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パナソニックの最新カーナビ「ストラーダ CN-F1X10BLD」、有機ELディスプレイからカーナビ連携ドラレコまで魅力を総チェック
- 提供:
- パナソニックオートモーティブ社
2020年11月4日 00:00
夏からの暑さが残った今年の秋口だったが、それでも食欲だったり夜長だったりと秋を感じる事象には事欠かない。そんな印象のあったここ最近だが、もう1つ秋という時期はカーAV業界にとっては新製品が発表される重要なタイミングでもある。その秋の声を聞く9月、いち早く新製品をリリースしてきたのが、「Strada(ストラーダ)」ブランドを擁するパナソニックのオートモーティブ社だ。
パナソニックはカーナビ黎明期から絶えず市販向けモデルをリリースしている老舗中の老舗といえるメーカー。2003年からはストラーダブランドで商品を展開しており、ワイドVGA解像度(800×480ピクセル)やフルセグ地デジチューナー、Blu-rayディスク再生などにいち早く対応するなどエンタメ系に強い製品作りが特徴だ。
2016年からは、車種を問わずに大画面ナビの装着を可能にする技術である「フローティング構造」に注力。さらに画面を左右に向けることを可能にするスイング機構、ディスプレイのHD解像度(1280×720ピクセル)化など、年々ブラッシュアップを重ねている。
そして、2020年モデルではフラグシップとなる「Fシリーズ」の上位モデルに、国内市販ルート向けAV一体型カーナビとして有機ELパネルを初採用(2020年8月26日現在、同社調べ)。これまで以上に映像の美しさを追求した。しかも今回は430車種以上(国内市販ルート向け9V型/10V型AV一体型カーナビとして。2020年8月26日現在、同社調べ)に装着可能という。
ではさっそく、フローティング構造の詳細や有機ELディスプレイについて詳しく……といきたいところだけれど、そのあたりの前置き的なハナシについては内覧会の記事で紹介しているので、ラインアップやスペックなどはそちらを参照して欲しい。今回は最上位モデルとなる「CN-F1X10BLD」を装着した実車での実機チェックレポートとなる。
パナソニックのカーナビ「ストラーダ」新製品にいち早く触れてきた 10V型有機ELディスプレイの薄さ&黒の黒さに驚き
有機ELディスプレイは驚きの連続
今回もまずは有機ELディスプレイのハナシから入らせてもらう。内覧会ではCN-F1X10BLDのディスプレイをひととおり触ってみたものの、屋内で行なわれた内覧会ではせいぜい斜めから見るなどしかできないので、明るさや光の差し具合が一定となる場所での印象となってしまった。そこで今回、CN-F1X10BLDを装着した実車でさまざまなシチュエーションを走り回ってみると、従来の液晶ディスプレイとは違う優れた部分が見えてきたのでその報告からさせてもらおう。
最初に感じたのは外光の影響についてだ。最近のカーナビは映像の美しさを重視してグレアパネルが一般的で、液晶のコーティングや構造の工夫で軽減されてはいるものの、やはり光が当れば白く浮いたような映像になるし、車外の風景が映り込んだりもする。
だが、しかし! このモデルではほとんど気にならないのだ。もちろん、まったくないというわけではないのだけれど、気にしなければ気にならないというレベルになっている。
その点に関しては下の写真を見てほしい。フロントウィンドウから日が差して、ディスプレイ右上部分に直射日光が当ってしまっているのだけど、こんな状態でも正面方向から見る分には日が当たっていることに気づかず美しく見えるのだ。実際のドライブでは外光の条件がコロコロと変わるものなので、日の向きによって地図が見えづらくならないパフォーマンスはとても心強い。
もう1点は夕方から夜にかけて。カーナビを付けている方なら分かると思うが、このぐらいの時間帯はまぶしかったり、逆に暗くなってしまったりと画面が見えづらい状況になりがち。カーナビ側でもディスプレイの輝度を調節したり、色味を変えたりと工夫をこらしているものの、どうしても見えづらくなってしまうタイミングがあるのだ。
だが、しかし! このモデルではほとんど気にならないのだ(2回目)。バックライトを使う液晶ディスプレイと違い、有機ELディスプレイは素子自体が発光するため、目に突き刺さるようなまぶしさを感じさせず目にとても優しく、特に郊外の真っ暗な道路を走っていると「黒が黒いっていいなぁ」と思わせてくれるのだ。
