長期レビュー
マツダ「アテンザ ディーゼル 6速MT」カスタマイズリポート
その5:鳥取~神奈川の往復1800km、5名乗車で燃費チャレンジ!!
(2015/2/17 16:02)
どうも、瀬戸です。本業の営業のほうが忙しくて前回の更新からすっかり間が空いてしまい、気がつけば年を越してしまいました。ということで、今更ですが本年も宜しくお願い致します。
2014年の2月にアテンザを買ってから1年が経ち、走行距離は1万4000kmを越えました。この季節はエアコンを使わないので燃費がよくなってきますな。最近は忙しくてあまり遠出もできていないのですが、街乗り7割くらいでも平均燃費で16.7km/Lとかになってます。購入当初、慣らし運転でも16㎞/L前半だったので、少しよくなっているような……。ということで、今回は今更ですが真夏に行った往復1800kmのアテンザ燃費テストの模様と、年末の雪道ドライブのお話を。まぁ、ドライブネタをまとめてやってしまおうということですな。
そもそも前のロードスターと比べれば劇的に燃費がよくなっているので、それほど燃費のことも気にしていなかったのですが、同時期にアテンザワゴンのディーゼル 6速MTモデルを買われた読者様から「条件がよければ街乗りでも20km/Lくらい行きますよ~」なんて話を聞きました。自分はというと15~16km/L程度、そんな話を聞くと実際どれくらい燃費がよくなるのか気になってきました。
そんなタイミングで、義弟の住む鳥取に家族で行こうという話が……。神奈川県から鳥取県までは片道700km以上。これだけ一気に高速道路を走る機会は滅多にないので、燃費を調べてみることにしました。
と言っても、奥さんのほかに親族を乗せての5名乗車。それぞれ4泊分の荷物も満載してざっと400kg超。さらに季節は真夏なのでエアコンもつけたまま……と、燃費チャレンジと呼ぶには条件が過酷ですが。まぁ5人乗れるクルマなんだから、5名乗車での燃費は気になるじゃないですか。
ルートとしては、神奈川の実家の近所にあるガソリンスタンドで満タンにして、初日は大阪府まで移動。大阪で食い倒れた後、2日目にいよいよ鳥取入りというもの。
ということで、いざ出発。時期的には8月の初旬。お盆からは少しずらして休みをとったので、高速道路は思いのほか渋滞もなく快走でした。しかし、さすがに5名乗車となると、新東名のちょっとした上り坂でも目に見えて瞬間燃費が悪化します。さらに、路面の凹凸に対していつもより縦方向のストロークが大きい! ただ、バンプストップラバーに当たったであろうと感じるほどストロークした状況であっても、ドカンと突き上げるようなことはなく、後席からも「乗り心地いいわね~」とのお言葉。走りがよいのに乗り心地も良好って、ほんと、アテンザってよくできてますな。
無給油で鳥取どころか島根まで!!
さて、肝心の燃費はと言うと、出発して高速道路に乗るまでの一般道では、約24km走って14.5km/Lの表示。エアコンを使っていると普段は15~16km/Lほどなので、5名乗車で街乗りのみと考えれば、予想よりは悪化していない印象。ここから高速道路に乗ってどこまで伸びるのか?
しかし、さすがに5名乗車となると、上り坂でトルク不足は感じなくても瞬間燃費がかなり悪化するのです。東名高速でもっとも標高が高い御殿場を越えるこの区間は、やっぱり燃費には厳しそう。結果、1日目の宿泊地である大阪に着いた、478km走った時点の燃費はちょうど17km/L。さすがに高速道路がほとんどとあって、過去最高の記録を更新しましたが、といっても目標の20km/Lにはまだまだ。さすがに5名乗車では難しいかな?
2日目は大阪から鳥取へ。大阪から抜けるのに渋滞にはまりつつ、その後は快適に走って米子道の江府ICを降りたところで義弟と合流。この時点で約714km走って燃費は17.4km/L。渋滞にはまった割には燃費がさらに伸びた。
さらにこの時点で残りの燃料は1/4以上で、走行可能距離は239kmという表示。鳥取まで無給油で走ってもさらに200km以上走れるなんて!! アテンザの燃料タンクは60Lなので、理論上は無給油でたどり着けるだろうと予想はしていたものの、5名乗車で実際に走ってみて、こんなに余裕があるっていうのはちょっと驚きですな!
