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あおり運転への対策バッチリ!! ケンウッドの前後方同時録画対応ドライブレコーダー「DRV-MR760」の機能を体験

慌ててしまってもいざという瞬間をしっかり自動録画。音声認識も試してみた

フロントガラスに装着した「DRV-MR760」のフロントカメラ

 2020年6月30日、急ブレーキ行為や車間距離不保持など、いわゆる“あおり運転”の妨害運転に対する罰則が施行され、厳正な取り締まりの対象となった。これを機に、そうした事件が淘汰されるかと思われたものの、残念ながら、危険な事例に遭遇したというニュースが後を絶たない。

 事故やトラブルなど、ドライブレコーダーはいざという時の状況を記録しておくために有効な手段となるが、いつかは自分に降りかかるかもしれないリスクを想像すると、備えておきたいというもの。ドライブレコーダーも普及してきたいま、市場の動向を受けて、価格帯もさまざま。各社それぞれの強みを活かした製品が提案されてきている。

あおり運転に備え、前後を鮮明なフルHD画質で記録

 そうしたなかで、今回注目するのは、ケンウッドが2021年3月に発売予定の前後撮影対応2カメラドライブレコーダー「DRV-MR760」。同社のドライブレコーダーのラインアップにおいては、ミドルクラスに位置づけられた新製品で、ドライブレコーダーが単体で撮影と記録を完結するスタンドアローン型の製品。

「DRV-MR760」のフロントカメラ

 カメラが内蔵された本体をフロントガラスとリアガラスに取り付けて自車の前方と後方の様子を録画できるもので、メインユニットとなるフロント用の本体の背面には2.7V型の液晶モニターが搭載されており、撮影した映像などを確認できるようになっている。

 後方を撮影するカメラは横長でスリム化されたシルエットで、ドライバーの視界の妨げになりにくい。外観のデザインを見ると、スイッチ操作のしやすさを考慮した機能性を備えながら、表面の質感が高く、美しいディテールに仕上げられていて、世界で信頼されるブランドが提供する製品であることを期待させる。

リアガラスに装着した「DRV-MR760」のリアカメラ

「KENWOOD」といえば、カーオーディオなどの車載技術を長年培ってきたブランドとしてその名が知られているが、JVCケンウッドの社名が示しているように、2つの企業が手を組んだことによって、ケンウッドの車載技術とビデオカメラの映像技術に長けたJVCの強みを活かしたモノ作りが展開されてきているのだ。

 さて、今回の新製品「DRV-MR760」に話を戻そう。開発担当者に話を伺うと、「綺麗に撮れるのは当然。安心して運転していただきたい」という思いで開発してきた製品だという。まず、“綺麗に撮れる”は、高精細のフルハイビジョン録画ができる点が挙げられるだろう。

 メインユニットの前方用カメラに加えて、後方用のカメラもフルハイビジョン録画に対応。走行中のナンバープレートや標識なども細部まで高精細に録画できる。さらに、最近普及しているLED信号機の点灯周期と干渉しないフレームレート設定とすることで、しっかり記録できるようになっているそうだ。

 また、HDR機能を搭載しているので、逆光やトンネルの出入り口、夜間の照明に照らされるときなど、明暗が急激に転換する場面でも安定した映像録画ができるように配慮されている。F1.8レンズを採用しているため、薄暗い状況でも明るい映像として録画できるのも嬉しい。

鮮明映像記録はもちろん、万一の際の記録を簡単確実に残す

 この製品は、基本的には常時録画を行なうタイプのドライブレコーダーとなるが、常時録画した内容はメモリーカードがいっぱいになると古いものから自動的に上書きされてしまう。そこで、万一の際の記録は上書きされない領域に保存することができる。

ドライブレコーダー「DRV-MR760」を搭載したKENWOODのデモカーに乗って、テストコースにイン!

