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ヤマハ、3時間の充電で29km走行可能な新型電動スクーター「E-Vino」
電動アシスト自転車とエンジンスクーターの“間”を担う、都会の女性向け2輪
(2015/7/29 21:20)
- 2015年8月20日発売
- 23万6520円
ヤマハ発動機は7月29日、同社の原付スクーター「Vino」の電動バイク版「E-Vino」(イービーノ)を8月20日に発売すると発表した。価格は23万6520円で、クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金(補正分)の適用により、2万円の還付を受けることができる。
E-Vinoは、Vinoのフォルムをほぼそのまま引き継ぎつつ、電動バイクとすることで12kgの軽量化を果たした。充電1回当たりの走行距離は29kmと、かつて同社が発売した電動バイク「EC-03」の43kmより短くなっているものの、満充電にかかる時間を従来の半分となる約3時間に短縮した。
ボディーカラーは「ビビッドイエローイッシュレッドメタリック1」と「ホワイトメタリック1」の2種類。年間販売台数は1500台を見込む。
“ブースト”もできる3種類の走行モードを搭載
E-Vinoのコンセプトは「Useful & Friendly Clean Commuter」。「ユースフル」「フレンドリー」「イージー」「スムース」というキーワードを元に、ターゲットを都会に住む女性に据えた。
電動アシスト自転車は5km程度の移動、原付スクーターは30km以上の移動に適した乗り物であると想定し、今回の電動バイクであるE-Vinoは、その2つの間となる10km程度の移動をこなす乗り物として棲み分けを図っている。フォルムはVinoをそのまま踏襲しており、丸みを帯びたボディーラインやビビッドなカラーリングとすることで、ファッション性を高め、都会の街中を移動する女性にフィットするデザインとした。
車両重量は原付のVinoが約80kgだったところ、E-Vinoは約68kgと12kg軽量化。取り回しは軽く、実際にグラブバーなどをつかんで持ち上げながら移動させるのも比較的容易。バッテリーは重量約6kgの着脱式リチウムイオンバッテリーで、シート下に収納される。充電1回当たり、30km/h定地走行で最長29kmの距離を走行可能とし、家庭用100V電源で使用できる付属の充電器を使い、残量ゼロから約3時間で満充電にできる。
なお、シート下の収納は容量約10L。ジェット型ヘルメットやフルフェイスヘルメットの収納は不可能だが、予備のバッテリーを1つ収納できるようになっており、航続距離を2倍に延長可能。
3種類の走行モードを備えているのも特徴で、「標準」モードのほか、ややパワフルな特性にする「パワー」モード、主に坂道発進などの加速時に使用する「ブースト」モードがある。ブーストモードは右ハンドルに備えているボタンでONにでき、使用すると30秒間のみモーターの出力を向上させる。もう1度ボタンを押すと30秒以内であればブーストをOFFにできる。ただし、バッテリー残量が20%以下になるとブーストモードは使用できなくなる。
メーターはデジタル。速度やモードの表示ができるのはもちろんのこと、バッテリー残量をゲージで表示するとともに、1%単位で残量を数値表示する。大まかにしか把握できないゲージだけでは、実際には数十%残っていても電欠の不安を感じてしまう利用者が多いことから、細かく残量が分かる数値表示も併用することで、バッテリーをフルに活用してもらいやすくしたという。
取り扱い販売店は全国4000店舗。計400台の試乗車を用意するほか、E-Vinoを誰でも試乗可能なイベント「スマートパワー試乗会」を、9月5日に東京 お台場にあるMEGA WEBを皮切りに、全国13個所で開催予定。E-Vinoをしっかり体感した後に購入を検討できるようにする。
安心、安全に乗れる、フラットな加速
発表会当日は試乗会も開催された。試乗コースは電動バイクの「静かさ」も体感できるよう室内に設置。のんびり走り続けてスクーターの快適さを味わうようなことはできなかったものの、電動アシスト自転車と同程度と思われるほどのわずかなモーター音しか聞こえず、E-Vinoの静かさをしっかり確認できた。加速時は、モーターらしくトルクが完全にフラットで、アクセルをいきなり全開にしても、ゆっくり、リニアに速度を上げていく。
この特性を楽しいと思うかどうかは人それぞれかもしれないが、誰でも安全に、安心して乗れることは間違いなさそう。車体が軽いこともあり、狭い駐輪場などで取り回しに難儀するようなこともないだろう。試乗の雰囲気は以下の動画でご確認いただきたい。