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スバル、完成検査工程における燃費・排出ガスの抜き取り検査で903台の測定値を不正書き換え

2012年12月~2017年11月までの書き換えを確認

2018年4月27日 発表

スバルは群馬製作所における完成検査時の燃費・排出ガス測定に関する調査について、903台の測定値を不正に書き換えていたと発表

 スバルは4月27日、群馬製作所の本工場および矢島工場における完成検査時の燃費・排出ガス測定に関する調査報告を公表。測定装置などに保存されていたデータから、少なくとも2012年12月~2017年11月にわたり、903台の測定値を不正に書き換えていたと発表した。

 同社は、2017年10月27日に発表された完成検査業務における不適切事案に関して調査を進めた結果、完成検査工程に属する燃料消費率の抜き取り検査を実施する際に、その測定値の一部を変更した可能性がある旨の発言が確認されたため、事実関係の詳細を調査した。

 2017年12月22日には国土交通省から燃費測定値の変更に関する問題について、事実関係を調査し報告することなどを要請されており、2018年2月1日には保安基準に定める排出ガスデータも含め、網羅的かつ詳細に調査・報告するよう追加の指示を受けていた。

 調査の結果、群馬製作所および矢島工場の完成検査工程に属する燃費・排出ガスの抜き取り検査において、測定値を書き換えることによって実際の測定結果として記載すべき数値とは異なる数値を「月次報告書」(燃費・排出ガスの抜き取り検査結果を記載した社内書類)に記載するという不正行為が行なわれてきたことを確認。

 判明しているのは、燃費・排出ガス測定の対象となった台数が6939台、測定装置などにデータが保存されていた台数が6530台、測定値の不正な書き換えを行なった台数が903台となる。

 調査の過程で測定装置などに保存されていたデータから、本来の測定値が一定の範囲の中の数値であることまでは客観的に確認ができ、その幅の中で最もわるい値を使って品質管理となる数値を改めて計算し直した結果、書き換えが行なわれる前の本来の測定値でも品質管理基準を満たしていることを確認。

 2012年11月以前については測定装置などにデータが保存されておらず、具体的なデータに基づいて確認することはできなかったとしているが、従業員の供述によると2002年ごろにはすでに書き換えが行なわれていた可能性が高く、現在判明している以前についても同様の行為が行なわれていた可能性が否定できないとのこと。

 書き換え行為は現場の検査員および班長(検査員数名からなる班を統括)の判断で行なわれており、上位者にあたる係長(複数の班からなる燃費・排出ガス測定係を統括)からの指示はなく、班長などから係長への報告もなかった。しかし、燃費・排出ガス測定実務に従事した経験を持つ係長もおり、それら係長は書き換えが行なわれている可能性を認識していたと考えられ、課長以上の管理職および経営陣は書き換えの事実を認識していなかったとしている。

 燃費・排出ガスの測定方法については、どちらも1台ごとの測定値ではなく、一定台数または一定期間の測定値の平均値が品質管理上の基準値を達成するよう定めているが、スバルで燃費・排出ガス測定業務に従事する検査員は、1台ごとの測定値が基準値に満たない場合に基準値を達成するような書き換えが多く見られたという。これは、検査員が先輩から1台ごとの測定値が基準値を達成しなければならず、基準値に達しない測定結果は達成するように書き換えを指導されていたことが原因としている。

 また、燃費・排出ガスともに、測定値が品質管理上の基準値との比較で問題が無い場合でも、測定値のばらつきについて係長および課長から指摘されるのを避けたいなどの理由で測定員が書き換えを行なっていたこともあった。その場合は、わるい測定値をよくするだけでなく、よい測定値をわるくする書き換えも行なわれていたという。

会見に出席した株式会社SUBARU 代表取締役社長 吉永泰之氏(中央)、同社取締役専務執行役員 加藤洋一氏(左)、同社常務執行役員 品質保証本部長 大崎篤氏(右)
リリース内スバルからのコメント

 当社としては、判明した事実を隠すことなく詳細に公表して真摯に反省するとともに、全ての業務においてコンプライアンスを重視する意識を醸成し、自らの企業体質を根幹から変革していくことが必要であると強く認識しています。そして、何が正しいことなのかを役員および従業員一人一人が、自分で考え実行するという真に「正しい会社」を創っていく決意を持って、全ての役員および従業員が一丸となり、完成検査員問題に対する再発防止策に加え、本報告書記載の再発防止策を徹底的に遂行します。

 加えて、これらの不正行為の原因・背景を重く受け止め、将来にわたり風化させないための全社的な取り組みを検討し、これをしっかりと推進していくことで、二度とこのような不正行為を引き起こすことのない、真に「正しい会社」に生まれ変わっていく決意です。

 お客さま、関係者をはじめとする当社を取り巻くステークホルダーの皆さまに、多大なご心配・ご迷惑をおかけしたことを、改めて心よりお詫びいたします。