 そして、今回の製品で注目に値する画期的な機能が、新たに搭載された「緊急イチ押し録画ボタン」と「音声コマンド機能」だ。

 前方用のメインユニットの底には、「REC」の文字を赤いリングで囲った大きめのスイッチを配置。記録を残したい場面で本体のスイッチを押せば、録画を開始することができる。もちろん、ドライバーの代わりに助手席の乗員が迷うことなくスイッチ操作を行なうことも可能だ。

フロントカメラの背面には2.7V型の液晶モニターがあり、動作状況を確認できる

 音声コマンド機能は、メインユニットに3つのフレーズで話しかけるだけで音声操作できるというもの。「録画開始」と語りかけると、その指示通りに映像の録画の記録を開始。「表示切り替え」と言えば、前方の映像、後方の映像、前方の映像+後方の映像をワイプで重ねて表示する3つの画面を切り替えてくれる。

音声コマンドで緊急録画などが可能になる。ドライバーはハンドルから手を離さずに操作ができる

 また、自車の前後をとりまく状況を静止画として記録しておきたい場合は「写真撮影」と話しかければOK。「パシャっ」というカメラのシャッターが下りた音とともに静止画が撮影されるといった具合だ。

 この機能を、JARI(日本自動車研究所)のテストコースで試してみた。

【音声コマンド認識編】あおり運転対策が充実したケンウッドのドラレコ「DRV-MR760」を藤島知子が体感!!

 録画内容や静止画は最大容量128GBのmicroSDカードの録画に対応。記録を確実なものとするため、SDカードのエラーを未然に防止する機能として「SDカードメンテナンスフリー機能」が搭載されている。

 こうして、録画の記録を残したいシーンはどんな場面なのかと考えてみると、あおり運転や事故などのトラブルに見舞われている瞬間であることが想定できる。ドライバーは突然の事態に動揺していることも考えられるため、ハンドルから手を離さずに言葉だけで操作できる機能は、平常心を失いがちな状況下において、安全確保に貢献するメリットは大きいはずだ。

カメラ利用の運転支援システムをドラレコで実現、危険をドライバーに知らせる

 最近の新型車は、カメラの技術を駆使した運転支援機能が活用されてきている。その点、ケンウッドは、すでに採用してきた運転支援機能である「前方衝突警告」「車線逸脱警告」「発進遅れ警告」「リフレッシュ通知機能」「エコドライブ表示機能」にプラスして、「DRV-MR760」には、新たに3つの「あおり運転検知機能」を搭載した。

前方割込警告、前方蛇行運転警告、後方急接近警告の新たな3つの機能がある

 1つめは「前方割込警告」。走行中に自車を追い越してきた車両が10m以内の至近距離に割り込んだことを検出すると、画面表示と警告音でリスクを知らせ、自動的にイベント記録を開始する。

 2つめは「前方蛇行運転警告」。走行中に自車の20m以内の距離で前方を蛇行するクルマを検出すると、画面表示と警告音で知らせて、イベント録画を開始する。

 3つめは「後方急接近警告」で、走行中に後方を走る車両が自車の5m以内に接近し、3秒以上が経過したことを検知すると、モニターの画面表示と警告音で危険が迫っていることを知らせて、記録を開始してくれる。このように、カメラで捉えた映像を独自の判断基準によって、乗員にリスクが迫っていることに気づかせ、肝心な瞬間を撮りそびれてしまうことを防ぐ工夫が見受けられる。

 こちらの機能もJARIのテストコースで試してみた。

【運転支援機能編】あおり運転対策が充実したケンウッドのドラレコ「DRV-MR760」を藤島知子が体感!!

 動画を見ていただければ分かるとおり、自動的にイベント録画が開始され、上書き保存されない領域に映像が保存されていた。

「ドライブレコーダーを装着していたのに、肝心な瞬間を録画できていなかった……」
「危機が迫っている状況で、慌ててしまった」

 などなど、そんな失望感を感じた人が多かった現実問題を真摯に受け止めて開発された製品であることが伝わってくる内容だ。

「いざという瞬間をしっかり録画する」

 一見すると当たり前のことのように思えるが、現実は意外にもそうではなかったようだ。今回の「DRV-MR760」は、JVCケンウッドならではの強みが感じられる製品に仕上がっていると感じた。独自技術を発展させた進化は、ユーザーの安心ドライブを実現するためのベネフィットに結びついている。こうした彼らの開発マインドは、今後さらに変化しようしているクルマを取り巻く環境において、どんな製品を提案してくれるのかと期待を持たせてくれた。

 ひと言にドライブレコーダーと言っても多種多様な製品が存在するが、同じように見える製品でも開発のアプローチで違ったものが生まれる。ドライブライフは安全が担保されてこそ、楽しめるというもの。コダワリをもって製品を選ぶなら、モノ作りの背景に注目してみるのもいいのではないだろうか。

撮影協力:JARI(日本自動車研究所)城里テストセンター