写真で見るボルボ「S60」


 ボルボ「S60」は2000年に初代が登場、2010年に初のフルモデルチェンジを受けた。日本では3月から発売される。

 S60のモダン・スカンジナビアン・デザインを取り入れた、ドイツ車やフランス車とはひと味違うムードを醸し出している。エクステリアは流麗ながら落ち着いた雰囲気の先代モデルから一転、ウエッジシェイプを基調としつつ、クーペのようなルーフラインを持ったアグレッシブなフォルムになった。ヘッドライトからテールランプにかけてのサイド面には、ボルボが「ダブルウェーブ」と呼ぶラインを採用。低いフォルムとボリューム感を強調した美しいシルエットを描いている。

 インテリアもスカンジナビアン・テイストでまとめあげた。レザー、メタル、ウッド、プラスチックなどマテリアルレベルから見直され、各パーツの段差や合わせ面にまでこだわった作り込みがなされている。センターコンソールには、引続き独自のセンタースタックと呼ばれる造形を採用している。

 新型S60の最大の特徴となるのが、強化された安全対策だ。もともと乗員の保護においては定評がある同社だが、今回は「衝突の防止」という観点から新たに2種類のテクノロジーを採用してきた。S60には「DRIVEe」と「T6 AWD」の2つのグレードが用意されるが、そのどちらにもこれら2つの安全装備が標準で搭載される。

 1つ目が、世界初の歩行者検知機能「HUMAN SAFETY」(ヒューマン・セーフティ)。これはフロントグリルに設置されたレーダーと、フロントウインドー上部に設置されたデジタルカメラにより、車体前方にある物体の種別を判定。それが歩行者であれば警告を発し、ドライバーの反応が間に合わなければ自動的にフルブレーキにより停止または減速するもの。これにより時速35km/h以下の速度において、歩行者との衝突を可能な限り回避し、35km/h以上であれば被害を軽減する。

 2つ目が、XC60から採用されている「CITY SAFETY」(シティ・セーフティ)。これは約6m以内の前方車両をレーザーセンサーで監視し、追突の危険を感知すると自動的にブレーキを作動させるもの。必要なブレーキパワーを計算して作動することで、時速15km/h未満の場合は追突を回避。時速15~30km/hの場合には被害を最小化する。

 パワートレーンは、「DRIVe」が新開発の1.6リッターの直列4気筒直噴ターボエンジンと6速デュアルクラッチAT「POWERSHIFT」、「T6 AWD」が3リッターの直列6気筒ターボエンジンと6速トルコンATを搭載。後者は電子制御4輪駆動システムが組み合わされ、路面状況に応じた最適なトルク配分を行うことで、走行安定性とトラクションを確保してくれる。

 同時にシャシー性能も見直され、ステアリングコラムのねじれ剛性を100%アップしたのをはじめ、各部の剛性を大幅にアップ。さらにステアリングギア比の10%アップなど、シャープなハンドリングとダイレクトなフィーリングを実現している。

 T6 AWDには、標準モデルの「SE」と、ドレスアップモデルの「R-DESIGN」が用意される。価格は「S60 DRIVe」が375万円、「S60 T6 AWD SE」が519万円、「S60 T6 AWD R-DESIGN」が579万円。

 ボディーカラーは全15色が用意されるが、「S60 T6 AWD R-DESIGN」のみ全7色の設定となる。

S60 T6 AWD R-DESIGN
 シリーズ中、もっともホットなモデル。大型のエアインテークを備えたフロントバンパー、専用チューニングのスポーツサスペンションなどを採用。

 エンジンは3リッターの直列6気筒ターボユニットで、ツインスクロールターボや可変バルブタイミング機構の採用などにより、最高出力224kW(304PS)/5600rpm、最大トルク440Nm(44.9kgm)/2100-4200rpmを発生。また、ブレーキエネルギー回生システムを採用しており、10・15モード燃費で8.9km/Lを実現している。

 撮影車両のボディーカラーはパッションレッド。シートカラーはオフブラック/セラミックライト、インテリアカラーはアンスラサイトブラック。

水平基調の初代から一転、前傾姿勢のアグレッシブなフォルムに生まれ変わった2代目S60。「ボルボ=実用的なハコ」というイメージはもはや過去のもの

 

アグレッシブなイメージを強く感じさせる大きな開口部を持つフロントバンパー、専用ディフューザーを装着したリアバンパーなど、R-DESIGN専用アイテムを装着

 

3リッターの直列6気筒ターボユニットはフロントに横置きされるエキゾーストパイプはデュアルタイプで他のモデルと同様だが、専用のリアディフューザーによりスポーティさを強調するアルミホイールは専用の「Lxion」。タイヤサイズは235/40 R18
フロントグリルも光沢を抑えたシルクメタルを採用した専用アイテム。フロントビューカメラはオプションオプションのパークアシストカメラはこの位置に

