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【WEC 第7戦 富士】乗って、見て、食べて、楽しいイベント盛りだくさん
FIAイベントとして、WECとして、初のサーキットサファリを体験
2017年10月14日 20:55
- 2017年10月13日~15日 開催
2017 FIA 世界耐久選手権 第7戦 富士6時間耐久レース(以下WEC富士)が、10月13日~10月15日の3日間にわたって静岡県小山町の富士スピードウェイで開催されている。
10月14日には、10月15日に開催される決勝レースのグリッドを決定する予選が行なわれ、2号車 ポルシェ 919 ハイブリッド(ティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ブレンドン・ハートレー組)がポールポジションを獲得したのは別記事でお伝えした通りだ。
本レポートでは、そうしたレースに併催されて行なわれている各種のイベントなどについて紹介していきたい。
今回のWEC富士では、FIAの冠がついたレースとしても、WECのシリーズ戦としても初めての試みとしてサーキットサファリ(観客が乗ってるバスがレーシングコースを走り、その横をレーシングカーが通過していく催し)が行なわれた。また、イベント広場でもトヨタやポルシェなどにより複数の催しもの、さらにはフランス物産展などが行なわれており、長いレースの間にそうしたイベントも楽しむことができる。
FIA冠のレースとして、WECのシリーズ戦としても初めての試みとなるサーキットサファリを体験
WEC富士としては初めての試みとして行なわれたのが、サーキットサファリだ。SUPER GTやスーパーフォーミュラなどの日本のレースではお馴染みのサーキットサファリだが、WECのような世界戦で行なわれることは珍しく、富士スピードウェイの関係者によれば、今回がFIAのイベントとしても、WECとしても、WEC富士としても初めての試みだという。今回、富士スピードウェイのご厚意により、それに乗せてもらうチャンスを得たので、その時の模様をお伝えしていきたい。
そもそもサーキットサファリとは何だというと、サーキットのレーシングコースを観客を乗せたバスが走り、その横をレーシングカーが駆け抜けていくという催し。観客にすれば普段は停まっているレーシングカーに近づけても、走っているレーシングカーに近づくのは金網の外からだけとなるので、走っているレーシングカーを間近から眺めることができるということもあって、日本のレースではお馴染みのイベントとなっている。今回は、土曜日のフリー走行三回目(FP3)の前に、サーキットサファリが行なわれた。
観客がバスに乗っていると、WECのレーシングカーがやってくるという仕組みで、あのル・マンを走ったLMP1カーが横を駆け抜けていくというのはなかなかエキサイティングな体験だった。バスは2周サーキットを走行し、常にバスはコースの左側を走って行くので、2周目のストレートで右側と左側のお客さんが席を入れ替えて、レーシングカーが間近に来るのを楽しむ、そうした仕組みで行なわれた。
ドライバーによっては遊び心があるのか、結構バスにギリギリまでよってくれたりとサービス精神旺盛、ドキドキするが窓の外すぐをWECのレーシングカーが通過していくのは迫力がある。隣の席に座った外国人の方は「スゴイネー、コノタイケンハイッショウワスレナイヨ」(もちろん元は英語)と語るなど、参加したお客様にとっても楽しめるイベントだったようだ(もちろん筆者も便乗して楽しませて頂いた……)。
残念ながら決勝日にはサーキットサファリは予定されていないので、来年のお楽しみということになるが、来年もあったらぜひ参加してみて頂きたい。
次戦アメリカGPでトロロッソからF1デビューが決まったハートレー選手他、F1クラスのドライバーに会えるピットウォークとサイン会
WEC富士のもう1つの楽しみは、世界戦ということで、普段日本のレースでは会えないような世界クラスのドライバーが多数参加していることだ。しかも、土日それぞれに行なわれているピットウォークではそれらのドライバーがサイン会を行なっているので、うまくすればそうしたお目当てのドライバーにお目にかかれてしまうのだ。
今年のWEC富士で注目度ナンバーワンは、ポールポジションを獲得した2号車 ポルシェ 919 ハイブリッド(ティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ブレンドン・ハートレー組)のエースドライバーでもあるブレンドン・ハートレー選手。ハートレー選手は、この前日に来週末にアメリカ・オースティンで行なわれるアメリカGPにトロロッソからF1デビューすることが発表されたため、このWEC富士では大きな注目を集める存在になっている。
