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日産、FFベースの新型ハイブリッド車「エクストレイル ハイブリッド」発表会
前例のないことに挑戦する“やっちゃえ精神”で自動ブレーキの標準化、自動運転機能搭載車の導入を推し進める
(2015/4/8 00:00)
- 2015年4月7日開催
日産自動車は4月7日、同日に発表した「エクストレイル ハイブリッド」の発表会を、日産 追浜工場内にある「GRANDRIVE(グランドライブ)」で開催した。発表会には副社長の片桐隆夫氏、エクストレイル ハイブリッドの商品概要を説明した日本商品企画室 リージョナルプロダクトマネージャー 藤井真氏とともに、4月1日付けで専務執行役員に昇格した星野朝子氏が挨拶を行った。
5月13日に発売されるエクストレイル ハイブリッドは、「スカイライン」「フーガ」「シーマ」に採用されている独自の1モーター2クラッチ式のハイブリッドシステム「インテリジェント デュアル クラッチ コントロール」を搭載。2WD(FR)のスカイラインやフーガと異なりエクストレイル ハイブリッドの駆動方式は2WD(FF。4WDもラインアップ)だが、FR同様にモーターとエンジンを完全に切り離すことが可能になっており、低速から高速域までモーター走行を行うことができる。
このハイブリッドシステムにガソリン車のエクストレイルでも搭載される直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴「MR20DD」エンジンを組み合わせるが、DC/DCコンバーターを採用したことでオルタネーターを外したり、エンジン停止中でもエアコンが効くように電動コンプレッサーを採用したりするなど、補機ベルト類を廃止。さらに低フリクションオイルシールの採用によってエンジン自体の基本性能の改善が図られている。
エンジンは最高出力108kW(147PS)/6000rpm、最大トルク207Nm(21.1kgm)/4400rpmを、モーターは最高出力30kW(41PS)、最大トルク160Nm(16.3kgm)をそれぞれ発生。「レスポンスのよい発進加速」「低速から全域にわたり2.5リッターガソリン車をしのぐトルク」が特徴になっている。なお、JC08モード燃費は2WD車が20.6km/L、4WD車が20.0km/Lとなっており、全車がエコカー減税で自動車取得税と自動車重量税が免税(100%減税)される。
ガソリン車とハイブリッド車の違いとしては、エクステリアではフロントドアおよびバックドアに備わる専用バッヂ、LEDヘッドライトの標準装備化(ガソリン車は20X系にオプション設定)といった程度にとどまる。
一方、インテリアについてはラゲッジスペース下にリチウムイオンバッテリーを搭載する関係からハイブリッド車では約40mmほど底上げされる形状になっているものの、後席を倒さない状態でのラゲッジ容量はガソリン車の445L(3列シート車)~550L(2列シート車)に対して430Lを確保。加えてガソリン車と比べタイヤハウスの張り出し部の形状を変更するなど、ガソリン車と遜色ない使い勝手のよさを実現している。
そのほか、防水シートや防水加工フロアなどはガソリン車と同様に標準装備するが、リチウムイオンバッテリーの安全性を確保するため防水フレキシブルラゲッジ、防水ラゲッジボードは不採用となっている。
グレードは「20X HYBRID“エマージェンシーブレーキ パッケージ”」に2WD/4WDを設定。これに加え、日産の関連会社であるオーテックジャパンが扱う「20X HYBRID エクストリーマーX“エマージェンシーブレーキ パッケージ”」「20X HYBRID ブラックエクストリーマーX“エマージェンシーブレーキ パッケージ”」(ともに4WD)の全4モデルが展開される。
“やっちゃえ精神”を取り戻す
発表会の冒頭に登壇した片桐副社長は、2016年までに世界市場シェア8%、営業利益率8%の達成を目標とする中期経営計画「日産パワー88」について触れ、「2015年度は当社が進めている日産パワー88達成に向けた大変重要な年になる。2015年度は人材拡充を含めた販売ネットワークの増強、ブランドイメージ向上のための取り組みを強力に推進している。また、そのためのマネージメント体制の強化も同時に行うことにした」とし、販売ネットワークの増強については人材・店舗投資を加速させる一方、スカイライン、フーガなど高級車販売についてはエキスパートショップを立ち上げた結果、スカイラインはプレミアムLセダン市場で暦年2014年度にトップシェアを獲るなどの成果が出てきているといい、「今年度はこれを明確な日産の強みとすべく取り組んでいく」と説明。
また、ブランドイメージ向上のための取り組みについては「元来、われわれ日産は誰も思いつかないこと、誰もやらないことに挑戦する、まさにチャレンジャーだった。今、日産に求められているのは思い切って前例のないことに挑戦する“やっちゃえ精神”を取り戻すことだと考えている。本年1月、皆様に2015年度中に電気自動車、商用車を含むほぼすべてのカテゴリーのクルマに自動ブレーキを搭載することを発表した。本日はその計画を一歩進め、エクストレイル ハイブリッドをはじめ主要量販モデルへの自動ブレーキ標準化を2015年度秋までに完了することを発表する。さらに2016年度には、先日ゴーン社長が発表したとおり自動運転機能搭載車の日本市場への導入を行う。こうした日産らしい挑戦を“やっちゃえ精神”で次々と仕掛けていき、それらをメッセージの柱としたブランドコミュニケーションを今年度は大々的に仕掛けていく」と述べ、この活動を強力に推進するべく国内専任の役員に据えられたのが星野朝子氏となる。その星野氏は、「エクストレイルは発売以来、国内の累計販売台数は7万台。国内のみならず海外でも好調で、今後の日産の収益を支えるトップクラスのモデルになってほしい」と期待感を示した。
エクストレイル ハイブリッドの概要を紹介した藤井氏は、「エクストレイル ハイブリッドはALL MODE 4×4-i、アクティブライドコントロールなど高い走行性能はそのままに、ハイブリッド技術という強みをプラスする形で進化させた」とし、「免税ラインをクリアする燃費・環境性能」「あらゆるシーンで余裕のある走り」「快適な走行を実現する高い静粛性」がポイントになると紹介。
エクストレイル ハイブリッドは全車で「平成32年度燃費基準+20%」を達成、「平成17年基準排出ガス75%低減レベル」に認定されたことでエコカー減税で自動車取得税と自動車重量税が免税(100%減税)になる。この免税ラインをクリアするために採用されたのが、ハイブリッドシステムの「インテリジェント デュアル クラッチ コントロール」であると自信を覗かせる。
また、走行性能については「2.5リッタークラスを凌駕する最大270Nmのトルク」「低速重視のモーターアシストによる粘り強い加速」が特徴であると語るとともに、「発進時はモーターのみを使い、加速領域ではエンジンも始動するがアクセルOFFでエンジンは切れる。インテリジェント デュアル クラッチ コントロールの採用によってかなり幅広い領域でEV走行が可能になり、静かでなめらかな加速を味わえる」と、その魅力について語った。