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フォーミュラE東京大会をサポートするTDKが描く「未来のモビリティ像」とは? 齋藤昇社長が思いを語る
2026年8月17日 00:00
- 2026年7月24日 開催
TDKがサポートしているBEV(バッテリ電気自動車)フォーミュラマシンによる世界最高峰レース「2026 TDK Tokyo E-Prix」が、東京都江東区にある東京ビッグサイト周辺の一般道を封鎖して特設された「東京ストリートサーキット」で7月24日に開幕。7月25日に第14戦、26日に第15戦が行なわれた。
この「2026 TDK Tokyo E-Prix」の開幕に合わせて、開催初日の7月24日は、東京ビッグサイトの東ホール8で電動化・エネルギー転換の未来を議論する特別カンファレンス「2026 Change.Accelerated.Live Tokyo」が開催された。
会場では持続可能で革新的なモビリティの実現に向け、エネルギー転換や電動化、AI活用、データセンター、次世代モビリティといった重要テーマについて議論する多彩なステージプログラムが用意され、「ハイレベル・ウェルカムトーク」では、フォーミュラE CEOのジェフ・ドッズ氏と、TDK代表取締役社長執行役員CEOの齋藤昇氏が、フォーミュラEの開催意義などについて語った。
「サステナビリティや気候変動対策、ゼロエミッションといった課題は、世界中の多くの経営者の優先リストから外れてしまっている」とジェフ・ドッズCEO
ハイレベル・ウェルカムトークでは、まずドッズCEOが、「今日のピットではドライバーやチームスタッフがとても穏やかな雰囲気で過ごしていました。しかし、明日になればこれほど穏やかではいられなくなります。今シーズンも残りわずか4レースとなりました。この東京でのレース、そしてその後のロンドンという2つの会場を残すのみとなり、パドック内の緊張感は急速に高まっています。つまり、皆さんは『嵐の前のみずみずしい静けさ』を目にしているという訳です」。
「東京は私たちにとって非常に重要な拠点です。フォーミュラEにとって重要なのは、私たちの主要なパートナーの多くが日本企業という点で、レーシングチームとして日産、そしてヤマハ・ローラの2チームが参戦しています。さらに主要なパートナーとして、TDK、そして来期からはタイヤサプライヤーとしてブリヂストンがパートナーに加わります。このように日本はパートナーシップの規模という点でも極めて重要な市場であり、同時にイノベーションとテクノロジーの中心地でもあります」と、フォーミュラEとChange.Accelerated Liveの開催意義を説明した。
続けて、「そのため私たちは、日本市場を非常に重視しています。東京での開催は今年で3年目ですが、さらなる契約延長に合意したことをご報告します。私がフォーミュラEに参画してからまだ3年半ほどですが、12年前にフォーミュラEが設立された年にはいくつかの大きな出来事が重なり、それは“気候変動に関するパリ協定”への署名と、”17の持続可能な開発目標(SDGs)”の策定でした。当時は気候変動対策やサステナビリティは、すべての経営者にとってアジェンダの最優先事項でした」と振り返った。
またドッズ氏は、「私が3年前にフォーミュラEに入社した際は、それ(気候変動対策やサステナビリティ)は残っていましたが、以前と比べればリストの下の方へと押しやられたと感じました。そして今日、この場に立って非常に残念に思うのは、科学的な事実は何ひとつ変わっていないにも関わらず、サステナビリティや気候変動対策、ゼロエミッションといった課題は、世界中の多くの経営者の優先リストから外れてしまっていることです。これは非常に複雑な問題であり、私たちにとっても極めて重要なテーマです。このあとBEVやエネルギー目標・予測において、私たちが唯一信頼しているブルームバーグNEF(BNEF)から話を聞くことになりますが、2025年は世界で2200万台のBEVが販売され、2030年までに3500万台~4000万台のBEVが販売されると予測されています」と世界の状況を説明。
さらにドッズ氏は、「これは私たちフォーミュラEがガソリン車などの内燃機関から脱却を促すという役割をうまく果たしていることを意味します。しかし、同時にそれは別の複雑な課題の領域を切り開くことにもなります。それは『世界はそれほど規模の大きな電力需要やインフラ需要にどのように対応していくのか?』という、非常に複雑なテーマです。より長持ちするエネルギーや蓄電技術といったテクノロジーソリューションを、私たちはどのように生み出していけばよいのでしょうか。これもまた、極めて複雑な問いです」。
