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【鈴鹿8耐 2017】優勝は3連覇達成の21号車ヤマハ ファクトリー レーシング チーム
シリーズチャンピオンも94号車GMT94 YAMAHAで、ヤマハの完勝
2017年7月30日 23:41
- 2017年7月27日~30日 開催
7月30日、三重県・鈴鹿サーキットで「2016-2017 FIM世界耐久選手権最終戦“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第40回記念大会」(以下、鈴鹿8耐)で決勝レースが行なわれ、216ラップを周回した21号車ヤマハ ファクトリー レーシング チーム(中須賀克行、アレックス・ロウズ、マイケル・ファン・デル・マーク)が優勝し、3連覇を果たした。
2位表彰台は11号車Kawasaki Team GREEN(渡辺一馬、レオン・ハスラム、アズラン・シャー・ビン・カマルザマン)、3位は5号車F.C.C.TSR Honda(ドミニク・エガーター、ランディ・ドゥ・プニエ、ジョシュ・フック)。
世界耐久選手権のシリーズランキングは、94号車GMT94 YAMAHAが146ポイントでチャンピオンを獲得した。
独走する21号車、結局一時は全車を周回遅れに
11時30分にスタートが切られた鈴鹿8耐。レース折り返しとなる4時間を経過して、相変わらずの曇り空だが、ほぼレインコンディションの心配はなくなり、21号車ヤマハ ファクトリー レーシング チーム、5号車F.C.C.TSR Honda、11号車Kawasaki Team GREENの並びでレースが展開する。
チームの多くが4回目となるルーチンのピットストップを消化するなか、5号車だけが4回目のピットインを遅れてこなし、その後は2番手11号車、3番手5号車と順位が入れ替わった。4番手は634号車MuSASHi RT HARC-PRO.Hondaで、前半で転倒しながらも表彰台が見えるところまで順位を回復。
ところがここへ来て21号車のアレックス・ロウズ選手は、追いすがる他車に止めを刺すかの走り。決勝レースのレコードラップとなる2分06秒932を叩き出す。4番手の634号車だけでなく、抜きつ抜かれつを演じる2番手争いの5号車、11号車までをもラップせんばかりの勢いで迫る。
5回目のルーチンのピットイン。634号車はライトに不具合があったのかカウルを取り外しての修復作業が発生し、変わらず4番手でコースに復帰するものの、手に届きそうだった表彰台が遠ざかってしまう。21号車にも周回遅れにされてしまった。
そして残り2時間20分で3番手の11号車が、残り1時間で2番手の5号車が周回遅れに。21号車がいったん他車をすべて周回遅れにした状態で、中須賀選手からロウズ選手へと最後のバトンが渡される。
レースも大詰めの残り30分あまりで、本日2回目となるセーフティーカー。レース再開直後に2番手を走っていた5号車のエンジン下から炎が上がり、その後収まったもののピットインを強いられ、セーフティカーで間隔が詰まっていたこともあって土壇場で11号車と順位が入れ替わってしまう。
他車のトラブルをもはや横目に見ることもなく、21号車のロウズ選手はそのままチェッカーフラッグを受け、ヤマハ ファクトリー レーシング チームが2015年から続く3連覇を達成した。2位は大きなミスなく走りきった11号車Kawasaki Team GREEN、3位はF.C.C.TSR Hondaだった。
また、世界選手権のシリーズチャンピオンには、11位に入りトータルで146ポイントとなった94号車GMT94 YAMAHAが輝き、2017年の鈴鹿8耐だけでなくシリーズ戦もヤマハの勝利で幕を閉じた。
決勝レースリザルト
順位:車番「チーム名」
1位:21号車「ヤマハ ファクトリー レーシング チーム」
2位:11号車「Kawasaki Team GREEN」
3位:5号車「F.C.C.TSR Honda」
4位:634号車「MuSASHi RT HARC-PRO.Honda」
5位:7号車「YART-YAMAHA」
6位:104号車「Honda Dream Racing」
7位:12号車「ヨシムラ スズキMOTULレーシング」
8位:22号車「Satu HATI. Honda Team Asia」
9位:03号車「MotoMapSUPPLY FutureAccess」
10位:72号車「Honda Dream RT 桜井ホンダ」
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11位:94号車「GMT94 YAMAHA」
18位:1号車「Suzuki Endurance Racing Team」
世界耐久選手権シリーズランキング
1位:94号車「GMT94 YAMAHA」146ポイント
2位:1号車「Suzuki Endurance Racing Team」138ポイント
3位:7号車「YART-YAMAHA」130.5ポイント
表彰台3チームのライダーコメント
優勝 21号車 ヤマハ ファクトリー レーシング チーム
中須賀克行選手:一言で言えば、40周年記念大会にふさわしい結果になったと思う。2人のライダーに助けられて、非常に難しいコンディションでもしっかり走ることができた。行きたい気持ちを抑えつつ、たすきを渡していかなきゃいけないと気持ちを落ち着かせた。離されたとしても彼らが挽回してくれるという気持ちで、とにかくたすきをつなげることに集中して走った。その結果、現実に優勝でき、3連覇は日本人初ということで記録を作ることもできたし、非常にうれしい。
