ニュース
ホンダ、新型「N-ONE」開発陣によるタイムレスデザインの解説
デザインには、変わらないことによる安心感やよさもあると分かった
2020年11月19日 12:05
- 2020年11月20日 発売
- 159万9400円~202万2900円
本田技研工業は11月20日に発売する新型軽自動車「N-ONE」の説明会を行なった。説明会の後半はデザインに関する内容で、エクステリアデザイン担当の江田氏とインテリアデザイン担当の田中氏がタイムレスデザインに関する想いを語った。また発表会では、純正アクセサリーを手掛けるホンダアクセス、オリジナルパーツを展開する無限も参加し、開発パーツのコンセプトなどを説明した。
タイムレスなデザインとは?
まずデザインの考え方についてインテリアデザインを担当した田中氏は開口一番「2012年に誕生したN-ONEは、N360のタイムレスデザインを継承して生まれた」と明言。そしてこの初代N-ONEのユーザーを観察したところ、名前を付けているユーザーが意外と多く愛着を持って接してくれていることと、N-BOXやN-WGNは生活のお供というイメージが強いが、N-ONEはワンメイクレースに出るなど自分の行動範囲が広がったなど相棒・仲間として乗ってくれているユーザーが多く、道具を超えた愛される存在になっていると感じたと明かした。
そこで“末永く愛されるもの”を調べたところ、腕時計やスニーカー、洗濯機など、それは流行に左右されず、安心感や身近に感じるものなど、例えばLED電球などは、最初はシャンデリアみたいなものも出てきたが、今は電球のような形に落ち着いている。つまり先進的な表現よりも本質的な価値を表現した“そのものらしさ”が重要だと分かってきたという。そこでデザインチームは、タイムレスデザインの継承と進化を掲げ、末永く愛されるデザインを目指したという。
そんなテーマを掲げながら、まずは自分たちが生まれたときにはすでに見なくなっていた「N360」ってどんなクルマだったのか? それを徹底的に研究しようと動き始め、実際に当時のクルマを展示保管しているコレクションホールから、実車を借りてきて、並べて眺め、当時の開発スタッフにインタビューを行なったりしたと語った。
当時の開発スタッフが込めた想いや、当時のユーザーが感じた気持などを探った結果、人に向けられた想い(M・M思想=マン・マキシム/メカ・ミニマム思想=人が優先で機械は最小限にする考え方)が存在していることを感じたという。これはホンダ車に受け継がれる本質的な価値で、現代にも通用するものだと改めて感じたという。
さらに、その本質的な価値には、大人4人が快適に乗れるように無駄を徹底的に削ぎ落すMM思想を徹底的に追求した「ミニマル」、当時高速道路が開通したことで安心してしっかり走れる「くつろぎ/安心感」、キビキビ走るスタンス、運転がワクワクするコクピットなど「楽しさ」、この3つをタイムレスな価値とし、さらに進化させて新しいN-ONEを形作るデザインを目指したという。
「N-ONEらしさ」「N」の本質とは?
続いて、エクステリアデザイン担当の江田氏は、このタイムレスデザインの継承と進化について語った。
まずミニマルとは、人を中心にしたパッケージを考え、タイヤの位置とかエンジンルームのサイズとかを最小限の線でつないだようにミニマルに表現したシルエットであり、くつろぎ/安心については、予防安全や衝突安全など最新の進化した安全機能をスマートに集約したデザインに落とし込むこと、最後に楽しさに関しては、進化したシャシーなどが伝わるようなデザインを目指したと解説。
そこでたくさんのスケッチを描きながら“新しさ”の模索を続けたデザインチームは、スケッチからスケールモデル製作に移行し、1/1サイズのモデルまで制作してみたが、途中で、優しさや、おもむき、長く乗れる愛着の湧くデザインとして「N-ONEらしさ」がちょっと足りないのでは? という意見が出てきたという。
そこで「Nとはなんだ?」という本質をもう一度考え直すことにしたと明かした。そこでユーザーの声をリサーチし、受け継いでいるNらしさは使いやすさ、親しみ感、安心、流行に左右されないといった声が聞こえてきたという。そして人のためにデザインしたものは「変わらないことによる安心感やよさ」もあるのかなと再発見、実際にN-ONEオーナーは愛着を持って接しているので、もっと人の気持ちに寄り添った開発の姿があるのではないか? その結果、シルエットは継承することを決定。そこに安心や楽しさを盛り込むことで、タイムレスデザインというのは継承と進化であると定めたと明かす。
結果的にミニマルなスタイルにしたことで、本質と機能を際立でることに成功し、フロントは丸、リアは四角というのをより強調して、視認性を高めるという安全思想を持って進化させることで、シンプルでモダンなデザインができたという。
続いて田中氏より、インテリアデザインについてのタイムレスデザインの進化の解説が行なわれた。