また、薄くなったディスプレイ部も好印象。スッキリとした見た目はもちろん、クルマの振動に対しても有利に働いているよう。パネル部分が300gほど軽量化されたことでクルマからの微細な振動が伝わるようになったけれど、運転席に座って画面を見ている限りでは「振れ」をまったく感じさせない。逆に大きな振動は今まで以上に抑えられており、「ガッチリと装着されてる感」が強まっているようだ。
豊富なオプションによる拡張性の高さにも注目
もう1つの注目ポイントは、多くのオプションが用意されているところだ。必須アイテムと呼べるモノのなかでも1番手となるのは、カーナビ連携前後2カメラドライブレコーダー「CA-DR03HTD」(別売)だろう。
このアイテム、一番のウリはカーナビ連携であること。スタンドアローンタイプのドライブレコーダーでは、小さな画面で再生や各種設定を行なわなければならないけれど、こちらは10インチ大画面だから見え方はもちろん操作性もバツグン。さらにCN-F1X10BLDとはHD-TVI接続となるため、クリアなHD画質での再生となるのも嬉しい。また、前後2カメラの映像をそれぞれ単独で表示できるほか、2カメラ同時、あるいは地図との2画面表示にも対応するなど、カーナビ連携モデルならではの使い勝手だ。
肝心の映像も文句ない美しさで、夜間やトンネル内といった暗いシーンでも鮮明な映像を記録してくれる。さらには駐車中の衝撃に反応し録画を開始する機能もある。ちなみに映像はフルHD(1920×1080ピクセル)なので、パソコンなどで再生すればより高画質で見ることも可能だ。
そのほかにも、高度化光ビーコンも受信可能なナビ連動ETC2.0車載器「CY-ET2505VD」(別売)や、高画質リヤビューカメラ「CY-RC500HD」(別売)なども用意。必要に応じてシステムアップすることで、CN-F1XBLD専用機ならではのメリットを思う存分に活かすことが可能となっている。
ナビ機能は従来モデルをブラッシュアップ
ナビレビューであるからにはナビ機能にも触れておかなければなるまい。というか、ここからが本題だ。
基本的な部分はこのところの同社ナビと大きく変更されておらず、使い勝手などもほぼそのまま。ホームボタンで「2トップメニュー」を表示し、フリックでのページ切り替えを交えつつ、ナビ、AV系のメニューからそれぞれの項目を選択していくといったカタチになる。このあたりのインターフェースはもう熟成しきった感じで、カーナビを使い慣れている人はもちろん、初めて使うユーザーでも迷うことなく操作できるはずだ。
以前のモデルでは画面前面に配置されていた「AV」「ホーム」「メニュー」といったハードキーは先代モデルから画面上部に移動。手探りで操作するのが慣れないとちょっと戸惑う部分だけれども、設定で地図画面上に表示することも可能なので、使ってみて「ちょっと分かりづらい」と感じるのなら、こういった設定をうまく使いこなすといいだろう。
ナビ関連の特徴的な部分では、「ストラーダチューン」と呼ばれる独特のカスタマイズ方法に注目したい。ランチャーから選択できるこのメニューには「ルート」「ガイダンス」「マップ」「VICS WIDE」の4つのメニューが用意されており、それぞれの項目をグラフィカルに分かりやすく変えていくことが可能。
この機能は使いこなすことで確実に自分好みのモデルにしていくことができるし、ユーザー設定を2人分持つことができるので、家族でクルマを共用している場合なども乗る人の好みに対応することが可能だ。
地図表示に関しても基本的には従来モデルを踏襲している。ただ、有機ELディスプレイとなったことで、見え方が大きく変わっているのは大きな点だ。
以前は地名などの文字表示に、少しにじんだ印象を受けることもあったが、すっきりとシャープに見えるようになった。また、従来のディスプレイに少しばかり感じられた明るさムラも払しょくされているので、本当に「見やすくなった」と感じられる。道路や建物、緑地、水面といった表現がいいのはもちろん、新たに透過処理が施されたメニュー類も含めてとても分かりやすい。透過処理に関しては「有機ELディスプレイの焼き付き防止を考慮したもの」とのことだけれど、実際に地図を見てみると表示スペースが広がったようにも感じられ、好印象だった。
さらに、地図の面では全国の市街地を100%カバーした「全国市街地図」(ゼンリン製地図を採用。調査終了時期:2019年11月、収録エリア:1741都市、無人島など一部離島を除く)を搭載したことが大きな変化だろう。これまでの全国1295都市から1741都市へと大幅に収録数をアップしたことで、建物の形や道路、河川など、実際の形状に近い見え方で表示されているので地図がとても見やすい。見やすさの向上は安全運転に繋がるので、初めて行く土地であっても安心してドライブが楽しめるのではないだろうか。
