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フォーミュラE・東京大会「2026 TDK Tokyo E-Prix」は初のナイトレース開催 ダブルヘッダーの第15戦はニック・デ・フリース選手が優勝!

2026年7月24日~26日 開催
フォーミュラEの第15戦で優勝したニック・デ・フリース選手(写真右)

 TDKがサポートしているBEV(バッテリ電気自動車)のフォーミュラマシンによる世界最高峰レース・フォーミュラE 東京大会「2026 TDK Tokyo E-Prix」が、東京都江東区にある「東京ビッグサイト」周辺の一般道を封鎖して特設された「東京ストリートサーキット」で7月24日に開幕。7月25日に決勝レースの第14戦、7月26日に同第15戦がそれぞれ行なわれた。

 2024年から開催がスタートして3回目となるフォーミュラE 東京大会は、これまでの春先からフォーミュラEのシーズン終盤となる7月に開催スケジュールが変更されたことなどを受け、2戦とも初めてナイトレースによる決勝レースが実施された。

 7月25日の第14戦では、予選でポールポジションを獲得したジェイク・デニス選手(アンドレッティ #27)を予選6位スタートのダン・ティクタム選手(クプラ・キロ #33)が最終ラップでオーバーテイクして優勝。

7月25日に行なわれた第14戦ではダン・ティクタム選手(クプラ・キロ #33)が優勝。小池百合子知事からトロフィが手渡された

 続く7月26日の第15戦では、レース終盤にマシン同士の接触によるスピンで停止したマシンによってコースが塞がれてレッドフラッグが掲示。中断後、レースは残り2周で再開されることになったが、1周はセーフティカー先導によるコースインで消化され、ローリングスタートからわずか1周だけのスプリント勝負をニック・デ・フリース選手(マヒンドラ フォーミュラEチーム #21)が征した。

 この結果により、8月15日、16日に英国・ロンドンで開催される第16戦、第17戦(最終戦)に向け、ドライバーズランキングは2戦連続で表彰台に立ったジェイク・デニス選手(アンドレッティ #27)が首位に浮上。チームランキングはジャガーTCRレーシングが2位のポルシェ フォーミュラEチームとの差を8ポイント広げている。

2日連続のレースとなった第15戦ではニック・デ・フリース選手(マヒンドラ フォーミュラEチーム #21)が優勝。瑶子女王殿下からトロフィが手渡された

 3日間に渡って行なわれたフォーミュラE 東京大会のうち、本稿では7月26日に実施された第15戦の内容を中心に会場の様子についてレポートする。

ゲリラ雷雨が波乱のレース展開を演出!?

7月26日に行なわれた第15戦の決勝レースでコースを走行するニック・キャシディ選手(シトロエンレーシング フォーミュラEチーム #37)のマシン

 フォーミュラEは電気の力で走る静かでクリーンなマシンによるレースであることを強調するため、世界各地の大都市に特設するコースを舞台に開催されることも大きな特徴となっている。東京大会でも東京ビッグサイトを取り囲むようにコースが設定され、3本のストレート区間を計18か所の高速コーナーとタイトコーナーでつなぎ合わせ、地形によるアップダウンも盛り込んだ1周2.575kmの国際レーシングコースが生み出されている。

フォーミュラE 東京大会の舞台となった「東京ストリートサーキット」は、日ごろは多くの人が利用している一般道を閉鎖してコースを設営

 BEVであるフォーミュラEマシンは電気を駆動力に変えて走行するが、フォーミュラE 東京大会ではマシンを走らせることに加え、会場外周エリアに対する電力供給、ナイトレース設備、大会運営機材などを含む重要なレース運営の機材に向けた給電を、「HVO(Hydrotreated Vegetable Oil:水素化処理植物油)」と呼ばれるサスティナブル燃料を使った仮設発電機によって実施。使用済みの廃食用油などを回収・精製して生み出されるHVOによって発電を行なうことで、従来の軽油と比較してライフサイクル全体で最大90%のCO2を削減して、2024/25シーズンはレース運営運営に必要な電力の100%再生可能エネルギー化を実現している。

