱警報システム(LDW)、レーダークルーズコントロールシステム(ACC)をまとめた安全装備「e-Assist(イーアシスト)」を標準装備。高速道路を利用して長距離移動する際に役立つACCは、ステアリング右側のスイッチで操作する
アウトランダーPHEVのハイライトの1つとして、バッテリーの使い方を任意でコントロールできることが挙げられる。「バッテリーチャージモード」では停車/走行にかかわらずエンジンを作動させて充電することができ、「バッテリーセーブモード」を選択にするとハイブリッド走行が主体となり、後の走行にバッテリー残量を残しておくことができる

フツーに使ってどのくらいの燃費性能?

 さて、そんな電話からおよそ2週間。集合場所に指定されたのは東京都港区にある三菱自動車の本社前。時刻は13時だった。訪れてみると、今回の企画で借りる予定になっているアウトランダーPHEVが、今まさに充電されている状況。これから走り出し、さらに今夜、夜桜バックにキャンプをしようというのにバッテリー残量は持つのか? そんな不安をよそに繋がれた充電器はあっさりと外され、いよいよクルマに乗り込む。バッテリー残量はおよそ80%。心配はつのるばかりである。いくら途中のSA(サービスエリア)などで急速充電できるとはいえ、これは不安だ。

 すると編集担当がおもむろにナビゲーションにセットした目的地は、なんと三重県桑名市長島町にある「なばなの里」という場所だったのだ。河津桜を見に行くと聞けば、思い浮かべるのは静岡県賀茂郡河津町。バッテリー残量を気にしているのに、静岡より遥かに遠い三重に目的地を設定してどうする!

「どうせ遠出するんですから、アウトランダーPHEVの燃費性能もみたいんですよ。だからあえてロングドライブにしました。とはいっても、普段使いからかけ離れたエコランではなく、エアコンやシートヒーターといった快適装備を使いながらで結構です」。

 言うは易く行うは難し。エコランすればバッテリー残量も減らさずに済むとでも考えたのだろう。もちろんそれは間違いではないが、片道およそ360kmと目的地が遠すぎる以上、そう簡単には行かないだろうと考えていた。

出発して間もなくバッテリー残量を確認してみた。EV走行での航続可能距離は32km、エコランするにはあまりに不安な数値である。今回はエアコンやシートヒーターといった快適装備を使いながらのエコランで、大人3名に加えカメラ機材や各人の手荷物などを積載して行っている
目的地であるなばなの里までの距離は361.4km。東名高速、新東名高速を使いつつ伊勢湾岸道 長島IC(インターチェンジ)で降りる算段。ちなみになばなの里では、3月31日まで「ウインターイルミネーション」としてライトアップされた夜桜などを楽しむことができる。この期間の営業時間は22時まで。とはいっても、東京からエコランしながら時間内に目的地へ着くことができるのだろうか? 実に不安である(現地での撮影もあるし)

 事実、都内を抜けて東名高速を走り始めるとバッテリー残量はジワジワ減って行く。あまりにロングドライブだからクルーズコントロールを入れてもみたが、前走車両のペースが乱れれば車間を保とうとする制御が入り減速。そこからまた加速を行い燃費が悪化するという悪循環が始まる。任せてはおけないと、己の右足を信じ、ただただエコランに徹することにしたのだった。

1回目の休憩場所は新東名高速 駿河湾沼津SA。今回主に走行した新東名では駿河湾沼津SAのほか静岡SA、浜松SAの上下線に急速充電スタンドが設置される。そのほかにも東北道、常磐道、関越道、東名高速、中央道、名神高速といった主要な高速道路のSA/PA(パーキングエリア)にも急速充電スタンドが設置されていて、電気自動車を含め遠出の際の利便性が向上してきていることが伺える

 1回目の休憩場所とした新東名高速 駿河湾沼津SAでは、やはりバッテリーはほぼほぼ使い切っていた。そこで急速充電器のお世話になり、充電が終わる30分の間、牛タン定食を食らうことに。充電器も牛タン屋さんも空いていたことに感謝である。ともに待ち時間でもあれば、この旅の終わりは何時になるか分かったもんじゃない。

 ただ、今回はやらなかったが、時間を急いでいる時には急速充電の世話にならず、ハイブリッドカーのように立ち振る舞い、目的地をひたすら目指すことができるのもアウトランダーPHEVのよさ。急速充電ステーションの並び待ちに時間がかかりそうとなれば、「次のSAで充電すればいいか」とか「今日は充電するのをやめておこう」と、その混雑状況をやり過ごせるのである。フツーの電気自動車(EV)であればそうはいかない。振り幅広く使えるところがアウトランダーPHEVの見どころなのだ。