16.5インチ(タイヤ)は実績があったので、選んで正解だった。今週は路面温度低かったけれど、低い状態でもしっかり機能してくれて安定したタイムを刻むことができ、アレックスがニューレコードを出したりと、機能を発揮してくれたので、そういった意味でも16.5インチを選んで良かったと思う。
アレックス・ロウズ選手:このファンタスティックな鈴鹿8耐でまた優勝できて、とてもうれしい。速く走ってギャップを作りたいのに自分のペースを保たなければならないし、みんなからのプレッシャーもあって、最後のスティントは緊張していた。ヤマハ ファクトリーはすばらしい仕事してくれて、楽しく走ることができた。またこの楽しい走りができるであろう来年を楽しみにしている。
マイケル・ファン・デル・マーク選手:昨年とは違うチームに入ったわけだけれど、優勝できて本当にうれしい。昨年とは違って涼しかったりと、いろいろと違う8耐だったが、勝つことができて光栄に思っている。3人とも速いペースで走れて、チームもこのレースのためにすばらしいバイクを作ってくれた。来年もできることならここへ戻ってきたい。
2位 11号車Kawasaki Team GREEN
渡辺一馬選手:まずは2位表彰台に登ることができて素直にうれしい。今年からこのチームに加入させてもらって、表彰台に登れたのは自分にとっても良かったし、チームにとっても2年連続表彰台はすごく重要なことだと思っている。僕を起用してくれて、表彰台に立たせてくれたチーム、カワサキ、チームメイトにただ感謝、感謝。(レオン・ハスラム選手は)脱水症状を起こして記者会見に来られないくらい最後、(3位のF.C.C.TSR Hondaの追撃を)断ち切ってくれた。
チームメイト2人にはすごく助けてもらったし、チームとチームメイトにここに連れてきてもらったと思うので、ありがとうございますとみんなに言いたい。アズランは決勝を走ることはなかったが、彼がいてくれたからこその結果だと思うので、チームメイトの1人として感謝している。
アズラン・シャー・ビン・カマルザマン選手:チームと、すばらしい走りを見せてくれたチームメイトにありがとうと言いたい。また来年同じチームに加われればと思う。本当にありがとう。
3位 5号車F.C.C.TSR Honda
ドミニク・エガーター選手:ハードな1日だった。バイクにも体力的にも厳しかったが、3位で終わることができて本当にうれしい。レースの途中で問題も発生し、ちょっとした火も吹いたけれど、2位3位争いをできたので、楽しかった。来年もまたここに来たいが、今年ここからはMoto2に集中したい。ありがとう。
ランディ・ドゥ・プニエ選手:とてもハッピー。2回目の8耐、2回目のポディウムになるが、ベストを尽くすことができて良かった。最後のスティントは本当はレオンとバトルしたかったが、火を吹いてしまって何がなんだかわからないままピットに入ることになってしまい3位になってしまった。それでもポジションをキープできるよう頑張った。
ホンダ、F.C.C.TSR、そしてブリヂストンに感謝。チームは家族のようですばらしかった。来年もまた参戦したい。1位と2位のチームにはおめでとうと言いたい。特にヤマハは本当に強く、我々ももっと進歩してチームとしてそこに近づきたい。
ジョシュ・フック選手:自分としてはそれほどつらい1日ではなかったが、ポディウムに上がれたのはすばらしい結果。自分たちはいいパッケージだったと思うし、メカニックも含めてすばらしい仕事をしてくれたからこそ3位になれたのだと思う。サポートに感謝している。
世界選手権シリーズチャンピオン 94号車 GMT94 YAMAHA
マイク・ディメリオ選手:自分たちにとっては最高のレースだった。ヨーロッパでも勝ててすばらしいシーズンを送ることができた。今回の目標はSERT(Suzuki Endurance Racing Team)の前に出ることで、その戦略がうまくいった。レース中は電気系統のトラブルもあったが、それを乗り越えて勝つことができたのはうれしい。GMT94チームとヤマハにはとても感謝している。すでに僕らは次のシーズンに向けて動き出している。
ニッコロ・カネパ選手:アメージングな結果になった。今シーズンは大変だった。2つのレースで勝つことができたが、決して簡単ではなかった。いろんなことを乗り越えて、絶対に諦めないという気持ちが強かったのがこの結果につながったのだと思う。バイクはすばらしいし、チーム、マネージャー、チームメイトのおかげ。みんなに感謝している。
デビッド・チェカ選手:個人的にはGMT94での3回目のタイトルとなるが、ニッコロ、マイク、チーム監督のクリストファーのおかげだと思っている。レースは非常に難しいし、シーズンを通してリードしていく、その集中力を保つのは精神的にも非常に厳しいものなので、それを乗り越えた我々はすごい。
チーム監督 クリストフ・グィオ氏:鈴鹿8耐、鈴鹿サーキットでチャンピオンを決められたのは光栄なこと。年間を通してともに戦っているYART-YAMAHAが5位、F.C.C.TSR Hondaが2位というのは、本当にレースのレベルが高いということ。
我々は今シーズン3回優勝しているが、SERTがもちろん最大のライバルで、彼らとのレース戦略を考えていた。選手からしてみればF.C.C.TSR Hondaと戦いたいという気持ちもあっただろうが、それをがまんして、とにかく自分のポジションをキープする、チャンピオンを獲得するために冷静に走る、というのが今回の目標だった。それができたすばらしいライダーたちに感謝したい。
【お詫びと訂正】記事初出時、参戦ライダーの名前に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。