サスティナブル燃料の「HVO」を使う仮設発電機。軽油と比較してライフサイクル全体で最大90%のCO2を削減

 フォーミュラEでは次年度の2026/27シーズン(シーズン13)から新たなレギュレーションに基づいて製作される次世代車両「GEN4」が使用されることになっており、現行モデルである「GEN3 Evo」が日本でレースを行なうのは今回が最後となった。

 GEN3 Evoのマシンはボディサイズが5101×1023.4×1700mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースが2970.5mmで、ドライバーを含む車両重量は863kgに設定。ここに最高出力350kW(470bhp)、最大回生電力600kWを発生する電動パワートレーンを搭載して4輪を駆動。最高速は320km/h、0-100km/h加速は1.86秒となっている。

第15戦・予選の様子

 また、ガソリン車などがレース中にピットインして給油を行なうように、フォーミュラEマシンも「PIT BOOST(ピットビースト)」と呼ばれるレース機能を採用。ピットスペースでマシンを静止させたあとにピットクルーが作業を行ない、30秒間で600kWの急速充電を行なうことで、マシンはバッテリエネルギーの10%(3.85kWh)を回復させることが可能になるという。対象レースではすべてのドライバーにPIT BOOSTを実施することが義務付けられるため、レース中のどのタイミングでPIT BOOSTを行なうかが勝敗を分ける大きな戦略要素となっている。

仮設の観戦スタンドはホームストレートを中心に7か所設置された
ホームストレートの観戦スタンドからはコースの向こうにあるピットの様子をうかがい知ることもできた
ピットの様子

 このほか、両日のフリー走行と予選の幕間時間を利用して、女性ドライバーを主役とした日本発のレースカテゴリー「KYOJO CUP」を発信するため、トムスの競技用EVカートを使ったタイムトライアル「World Appearance&EV Kart Trial with KYOJO CUP」も実施された。

タイムトライアル「World Appearance&EV Kart Trial with KYOJO CUP」の走行シーン

 第15戦が行なわれた7月26日は関東地方の各地でゲリラ雷雨に見舞われ、会場となった東京ビッグサイト周辺も昼過ぎからときおり大きな雷鳴も響く滝のような雨が降り、最初の走行プログラムであるフリープラクティスは中止が決定された。

 その後もネット配信される雨雲レーダーの情報では定期的に雨が降ることが予想されており、レースの実施が不安視されるような空気も流れたものの、現地では実施されるはずだったフリープラクティスの終了予定時刻を過ぎたころから天候が回復。結果的には予選、決勝レースともに路面コンディションはウェットだったものの、雨が降らない状況で実施された。

 これは屋根のない仮設のスタンドから観戦するファンにとって、まさに天が味方したかたちで、曇り空で気温がそれほど上がらなかったことも合わせてフォーミュラEマシンの走行を快適に楽しめたことだろう。一方、不安定で先が読めないコースコンディションが続き、レース戦略やマシンセッティングなどを担当する各チームのスタッフは対応に追われ、決断に頭を悩ませ続けただろうと推察される。波乱の展開になった決勝レースにも少なからぬ影響を与えたはずだ。

昼過ぎからの激しい雷雨の影響でフリープラクティスは中止。しかし、その後は天候が回復して予選、決勝は無事行なわれた
第15戦・決勝レースの走行シーン

入場無料の「ファンビレッジ」でレースのライブビューイングも楽しめる

「ファンビレッジ」中央にあるステージの画面で行なわれたライブビューイング

 コースでの走行のほか、東京ストリートサーキットの内側にある東京ビッグサイトでは、フォーミュラEの世界観やモータースポーツの楽しさ、新しいエネルギーが形作る未来の社会などについてさまざまな形で体験できる「ファンビレッジ」を東ホール1~3で展開。フォーミュラEの観戦チケットを持っていない人でも終日無料で入場可能となっており、予選や決勝レースなどを楽しめるライブビューイングも行なわれた。

