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三菱自動車「eK クロス EV」の魅力を探りに日光へ 九十九折りの道での身のこなしこそEVの真骨頂!

「eK クロス EV」で日光へ

どんな速度域からでも苦もなく加速する

 少しずつ秋も深まってきて、紅葉や自然の景色がより一層きれいな季節になってきた。最近、私自身はリモートワークも多く、自宅だけではなく、近所のカフェや公共の作業スペースで仕事をすることも増えてきた。「たまにはもっと別の場所でリフレッシュしながら仕事するのもいいかな」と、軽自動車のBEV(バッテリ電気自動車)である三菱自動車工業「eK クロス EV」で、少し遠くまで足を伸ばしてみることにした。

「軽自動車のBEV」とだけ聞くと、一体どんなものなのかイメージしづらくて不安な人もいるかもしれない。しかし、eK クロス EVを見たときからその不安も和らぐ人も多いのではないだろうか。eK クロス EVは、内燃機関の「eK クロス」と基本的なデザインは同じだし、EV専用色の柔らかいボディカラーも元々のエクステリアデザインに似合っている。

 通常のeK クロスは、三菱自動車の「ダイナミックシールド」を採用していることもあってタフなイメージが強いが、今回の試乗車であるミストブルーパールとカッパーメタリックの2トーンカラーのモデルになると、優しくて上質なイメージに早変わりする。インテリアも軽自動車とは思えない高級感があり、ライトグレーの「プレミアムインテリアパッケージ」内装を選べばさらに室内は広く感じられる。

今回試乗したのは2022年6月に発売された軽自動車タイプのBEV(バッテリ電気自動車)「eK クロス EV」。試乗車は「P」グレード(308万1100円)でボディサイズは3395×1475×1655mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2495mm。撮影車のボディカラーはミストブルーパールに電気銅線をイメージしたカッパーメタリックのルーフを組み合わせた2トーン仕様
eK クロス EVで使われる駆動用バッテリは床下の最適な位置に薄型化してレイアウトし、さらにルーフパネルの板厚を薄くすることで低重心化を図り、コーナリング時のロールを抑制。前後重量配分は56:44とした。モーターの最高出力は47kW/2302-10455rpm、最大トルクはガソリンターボモデルの約2倍となる195Nm/0-2302rpmを発生。電力量20kWhの駆動用バッテリを搭載し、一充電走行距離は180km(WLTCモード)
エクステリアは新世代のダイナミックシールドフロントフェイスといった三菱自動車ならではのSUVテイストのデザインに仕上げた
Pグレードは15インチアルミホイールにブリヂストン「エコピア EP150」(165/55R15)をセット
インテリアでは電子制御セレクターレバーや7インチカラー液晶メーターを採用。7インチカラー液晶メーターではバッテリステータスや電費情報、ナビゲーション情報といった各種情報を分かりやすく表示。また、9インチスマートフォン連携ナビゲーションは充電スポットや目的地までの推定電池残量なども表示でき、スマートフォンと連携することでAndroid AutoやAppleCar Playも使うことができる
撮影車はオプション設定の「プレミアムインテリアパッケージ」を採用。ライトグレーを基調に合成皮革と立体感のあるダイヤ柄エンボス加工を施したファブリックのコンビネーションを用い、上質感を演出している。後席はスライドとともにリクライニングもでき、快適な居住空間を実現

 今回は、都内から日光方面を目指してクルマを走らせることに。早速パワースイッチをONにして、シフトをドライブに切り替えて走り出すと、BEV特有の滑らかな加速感に胸のすくような思いになった。アクセルペダルを踏み込むと、どんな速度域からでも苦もなく加速することができる。内燃機関の軽自動車でも、ターボ付きのモデルならパワー不足を感じることは少ない。しかし、どうしても加速中のエンジン音は大きくなり、クルマに無理をさせているような感覚になるときもある。EVであれば、常に静かな状態で加速できるので、よりゆとりを持って運転することができそうだ。

都内から日光方面を目指してドライブ

 エンジン音がないことに加えて、eK クロス EVは基本的な車内の静粛性も高い。他の軽自動車から乗り換えたときに、まずこの静かさでワンランク上のクルマに感じる人も多いはずだ。一般道ではやや荒れた道も通ったが、サスペンションがよくストロークして、特に一般道の走行シーンによくあるような、ちょっとした路面のうねりや、マンホールの蓋、コンビニの段差などの凹凸の衝撃をとても上手にいなしてくれる。この気持ちのよい加速感と車内の静粛性、そして乗り心地のよさで、軽自動車の運転の質がグッと上がるんだなと実感。

 さらにeK クロス EVには、高度な運転支援技術である「マイパイロット」も搭載できる。高速道路では自分で運転していても快適だが、この「マイパイロット」を使えばさらに快適で安全に運転できる。前車に追従しつつ、上手に白線内にとどまってくれるから、ある程度クルマに任せていても安心感がある。ほかにも「ちょっと充電をセーブしようかな」というときには、やや速度を抑えめに設定して、左車線を継続して走るようなシーンでも活躍した。

eK クロス EVでは高速道路同一車線運転支援機能「マイパイロット」を搭載し、レーダークルーズコントロールシステム(ACC)と車線維持支援機能(LKA)により、車間距離と車線中央付近をキープしながら走行することでドライバーの負担を軽減してくれる

