スバル、インプレッサ WRX STIに2.5リッターターボ・5速AT搭載のA-Line 6速MTのWRX STIも一部改良 |
スバル(富士重工業)は2月24日、2.5リッターターボ・5速ATモデルの「インプレッサ WRX STI A-Line」を追加設定し、また、6速MTモデルの「WRX STI」を一部変更する。価格はWRX STI A-Lineが315万円、WRX STIが368万5500円となる。
新色サテンホワイト・パールのA-Line。外観から分かる違いは、対向4ポットから2ポットに変更されたブレーキキャリパー |
■新グレード「WRX STI A-Line」を追加設定
インプレッサ WRX STIは、2007年10月24日に「凛」というキーワードとともにフルモデルチェンジされたモデルで、今回が初のマイナーチェンジとなる。従来は2.0リッターターボ+6速MTモデルのみの設定で、18インチホイールを装着した標準グレードと、装備を簡略化し、17インチホイールを装着した仕様の2グレードのラインアップとなっていた。今回のマイナーチェンジで、17インチタイヤ仕様がなくなり、新たに水平対向2.5リッターターボエンジン・5速ATを搭載した「A-Line」が追加設定された。車重はA-Lineが1490kg、6速MTモデルが1480kg。
A-LineはWRX STI初のATモデルで、エンジンもインプレッサの国内仕様としては初の2.5リッターターボが搭載される。このエンジンは、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー2008の2.0L~2.5L部門で1位に選ばれた輸出仕様のエンジンをベースにして、A-Line専用のチューニングを施したもの。吸排気バルブの開閉タイミングを連続的にコントロールする「デュアルAVCS(アクティブバルブコントロールシステム)」や、吸気量に合わせて吸気の流れをコントロールし、燃焼効率をアップさせる「TGV(タンブルジェネレーテッドバルブ)」を採用し、平成17年度排出ガス基準50%低減を達成、新排出ガス試験モードにも対応している。
■これまでの同社2.5リッターターボの性能を大きく上回る専用エンジン
ターボもA-Line専用のシングルスクロールターボが組み合わされ、最高出力は221kW(300PS)/6200rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/2800-6000rpmを発生する。
スバルがこれまで国内向けに発売した2.5リッターターボモデルは、2004年2月発売の「フォレスターSTi Version」、2008年5月発売の「アウトバック2.5XT」、そしてSTI(スバルテクニカインターナショナル)が同月に発売したレガシィベースのスペシャリティモデル「S402」の3車種のみとなるが、エンジンスペックはフォレスターが195kW(265PS)/5600rpm・378Nm(38.5kgm)/3600rpm、アウトバックが195kW(265PS)/5600rpm・350Nm(35.7kgm)/2400rpm、S402が210kW(285PS)/5600rpm・392Nm(40.0kgm)/2000-4800rpmとなっており、今回搭載されたエンジンが、スバルで最も進化した2.5リッターターボエンジン。
同じWRX STIの6速MTモデルに搭載される2.0リッターターボ(227kW(308PS)/6400rpm・422Nm(43.0kgm)/4400rpm)と比べると、出力・トルクともにピーク値では下回るが、最大トルクの発生回転数がかなり低回転になっている。これはA-Lineが、ターボのブーストにはあまり頼らず、エンジンの排気量アップや、圧縮比を上げたエンジン本体の性能を活かして仕立てられているからだろう。わずか2800rpmで最大トルクに達成し、そのまま6000rpmまで続くフラットなトルク特性は、ATとのマッチングを狙っての味付けと言える。
エンジンは2.5Lになるが、アルミ製インテークマニホールドや、大型のインタークーラーは2.0LのWRX STIと同様 | タービンもA-Line専用に開発。2.0Lがツインスクロールなのに対し、2.5Lではシングルスクロールタービンを採用 | A-Lineのパワー&トルク特性。わずか2800rpmでピークに達し、そのまま6000rpmまでフラットなトルクは、ATとの相性もよさそうだ |
