開通半年前の第二京阪道路で内覧会 カーナビ、バスなど業界関係者が期待の新路線を視察 |
NEXCO西日本(西日本高速道路)と国土交通省 近畿地方整備局は10月13日、開通前の第二京阪道路の内覧会を開催した。
第二京阪道路は京都と大阪を結ぶ全長約28.3kmの道路。6車線の自動車専用道路と2~4車線の一般道を備える。第二京阪の自動車専用道路の京都側は阪神高速8号京都線につながっており、ここから枚方東IC(インターチェンジ)までがすでに開通している。枚方東IC~門真IC(仮称)の完成は2010年3月を予定しており、これで第二京阪は全線開通となる。なお門真ICの先、門真JCT(ジャンクション、仮称)で近畿自動車道に接続する。
第二京阪は、京都~大阪を結ぶ国道1号線(京阪道路)の慢性的な渋滞を解消し、京都~大阪の所要時間を現在の2~3時間から、1時間程度に短縮することが期待されている。また、名神高速道路とともに京都~大阪のダブルネットワークを形成する。
見学会のコースをGPSで記録した軌跡。右上の赤いピンが枚方東IC、左下のピンが門真IC。交野市や寝屋川市で迂回路に入っているが、おおむね第二京阪を辿っている。第二京阪の北西部を並行する形で国道1号線、淀川、名神高速がある |
■複雑な構造を採る第二京阪
今回の内覧会は、開通予定半年前を機に、この道路を利用すると見込まれるバス会社、旅行会社、物流会社、地図・カーナビ会社等に、開通時になるべく近い状態の道路を見てもらい、第二京阪の活用を促すのが狙い。NEXCO西日本によれば、こうした催しは、新名神高速道路の亀山JCT~草津田上ICが開通(2008年2月)する前に行って以来と言う。
参加する企業の側は、この見学会にどのようなことを期待しているのだろう。カーナビのデータを作成する会社の代表は「開通前に工事の進捗状況や道路の様子を確かめられるのがメリット」と話す。「弊社は、開通から7日以内に、更新したデータをユーザーに提供できるようにしています。道路の図面はすでに公開されていますし、開通後にはもちろん実際の様子を確認しなければなりませんが、交差点や料金所の様子などを目で見て知っておくのは大事なことですし、どのようにデータを提供するか検討する材料にもなります」とのことだ。
第二京阪道路は自動車専用道路と一般道を備えると前述したが、専用道の両脇に一般道が併走する区間もあれば、専用道を高架とし、その下を一般道とする区間や、さらにその下を市道等が立体交差する区間もあるといったように、非常に複雑な構造となっている。
さらに、専用道と一般道の外側には、周辺住民の生活道路となる副道や自転車・歩行者道、植栽といった「環境施設帯」が設置され、これらと一般道との連絡路も多数用意される。後者は第二京阪の愛称「緑立つ道」の由来ともなるもので、この道路の大きな特徴のひとつだが、これらも構造の複雑さに拍車をかける。
こうした構造が分かっていなければカーナビは正常に機能しないし、地図の制作者もこうした事情を知っておく必要がある。またユーザーたるバス会社や運輸業者も、こうした構造を知っておけばより有効に第二京阪を活用できるだろう、というのがNEXCO西日本と国交省の狙いなのだ。
■工事最盛期の現場を走る
この呼びかけに応じた14社の代表と報道関係者ら30名あまりが枚方市に集合し、2台のバスに分乗した。
第二京阪の起点は、京都市内の巨椋池IC。枚方市の枚方東ICまでが開通しており、工事区間は枚方東ICから交野市、寝屋川市を経て、終点となる門真市の門真JCTに及んでいる。バスは枚方東ICから大阪方向へ、工事が進む第二京阪道路に乗り入れ、門真ICで解散の予定だ。
第二京阪は用地取得と工事発注が100%終了し、「全面展開」(国交省 近畿地方整備局 浪速国道事務所 濱野洋副所長)の状態。自動車専用道路となる高架は全線完成しており、舗装、防音壁や照明の取り付けなどに進む段階になっている。高架へのアクセス路となるランプも作られており、一部では料金所のゲートもできている。対して自動車専用道路の下や脇を通る一般道は、ほとんどが未舗装。2台のバスは速度を落とし、段差や溝をゆっくりと越えながら進んだ。
2台のバスに分乗して第二京阪道路を走る | 第二京阪に並行する国道1号線。この道の渋滞解消が狙い | 枚方東IC。前方を横切るのが第二京阪 |
工事中の第二京阪の一般道。右の防音壁の内側が自動車専用道路 | 作業中の現場の横を通る。路面の状態からわかるとおり、速度を出せない |
また、高架区間も「工事の最盛期」という状態で、レーンのそこかしこに工事車両や資材がまだ置かれているため、ほとんどは上り(京都方面)レーンを逆走することとなった。さらに、IC部は第二京阪にアクセスする道路との交差点や流入路の工事が行われており、ICごとに第二京阪を出て周辺路に迂回する必要があった。この迂回路がすべて混雑しており、第二京阪の開通時の効果の高さが実感できた。
■ハーフICを採用
こうした事情から、ほとんどは走行中のバスからの見学となったが、途中、交野北IC(仮称)付近と小路トンネル(仮称)上の展望台でバスを下車し、視察する時間が設けられた。
枚方東IC~門真ICには、枚方南IC、交野北IC、交野南IC、寝屋川北IC、寝屋川南IC(いずれも仮称)が設けられる。いずれも上り(京都方向)または下り(大阪方向)のみの流入出路を備えるいわゆる「ハーフIC」となっているのも、第二京阪の特徴だ。「南」が付くICは上りの流出路と下りの流入路、「北」が付くICと門真ICは下りの流出路と上りの流入路が設けられている。
各ICへのアクセス道路も、各自治体(市)によってほぼ完成しており、現状では工事現場へのアクセス道路として使われている。
小路トンネルは、第二京阪未開通部分で唯一のトンネル。全長780mで、自動車専用道上下線の両脇を一般道上下線が通るため、4本のトンネルが並んでおり、出口の形状からか「4連めがねトンネル」と呼ばれている。このトンネルの上に臨時の展望台が設けられており、ここから門真市に向かって伸びる高架を見ることができた。
門真市内は第二京阪と交差する市道等が多いため、自動車専用道路の高架の下を通る一般道路も高架としている。一般道からも市道等へランプがのび、いっそう複雑な構造を見せている。参加者はICなどの様子を写真に納め、図面と引き合わせて道路の構造や位置を確かめていた。
【お詫びと訂正】記事初出時、ハーフICの記述を誤っておりました。また、交野北ICへのアクセス道路は交野市ではなく大阪府が整備しておりました。お詫びして訂正させていただきます。
(編集部:田中真一郎)
2009年 10月 14日