「こうした課題に答えを出していくために、最も優秀で、最も強い意志を持った人々に集まってもらい、議論を重ねる必要があります。それこそが、私たちがこの『Change.Accelerated Live』のようなイベントを開催する理由です。同じ志を持つ人々が同じ部屋に集まり、互いの言葉に耳を傾け、提案に好奇心を示し、複雑な課題をどのようにすれば解決できるかについて議論をするためです。次のスピーカーもそんな『優秀で強い意志を持った人物』で、私が知る中で最も優秀で意志の強い1人であり、私自身、素晴らしい友人だと思っている人物です。それがTDKの社長執行役員CEOの齋藤昇社長です」と解説し、TDKの齋藤社長にバトンを渡した。
身近なスマートフォンからフォーミュラEマシンまでTDK製品が入っている
ドッズCEOに続いて登壇した齋藤社長は、「TDKという社名を耳にすると、おそらく相当数の人が“カセットテープ”のイメージを、今でもお持ちかもしれません。これをまず、ちょっと変えていただきたいです。当社はもうカセットテープは作っていません。その代わりに、カセットテープ開発で培ってきた技術、特にフェライトという磁性材料をベースに、材料や素材をどのように使うかというプロセス技術を生かして、今では電子部品やセンサーといった製品を作っている、いわゆる“完全B to B”の会社として、内側からさまざまな電子機器や社会に貢献をしている企業になっています。例えば、皆さまもお使いであろうスマホ。この中にも当社が手がけるたくさんの電子部品やセンサー、マテリアルなどが使われている、そんな会社でございます」と語り、現在のTDKについて解説した。
また、フォーミュラE東京大会のタイトルスポンサーを務めることになった理由は、「今回のTDK Tokyo E-Prixで、なぜTDKがタイトルスポンサーになったのかは、TDKが手がげているB to Bというビジネスの中で、特にモビリティの領域を非常に重要なマーケットと考え、以前から注力、重視してきました。このモビリティというアプリケーションがこれからもどんどん電子化していく。また、自動運転などの面でもいろいろなデータが非常に重要性を増していく。こういったところに当社の電子部品やセンサーが使われ、しっかり貢献できると考えたことから、タイトルスポンサーを務めさせていただいております」と説明。
さらに齋藤社長は、「これらに加え、先ほどジェフCEOの話にもあった、サステナブルなモビリティ社会をどんどん進化させていく、それに対して挑戦を続けていくというフォーミュラEのフィロソフィーが、当社の長期ビジョンであります“TDK Transformation”の常に変化し続けていく精神や、当社のコーポレートカルチャーの1丁目1番地にある、新しいことに挑戦し続けていく“ベンチャースピリット”にピッタリで、パーフェクトマッチだと考えました」と冠スポンサーの経緯を明かした。
TDKの齋藤社長とNTTドコモビジネスの塚本氏によるパネルディスカッション
特設ステージでは、TDK代表取締役 社長執行役員 CEO 齋藤昇氏と、NTTドコモビジネス ビジネスソリューション本部 ソーシャルイノベーション部 シティ・モビリティ部門 部門長 塚本広樹氏によるパネルディスカッションも実施。「自動運転の現在地:AI主導による次世代モビリティの社会実装」をテーマに、それぞれの立場から意見が交わされた。モデレーターはCar Watchの前編集長であり、日本モータースポーツ記者会 副会長の谷川潔氏が務めた。
谷川氏:“AI主導による次世代モビリティの社会実装”というテーマで、AIとモビリティについて聞きたいのですが、まず前段で齋藤さんから「TDKはカセットテープの会社じゃない」という話がありましたが、TDKの現在地、今のモビリティに対する取り組みの部分を教えてください。
齋藤社長:当社は2025年12月に創業90周年を迎えた企業です。世界初のフェライトという磁性材料を工業化するために誕生した会社です。この磁性材料を使った製品が、磁気テープになって、一時期はこれを使ったカセットテープ事業が大きかったのですが、今では素材を生かした形での電子部品やコンデンサー、インダクター、それからセンサー類といった電子部品を生業としているB to B事業を中心に取り組んでいます。
