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マツダ、“乗る人すべてに走る歓びを提供すること”を目指した新型「CX-5」発表会
「初代モデルを購入した多くのお客様からの要望を織り込みました」と小飼社長
2016年12月16日 00:00
- 2016年12月15日 開催
マツダは12月15日、渋谷ヒカリエ ホールA(東京都渋谷区)で新型「CX-5」の発表会を実施した。なお、この発表会後に同会場では、一般向けの「先行展示イベント」が実施されている。
アンベールに引き続き行なわれた発表会では、まずマツダ 代表取締役社長兼CEOである小飼雅道氏が登壇。初代CX-5を発売した2012年は非常に苦しい時期で、「社運をかけた商品としてグローバルに送り出した」と前置き。当初の販売台数はグローバルで年間16万台と計画していたが、高いユーザー評価により毎年販売台数を伸ばし、今年度は前期だけで37万台の販売を達成。「この商品によりまして、我々マツダ従業員全員、本当に力を付けることができた、勇気をいただいたという商品でございます」と説明した。
また、CX-5がマツダの屋台骨を支えるなか、「2番バッター、3番バッター、4番バッターも、なんとかヒットを打ってくれたり、バントで出塁してくれたりしまして、きちんと塁に出ることができたと思います。そして今回、再び1番バッターに帰ってきました」と小飼氏は野球に例え、新世代商品群が好調なセールスであとに続き、打者一巡で再度バッターボックスにCX-5が立ち、新型モデルとして打線を盛り上げていく役割となる。
初代CX-5がこれまでに150万台弱の販売を記録したことにともない、「多くのお客様から改善点、指摘事項などたくさんいただきました」とのことで、それに対して「愚直に改良に取り組んできました姿が、この商品に織り込まれております」と、新型の仕上がりに胸を張った。
続いて、新型CX-5の開発を担当したマツダ 商品本部 主査の児玉眞也氏が登壇。今日の日を心待ちにしていたという児玉氏は、「これまでCX-5を、マツダを応援し続けてくださったお客様、そしてこれから新たに出会うお客様に、自信を持ってお届けできる」と語り、改めて新型CX-5を紹介した。
商品解説の冒頭、児玉氏は「マツダでは徹底的に人の感性に寄り添う人間中心のクルマづくりにより、クルマとドライバーの一体感を高め、走る歓びを提供することを追求」「ドライバーだけではなく、同乗者を含めたすべてのお客様に走る歓びをお届けしたい」と2つのフィロソフィーを掲げ、その実現に向けた第一歩となるのが「マツダが持つデザインと技術のすべてを磨き上げた」という新型CX-5であると説明。同車が重要なポジションに位置するとした上で、「走る歓びの深化」をキーワードに開発されたことを明かした。
その具現化のために、新世代商品がこれまで盛り込んできた「魂動デザイン」「スカイアクティブ技術」「プロアクティブセーフティ」「ヒューマンマシンインターフェース」といった思想や技術を、「人間中心という一貫した思想のもとで丁寧に丁寧に磨き上げてきた」と振り返った。
ここでいったん、マイクがマツダ デザイン本部 チーフデザイナーの 諌山慎一氏にバトンタッチされ、デザイン面から新型CX-5の魅力が紹介された。諌山氏は冒頭、「クルマが単なる鉄の箱ではなく、命あるものだという思想と情熱を持ってデザインを行なっている」と、マツダデザインが考える「魂動」哲学を説明。
それを踏まえた上で、新型CX-5のデザインについて「スタンスのよい堂々としたフォルム」「フロントは彫りの深い精悍な表情として大人の雰囲気を感じていただける」「ボディとキャビンのバランスを見直すことで、クルマとしての美しいフォルム」「SUVでありながら、エレガンスを感じていただけるような艶やかなボディ」と開発のこだわりを解説した。