 

インテリアの造形は全モデル共通。フリーフローティング・センタースタックのアルミパネル、ステアリング、ペダル、シフトノブなどが専用パーツとなるR-DESIGNのロゴが入る専用ステアリング。スポーク部分のスイッチでオーディオをはじめ、ACCやBLISなどの各種設定操作が可能
クロノグラフ風の文字盤を採用したメーターパネルもR-DESIGN専用フロントウインドー上部に設置されるHUMAN SAFETYやCITY SAFETY用のセンサー
インストゥルメントパネル中央上部に設置される7インチディスプレイには各種情報やナビゲーションの表示が可能R-DESIGNでは3モードVICSを備えたHDDナビやフルセグ地デジチューナー、DVDビデオプレーヤー、650W/12スピーカーのプレミアムサウンド・オーディオシステムも標準だ
「私のS60」メニューでは電子制御デバイスの設定や状態の表示が可能
センサーにより車両前方および後方の障害物を感知するパーキングアシストが標準(R-DESIGN以外はリアのみ標準)。オプションのフロント/リアカメラを装着すれば、映像による確認も可能
専用のレザーシートを標準装着。カラーは写真のオフブラック/セラミックライトのコンビネーションタイプのほか、オフブラックのみモノカラー仕様も選ぶことができる運転席はドアミラー連動メモリー機構付きの8ウェイパワーシート。助手席も8ウェイパワーシートで、シートヒーターと手動調整のランバーサポートも標準レーシーなデザインのアクセル&ブレーキペダル。その下に見えるフロアマットもR-DESIGN専用品
サイドシルにはVOLVOロゴ入のプレートフロントシード同様のデザインが施されたリアシート後席中央部には収納式のカップホルダー付きアームレスト
センターコンソール後部にはリアシートから利用できるDC12VソケットBピラーに後席用のエアコン吹き出し口を用意マップ&ルームランプはフロントだけでなくリアにも
トランクは上方まで大きく開くタイプ。リアデッキが短く開口部が広くないわりに、大きな荷物の積み卸しもラクに行える見た目の印象よりも容量が大きなトランクルームリアアームレスト部分はトランクスルーも兼ねている
トランク上部にはリアシートのバックレストを倒すためのレバーが設置されているトランクの床から引き起すセパレーター。黄色のベルトは伸縮式で、ものを挟んで固定しておくことができる。シンプルな作りだが細かな荷物の散乱を防ぐのに便利だトランク右側には地デジ用のB-CASカードリーダー
左側にはDC12Vのアクセサリーソケットを装備スペアタイヤを搭載しないため電動コンプレッサー付きのパンクリペアキットが用意されている
リアシートは60:40の分割可倒式。荷物の量やサイズに応じたアレンジが可能だ

 

エクステリア・スタイリング・パッケージ(17万円)を装着したモデル。内容はフロント・スキッド・プレート、フロント・デコフレーム、サイド・スカッフプレート、リア・スキッドプレート、専用マフラーカッターの全5アイテムとなる

S60 DRIVe
 132kW(180PS)/5700prm、240Nm(24.5kgm)/1600-5000rpmの1.6リッターの直列4気筒直噴ターボエンジンを採用したベーシックモデル。小排気量+過給器の組み合わせで、必要十分な動力性能を確保しながら12.6km/Lの低燃費(10・15モード)を実現。平成17年度排出ガス基準75%低減レベルを達成している。

 本革シートや17インチアルミホイールが標準となる「レザー・パッケージ」、HUMAN SAFETやBLIS(ブラインドスポット・インフォメーション・システム)などが標準となる「セーフティ・パッケージ」、HDDカーナビやフルセグ地デジTVなどが標準となる「ナビゲーション・パッケージ」と、3タイプのパッケージオプションが用意されている(各25万円)。

 撮影車両のボディーカラーはエンバーブラック。シートカラーはピーチウッド/オフブラック。すべてのオプションパッケージが装着されている。また、一部写真のモデルにはエクステリア・スタイリング・パッケージが装着されている。

ブラックのボディーカラーで精悍な印象のDRIVEe。いかにもベーシックモデル的な安っぽい雰囲気は感じられない。ヘッドライトは標準ではデュアル・ハロゲンタイプだが、ナビゲーション・パッケージの装着によりデュアル・キセノンタイプに変更されている

 

トランクリッドに装着されるDRIVeのエンブレムフロントに横置きされる1.6リッターの直列4気筒直噴ターボエンジン
標準のタイヤサイズは215/55 R16だが、撮影車両はレザー・パッケージ仕様のため215/50 R17に変更されている。ホイールは標準でもアルミホイールを装着しているが、同様に「Oden(7J×16)」から「Balder(7J×17)」に変更されているエクステリア・スタイリング・パッケージ装着時のリアバンパー周辺。デュアルテールパイプは標準仕様と同じだが、受ける印象はかなり異なる