その電子部品をどのマーケットで貢献させるのか方向性を考えたところ、やはりモビリティというアプリケーションだろうと考え、かなり前から注力してきました。モビリティではクルマの電装化、メカ制御から電子制御へという流れがかなり前から起きていて、TDKとしても重点分野に位置付けています。こうした流れに加え、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転を支えるデータの重要性にも注力しています。
データはセンシングしないと出てこないので、先ほど申し上げた当社の主要事業であります電子部品やセンサーが、どんどん進化していくサステナブルなモビリティ社会に大きな貢献をしていく。そんな未来を見据えて今回の「Tokyo E-Prix」のタイトルスポンサーに志願した次第です。
谷川氏:続いてNTTドコモビジネスの塚本さん。モビリティにおけるドコモビジネスについての説明をお願いします。
塚本氏:NTTグループのドコモビジネスは、世界中のAIの需要を捉えていて、データセンターのマーケットで、実はシェアが世界3位くらいの事業者グループです。NTTドコモグループではモバイルを中心とした通信事業と、ドコモビジネスではエンタープライズの顧客向け、そして企業向けという法人ソリューションビジネスを運営しています。
そのドコモビジネスで私が担当としているのがモビリティの部分。実はレースシーンでも2018年くらいからモビリティについて磨き続けてきました。われわれとしては、自分たちのモバイル通信の強み、いわゆるテレメトリーデータと呼ばれる領域で、車両からデータを吸い上げて、それをピットにいる担当者に提供して分析するという部分で、モバイル通信を磨き込んでいます。これをぜひ自動運転の領域にも提供していきたいと考えています。
谷川氏:なるほど、ではフォーミュラEの魅力、TDKの立場から見たフォーミュラEの面白さはどこにあるでしょうか?
齋藤社長:やはりBEVのレースにおける“トップ of トップ”ですね。一番の高みを目指してテクノロジーを磨き続けて、それがサステナブルなモビリティ社会に貢献する。こういった挑戦を続けていくことがフォーミュラEであり、さらに当社の企業文化、コーポレートカルチャーの1丁目1番地である“ベンチャースピリット”にもつながります。
また、新しいことに挑戦し続けていくことで、挑戦をすれば失敗があるかもしれない、でも、失敗したところから学びを得ることによって、常に高みを目指していく。このフィロソフィーが当社のフィロソフィーとパーフェクトマッチだったので、「これをサポートしなくてどうするんだ!」といった思いで今日ここに座っています。
谷川氏:TDKは世界陸上などもサポートしていて、スポーツに対する取り組みも続けていますが、なぜなのでしょうか?
齋藤社長:スポーツはやはりチャレンジですよね。限界を設けることなく、常に高みを目指していくものです。私自身も実はベストという言葉が大嫌いで、ベターという言葉が大好きなんです。ベストと思った瞬間に成長は止まります。常にベター、永遠のベターを目指す。これは私だけじゃないんです。これはTDKの考え方、チャレンジ、ベンチャースピリットにつながります。他のスポーツも同じですし、今回のフォーミュラEも同じだと思っていますので、しっかりと協働とコラボレーションを強化していきたいと思っています。
谷川氏:東京のフォーミュラEレースの特徴は市街地コースを使ったレースです。塚本さんは元々“スマートシティ”を担当していて、今回のような市街地レースで車両と通信する視点から見たフォーミュラEはどうですか?
塚本氏:レース全般としては、われわれは2018年ぐらいから取り組んでいますが、レースを行なうサーキットは、実は電波環境が一番よくない場所です。なぜかというと、まずクルマが時速300km/h以上で走ります。そしてコースはだいたい5kmとか7kmとか、長いところでは10km近くクルマと離れます。そこには都市部のように電波のよいところから、まるで森林地帯のようなところを走るサーキットまである。そこでイベントが開催されたときには、サーキットに数万人の観客がいて、その1人ひとりが全員スマホを持っている状況です。
非常に過酷な環境で、いわゆるモバイルサービスの提供事業者としてどのようにクリアして、車両とピットの通信をどのように担保していくのか。逆に、今回のような都市部でいうと、ビルの陰といったところの部分や、都市部での開催でさらに多くの人がやってくる。こういった環境でどのようにしていくか、そこがフォーミュラEというところで、都市部でのレースをモバイル事業者として見たときの面白さになります。
谷川氏:厳しい環境で磨かれた技術が、自動運転みたいな方向につながっていくというイメージでよいのでしょうか?