駿河湾沼津SAに設置される急速充電器に先客はおらず、到着してすぐに充電ができた。充電方法はいたって簡単。充電網整備推進機構が運営する会員制充電サービスネットワーク「チャデモチャージ」カードを充電器にかざし、コネクタを車両に接続して充電を開始するだけ。急速充電では30分で80%までバッテリー残量を回復することができる
腹が減っては戦はできぬということで、駿河湾沼津SAで燃料を注入。まずはかき揚げそば 酒井の「駿河湾産桜海老のげんこつかきあげ蕎麦」から。衣がサクサクで桜海老が好きな人にはたまりません
続いて牛タン専門店しおやの「しおや定食」も食す。牛タン、柔らかいっす。ボリュームもあり満足満足……

MAXで21.1km/Lの燃費を記録! だが……

 さて、そんなSAでの休憩を終え、ふたたび西を目指すことに。日は傾き始め、目的地に到着するのは一体何時なのかという心配が始まったのだ。エコランを続けていてよいものなのか? 目的地となる「なばなの里」の営業時間は22時まで。バーベキューのセットをして撮影もして、という時間を考えると、遅くても20時くらいまでには到着しておきたい。そこで出た編集担当の結論は「ペースアップ!」。燃費に徹することなく、好きなように走れというのだ。ここまで80km/h程度で頑張ってきたエコランの成果をどうしてくれよう……。結果、高速道路上で21.1km/Lの燃費を記録したところを最後に、エコランを終了することになってしまった。

バッテリーに蓄えられた電気を使いながら走ると、このような表示画面に
エンジンも使って走っているところ
一時は21.1km/Lの平均燃費を出したものの……
担当編集からのペースアップ指示により、結局18.9km/Lという結果に。車重1.8tのSUVで、かつエアコンなどの快適装備を使いながらと考えると、十分立派な数値だろう

 ペースアップと同時に指示が飛んだのは、バーベキューに備えてバッテリーをチャージしておくことだった。エンジンを発電機としながらバッテリーを蓄え、目的地では快適に過ごそうという魂胆である。嗚呼、せっかくの努力が削られていく~(涙)。結果的に目的地に到着した時の燃費は18.9km/Lに。ペースアップ後は80~90km/hあたりで走行し、充電しながら走った割には十分な数値ではないだろうか。ただ、ここまで努力したにも関わらず、河津桜とアウトランダーPHEVを絡めた撮影はできないことが判明。バーベキューは翌日に延期し、夜桜見物を楽しむことにした。

東京を13時すぎに出発し、結局なばなの里に着いたのは21時ごろ。危うく目的であるライトアップされた河津桜が見られないところだった
河津桜はなばなの里の会場内に咲いていて、アウトランダーPHEVとライトアップされた河津桜を絡めた撮影はできなかったものの、会場内ではとても美しい夜桜やイルミネーションを楽しむことができた。このライトアップが行われているのは3月31日まで。行ったことがない方は、ぜひ現地で春を感じていただきたい

 その後、編集担当は撮影が上手くいかなかったのを埋め合わせるかのように行き先を指示。到着したのはナント、カレーハウスCoCo壱番屋の1号店(西枇杷島店)……。まったく今回の企画には関係ないが、これも担当編集のお詫びのしるしらしい。そこでしか購入することができないというレトルトカレーを手土産にしたのであった。

 さて、前編ではアウトランダーPHEVの燃費性能を中心に紹介したが、後編では同車のもう1つの魅力といってもよい走行性能について、そしてなばなの里では実現できなかったバーベキューの模様をお伝えしたい。

担当編集からのお詫びということで、カレーハウスCoCo壱番屋の1号店へ行ってきた。なんでも同店には「壱番屋記念館」があるとのことで、事前に予約すれば見学可能(開館時間は14時~17時)

Photo:堤晋一

橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。走りのクルマからエコカー、そしてチューニングカーやタイヤまでを幅広くインプレッションしている。レースは速さを争うものからエコラン大会まで好成績を収める。また、ドライビングレッスンのインストラクターなども行っている。現在の愛車は18年落ちの日産R32スカイラインGT-R Vスペックとトヨタ86 Racing。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。