 

ステアリングは本革巻きの3本スポークタイプ。仕上げは異なるものの形状やスイッチなどはR-DESIGNと同じだステアリングコラム左右のレバーではウインカー、ワイパーの操作に加え、メーター内ディスプレイの表示選択も行える
フリーフローティング・センタースタックにはエアコンやオーディオの操作スイッチが並ぶ。オーディオは160W/8スピーカー、DVDビデオプレーヤーのハイパフォーマンス・オーディオシステムが標準シフトノブは本革巻き。マニュアル操作可能なギアトロニック仕様だキーはイモビライザー付きのリモコンタイプ。オプションでキーレスドライブが可能なスマートキーシステムもチョイスできる
インパネ右端に用意されるライト操作用のパネル。トランクやフューエルリッドのオープナーも容量のあるグローブボックス。ETC車載器はオプションデザインは異なるもののメーターそのものはR-DESIGNと変わらない
メーター中央部にある液晶ディスプレイには各種情報の表示が可能
レザー・パッケージ装着車のため、本革シートに加えセンタースタックなどはシマーグラファイトアルミニウム・パネル仕上げとなっている8ウェイパワーシート。ランバーサポートはダイヤル式
フロントドアにはパワーウインドースイッチのほか、サイドミラーおよびドアロックのスイッチもセンターアームレスト下のボックスにはポータブルオーディオプレーヤーなどが接続可能なUSBポートおよびAUX端子が備わる
広々としたリアシート。中央部に収納式のアームレストが備わるのは他のグレードと同様リアドアにはパワーウインドーのスイッチのほかスピーカーと小型のポケットを用意
トランクまわりの機能はR-DESIGNと同じ

S60 T6 AWD SE
 3リッターエンジン搭載の標準モデル。パワートレインの仕様はR-DESIGNと同等。装備面ではHUMAN SAFETYなどがオプション(セーフティ・パッケージ)となるが、本革シートやHDDナビゲーションは標準となる。

 撮影車両のボディーカラーはヴァイブラントカッパー、シートカラーはピーチウッド/オフブラック。

DRIVeとT6 AWD SEを外観で判別するのは難しい。一番わかりやすいのはホイールデザインの違いだが、バンパー開口部のクロームの縁取りなど細かな違いがあるリアには専用のエンブレムが装着される
パワートレインはR-DESIGNと共通のためマフラーもデュアルテールパイプ仕様タイヤサイズは235/45 R17。アルミホイールは「Njord(8J×17)」ヘッドライトはデュアル・キセノンタイプ。自動光軸調整とヘッドライトウォッシャーも標準
フィンタイプのアンテナはルーフ後方に設置されるリアウインドーはボディー面よりわずかにへこみを持たせた複雑な形状
ドアミラー下部には「BLIS(ブラインド・スポット・インフォメーション・システム)」用のカメラを装着。これは死角に車両がいる場合、ドアミラーポストのランプで教えてくれるもの。R-DESIGNおよびセーフティ・パッケージ装着車に装備される燃料は全車無鉛プレミアムガソリン仕様

 

R-DESIGNのようなメタルフィニッシュが施されたステアリング。グリップ部分などはDRIVeと同じ形状だメーターパネルはDRIVeと同じ
オプションのアーバンウッド・パネルを装着したセンタースタック。このパネルはDRIVeでも選択可能だ。オーディオはDRIVeと同じハイパフォーマンス・オーディオシステムだが、HDDナビ&フルセグ地デジは標準で装着されているパネルが浮いたように見えるセンタースタックインパネ右側のライトパネルとパーキングブレーキスイッチ。このあたりはモデルに関係なく共通の仕様
スターターはプッシュ式フロントのルームランプおよびマップランプ運転席、助手席ともサンバイザー裏にはバニティミラーと照明が付く
グローブボックスは照明付きシートは標準で本革仕様となるなど、DRIVeのレザー・パッケージと同等。運転席、助手席とも8ウェイパワーシートだ
サイドシルにはボルボのロゴ入プレートが付くBピラー下部にはSIPS(側面衝撃吸収システム)のロゴが入る。また、横転時に乗員を保護するROPS(横転保護システム)も採用するなど、ボルボらしい安全対策が随所に施されているフロントアームレスト下にUSBポートやAUX端子を用意。前方には小物入れとしても使えるシャッター付きのカップホルダー
地デジ用のリモコンを標準装備ドアアームレスト部もアーバンウッドパネル仕様に
リアシートまわりも全モデル共通の仕上がり

 


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(安田 剛)
2011年 3月 14日