なので、翌日にはさらに足を伸ばして島根県の出雲大社までドライブ。ちなみに出雲大社の目の前にはスタバ(スターバックスコーヒー)がありました。「スタバがあるのが島根県、砂場しかないのが鳥取県」と得意げ(?)に語ってくれた義弟でしたが、いよいよスタバが鳥取に進出するとなって鳥取県民は戦々恐々としているのだとか。
出雲大社から一般道で鳥取に戻り、ダイハツ「タント」のTV-CMで有名になった“ベタ踏み坂”を越えて鬼太郎で有名な境港まで。ちなみに、ベタ踏み坂もアテンザのSKYACTIV-Dのトルクなら余裕ですな。
途中、883km走ったところで燃料警告灯が点灯して、境港に到着してから給油。走った距離は939.1kmで、給油した量が53.19L。満タン法では17.6555744km/Lの計算で、メーター表示は17.7km/Lとなっているので、アテンザの燃費計はかなり正確なようです。残念ながらJC08モード燃費の20.0km/Lには届かなかったものの、この当時の価格で軽油が144円/L、満タンで7659円。今なら安いところで92円/Lぐらいまで落ちているので4893円の計算。神奈川から島根まで5名乗車で走ってこの燃料代というのはかなり驚きです。
渋滞にはまったのになぜか燃費記録更新!?
そして復路。横に長い鳥取県の東側にある鳥取砂丘に立ち寄るため、約100kmほど国道9号を走り続けます。しかし、国道といっても自動車専用区間も多く、ほとんど信号がないのでとても快適♪ 燃費に関しても、アテンザの場合は60~80km/hくらいの速度域で燃費がよい印象で、境港でリセットしてからの平均燃費はなんと17.8km/L!! 一般道とは思えない、とんでもなくステキな数字になっています。
鳥取砂丘で食事をして、アテンザの巨大なトランクがいっぱいになるまでお土産を積んだところでいよいよ帰路。帰りは行きと比べると交通量が多くてあまりペースが上げられず、さらに新名神から東名阪にかけての渋滞にもはまってしまいました。しかし、瞬間燃費計を見ていると、100km/hで走っているより60~80km/hぐらいで走っているほうが燃費がかなり向上するようす。なので、この軽い渋滞がむしろよかったようで、この日の宿泊地である浜松に着いた時点では、走行距離約553kmで燃費はまさかの19.8km/L!! 実は高速道路の走行中は一時的に20km/Lの大台にも乗ったものの、一般道に降りたところで少し落ち込んでこの結果です。いやはや、5名乗車でここまでいくって、ほんとにビックリ!!
このまま翌日も高速道路を走ればさらに燃費がよくなるカモ!? と淡い期待を抱きましたが、やはり最終日には東名の最高地点である御殿場越えで燃費が悪化してしまい、厚木ICを降りるころには19.5km/L。さらに一般道を走って親族を送り届け、自宅に帰りついたときの走行距離は825kmで、燃費は19.3km/Lとなりました。この時点で燃料計は残り1/4で走行可能距離は236kmの表示。
ちなみに、翌日は出張でそのまま走りましたが、長野県の松本まで走ったところで燃料警告灯が点灯。結局、満タンで1018km走れました。さらにその帰り道、長野で満タンにしてから横浜までの1名乗車で215.2km走り、平均燃費が22.8km/Lを表示。まぁ高低差が大きく条件がよすぎですが、1名乗車で高速道路メインならJC08モード燃費(22.4km/L)も超えることができました。
ブリザックを履いて冬の温泉を楽しんできた
さて、2014年末に掲載された高橋敏也さんのスタッドレスタイヤレビューを読まれた方はお気づきでしょうが、アテンザにスタッドレスタイヤを付けました。ブリヂストンの最新スタッドレス「ブリザック VRX」です。
以前はFR車のロードスターだったので、雪道なんて走れる気がしないし近づこうともしなかったのですが、アテンザはFF車。しかも今どきのスタッドレスタイヤはすごく性能がよくて、プリウスでも普通に走れることを体験済み。ならばと人生で初めてスタッドレスタイヤを装着しました。