塚本氏:多くの人は自動運転車両を完全に車両だけで動くような形でイメージしているかもしれませんが、スマホと一緒で、データを連携しなければ動かないAIを使うような面もありまして、かなりの部分でネットワークとの接続も重視されています。ですので、われわれは自動運転で、もちろん技術的に動くところもありますが、それにプラス、ネットワークを経由して、データであったりを使ってサポートしていく、そういったところが非常に重要だと考えています。
谷川氏:TDKとしては自動運転に対しての取り組みで、どのようなところに貢献しているのでしょうか?
齋藤社長:やはりデータですね。フォーミュラEは非常に過酷な極限状態です。その状況でさまざまなデータが必要とされてくる。例えば温度や振動や圧力、さらに消費電力のマネジメントが非常に大事になるので、電流をしっかりとセンシングすることや、高効率な部品でロスを低減するといった大きなポテンシャルがあり、貢献できると考えています。
今、塚本さんのスマホを例にした説明もありましたが、私自身も、実はBEVというかクルマは、ある意味で“タイヤのついた大きなスマホ”のようにも受け止めていました。そういった意味では、クルマの内部の通信機能にもさまざまな電子部品やセンサーが使われていて、非常に大きなポテンシャルがあると感じています。
谷川氏:スマホにもTDKの部品がたくさん使われているんですよね?
齋藤社長:もちろんです。スマホには、さまざまなTDKの電子部品やセンサー、バッテリが入っています。特に技術力が必要な、高効率でパフォーマンスの高い製品を供給しています。
エッジAIの活用で消費電力を削減
谷川氏:通信でデータが上がってきて蓄積されて、センシングが上がっていくわけですが、データが上がってきたときに、通信事業者、通信インフラとしては、どんな問題が出て、どんな解決方法があるのか、塚本さん教えていただけますでしょうか?
塚本氏:エンジニアとドライバーからの、データに対する要求はさらに増えていく方向です。車両自体でいうと昔は車内カメラ映像で、例えばフロントとリアにある画面映像の高精細データを上げることはなかったですが、現在のレースではそういった画面映像もリアルタイムで上がってきます。
そのデータが上がってくるので、テレメトリーのデータ自体もかなりの量になっていますが、さらにレース中にまったく途切れない状態を維持しなければいけない。ここにはわれわれも技術を入れて、本当にサーキット中を走りまわっているときにまったく切れないようなネットワークをソリューションとして構築して、それをモバイルとして提供しています。
それぐらい接続し続けるのは非常に難しいのですが、本当に年々レースでのデータ量が増え続けています。それをそのまま、今はいわゆるクラウドなどのAIを使って、分析データとしてフィードバックをしていく。そこではクラウドとレースマシンの間を、一気通貫のネットワークでつないでいるのが、今のわれわれの現状かと思います。
谷川氏:データを処理する部分でAIの話もありましたが、最近は特に注目されている技術として「スマートポールのAI」といった話も出ていますが、塚本さんはどのようにお考えですか?
塚本氏:ネットワークで、われわれが使っているスマホは今、5Gというジェネレーションで動いています。だいたい1世代進化するのに10年ぐらいかかるんですが、その進化をきっちりと見たうえで合わせていかなければいけない。特にこれから自動運転とか、まさにレースだったり、本当にデータ量が増えてきたものを、次世代でさばけるような仕組みを作っていく必要があります。まずモバイルが仕組みとしての1つめになります。
もう1つが、ネットワークとして遠くまで持っていくと時間がかかるので、まさに今指摘していただいたケータイ基地局の中に、モバイルとして、いわゆる電波を送るための仕組みと、モバイル基地局自体にAIエンジンを埋め込んでおく、これは「AI-RAN」という仕組みなのですが、これを実装する取り組みを進めています。
今年度もすでに実証をやっていまして、まさに自動運転車両を、そのエッジAIを使ってフィジカルに動かすことにチャレンジしています。フィジカルゆえに、本当にクリティカルに、いわゆる遅延時間であったり、パケットのロスがないことであったり、高速で処理できる、それらを実現するために技術開発の実証を行なっている状態です。
谷川氏:AIに関していうと、TDKもAI型メガネなどありますが、新ジャンルに関連して何か情報はありますか?
