日産、従来の半額で小型のEV用急速充電器

2011年11月発売



新型急速充電器 標準仕様

 日産自動車は、従来よりも大幅に価格を引き下げた、電気自動車(EV)用の新型急速充電器を11月に発売する。日産の部品販売会社で販売する。

 同社はEV「リーフ」の発売と合わせ、急速充電器を開発、147万円で販売している。今回発表された充電器の価格はまだ正式に決定されていないものの、標準仕様で「100万円を大きく下回る価格」、廉価版のベース仕様は現行(147万円)の半額以下を予定している。またヒーターと耐冷仕様ケーブルを備えた寒冷地仕様も用意される。

 コストダウンのため、従来の充電器のACリアクター、コンバーター、キャパシタ、インバーターをACフィルターとマトリクスコンバーターにまとめ、回路構成をシンプルにし、部品点数を減らした。

 新型急速充電器は内部のコンポーネント配置を見直し、立体に配置することで、本体サイズを現行の750×640×1700mm(幅×奥行き×高さ)から380×665×1840mmへと約半分に小型化した。これにより駐車スペースを有効活用できるとしている。

現行型と同等の性能で小型化し、設置の自由度が高まった
部品点数を減らしてコストダウンし、コンポーネント配置を見なおして小型化した

 

新型充電器とリーフの開発責任者である門田英稔氏。門田氏が右手に握っているのがイージーグリップ

 また、ケーブルの途中に「イージーグリップ」を設けた。これはケーブルの途中を持ってケーブルを操作しやすくするためのグリップで、地面に接触して汚れがちなケーブルを持っても、手が汚れないようになっている。

 ベース、標準、寒冷地の各モデルとも、最大出力電圧はDC500V、最大出力電流はDC125A。日本の急速充電規格「CHAdeMO」に準拠しており、CHAdeMOに準拠したEVならメーカーを問わず充電できる。

 標準仕様と寒冷地仕様は、屋外設置可能で、モノクロ液晶ディスプレイ(カラー液晶はオプション)と充電コネクターホルダーを内蔵し、4mのケーブルが付く。ベース仕様は屋内設置のみでディスプレイはなく、ケーブル長は2mに、充電コネクターホルダーは外付けとなる。

 価格の引き下げにより、日産グループはもとより、自治体、高速道路、空港、道の駅、ショッピングセンター、スーパー、コンビニエンスストア、家電量販店、ガソリンスタンドなどへの設置拡大を見込む。現在日本には619基の急速充電器が設置されているが、同社は2015年までに新型急速充電器を5000基販売する。また欧米での発売も予定する。

(編集部:田中真一郎)
2011年 9月 13日