ライブビューイングは場内3か所にある大型ディスプレイで行なわれ、空調の効いた屋内でモータースポーツアナウンサーのピエール北川氏の実況&解説を聞きながらレースを楽しんでいた
ファンビレッジは東京ビッグサイト・東ホール1~3の広大なスペースを使って行なわれた
「ゲーミングアリーナ」

 仮想空間でフォーミュラE 東京大会のコースを忠実に再現し、バーチャル体験できるレーシングシミュレーターの「ゲーミングアリーナ」。フォーミュラEのオフィシャル・エアラインパートナーであるサウディアが提供している。

本格的なレーシングシミュレーターでフォーミュラE 東京大会を仮想体験できるゲーミングアリーナは順番待ちの長蛇の列ができていた
「Eカート」

 トムスがプロデュースしたEVカートの走りを屋内特設コースで体験できる「Eカート」。前回大会では子供限定となっていたが、今回から大人も乗車可能なコンテンツとしてパワーアップ。親子で一緒に楽しめるようになった。

 EVカートはそれほど速度は出ない状態だったものの、きれいに磨き上げられた路面は滑りやすく、アクセル全開のままステアリングを切り込むとドリフト状態になってスリリングさが楽しめる設定となっていた。

Eカートの走行シーン
トムスがプロデュースしたEVカート
きれいに磨き上げられた路面がスリリングさを演出
「Recharge Garden」

 TOKYO GX ACTIONが提供する「Recharge Garden」では、ペダルを漕いで生み出した電力でマシンを走らせてレースを楽しんだり、廃タイヤを活用した充電テーブルでスマートフォンなどを充電するといった「GXアクション」を体験することで、これからのエネルギーや社会の形などに触れることができる

エアロバイクのペダルを漕いで発電した電気でミニチュアフォーミュラEマシンを走らせるレースゲーム
廃タイヤを活用した充電テーブルを用意する休憩コーナー
「ツナグルマ」

 江戸から続く日本の伝統技術で造られた檜原産杉の櫓(やぐら)とモーターアシストを組み合わせた「未来の山車」というコンセプトで生み出された「ツナグルマ」。モーターアシストによって少人数でも引くことができ、“あらゆる人が参加できる”というインクルーシブなデザインを採用。リアにはお囃子隊とコラボして音楽を流せるDJブースも装備する。

ツナグルマのコンセプトは「未来の山車」。リアにはリアにはお囃子隊とコラボして音楽を流せるDJブースも装備
縁起がよい生き物である亀をモチーフにしている
会場では搭乗体験も行なわれていた
ツナグルマは“夏祭り感”を味わえる屋台グルメや世界の名物料理などが楽しめる「フード&ビバレッジ」の中央に置かれていた
参戦各チームのレプリカアイテムやフォーミュラE 東京大会限定グッズなどを販売する「フォーミュラE ファンストア」
多彩なアイテムが用意され、入場待ちの長い列ができていた
2026/27シーズンから導入されるフォーミュラEの次世代マシン「GEN4」も車両展示
次世代フォーミュラEマシン「GEN4」

参戦チーム&パートナー企業もブースを出展

「ポルシェ×TDK×ヘンケル」ブース

「ポルシェ×TDK×ヘンケル」ブースでは「ポルシェ 99X エレクトリック GEN3 Evo」(モックアップ)を車両展示。また、TDKは若い世代のレースファンに製品を認知してもらうため、「モーションセンサーを使って画面内のドライバーを動かし、TDK部品を採用した製品を探すゲーム」「TDK製のTMRセンサを搭載したコントローラーで体験するレースゲーム」などを設置。また、3Dプリンターで再現したポルシェ 99X エレクトリック GEN3 Evoをスマホで撮影すると、マシンに採用されているTDKの電子部品が表示されるARブースも用意された。

