ニュース

ホンダ、新型アコード ハイブリッドの衝突軽減ブレーキ「進化型CMBS」体験記

より低速から完全停車までサポートしてリスクを大幅低減

ついに「ぶつからないクルマ?」がホンダにも登場

 本田技研工業は新しく登場した9代目アコード ハイブリッドの発売に先立ち、ツインリンクもてぎ内にあるアクティブセーフティトレーニングパークでアコード ハイブリッドに搭載する「進化型CMBS」の体験試乗会を実施した。

アクティブセーフティトレーニングパークを走行するアコード ハイブリッド

 ホンダは衝突軽減ブレーキのCMBSを2003年6月発売のインスパイアに搭載し、世界初となる「車両が自動的にブレーキを作動させて衝突による被害を低減させる装備」としてリリース。その後は採用車種を拡大しながら技術を積み重ね、ユーザーの認知拡大を受けて今回のアコード ハイブリッドから待望の完全停止まで行う「進化型CMBS」として上級グレードのEXに装着している。

 今回の体験試乗では、大きな進化ポイントである対向車に対するブレーキ作動などは安全面への配慮から設定されなかったが、静止物に対する20km/hからの完全停止、遅い移動体に対する60km/hからの急減速という2つのシチュエーションで新装備の作動を体感できた。

静止物に対する20km/hからの完全停止

 まずは、止まっているオレンジのターゲットに向けて20km/hで接近する状況。少し距離の離れた位置からメーターパネル内に警告表示が点滅し、直前になって急ブレーキが作動している。この停車状態は約2秒間保持され、その後はシステムが解除されてクリープ走行状態になる。また、横からのアングルではかなり間近まで接近し、本当に間に合わなくなるギリギリまでシステムが介入を控えていることが確認できる。20km/hというゆったりした速度だが、ブレーキの強い制動で乗員の頭部が大きく前に移動していることも見て取れる。ちなみに、ステアリングが少し動いているが、これは撮影のじゃまにならない位置で乗員が操作しているため。車両側からのアプローチでステアリングが動いているというわけではない。

アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)でも使われれるミリ波レーダーは、フロントグリルのHマーク内に設置
車内からの視点ではターゲットにぶつかるのではと心配になったが、実際にはきちんとマージンを取って停車している

遅い移動体に対する60km/hからの急減速

 続いて、同一方向に移動する物体に対する接近。こちらは車内での映像で、フロントガラス右側で「ヘッドアップワーニング」がオレンジ色の光を点滅させているがわかる。このテストではターゲットが移動し続けているのでアコード ハイブリッドも停車せず、急ブレーキで衝突の危険を回避したあとはゆるゆると走り続けている。また、すべての状況でシートベルトを引き込む「E-プリテンショナー」も合わせて作動しており、接近時には軽いベルトの引き込みで警告、ブレーキまで作動する状況では強い力でベルトを引いて乗員の姿勢を正す効果も発揮している。

 体感試乗では時間の都合もあって2種類のテスト走行となったが、進化型CMBSではこれ以外にも、前出の対向車の接近に対するリアクションとして、接近を警報音とステアリングの振動+回避方向への反力付与、回避が間に合わない場合のブレーキ制動を実施。また、対象の進行方向にかかわらず、乗員が危険回避のためにステアリング操作をすると、ステアリングのアシスト量を増やしてスムーズな回避を後押ししてくれる。

(編集部:佐久間 秀)