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「第17回 パイオニア カーサウンドコンテスト」開催

日本最大級のカーオーディオシステムコンテスト

幕張メッセで開催された「第17回 パイオニア カーサウンドコンテスト」
2013年9月13日~14日開催

 9月13日~14日、幕張メッセ(千葉県千葉市)において「第17回 パイオニア カーサウンドコンテスト」が開催された。パイオニア カーサウンドコンテストは、日本最大のカーオーディオシステムのコンテストとして知られており、今年は史上最多の257台がエントリーした。

 今年のコンテストは、「ディーラーデモカー部門」「ユーザーカー部門」の2部門7クラスで競われたが、本記事では、ディーラーデモカー部門を主にお伝えする。

 ディーラーデモカー部門では、カロッツェリアχシステムクラス、ピュアコンポシステムクラス、内蔵アンプシステムクラスの3つのクラスを設定。

 カロッツェリアχシステムクラスは、メインユニットに同社の最高峰オーディオシステム「カロッツェリアχ」シリーズの「RS-D7χII/III」を搭載し、「RS-A9χ」「RS-P99χ」のいずれかによってシステムを構成。ピュアコンポシステムクラスは、メインユニットに「DEH-P01」「DEH-P940」「DEH-P970」のいずれかを、外部アンプと組み合わせてシステムを構成する。内蔵アンプシステムクラスは、ナビゲーションを含むカロッツェリアのメインユニットを使い、その内蔵アンプでシステムを構築したものとなる。各サウンドディーラーは、この規定に従い、サウンドシステムを作り込んでいくわけだ。

 音の審査は難しいものだが、このパイオニア カーサウンドコンテストでは2枚の課題音楽CDを設定。その音楽CDの指定楽曲を用いた場合の、周波数特性の乱れ、聴感上の歪など所定の採点基準に基づき、麻倉玲士氏、潮晴男氏、小原由夫氏、長谷川教通氏、傅信幸氏、和田博巳氏の6人の審査員が100点満点で採点を行う。

 今年の課題曲に選ばれたのは、「武部聡志/コクリコ坂から サウンドトラック(TKCA-73665)」のトラック29「さよならの夏~(コクリコ坂から)~(歌:手嶌葵)」と、「鈴木秀美/オーケストラ・リベラ・クラシカ メンデルスゾーン:弦楽シンフォニア(ADJ-033)」のトラック1「弦楽シンフォニア 第1番 ハ長調」の2曲。

 さよならの夏は、曲の冒頭が船の汽笛などのSE、その後曲が始まり、シンプルなピアノの音とともに手嶌さんのハスキーなボーカルが入る曲。弦楽シンフォニア 第1番 ハ長調は、ヴァイオリンやビオラ、チェロなど位置関係の明確な弦楽器で構成されている。いずれも、各楽器の定位をどこにするか、一瞬の静寂の部分でのノイズの小ささなど、システムの作り込みが問われる曲だ。

 ディーラーデモカー部門での優勝は、カロッツェリアχシステムクラスがサウンドステーション QUANTUM、ピュアコンポシステムクラスがEX CUBIC、内蔵アンプシステムクラスがStecsとなった。

ディーラーデモカー部門 カロッツェリアχシステムクラス

販売店名車種得点
サウンドステーション QUANTUMBMW 320i ツーリング63.50
コルトレーンアルファロメオ 15661.20
サウンドステーション AV Kansai 堺BMW 328i60.80
得点が非常に高かったカロッツェリアχシステムクラスの優勝車。サウンドステーション QUANTUMは2連覇となる
ディーラーデモカー部門 カロッツェリアχシステムクラス

ディーラーデモカー部門 ピュアコンポシステムクラス

販売店名車種得点
EX CUBICレクサス IS35058.25
サウンド フリークスBMW 320i57.60
スーパーオートバックスかわさきスズキ スイフト56.35
別売のアンプを用いてシステムを構築するピュアコンポシステムクラスの優勝車
ディーラーデモカー部門 ピュアコンポシステムクラス

ディーラーデモカー部門 内蔵アンプシステムクラス

販売店名車種得点
Stecsポルシェ 91159.95
サウンド フリークスプリウス58.50
サウンドステーション ZIPANGアルファロメオ 15657.40
ディーラーデモカー部門 内蔵アンプシステムクラス1位は、左ステアリング車
ディーラーデモカー部門 内蔵アンプシステムクラス

 いずれも素晴らしい音楽空間を構築していたものの、ピュアコンポシステムクラスと内蔵アンプシステムクラスでは、上位の得点は内蔵アンプシステムクラスが上回る結果となっていた。これについては審査員の総評でも触れられており、Stecsの作り込みのうまさに言及。とくにポルシェ 911という作り込みの難しいであろう左ステアリング車を仕上げてきた点を高く評価していた。

 実際に各クラスの優勝車の音楽を聞いてみたが、カロッツェリアχシステムクラスで優勝したサウンドステーション QUANTUMの音作りは素晴らしいものだった。さよならの夏のSEは、波の音、汽笛の音、船の断続的なエンジン音で構成されているが、それぞれの音の明確な位置関係を聞き取れ、手嶌さんの息づかいを感じるボーカル音が迫ってくる。

 内蔵アンプシステムクラスの優勝車であるStecsのポルシェ 911では、音のきめ細やかな感じや無音時の残留ノイズこそカロッツェリアχシステムクラスの優勝車に劣るものの、音の定位感や音のリアリティなどはしっかりしており、メインユニットDEH-P01の内蔵アンプの能力の高さを感じるとともに細部までしっかり調整された結果であることが分かる。

 ピュアコンポシステムクラスの優勝車の音は、内蔵アンプシステムクラスの優勝車と比べるとやや音の鮮度に欠けるもので、単体で聞けば不満はないだろうが、比較で聞くと違いの分かるものだった。ピュアコンポシステムクラスの優勝車、内蔵アンプシステムクラスの優勝車とも、メインユニットのDEH-P01と、主に使用しているスピーカーユニットは同じ。機器構成の大きな違いは、ピュアコンポシステムクラスの優勝車が別売のアンプ「RS-A99χ」×2でスピーカーをドライブしているのに対し、内蔵アンプシステムクラスの優勝車がDEH-P01の内蔵アンプと、サブウーファー用に「PRS-D700」を使用していることが挙げられる。

 ピュアコンポシステムクラスのほうが音作りの幅は広いと思われ、「機器の能力をしっかり出し切った内蔵アンプシステムクラスの優勝車と、音作りの方向性に迷いがあり余力を残してしまったピュアコンポシステムクラスの優勝車」といった指摘が審査員からされていた。DEH-P01の内蔵アンプの能力の高さに加え、外付けアンプの調整幅の広さが、このような逆転現象を生んでいたのだろう。

 カロッツェリアのWebサイト(http://pioneer.jp/carrozzeria/carrozzeria_x/contest/17th/result/)には、第17回パイオニア カーサウンドコンテストの結果が、各クラス10位まで掲載されている。興味のある方は結果を確認してみていただきたい。

(編集部:谷川 潔/Photo:清宮信志)