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【短期連載】スバル 水平対向エンジン60周年に寄せて 第6回

衝動的な「物欲」を支えた水平対向エンジン&4WDレガシィツーリングワゴン

1994年2月の東京は大雪だったが、初代「レガシィツーリングワゴンGT」に積もった雪を下ろして外出できたフルタイム4WDの安心感は大きかった

60周年記念イベントを販売店で開催

 スバルは、水平対向エンジンの誕生60周年を記念して、8月22日~23日、29日~30日に「SUBARU BOXER 60th 記念祭 第2弾」を各地の販売店で開催する。

 第2弾では、5月に開催された第1弾に引き続き、エンジンの歴史や開発思想、技術的特徴を紹介したヒストリーパネル展や、歴代エンジンサウンドの試聴、エンジン模型の展示といったさまざまなコンテンツが楽しめる。

水平対向エンジン60周年フェアの第2弾を8月22日~23日、29日~30日の2週にわたって開催する

 また、店頭ではマイスバル会員向けに、「SUBARU BOXER 60th オリジナルうちわ」(3種のうち1種)をプレゼント。暑い夏を少し涼しくするファン垂涎のアイテムについて、詳細は店舗スタッフに問い合わせいただきたい。

オリジナルチャーム付きのうちわを1つプレゼント!

 ほかにも、店頭での試乗でプレゼントがもらえるなど、お楽しみコンテンツが盛りだくさんの展示会となるので、詳しくはSUBARU BOXER 60th記念祭の特設サイトをチェックしてほしい。

店頭で試乗すると、60周年を記念したオリジナルデザインのブリキ缶&エンジンラバーコースターセットをプレゼント。ラバーコースターは第1弾で行なわれた“推しBOXER”で人気を集めたTOP3のエンジンをデザイン!

SUBARU BOXER 60th記念祭 特設サイトを見る

 今回の短期連載では、スバルの水平対向エンジンが誕生60周年の節目を迎えるにあたり、各方面からのメッセージを再び3回にわけてお届けする。最後の第6回はITジャーナリストの法林岳之氏からの、愛車との思い出や水平対向エンジンへの思いを紹介する。

フルタイム4WDと水平対向エンジンとの出会い

 クルマに何を求めるかは人それぞれ。家族や友だちの影響を受けたり、メディアで知ったりすることもあれば、街中で見かけてひと目惚れなんていうことも……。

 筆者は子どものころからバイクやクルマが好きで、F1やWRCなどのモータースポーツも雑誌などを通じて興味を持っていた。そんな中、強く興味を惹かれたのが「フルタイム4WD」というしくみ。それまで現在のSUVのようなクルマにしか採用されていなかった4WDを乗用車に採用し、WRCのグループBに投入されたアウディ・クアトロが無類の強さを発揮。とはいえ、20歳そこそこの若造がアウディを買えるわけもなく、「一度、見てみたいなぁ」などと考えていた。

 一方、ラリーの世界を知る中で、もう1つ興味を持ったのが「水平対向エンジン」の存在。スバルは1980年代に「レオーネ・スイングバック」でWRCに参戦し、1983年のサファリラリーではドライバーの高岡祥郎氏、コ・ドライバーの砂原茂雄氏の「レオーネRX」によって、日本人チーム初の総合5位入賞とクラス優勝という偉業を達成。「水平対向」というエンジンのしくみは知っていたものの、4WDと組み合わさることで、こんなに強みを発揮できるんだと納得した記憶がある。

「物欲」に応えるツーリングワゴン

 いろいろなご縁があって、筆者は20代後半からフリーランスのライターとして活動を始めた。執筆するジャンルは依頼があれば何でも書く姿勢だったが、コンピューター関連の出版社と付き合いが多く、パソコン関連の雑誌などを中心に記事を執筆した。

 クルマは知人から譲り受けたボロボロの「セリカXX(A40)」にしばらく乗っていたが、意を決して新車を購入。そのときに選んだのがスバルの初代「レガシィツーリングワゴンGT」だった。言うまでもなく、「フルタイム4WD」と「水平対向エンジン」に惹かれての選択だった。