新たに採用された「ソウルレッドクリスタルメタリック」については、「色と造形は表裏一体という思想のもと、造形の美しさを際立たせる色」として開発。従来の「ソウルレッドプレミアムメタリック」より色の鮮やかさが20%、色の深みは50%増となっており、「瑞々しく艶やかな透明感を実現しています」とコメント。
インテリアは空間、質感とも全面的に見直しを実施。まず、空間の面では「ステアリングの高さに要素を集中させることで、ドライバーが運転に集中できる心地よい緊張感が感じられる空間」を狙ったとし、「ワイドな広がりを感じさせる造形で、パッセンジャーにも快適な空間」を実現したと説明。また、手の触れやすいエリアの素材と仕立てを見直したり、センターコンソールの大型化によりドライビングに最適な位置にシフトレバーを配置するなど、さまざまな改良を施しているとした。
最後に、今回の新型CX-5では「変化を追い続ける」のではなく「深く熟成する」道を選択したと明かし、それにより「みなさまに確実に1段上がった上質な世界を感じていただけると信じております」と締めくくった。
諌山氏からプレゼンテーションを引き継ぎ、再び児玉氏が登壇。ダイナミクス性能について解説を行なった。新型CX-5では「乗る人すべてが気持ちよい走りを感じられること」を目指し、静粛性、操縦安定性、乗り心地、走行性能など、すべての領域を「よりいっそう人の感性に合うように、綿密に作り込んできました」とコメント。
静粛性の面では前席、後席を含めてすべての乗員がストレスなく会話を楽しめることを目指し、「音の発生源そのものを抑制」「音が車室内に入ってくることを遮断」「車室内に入った音は的確に吸音」と、音源から耳に届くまでのすべての領域を徹底的に分析。さらに音の時間変化にまで注目、内装材の吸音特性を向上させるといったアプローチまで行なっている。これにより「ドアを開け、シートに座り、ドアを閉めた瞬間に、質感が上がっていることを体感していただける」と胸を張った。
運動性能では「G-ベクタリング コントロール(GVC)」の採用をフィーチャー。ステアリング操作に応じてエンジンの駆動トルクを綿密に変化させ、横方向と前後方向の加速度を統合的にコントロールすることでタイヤの接地加重を最適化。人間の感覚に合った自然でなめらかな動きをするようにクルマの動きを作り込んでいると説明した。
初代と同じく3種類をラインアップするパワートレーンは、ガソリン、ディーゼルともにリニアリティ、コントロール性、応答性を高めていると説明。「ゆっくり踏み込めばじっくりと加速、素早く踏めば力強く加速」と、より人間の感覚に合う動きを作り込んできたという。それ以外にも「振動と騒音を抑える」「実用燃費を改善する」「心地よいエンジンサウンドを創り出す」など、あらゆるシーンで「マツダらしい走る歓びと優れた環境性能を実現している」とした。
安心・安全の面では「マツダが理想だと考えるドライビングポジション」を実現するほか、「事故に至るリスクを最小限に抑制することを目指し、事故被害を防止・軽減する技術を採用している」と説明。具体的例として、フロントウィンドウに情報を投影する「アクティブドライビングディスプレイ」、0km/hからの追従を実現した「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール」、歩行者に対応した自動ブレーキ、道路標識をカメラが認識して表示する「交通標識認識システム(TSR)」など、マツダの最新安全技術をすべて織り込むことで「乗る人すべての走る歓びを支えています」とした。
最後に児玉氏は「私たちは、クルマづくりの本質と真正面から向き合い、愚直に挑戦し続ける姿勢こそがマツダらしい個性であり、そこに自らの道があると信じています。お乗りいただくすべてのお客様に走る歓びを提供し、クルマとの関係をいっそう深めたい。この挑戦から生まれた新しいCX-5が、カーライフをつうじてお客様に笑顔をお届けして、人生をより豊かにする1台になると私は確信しています。そして、この1台をつうじて常に挑戦し、進化し続けるマツダを感じていただければ、これに勝る歓びはありません」と締めくくった。