NEXCO東日本、「冬のホッとドライブイベント」佐久会場リポート 佐久平PA直結の佐久スキーガーデン「パラダ」駐車場で雪道体験 |
長野県佐久市
佐久スキーガーデン「パラダ」駐車場
NEXCO東日本(東日本高速道路)は1月31日、2月1日の2日間、上信越自動車道佐久平PA(パーキングエリア)と直結する佐久スキーガーデン「パラダ」駐車場で、「冬のホッとドライブイベント」と題した、雪道体験ドライブレッスンを開催した。
別掲記事でも掲載しているように、この体験ドライブレッスンは、パラダと関越自動車道谷川岳PAでも開催されていた。本リポートでは、パラダ駐車場で1月31日に開催されたイベントの模様をお届けする。
今回イベントが開催されたパラダは、上信越道碓井軽井沢IC(インターチェンジ)と佐久ICの間に位置する佐久平PAと直結するスキー場(もちろんスノーボードもOK)。日本唯一の高速道路直結スキー場として有名で、晴天率も90%ほどと高い上、練馬から146.9kmと東京からも近く、お手軽に楽しめるスキー場として人気を集めている。
総支配人の三浦正宏氏によると、「東京から近いことから、手軽に遊びに行けるスキー場として利用していただいているようです。『キッズランド』という子供向けのエリアがあることもあって、家族連れの方も多く来ていただいています」とのこと。とくに最近は、子供が幼稚園児くらいに育ったため、再びスキーを始めたスキーブーム世代の家族連れが目立つと言う。
パラダは大きく分けて、「北パラダ」「南パラダ」の2ブロックに分かれており、佐久平PAから直結しているのは南パラダ。イベント会場は北パラダの第3駐車場となるため、佐久平のスマートICを出て一般道経由で北パラダに向かう(スキー道具などがあれば滑り込める)。ちなみに佐久平スマートICは、東京方面からも長野方面からも乗り降り可能なフルタイプのICで、碓井軽井沢IC近辺の渋滞時の利用も想定されている。
一般道の要所要所には、イベントがあることを告げる立て看板があり、迷うことなく北パラダの駐車場に到着した。
■ノーマルタイヤ車とスタッドレスタイヤ車を乗り比べ
駐車場にはパラダスキー場のスノーメイキングマシンで作られた人工雪の雪道ドライブ体験コースが用意されていた。大きさは20m×80mほどで、L字型の形状。
体験イベントは当日自由に申し込める形式で、ゲレンデからも滑り込めるような位置に受付が設置されていた。NEXCO東日本の下岡英智氏によると、ゲレンデでスキーやスノーボードをしている人に立ち寄ってもらい、多くの人に雪道での運転を体験してほしいためとのこと。パラダでの開催は昨年に続き2度目となり、昨年は150名ほどの参加者を集めたと言う。
1月31日は、午前中が小降りの雨、昼からは曇りという天気で、雪道ドライブ体験コースのコンディションは、凍結路面という訳にはいかなく、ややシャーベット状の雪面。この路面を、ノーマルタイヤの車とスタッドレスタイヤ(ダンロップ DSX-2)の車で乗り比べ、実際に雪道の運転での違いを実感してもらうという趣向だ。
体験車は、日産自動車の小型セダン「ティーダ ラティオ」のe-4WD車。ティーダ ラティオのe-4WDでは、普段はFF車だが、必要なときに4WDのスイッチを入れると、後輪がモーターで駆動され4WD車になる。
参加を申し込むと、まずはインストラクターから雪道ドライブの注意点などについて説明を受ける。その後、インストラクターとともに、スタッドレスタイヤ車、ノーマルタイヤ車に乗り込むことになる(スタッドレスタイヤ車、ノーマルタイヤ車の順は状況しだい)。インストラクターを務めるのは、ラリードライバーの勝田範彦選手、レーシングドライバーでもありエンドレスプロジェクトの社員でもある村田信博選手の2人。2人で順に参加者への対応をしていた。
今回インストラクターになっていただいたのは村田選手。村田選手は普段はエンドレスで技術開発を担当しており、ブレーキパッドなどの開発も行っているとのこと。座学では雪道での危険性と、スタッドレスタイヤの装着やチェーンの携行など準備の大切さなどを実際の体験をもとに語ってくれた。地元では雪が降る前に当然のようにスタッドレスタイヤに変更することもあって、このイベントで改めてノーマルタイヤ車の危険性を感じたとのことだ。