■大人のスポーツを演出するスポーツシフト5AT
組み合わされるATは、「SUBARUダイナミック5AT」と呼ばれるパドルシフト付きのスポーツシフト5速AT。シフトダウン時にもスムーズで素早い変速を実現するダウンシフトブリッピングコントロール(回転数同期制御)や、Dレンジのままパドル操作を行った場合に、一時的にマニュアルモードに切り替わるテンポラリーマニュアルモードも採用している。また、走行特性を3つのモードから選べるSI-DRIVE(SUBARU Intelligent Drive)は踏襲され、クルーズコントロールを標準で装備する。
ステアリングには大型のパドルシフトが装備される | アルミパッド付きスポーツペダルをA-Lineにも標準採用 | A-Line標準装備されるオートクルーズは、ステアリングのスイッチで簡単に操作できる |
A-Lineの標準ブレーキは、フロント2ポット、リア1ポットのベンチレーテッドディスクで、ブレンボブレーキはオプションで設定 |
シャシーやサスペンション、タイヤは6速MTモデルと共通となるが、6速MTモデルとの変更点として、ブレーキはフロント17インチ2ポット、リア16インチの専用ベンチレーテッドディスクとなり、ブレンボ製ブレーキはオプション設定になる。MTからATに変更されるため、センターデフの効き具合を自由に調整できるマルチモードDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)はなくなり、代わりに前後のトルク配分を最適に調整するVTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)が搭載される。エンジン出力やABSの制御により車両安定性を高めるVDC(ビークルダイナミクスコントロール)は、6速MTモデルではオン・オフのほかにシステムの介入を遅らせるトラクションモードが設けられたマルチモードVDCが採用されていたのだが、A-Lineでは通常のVDCに変更されている。また、LSDはフロントがヘリカルからオープンデフに、リアがトルセンからビスカスに変更されている。
■A-Line専用オプションとして本革シートも用意
インテリアでは、6速MTモデルのシートがアルカンターラ/本革なのに対し、A-Lineではファブリック/合成皮革と本革の2種類が用意され、本革シートにはフロントシートヒーターが装備される。ただし、6速MTモデルにオプション設定されるレカロ製バケットタイプフロントシートは、A-Lineでは選択することができない。そのほか、ドアアームレストにはシルバーのダブルステッチを施したソフトレザー表皮を、本革巻ATセレクトレバーにはシフトブーツと金属調処理を施したリングを装備する。
随所にチェリーレッドのSTIロゴがあしらわれたA-Lineのインテリア | A-Line標準装備のファブリック/合成皮革シート | A-Lineオプション装備の本革シート |
運転席8ウェイパワーシートはレカロ以外の全車に装備 | 本革シートには、シートヒーターがセットされる |
6速MTモデル(写真左)と同様A-Line(写真右)にもシフトブーツが装着される。シフト後方にはSI-DRIVEのスイッチが配置されるが、6速MTにあるマルチモードDCCDのコントロール部はなくなっている |
■WRX STIを一部改良、装備の充実と新色を追加
6速MTモデルの改良点としては、マルチモードVDCのモード切り替えの操作方法の変更とヒルスタートアシストのキャンセル機能を追加している。さらに、全車共通の改良として、運転席に8ウェイパワーシートを採用(メーカー装着オプションのレカロ製バケットタイプフロントシートを除く)。ボディー色に新色の「サテンホワイト・パール」が加わり、「スパークシルバー・メタリック」、「ダークグレー・メタリック」、「オプシディアンブラック・パール」、「WRブルー・マイカ」、「ライトニングレッド」の全6色となっている。
ブレーキキャリパー以外に6速MTモデルとA-Lineに外観上の違いは見られない。写真はいずれもオプションのBBS製18インチ鍛造アルミホイールを装着 |
(編集部:瀬戸 学)
2009年 2月 24日