 レガシィは1989年2月の初代モデル発売直前、米国アリゾナ州フェニックスで「レガシィRS」の10万km耐久走行に挑み、10万km走行の世界記録である平均時速223.345km/hを達成したことが報じられ、「次に買うなら、これかな」と考えていた。ただ、発売当初、セダンタイプにはターボ搭載の「レガシィRS」(220PS)があるものの、ツーリングワゴンはNAエンジンしかラインアップされていなかった。

 そして、初代レガシィ発売から約半年後、「レガシィツーリングワゴン GT(BF5)」が発売。水平対向エンジンは当時のワゴンとして傑出の200PSのハイパワーに加え、当然のことながらのフルタイム4WD。まさに自分が選ぶならこれしかないという1台だった。納車後、初めて首都高などの高速道路を走ったときは、フルタイム4WDの安心感に加え、水平対向エンジン&ターボのパワフルな走りにおどろいたことを覚えている。

 ワゴンを選んだもう1つの理由は仕事が関係している。当時、パソコン業界は自分でパーツを買い集めて組み立てる「自作パソコン」が注目され、筆者もよく秋葉原に出向き、ショップ巡りをしていた。そこで何か気になるものを見つけ、衝動買いをしたときでもワゴンならほとんどの商品を荷室に積んで、ラクに持って帰ることができた。「パソコンなんて大したサイズじゃないから、セダンでも大丈夫でしょ」と思われるかもしれないが、当時のパソコンはまだデスクトップ型やタワー型が多く、ディスプレイも液晶ではなく、CRT(ブラウン管)ばかりだったため、とにかく商品の箱が大きかった。よく仲間内で「ワゴンなら17インチモニターを衝動買いしても持って帰れる」と笑い話をしていたくらいだった。

 ただ、当時はまだステーションワゴンというジャンルが認識されておらず、取材で企業のビルを訪ねると、駐車場の入口で「あー、搬入のクルマは入口が違うから」と間違われたり、知人に「なんで商用のバンなんて買ったの?」なんて言われたりしたこともあった。

3世代のレガシィツーリングワゴンGTを乗り継ぐ

3代目「レガシィツーリングワゴン2.0 GT-B E-tune」では、何度か東京から神戸まで出かけた。途中、名古屋で高速を降りて熱田神宮に参拝

 初めて新車で購入した初代「レガシィツーリングワゴンGT」は、6年近く乗った後、2代目の「レガシィツーリングワゴン2.0 GT-B 4WD(BG5)」に乗り換え。水平対向エンジンのEJ20型は280PSまでパワーアップし、高速道路でちょっと尖ったクルマに突かれそうになっても軽々とかわすことができるなど、仕事でもプライベートでも快適にドライブを楽しめる1台だった。ところが、首都高の渋滞で停車したとき、背後からノーブレーキで突っ込まれ、玉突き衝突に巻き込まれてしまい、購入からわずか3年弱で廃車に……。

 思いのほか、短い付き合いに終わってしまった2代目に続き、今度は発売されて間もない3代目「レガシィツーリングワゴン 2.0 GT-B E-tune(BH5)」を購入。続けて3世代も同じ車種を乗り継ぐと、代わり映えがしなさそうだが、水平対向エンジンも4WDも熟成が進み、独ビルシュタイン製の足まわりが組み込まれた3代目は、個人的にも3世代の中でもっとも速く、楽しく、快適にドライブができた記憶がある。

 その後、4代目レガシィが登場したとき買い替えを検討したものの、結局ほかのクルマに乗りかえてしまった。とはいえ、今でも水平対向エンジンが生み出す低重心の安定性やパワフルさは忘れられない。また機会があれば、BRZやWRX S4などで水平対向エンジンのパワフルさやフルタイム4WDの安定した走りを楽しんでみたいと考えている。