「ポルシェ 99X エレクトリック GEN3 Evo」(モックアップ)
TDK製のTMRセンサを搭載したコントローラーで体験するレースゲーム
ポルシェ 99X エレクトリック GEN3 Evoに搭載されているTDKの電子部品
モーションセンサーを使い、画面内にあるTDK製品を見つけだしていく体感ゲーム
スマホのカメラでマーカーを読み取り、3Dプリンターで再現したポルシェ 99X エレクトリック GEN3 Evoと情報を連動させるARブース
ポルシェは7月に日本初公開したばかりの「カイエン ターボ エレクトリック」(2101万円)を展示
ヤマハブース

「ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム」として参戦しているヤマハ発動機のブースでは、電動車いすからスタートしたヤマハの電動車両について紹介するため、電動車いすのパワートレーンを流用した電動3輪「ニャイケン」や、グリーンスローモビリティのプロトタイプ車両、eAxleの「alive EE」などを展示した。

「ニャイケン」はヤマハの前2輪大型バイク「NIKEN(ナイケン)」を擬ニャン化したキャラクター
ニャイケンは試乗可能となっていた
ゴルフカートをベースに開発したグリーンスローモビリティのプロトタイプ車両
VRゴーグルを使い、この車両の利用シーンを紹介する試乗の疑似体験も用意された
eAxleの「alive EE」
ABBブース

 フォーミュラEのタイトルパートナーであるABBのブース。ポルシェの「マカン」を車両展示するほか、CHAdeMOとNACSの両規格に対応可能な急速充電器などを展示。

ポルシェ「マカン」
CHAdeMOとNACSの両規格に対応可能な急速充電器
ハンコックブース

 2022/23シーズンから単独タイヤサプライヤーを務めてきたハンコックのブース。車両重量が重くなりがちな電動車に対応するため開発された「iON」シリーズのタイヤ単体と、iONタイヤを装着したポルシェ「タイカン」を展示。

ポルシェ「タイカン」
「iON」タイヤ
小松製作所ブース

 フォーミュラE 東京大会のオフィシャルパートナーである小松製作所は、コース設営で必要なコンクリートウォールなどを運ぶための電動フォークリフトなどを提供。ブースでは同じく電動建機である電動ミニショベルの「PC30E-6」や電動マイクロショベルの「PC01E-2」などを展示した

電動ミニショベル「PC30E-6」
電動マイクロショベル「PC01E-2」

レース後の余韻を無料で楽しめる「トラックウォーク」も実施

フォーミュラEのコースを無料体験できる「トラックウォーク」

 また、両日とも決勝レース後には有料エリアを一般開放。グランドスタンドエリアなどに加え、熱戦の舞台となったコースにも入れる「トラックウォーク」も実施された。

 表彰式の終了後にスタートしたトラックウォークでは、参加した多くのファンがコース上に刻まれたタイヤマークや特設された縁石、撤収作業が続くピットなど、なかなか目にする機会のないレーストラックを体感しながらレースの余韻を味わっていた。

 フォーミュラE 東京大会は2027年も7月24日、25日に2026/27シーズンの最終戦として開催されることが予定されている。同じ季節だけに次回もナイトレースで開催される可能性は高く、観戦には十分な暑さ対策とゲリラ豪雨対策が必要になると思われるが、夏の夕べをお台場でのレース観戦で過ごすというのも刺激的な体験になりそうだ。

トラックウォークの様子
ピットの前には多くのファンが集まり、レーシングチームの撤収風景を見学。優勝したマヒンドラや日本チームである日産などが人気を集めていた
レースのために施されたスタートラインやグリッド、縁石などに加え、フォーミュラEマシンの力強さを物語るタイヤマークなどの記念撮影も楽しんでいた
TDKがタイトルスポンサーを務めた「2026 TDK Tokyo E-Prix」は無事全日程を終了