目的地検索も専用機ならではの分かりやすさを実現。一般的な名称、電話番号、住所、周辺施設などが用意されており、カンタンに目的地を探し出すことが可能だ。
例えば鉄道駅や大型施設では複数の出口があったりするので、地下鉄駅で待ち合わせする場合、「○○駅」という指示だけだと駅周辺には行けても「地上への出口はどこなのか?」という部分に分かりづらい面があった。だが、本機の検索は「○○駅の〇番出口」までカバーするのでこれなら最後の最後で迷うことはないだろう。それにコンビニの検索では駐車場やATMの有無、酒・たばこの取り扱いなどまでチェックすることができるなど、データの充実度は特筆ものなのである。
こうした優れた検索機能があっても、据え置き型ナビではデータの収録から発売まで多少の期間が必要なので、その間に新設されたモノは検索ができないという面もある。しかし、本機ではスマホ連携を使えばバッチリ解決。パナソニック独自のアプリと、業界標準とも言える「NaviCon」アプリを利用する方法が用意されている。排他利用となっているのでどちらかを選ぶ必要があるけれど、個人的にはとにかくカンタンなNaviConがオススメだ。ナビとスマホをBluetooth接続しておけば、物理的に線をつなぐ必要はないし、いちいちメニューで接続を選ぶ必要もない。Bluetooth接続しておけばハンズフリー通話もできるので、今時カーナビを使うなら必須の準備だと思っておけばいいのだ。
ルート探索は推奨ルートとなる「おまかせ」がデフォルト。それ以外にも必要とあれば「有料優先」「一般優先」「eco」「距離優先」の5ルートを同時に探索することができる。「おまかせ」で検索するより若干探索時間は増えるものの、複数のルートから選択したいなんて場合には試したいところ。もっとも、前述したストラーダチューンで設定を追い込んでおけば「おまかせを選んでおけば大丈夫!」なんてこともあるかも。また、目的地の前に寄り道したい、なんて場合の追加もとってもカンタンだ。
一般道での案内は右左折の際に表示される交差点拡大図がメインとなる。一部交差点にはリアルなイラストを用いた「リアル3D交差点拡大図」が用意されており、とても分かりやすい案内をしてくれる。
そのほか道中では方面看板表示やレーンガイドがサポートしてくれるが、こういった丁寧なサポートまで不要な場合は設定画面やストラーダチューンで変更可能。一方、高速道路でのJCT(ジャンクション)やIC(インターチェンジ)といった場面では、進むべき方向をイラストによる拡大図表示がされるので、首都高速道路など分岐が多い道でも迷うことなく走れるはずだ。
制限速度や指定方向外進行禁止などの道路標識情報、さらに「ゾーン30」や高速道路での逆走検知・警告などを画面上で教えてくれる「安全・安心運転サポート」も健在。新たに高速道路入口での注意喚起も加わり、専用機ならではの高い自車位置精度を活用してドライバーの「うっかり」を未然に防いでくれるものになっている。
自車位置精度は、筆者が毎回お試しの際にチェックしている場所で行なった。まずは一般道と都市高速が上下に並走しているポイントだ。一般道での案内中にあえて都市高速道路の入口へ向かってみると、本線への合流ポイントあたりで状況を認識。都市高速道路での案内へと切り替えた。逆に都市高速から一般道の場合もしっかりと認識してくれた。
この結果から感じたのは、同様のテストを行なった2018年モデルより認識のブレが少なくなったということだ。これは準天頂衛星「みちびき」の複数機受信対応が効いているのかも。
地上でのチェックの次は地下駐車場でも試した。地下では「みちびき」の恩恵はないはずだが、こちらも前回よりよくなった印象を受けた。まあ、テスト環境が厳密とは言えないものの、総じてよい方向になっていることから、専用機ならではの高い自車位置精度を実現しているのは間違いないだろう。
何はともあれ有機ELディスプレイ!
最初から最後までそれかよっ! というツッコミが聞こえてきそうではあるけれど、やはりそこに尽きる。
有機ELディスプレイにある「焼き付き」という現象のせいで、このディスプレイをカーナビで採用するのは厳しいと思われていただけに、それを実現したことは素晴らしいのひと言。
これまではカーナビのディスプレイでは「IPSパネルこそ至高!」と思っていたが、外光の影響を受けにくく夜間でもまぶしくないという有機ELディスプレイの特性を前にすると、こちらの方がカーナビ利用には最適と思えたほど。もちろん、Blu-rayなどの映像ソースも美しく観られて、エンタメモデルとしての完成度もすこぶる高い。
内覧会の記事と同じような締めになってしまうが、デモ機が置いてある店頭で、ぜひとも有機ELディスプレイの美しさをチェックしてみてほしい。