インテリアデザインもエクステリアと同様にミニマルを掲げ、徹底的に空間を削ぐことでくつろげる広さ感と、ユーティリティを持ち、運転に集中できる楽しさを生み出すことを考えたという。そこで当初はアイデアスケッチを実施。そこから2案まで絞り込み、クレイモデルを作成したところ、すごく圧迫感があってミニマルさやN360に乗ったときのような爽快感が足りないことに気が付き、再考することになったと明かす。
そこで、自分たちが目指した姿「もっとワクワクするような空間」が作りたかったことを思い返したという。しかし、これはスタリングテイストではないため、スケッチでは見えてこない部分のため、現物を使って徹底的に削ぎ落していくことにチャレンジしたという。
まずは骨格の再考から始め、とにかく機能のない部分は徹底的に削っていき、通常の工程ではスケッチができて、それに合わせてクレイモデルを製作するので、それほどクレイは必要としないが、N-ONEに関しては検討段階で3倍のクレイを使用したという。さらには「これだけ削いで、形ができないの?」と心配の声も出ていたと当時の状況を語った。
実例として助手席のインパネの下側をのこぎりで半分くらい大胆にカットしたところ、身長180cmの男性が足を組んでくつろげる空間が生まれたことで、これを「くつろぎの価値」と定め、従来と逆に「形から提供価値を見出した」という。また、元々ここにはティッシュのトレーがあったが、それを単純に削いでなくすのではなく、削いだシートとシートの間にコンソールを設け、そこにティッシュ置き場を移設したことで、ユーティリティは向上しつつ、広さを確保する「くつろぎの価値」を実現した。楽しさの部分では、メーターを大きく見やすくしたり、立体的で分かりやすくすることで楽しさを明確化させたという。
最終的には本質を徹底的に磨き上げた「オリジナル」、質感を徹底的に磨き上げ本物を追求した「プレミアム」、本格的に走る楽しさを表現した「RS」という3つのグレードになった。
フェイスでは右端下部にセンシングのセンサーを配置、プレミアムグレードはターボエンジン搭載モデルもあることから、大開口のグリルをメッキにすることで質感を向上。RSではグリルにRSエンブレム、ハニカムメッシュにすることで、スポーティさを演出したという。また、リアに関してはテールランプの四角をボディ幅めいっぱいに外側にしたことと、これまでテールランプの中に配置していたリアリフレクターをバンパーに移設したことで、車両の視認性を向上させたと解説した。
最後にボディカラーでは、従来よりも鮮やかなソリッドな「フレイムレッド」をN-ONEのアイコニックカラーに設定。これは、民間の車両で初めて赤いボディを発売したのがホンダの「S500」でN360にも採用され、当時クルマを所有する喜びや自由を手にする表現の象徴が込められていると感じ、鮮やかな赤を新色として採用したという。また内装は、全グレード黒で統一し、シートやインパネの加飾や個性を際立たせたと紹介。
ホンダアクセスのN-ONE
純正アクセサリーを手掛けるホンダアクセスの藤巻氏は、新型N-ONEアイテムのグランドコンセプトを「各タイプの“味”を引き立たせるアクセサリー」とし、それぞれがベースに持つ個性を混ぜるでも、変えるでもなく、より引き立ってる用品を製作したいう。
オリジナルグレードには、女性向けの「ブラウン」、カスタムに馴染みのない人でも個性を出しやすい「スィート」、ちょっとスポーティな「カジュアルスポーツ」と、3つのコーディネイトを提案。フロントグリルデカールや、インテリアパネル、ホイールなどがメインの商品となっている。
プレミアムグレードには、「クラシック」コーディネイトを設定。クロームメッキパーツを採用するなど、N-ONEをよりリッチに楽しみたいユーザー向けで、上品でさりげない艶を付与できるという。
RSグレードには、「ヘリテージホンダ」コーディネイトと題し、よりスポーティで走りの印象を高めるアイテムを揃える。シフトノブ、ホイール、サスペンション、ブレーキローターなど、本格的なアイテムが揃う。サスペンションは車高を下げながらもホンダ センシングに対応する。
無限のN-ONE
無限では商品コンセプトを「Real"K"Car Racing(リアル Kカー レーシング)」と題し、よりスポーツイメージを付加し、ユーザーに喜びを提供できる商品ラインアップとしたと山谷氏。
エクステリアではフロントアンダースポイラー、サイドスポイラー、リア上部に取り付けるガーニーフラップ、エキゾーストガーニッシュを設定。より特別な1台に仕上げられる。機能パーツでは、軽量高剛性な15インチの鍛造ホイール、微振動を吸収するパフォーマンスダンパー、吸入空気抵抗の低いハイパフォーマンスエアフィルター、バケットシート、カーボン、チタン、ステンレスと3種類の出口を選べるスポーツエキゾーストシステムなどを設定したという。