座学を行う勝田選手 | ||
記者の回には、村田選手が説明 | NEXCO東日本の雪氷対策と、マンモシ博士の雪道ゼミ | |
雪道での注意点と、雪道に必要な装備のチェックリストなど。村田選手によるとスタッドレスは、会社のある佐久では当たり前の装備とのこと |
座学による説明が終わると、いよいよ同乗走行が始まる。まず最初にスタッドレス車を村田選手が運転してコースを説明する。L字状のコースの右下から発進し、右へ回り込むようにカーブ。その後左側の障害物をよけた後Uターン。最後に直線を加速して急ブレーキの体験し、ABSの役目を知ってもらうという内容だ。
いよいよ記者の運転に。ティーダ ラティオはFFの状態で走らせる。路面はシャーベット状の路面だったが、ダンロップのDSX-2を履いたスタッドレスタイヤ車は快調に発進し、右へのコーナリングも文句なし。左側の障害物をよける場合でもきっちりステアリングの手応えがある。午前中の雨により、ところどころ雪に穴が開いているところでの上下動は激しかったが、最後の直線加速とABSを効かせての急ブレーキまで楽に運転できた。
村田選手によると、ABSは制動距離を短くする仕組みではなく、制動時にステアリング操作が効くようにする仕組みとのこと。ABSがないほうがブレーキを思い切り踏んだ場合短距離で止まる場合もあるが、1度タイヤをロックさせてしまうとハンドルが効かなくなり事故の可能性が高くなる。ABSがあることで、安心してブレーキを踏め、その際に障害物をよけることもできるようになる。このイベントではABS動作時の動きを実感してもらうことも目的の1つだと言う。
次にノーマルタイヤ車に乗り換えてFF状態で発進する。最初から加速が難しく、スピードがそれほど出ていない(15km/hくらい)のに、右コーナーへ曲がる際にふくらんでいく。左側の障害物よけでも、激しくリアタイアが滑り、車が横を向いてしまいそうな状態に。ステアリング操作とアクセル操作を小刻みに行うことで何とか走らせることができた。ただ、最後の急ブレーキは、ABSがスタッドレスタイヤ車に比べて瞬間的に作動する。スタッドレスタイヤ車が「グーッ、カッカッカッ」と最初に制動力が立ち上がる時間があるのに対し、ノーマルタイヤ車は急ブレーキをした瞬間にABSが作動し、あとは何にもできない状態に。「カカカカカカ」と短い周期でABSが働き、止まる距離もスタッドレスタイヤ車に比べ長くなった。
走る場所によっては、ノーマルタイヤ車ではタイヤが空回り状態になりそれ以上進まなくなった(いわゆるスタック状態)参加者もいた。村田選手によるとスタックの対処は「1度バックしてみて、その後勢いをつけて前へ進む」とよいとのこと。スタックしたときに空回りをするとタイヤの前に壁のようなものができてしまう。1度バックし勢いをつけることで壁を越えていくわけだ。しかしながら、あまりにもシャーベット状の路面のためそれでもタイヤが空回りする場合もあり、そのときにはティーダ ラティオの4WDのスイッチをONに。4WDにすることで無事脱出でき、スタッドレスタイヤの大切さと4WDの威力を参加者は学習できる。
NEXCO東日本の下岡氏は、「この佐久平は(東京から来た場合)、ちょうど気候が変わる場所でもあり、雪国になる前に体験してほしいということから選定しています。パラダスキー場は、家族連れも多いので気軽な気持ちで雪道体験をしてもらえれば」と言う。今後も同様のイベントの開催などに、積極的に取り組んでいくと語ってくれた。
■URL
東日本高速道路株式会社
http://www.e-nexco.co.jp/
ニュースリリース
http://www.e-nexco.co.jp/pressroom/press_release/kanto/h21/0109/
佐久スキーガーデンパラダ
http://www.saku-parada.jp/
ラリードライバー 勝田範彦 公式ブログ
http://katsuta.way-nifty.com/norihiko/
レーサー村田信博のカーライフを楽しもう
http://minkara.carview.co.jp/userid/309088/blog/
株式会社エンドレスプロジェクト
http://www.endless-sport.co.jp/
(編集部:谷川 潔)
2009年2月2日