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マツダ、新型「CX-5」は人間の「意識」「無意識」の行動を研究して走行性能に反映

乗員が不安を感じないようフロントダンパー内にリバウンドスプリングを採用

2016年12月15日 発表

新型「CX-5」

 マツダは12月15日、クロスオーバーSUVの新型「CX-5」の価格と発売日を発表し、同日に都内で記者発表会を開催した。2代目となるCX-5の価格は246万2400円~352万6200円で、発売日は2017年2月2日。そのほかの新型CX-5のバリエーションなどは関連記事の「マツダ、すべてを磨き上げた新型『CX-5』の予約受付を開始」を参照していただきたい。

 このほかにもCar Watchでは、新型CX-5(日本仕様)の概要記事や、写真で見る 新型CX-5(量産前確認車)などの関連記事で新しいCX-5についてご紹介している。発表会の詳細については追って記事掲載する予定。

新型CX-5の開発主査を務めたマツダ株式会社 商品本部 主査 児玉眞也氏

 発表会で車両解説を行なった新型CX-5の開発主査を務めた児玉眞也氏は、新しいCX-5では「すべての乗員が楽しめる空間」を目指して開発を行なったことを説明。このために、車両の運動性能の面では「人間の特性」を深く理解することであると語り、一例として人間が歩行しているときに、身体が上下に5cm、左右に2cm動いているが、自分では視点がふらついたりすることがないので、それほど動いていることを意識することはない。これは無意識のうちにバランスをとり、視点がぶれず水平を維持できるように動いているからであると解説した。

 こうした身体の動きは走っているクルマの車内にいても同様に働いており、車両が大きく動けば乗員も無意識に身体を動かして視点がぶれにくいようにしていると語り、そのような人間の自然な動きを阻害しないようなクルマの動きが重要になると説明。新型CX-5では「歩行状態のように自然にバランスが取れるクルマの動きを作り込んでいる」とアピールした。

 マツダではこういった「人間の起こす無意識の動き、意識した動き」を3~4年ほど前から研究して車両開発に活用。7月に発売した「アクセラ」で初採用し、新しいCX-5でも全車標準装備となっている「G-ベクタリング コントロール(G-Vectoring Control)」もこうした研究の成果から生み出されたものとなっているという。

人間が歩行しているときの頭部の動きを解析し、これを車両開発に応用しているという
ステアリング操作に応じてエンジンの駆動トルクを綿密に変化させ、前後左右の加速度(G)を統合制御。4輪の接地荷重を最適化して人間の身体の感覚に合ったクルマの動きを実現する「G-ベクタリング コントロール」

 また、2015年12月の商品改良で「CX-3」に初搭載され、新型CX-5でも採用されている「DE精密過給制御」は、ドライバーがアクセルを踏み込んだときの操作スピードに着目。ゆっくりとペダル操作されたときは緩加速、すばやく踏み込まれたときは急加速できるよう加速Gの立ち上がりをコントロールしており、こちらでは人間の意識的なアクションを走行性能に反映している。

 このほか、マツダでは近年になってコーナーリング時に車両のフロントアウト側が沈み込み、対角のリアイン側が浮き上がる「ダイアゴナルロール」の調整に力を入れているが、車高が高めになっているCX-5ではダイアゴナルロールでの浮き上がりが大きく出ると乗員が不安を感じてしまうということから、フロントダンパー内にリバウンドスプリングを採用。乗員の頭部が揺れにくいようにしているという。

 このような各種の技術により、新型CX-5は「人間の身体の感覚に合った、自然で滑らかなクルマの動きを実現している」と児玉氏は説明している

ゆっくりとアクセル操作をしたときはじっくりと、すばやくアクセル操作したときは力強く加速する「DE精密過給制御」により、「より人間の感覚に合うクルマの動きを作り込んだ」と児玉氏はアピール
フロントダンパー内にリバウンドスプリングを採用。車両がロールしたときに乗員に浮揚感が伝わらないようにして快適な走りを損なわないようにしている