せっかくスタッドレスタイヤを履いたのだから雪国の温泉に行こう!! というわけで、年末に急きょ宿を探して一泊二日の温泉旅行に出かけてきました。ルートは草津温泉~四万温泉~水上温泉を巡る湯治の旅。実は40歳になって初めてぎっくり腰をやらかしまして、少しでもよくなればとすがる思いでの温泉旅行です。
草津の湯は目に入ると痛いぐらい刺激的なお湯で、いかにも効果がありそう。そして草津の仕上げ湯として四万温泉にもはしご。四万温泉で日本最古の湯宿建築である積善館に宿泊して、翌日は水上温泉を回って帰ることに。
ルートは決まったからあとは準備。結構ビビリな性格なもので、クルマに積もった雪を落とすためのスノーブラシから、スタック時に脱出するための「スグラ」、折りたたみ式のスコップ、いざというときのための毛布(北海道出身の敏也さん曰く、いざというときの防寒のほか、タイヤの下に敷いてスタックからの脱出にも使えるんだとか)なども用意。アテンザはトランクが大きいので、役に立ちそうなものはとりあえず積んでおきます。寒いのは嫌いなので、いざというときにできるだけ苦労せず脱出できるよう準備は万全です。
それと、ディーゼルならではの注意点として、寒さで軽油が凍ってしまう可能性もあるので、現地に着いたら寒冷地仕様の軽油を給油しておく必要があります。なのでこちらでは給油せず、燃料タンクを減らしたまま出発。
しかしあれですな、昔から評価の高いブリヂストンの、さらに最新スタッドレスであるブリザック VRXだと、ホント普通に走れてしまいます。出発前はいろいろと不安がって準備したものの、あまりに普通に走れて拍子抜けするほど。
実際、群馬県あたりはそこまで極端な雪国ではないので、旅路の8~9割は雪のない道。しかし、雪がないなーなんて思っていると、山の陰などで路面が突然真っ白になったりするので、やっぱりスタッドレスタイヤがなければ目的地には選べない場所です。自分は雪道はホントに不慣れで、とにかく安全第一。そうした路面はかなりゆっくり走っているので、あんまりレビューにはならないかもしれませんが、とりあえずはうっかり調子に乗ってしまうぐらいノープロブレム。ヒヤっとするようなことは一度もなかったです。
それと、ドライ路面を走っているときもブリザック VRXはとてもよく走ってくれます。実は高速道路を走っているときは、ノーマルのタイヤより直進安定性がよくなったほど!
これまでにも何回か書きましたが、アテンザはどうも高速走行中にちょっと落ち着きがないような気がしています。そのためにリアスポイラーを付けたりしていますが、アライメントのせいなのか、どうも高速走行中に修正蛇がちょこちょこ必要になる印象。それがブリザック VRXに変えたところ、ウソみたいにスーッとまっすぐ走ってくれるのです。夏タイヤより冬タイヤのほうが高速走行がよいなんて信じがたいですが、調べてみるとブリザック VRXは、タイヤのイン側とアウト側でサイド形状を変えているんですね。雪のわだちで舵をとられにくいようにという設計になっていて、これが効いているのではないかと。
おそらくアテンザは、あの車格でありながらリニアでクイックなハンドリング特性を実現させるために、どちらかというとナーバスな方向に味付けされているのではないかと思います。その結果、高速走行時の路面のわだちや凹凸などをシビアに拾ってしまい、結果として高速走行で落ち着きがない雰囲気になっているのではないでしょうか。そこでブリヂストンのインアウト非対称サイド形状がよい塩梅で外乱をいなしてくれて、直進安定性を高めてくれている。という予想です。
もちろん、厳密に言えばその分だけスポーティさもスポイルされているのかもしれませんが、そもそもスタッドレスタイヤでステアリングをコジるような運転はしないですから、少なくとも自分の場合はデメリットを体感することはなかったです。
とりあえず、現在2シーズン目に入ったブリザック VRXは、9割方をドライ路面で走っていますが偏摩耗するようすもなく、夏タイヤと遜色ない走りは満足しています。なにより、これまで絶対に近づかなかった雪の上を走れるようになったので、ますますアテンザのドライブが楽しくなりそうです。