トロロッソのドライバーは、先週末に鈴鹿で行なわれた日本GPおよびその前のマレーシアGPからダニール・クビアト選手に替わってピエール・ガスリー選手がデビューし、カルロス・サインツ選手と共にドライブしてきた。ところが、来年サインツ選手がレンタル移籍をすることが決まっているルノーF1チームが、日本GPまでドライバーを務めてきたジョリオン・パーマー選手との契約を日本GPで終了したことを発表したことを受け、サインツ選手は次戦アメリカGPからルノーへ移籍することが発表された。
このため、次戦アメリカGPからトロロッソにクビアト選手が復活することになり、クビアト選手、ガスリー選手のコンビでアメリカGPを戦うと当初は考えられていた。
しかし、問題はピエール・ガスリー選手のスケジュール。ガスリー選手は、今年スーパーフォーミュラをチーム無限から戦っているのだが、スーパーフォーミュラも来週最終戦が鈴鹿サーキットで予定されており、アメリカGPと被っているのだ。しかも、現在ガスリー選手はポイントリーダーの石浦選手から1点差のランキング2位になっており、ホンダエンジンを搭載して戦っているドライバーの中で、チャンピオンに現実的に手が届きそうなのはガスリー選手だけというホンダ側の事情もあって、どちらに参戦させるかレッドブル陣営としてもかなり悩んだようだったのだ。
で、結論から言えば、ガスリー選手はスーパーフォーミュラを戦うことになり、今回のアメリカGPはお休み。そんな経緯で、アメリカGPでのトロロッソのシートが1つ空くことになってしまったのだ。
そこに代役として白羽の矢を立てられたのが、ハートレー選手という訳だ。実はハートレー選手は、2011年までレッドブル・ジュニアとして、次世代のレッドブルF1のスターになるかと思われていた逸材。結果的にレッドブルやトロロッソのドライバーには選ばれなかったものの、その後ポルシェのLMP1ドライバーに選ばれて、2015年のWEC世界チャンピオン、そして今年のル・マン24時間レース優勝といった結果を残している。そうした実績を買われて、レッドブル陣営への復帰ということに今回相成った訳だ。
そうしたことを受けてか、今回からハートレー選手のドリンクにはレッドブルが用意されており、ファンへのサイン会やポール会見でもレッドブルのボトルをもって現れるなど、来週のトロロッソでのF1デビューに向けて準備は万端なようだ。もちろん、トロロッソで、今回の後もレースをするのか、来年のトロロッソ・ホンダでレースをする可能性はあるのかなどは明らかになっていないが、日本のファンとしても急に注目の存在となったようだ。
そのほかの、トヨタやポルシェのドライバーももちろん大人気で、LMP1のチームクルーのサイン会の列は非常に長い行列になっていた。他にも、LMP2には、ビタリー・ペトロフ選手、ブルーノ・セナ選手、ジャン・エリック・ベルニュ選手といった元F1ドライバーも参加しており、例えばベルニュ選手であれば、F1を走っていた時代のトロロッソのモデルカーを持ってサインをしてもらうファンの姿も多数見かけた。
なお、ピットウォークは明日の朝8時半からも予定されており、サイン会は8時45分から9時15分の時間帯で行なわれる予定だ。ピットウォークに参加するには観戦券とは別にピットウォークパス(2100円/1名)が必要になる。
グランドスタンド裏のイベント広場では、TS050 HYBRID搭乗体験という太っ腹な企画も
そのほか、グランドスタンド裏のイベント広場では、複数のイベントが行なわれている。レーシングカー好きに注目は、TS050 HYBRIDに搭乗体験できるというTOYOTA Gazoo Racingの特設コーナー。各回先着30名までが、ホンモノのTS050 HYBRIDのコックピットに座ることができるという、太っ腹なサービスだ。
筆者が訪れた時はちょうどお昼の回だったが、先着30名は瞬く間に埋まっていた。日曜日もやっているかは不明だが、興味がある読者はTOYOTA Gazoo Racingの特設テントを覗いて見るといいだろう。なお、TS030 HYBIRDの搭乗体験も行なわれていたが、こちらは小学生以下のお子様限定となっていた。こちらは先着と書いてあったがほとんど並んでなかったので、小学生以下のお子様がいる場合にはこちらを狙ってみるといいかもしれない。
この他、WECのオーガナイザーがル・マン24時間の主催者であるACOであることにちなんでか、ヴィラージュ・ボンジュール・フランスと名付けられたフランス特産展も行なわれていた。フランスの物産を詰め込んだピクニックバッグを販売したり、フランスのタイヤメーカーであるミシュランのグッズが販売されていたり、ムール貝のリゾットなどのフランス料理、チキンの丸焼き、ワインの試飲コーナーなどが用意されており、フランス物産が楽しめるようになっていた。
明日10月15日の決勝レースは11時にスタートして、それから6時間レースがずっと行なわれている。耐久レースの本場ル・マン24時間レースでも、観戦者はずっと見ている訳では無く、必要に応じてスタンド見たり、飽きたらそうした場内のレストランでおいしいモノを食べたり、お酒で乾杯したり(もちろんドライバーは飲酒は厳禁だ)という観戦方法が一般的だ。ぜひ、明日のWEC富士の熱いレース観戦しながらそうしたイベント広場を楽しむ、そうした観戦はいかがだろうか。