BEVなら山道もスイスイ

 スタートしてから一般道や高速道路を走っていると、思いのほかeK クロス EVが快適だったので、あっという間に走行距離が伸びていた。一度充電してから目的地を目指そうと、途中のサービスエリアで急速充電をすることに。eK クロス EVの満充電時の航続距離は約180km。都内から日光方面に行くには、満充電ならそのまままっすぐ行くこともできるかもしれないが、休憩も兼ねて充電しながらひと息入れることにした。

 途中寄ったサービスエリアには、もちろん急速充電器があり、充電を始めてまわりを見渡すと、道路の向こう側にはきれいに色づいた山々が見えた。自分の仕事柄、200kmくらいの距離ならいつも一気に行ってしまうことも多い。しかし、充電時間の30分でコーヒーを買いに行ったり、サービスエリアのお土産を見てみたり、外のベンチで景色を見てみたりすると、こんな風にゆとりのある時間を作るのも大切だなとふと気づく。

現在はディーラーはもとより高速道路のサービスエリアといった各所に充電設備があるので、急速充電する30分間にご飯を食べたり愛犬をドッグランで遊ばせたり、この時間を含めてプランを立てればストレスなく移動できると感じた

 休憩で少しリフレッシュして、日光へ向かってさらにクルマを走らせる。インターチェンジを降りると、ところどころ九十九折りになっている道に差し掛かった。eK クロス EVはハイトワゴンなので、こういった道は苦手かなと思っていたが、思いのほか運転がしやすいことに驚いた。上り坂でもモーターがどこからでもトルクを出してくれるのでスイスイ上っていけるし、もっと「便利だな」と思ったのは下り坂。

 内燃機関の軽自動車であれば、下り坂ならドライブレンジをセカンドやローに入れてエンジンブレーキをかけるのが一般的だと思うが、意外とフットブレーキだけで下っている人も多く「ちょっと危ないな」と思うこともある。eK クロス EVは、基本的にアクセルオフだけでも減速するので、下り坂なら適度にブレーキがかかって安心だ。もっと減速したければイノベーティブペダルをオペレーションモードにするか、Bレンジに入れるとさらに強い回生ブレーキがかかって、長い下り坂をより安全で楽に下ることができる。またバッテリがフロア下にあるということもあって、車体の不安定感を感じずにワインディングロードもしっかりと走り切ることができた。

九十九折りの道もeK クロス EVならスイスイ走れる

 ひと通りワインディングロードを走り切ると、奥日光の美しい景色が迎えてくれた。真っ赤なもみじや、色とりどりの山々。もう山頂にはうっすら雪が積もっている。湖畔の水面は静かに揺れていて、観光客が散策している姿もちらほら見えた。私も日光の秋の空気を吸い込もうと、景色のよい駐車場にクルマを止めることに。無料駐車場だったこともあって、平日にしては混み合っていたが、駐車をサポートしてくれるマイパイロットパーキングを使ってサクッと止めることができた。ボタン1つで駐車できるから、駐車に自信がない人でもこれならさまざまな場所に出かけたときにも焦らずに止められるはずだ。

奥日光の美しい景色を堪能しながらドライブしてきました

 ひとしきり日光の景色を満喫したところで、普通充電の設備が付いている宿へとチェックイン。eK クロス EVはバッテリ容量が20kWhなので、約8時間あれば満充電になる。最近では、こうやって普通充電が付いている宿も増えているので、あらかじめ調べておけばBEVでの旅行も安心だ。ここまでも、eK クロス EVの運転のしやすさやマイパイロットによってとても快適にドライブできたので、疲労感をほとんど感じていなかった。広々としたきれいな宿からは外の景色もよく見える。パソコンを取り出すと、いつもよりも清々しい気持ちで仕事に向かえる気がした。

今回宿泊したRakuten STAY VILLA 日光では普通充電器を4台設置。宿泊施設の充電環境も進化してBEVでのロングドライブもしやすくなってきた
全室100m2以上の空間を有するRakuten STAY VILLA 日光。全室にプライベート天然温泉やサウナ、外気浴デッキを完備しており、非日常を堪能できました

 今回、eK クロス EVで遠出をして、いろいろなことに気づけたような気がする。軽自動車のパワートレーンを変えると印象もガラリと変わって上質に感じたり、運転も快適になったりすることはもちろん、自分の時間の流れまで少し変化したような気がする。充電のために立ち寄った場所のまわりを散策してみると、新しい景色に出会えたり、おいしい食べ物を発見したり。これまでは目的地に早く着くために、その途中経過は早く通り過ぎた方がいいものだと思っていた。しかし、こうやって足を止めて過ごす時間こそが、意外と心に残ったりするものなのだと改めて実感した。

今回の旅の走行距離は489.4km、平均電費は9.4km/kWh。アップダウンの激しいワインディング、そして高速道路も走行して9.4km/kWhは良好な数値と言えるのではないだろうか

撮影協力:Rakuten STAY VILLA 日光
Photo:安田 剛