齋藤社長:今、塚本さんがエッジAIといっていましたが、例えばスマートグラス。私もマイ・スマートグラスを持っていますが、このスマートグラスで入手したデータをすべてクラウドと通信して処理するのではなく、スマートポールの説明があったように、このスマートグラス内である程度の情報処理をしてしまおうということです。クラウドと毎回データのやり取りをすると、消費電力がとても高くなるんですね。
ある部分はエッジAIで処理をすることで消費電力を少なくする。これも当社のセンサー、そしてそのセンサーにエッジAIのソフトウェアを加えることによってソリューションを提供していく。これらの事業についても推進しているところです。
その点は今のクルマも同じですね。5Gという話題もありましたが、私が質問するのも変なのですが、クルマの内部にエッジAIを入れることで、さらなる効率化が図れると思っていますが、これは私から谷川さんに質問してもよろしいですか?
谷川氏:クルマはかなり法規で縛られているので、その法規要件をどう満たすかが重要になってきます。AIに期待されているのは、その法規を満たす部分。運転も同じですが、例えば子供の車内置き去りに対する見守りで、車内に人がいるのか、いないのか。そういったところをAIでどのように解決できるのか。そういった問題が起きたときに見つけて、通信で情報をスマホに飛ばして、親御さんが気付けるようにするとか、たぶんそういう領域が最も法規が入りやすい。
そのうえで、やはり自動運転に対する安全性の担保という部分も必要です。自動運転に対してのガードレールになる部分を、どのように設定するかがすごく大切なので、そこにAIをどう使っていくか、そのAIに対してまた“ガードAI”みたいな話もあり、いろんな形での活用があると思います。
齋藤社長:そういった便利さと、いわゆるセーフティというかガバナンスというような部分を、しっかりとバランスを取りながら進めていかなきゃいけないなと改めて思います。
谷川氏:その意味でフォーミュラEのように、マシンが高速で走っている状況でも実証できていれば安心ですね。普通の人は300km/hでクルマを走らせることはないですから、300km/h出ている状況でも保証されているようなデバイスであったり、通信であったりというものは非常に安心感があると思います。
先ほど最先端の開発という言葉が出ましたが、やはりレースという特殊な環境では特別な挙動なども出たりするかと思うので、そんな環境でしかできない開発をしてほしいと思いますが、そのあたりは塚本さんいかがでしょうか?
塚本氏:われわれもそこでバランスをどう取るのかが重要ですね。なぜスマホがこれだけうまく動いているのかというと、ネットワークのクラウドとうまく機能をシェアリングしている部分があります。
われわれが「オフロード」と呼んで行なっている領域ですが、E2E(End-to-End)のところで車両が自律的に走行して、安心・安全を守っていくことはもちろん大事ですが、それだけを見て性能を高めていこうとすると、それならGPU(Graphics Processing Unit)をもっと高性能にと追求して、結果的に車両価格はさらに上がってしまう。自動運転の車両自体もまだ高いですが、それがさらに高くなってしまいます。
それをセーブするためにも「ネットワークにつなげてクラウドのエッジAIで処理する」といった形でうまくオフロードできれば、車両コストも下げられる世界がくるのではないかと思っています。われわれとしてはそういうところを磨くためにもレースに取り組んでいて、過酷な環境でやったことが必ず自動運転でも生きてくると考えていますので、そこはぜひ進めていきたいと思っています。
谷川氏:とても期待しています。最後にお2人がフォーミュラE東京大会に期待することは何でしょうか?
塚本氏:まさにフォーミュラEというのはBEVで最高峰のレースだと思っています。次はたぶん自動運転の世界にいく。「自動運転BEVレース」みたいな形になるのかなと思っていまして、その最先端の技術促進やデータのやり取りというところでエコシステムが作られるのかなと思っています。
齋藤社長:明日からはレースのダブルヘッダーということで、土曜と日曜にナイトレースが開催されます。また、明日は隅田川の花火大会も行なわれます。このフォーミュラEの会場から隅田川の花火がどれだけ見えるかは分かりませんが、やはりこの東京の夜を盛り上げていくという意味では、どちらも非常によいイベントだなと思っています。
ファンビレッジに「ポルシェ 99X エレクトリック」などを展示
このほか、フォーミュラE東京大会の観戦チケットを持たない人でも自由に入場できる東京ビッグサイト東1~3ホールのファンビレッジには、ポルシェ×TDK×ヘンケルのブースを出展。ポルシェ フォーミュラEチームの「ポルシェ 99X エレクトリック」などが展示された。
Photo:堤晋一
















