トピック
ターボ+6速MT採用の新型「N-ONE RS」、走りの魅力を高めるModuloサスペンションの実力やいかに?
ドリルドディスクローター、15インチアルミホイールと合わせてチェック
- 提供:
- 株式会社ホンダアクセス
2021年3月8日 00:00
純正アクセサリー“テンコ盛り”のN-ONEに試乗
日本で一番売れている軽自動車「N-BOX」を筆頭とするNシリーズの中で、最も異彩を放っているのが「N-ONE」だ。
Nシリーズ最新世代である刷新された2代目N-BOXのプラットフォームをベースに、HONDA SENSINGを基軸とする先進安全機能を装備しながらも、「N360」から受け継いだそのデザインを踏襲するために、なんとアウターパネルを初代モデルから継続。見た目は同じだが、中身は最新。それはまさに“変わらないための進化”を地でいく、世界的にも珍しいフルモデルチェンジだった。
伝統的なデザインを受け継ぐ手法は、MINIやポルシェ「911」など長い歴史を持つクルマに多いが、日本でもこうしたキャラクターを持った1台が現れたのは実に嬉しいことである。こうしてホンダ N-ONEは、2代目となっても多くのユーザーに「指名買い」され、愛され続けるハイトワゴンとなったのである。
とはいえ、もし自分がそんなN-ONEを手にしたら、やはり人とは違う個性が欲しくなる。それが人情というものだろう。ということで今回は、個性派N-ONEの筆頭となるであろうModuloサスペンションをはじめ、ヘリテイジHondaコーディネートで仕立てられたN-ONE RSにさまざまなシーンで試乗してみた。
注目は走りの3アイテム
日ざしが眩しく、春の訪れを強く感じさせる南房総の海岸で、ホンダアクセスが仕上げたオレンジカラーのN-ONEに対面した。グレードは、ホンダとしては初めて軽自動車のFFターボに6速MTを搭載した「RS」だ。
ちなみにこのN-ONEはコンプリートカーではなく、ホンダアクセスが開発した純正アクセサリーを“テンコ盛り”した1台だ。さまざまな純正アクセサリーを紹介するため、ナビなども含めてオプション総額80万円近くが装着されている! しかし当然ながら、オーナーはこれらを全て選ぶ必要はない。自分が必要なアイテムをきちんとチョイスして、賢くN-ONEをアップデートしていけばよいのである。
そんな中でも今回特に紹介したいのは「サスペンション」(9万9000円)と「ディスクローター」(1万6500円/枚)、そして15インチのアルミホイール「MS-034」(3万6300円/本)という走りの3アイテムだ。Moduloといえばホンダ車の走りと質感を高めるスパイスチューニングに定評のあるブランド。それがスポーティグレードであるRSの走りをどう味付けしているのか、さっそく見て行くことにしよう。
さっそくドアを開けて運転席に腰掛けると、まずヘアライン加工が施されたアルミ製シフトノブが目に入った。小さなN-ONEにTypeRを彷彿とさせるシフトノブ。そのミスマッチがクルマ好きの心をくすぐる。
スターターボタンでクランキングを済ませ、左足を床まで踏み込んでシフトを1速に入れる。拍子抜けするほど普通につながるクラッチにアクセルを合わせながら、スルスルと海岸沿いを走り出した。1速ギアで3気筒エンジンを元気に引っ張って、いざ出発。うん、小さいクルマは走らせるだけで楽しい!
いやこれ、ホント楽しいかも。アップライトなシートポジション、トールワゴンの見晴らしがもたらす爽快感にライントレース性の高いサスペンションが、ハツラツ感を与えている。
資料に詳細なデータは明記されていなかったが、そのサスペンション剛性はノーマルよりもやや高められているのだろう。操舵に対する初期応答性はリニア。クイックではなくスッキリと、少ない舵角で素直にノーズの向きを変えてくれる。また、その際ほとんどロールを感じさせず、見えないレールの上を走っていくかのように狙ったラインをトレースすることができる。
それだけに乗り心地は少し硬め。フロントシートではそこに“シッカリ感”や“頼もしさ”を感じられるのだが、これがリアシートだと細かいピッチングがちょっと気になる。ガツン! というショックが来ることはないのだが、メモを取る字が震えてしまうという感じ。
とはいえN-ONEは、もともと運転者と助手席に乗る2人のためのスペシャリティな軽自動車。4人乗って快適に移動する目的なら同じNでもN-BOXを選ぶだろうから、ダンパーや取り付け部がこなれてくることも加味すれば、個人的にはこれはアリ、という判定である。
塩加減の絶妙さ、まさにModuloならでは
さて、そんなModulo仕様のN-ONEを今度はワインディングロードで走らせてみた。するとこれが、なかなかに奥深いハンドリングとなっているのが分かった。初期操舵時の素直な応答性は変わらないのだが、そこからさらに切り込んでいくと、反応はむしろスローになっていく。そしてこれが実に考えられたセッティングに思えたのであった。
コンパクトとはいえそこそこハイトで、重心も高いN-ONEのボディを素早くターンさせれば遠心力で最悪横転だって考えられる。そうならないようにスプリングレートを適度に抑え、ダンパーでじわーっと伸び縮みさせる。その塩加減の絶妙さはまさにModuloならではだった。
そしてここからさらに応答性を高めたい場合は、ドライバーにも操作が求められる。きちんとブレーキ操作で荷重をフロントタイヤに乗せ、それを上手にキープしながらハンドルを切る必要が出てくる。
そんなとき、コントロール性のよいブレーキが活きる。ドリルドローターは放熱性とダスト除去に効果があるようで、直接的なコントロール性にはあまり貢献していないようだが、ブレーキングでもペダルタッチは良好で、加工ローター特有のうなり音も起こらなかった。
だからこのアシだと走り込むほどに運転が分かってくる。ブーストメーターを横目に3気筒ターボをトルクバンドまでまわし続けながら、6速MTをシフトしていく。クルマと対話することがどんどん楽しくなってくる。
唯一残念なのは、路面のアンジュレーションに対する追従性がちょっと弱いこと。これはハイトなボディに対してサスペンションのストローク量が少ないせいだが、だからこそNシリーズは低床ワゴンとして安定性を得られているとも言える。
こうした特性をきちんと理解して、安全を担保しながらスポーティさを高めるのはかなり難しい。そういう意味で、ホンダを知り尽くしたModuloのサスペンションにはその手ごろな価格以上に選ぶ意味があると思えた。
ひと通りワインディングで楽しんだ後は館山道を通り帰路に着いた。一般道とワインディングの中間と言える荷重領域での乗り心地は、適度にスポーティで快適だった。目地段差の入力は短い時間で減衰し、ホイールもバネ下でバタつく様子はない。そして速度が上がるほどに乗り味はフラットさを増していく。オプションのアームレストに肘をかけながらターボの中間トルクで高速巡航する様は、まさに“Road Sailing”と言える走りだった。
N-ONEがN360のDNAとホンダのスピリットを受け継ぐコンパクトカーだと考えるなら、これくらいキャラ立ちしててもいい。ちょっとスポーティなN-ONEに乗りたいのであれば、Moduloのアイテムには一考する価値がある。
道路使用許可:館山警察署 第166号