写真で見る スバル「レガシィ」 マルチインフォメーションモニターのウェルカム動画を掲載 |
1989年の登場以来、スバル(富士重工業)の基幹車種として進化を遂げてきた「レガシィ」。2009年に5代目として登場したBR/BM型は、ボディーの大型化と同時に2.5リッターエンジンをメインユニットとするなど、これまでより「ひとクラス上」を目指したモデルだ。
同車は発売以来、2010年と2011年に年次改良が行われているが、この5月には3度目となる改良が実施された。2010年の年次改良では、いまやレガシィの販売台数の8割~9割が搭載するという先進安全運転支援技術「EyeSight(ver.2)」をBR/BM型に初搭載。2011年の年次改良では、EyeSight(ver.2)搭載車種を拡大した。
今回は「全性能進化」をコンセプトに「デザイン」「環境・燃費」「走り」「安心・安全」と、多くの要素について踏み込んだ改良が施されたのが特長となる。
■新型エンジンや新型トランスミッション搭載車をラインアップ
エクステリアやインテリアにもメスが入れられているが、最大の注目点といえるのは2.0リッターの新型エンジンと、2.5リッターの新世代ボクサーエンジンが搭載されたことだ。
この2.0リッターの4気筒ボクサーユニット「FA20型」は直噴を採用しており、ボア×ストロークは86×86mmを採用する。とくれば、ピンと来た人もいるかもしれないが、エンジン型式は「86」「BRZ」と同じ「FA20」で、自然吸気ではなくツインスクロールターボを搭載している。直噴システムもスバル独自のモノ(Diシステム)になっているなど、86/BRZに搭載されたFA20との共通部品は多くない。
気になるスペックは最高出力221kW(300PS)/5600rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/2000-4800rpm。2.5リッターのEJ25ターボが210kW(285PS)/6000rpm、350Nm(35.7kgm)/2000-5600rpmのため、排気量は下がったものの動力性能自体は向上していることになる。ダウンサイジングの恩恵は燃費面にも現れており、JC08モード燃費は10.2km/Lから12.4km/Lと、こちらも大きくアップしている。
この直噴ターボエンジンに組み合わされるトランスミッションはトルクコンバーターやチェーンなどを強化した高トルク対応型CVT(リニアトロニック)のみ。同時にリニアトロニックとして初めてVTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)が組み合わされたことにより、高いトラクション性能と走行安定性を手に入れている。また、SI-DRIVEも専用タイプを採用しており「S#」モードでは8段ステップ変速とすることで、MTのようなダイレクト感が味わえるチューニングも加えられている。
一方、主力となる2.5リッターの自然吸気エンジンも従来のEJ系から、インプレッサから搭載されている新世代のFB系、FB25に世代交代。ボア×ストロークが99.5×79.0mmから94.0×90.0mmとスクエア方向に振られたほか、駆動方式がベルトからチェーンに、動弁系デバイス機構が「i-AVLS」から「吸気AVCS」に変更された。スペックは最高出力125kW(170PS)/5600rpm、最大トルク229Nm(23.4kgm)/4000pmから127kW(173PS)/5600rpm、235Nm(24.0kgm)/4100rpmと、数字の上ではわずかな違いにとどまるが、3000rpm付近のトルクアップに伴い、乗りやすさと軽快感が向上しているという。
組み合わされるCVT「リニアトロニック」も第2世代の新型となり静粛性が向上したほか、燃費面でも同時に採用したアイドリングストップの効果などもあり、13.2km/Lから14.4km/L(10・15モード)とアップしている。
シャシー&ボディー関連では、剛性向上によるハンドリングと乗り心地の向上を実現。具体的にはクレードルフレームへの溶接やリア・サポートサブフレームの追加といった部分から、ダンパー&サスペンションの減衰力&バネ定数変更、ブッシュやマウントのハード化、スタビライザー径のアップなど、多岐にわたる改良および変更が行われている。
スバルが誇る安全装備と言えば「EyeSight」だ。前々回の改良から第二世代となる「EyeSight(ver.2)」が搭載されているが、今回の改良ではバージョンこそ変わらないもののさらに性能を向上している。
大きなポイントはカメラからの画像の認識処理を変更したことで、追いつき時の応答性改善やコーナーでの前走車認識性能が向上し、衝突回避性能が高められたと言う。また、クルーズコントロール中にアイドリングストップした場合、再始動時にはエンジンが再始動するとともに追従まで再開するなど、安全性と同時に燃費や利便性も高める協調制御が組み込まれた。
それ以外にも、最近増えつつある誤操作による誤発進を防ぐ機能として、アクセルとブレーキを同時に踏み込んだ場合、ブレーキを優先する「ブレーキオーバーライド」も搭載した。
ラインアップはB4(セダン)、ツーリングワゴン、アウトバックの3モデル構成である点は継承されているが、新たに2.0リッターターボモデルが追加となったことで、大幅に整理&変更された。
ターボモデルは新しい2.0リッターモデルに加え2.5リッターも継承され、それぞれ1グレードずつ用意される。これは現状では2.0リッターにEyeSight(ver.2)の設定がないためと思われ、9月に予定されている追加モデルの発売と同時に消滅することになりそう。そのほか2.5リッターの自然吸気エンジン搭載車は3モデルすべてに用意されるほか、アウトバックには6気筒3.6リッターエンジン搭載グレードも用意されている。
ボディーカラーは有料オプションとなる「クリスタルブラック・シリカ」「サテンホワイト・パール」「ヴェネチアンレッド・パール」のほか、標準色として「ダークグレー・メタリック」「アイスシルバー・メタリック」「ディープシーブルー・パール」「バーニッシュブロンズ・メタリック(アウトバック専用色)」の計7色が用意されている。
■ツーリングワゴン
用意されるグレードは2.5リッターターボエンジン搭載の「2.5GT EyeSight」、2.0リッター直噴ターボエンジンを搭載する「2.0GT DIT」、2.5リッターの自然吸気エンジン搭載車が「2.5i」「2.5i L Package」「2.5i EyeSight」「2.5i EyeSight S Package」で、合計6タイプ。価格は243万6000円~359万1000円。
撮影車両は2.0リッター直噴ターボエンジンを搭載した「2.0GT DIT」。ボディーカラーはディープシーブルー・パール。オプションとして「LEGACYマッキントッシュ・サウンドシステム&HDDナビゲーションシステム」とサンルーフが装着されている。
大きく印象が変わったフロントまわり。目立つのはグリルだが、ヘッドライトやバンパーも新しくなった | フロントまわりとは対照的にリアは大きく変わらない印象だ |
ヘッドライトはプロジェクターランプを囲むような「コの字型」のデザインとなった。2.0GT DITのみブラックベゼルとなる | こちらはシルバータイプのヘッドライト |
グリル形状は大きく変更され、水平基調のヘキサゴンデザインとなった。2.0GT DITのみダーク調で他のグレードはメッキタイプ。アウトバックは専用デザインとなる。左から、ツーリングワゴン、B4、アウトバック |
マルチリフレクタータイプのフォグランプが標準。LEDアクセサリーライナーはディーラーオプション | ターボモデルの象徴でもあるボンネットバルジは2.0リッター直噴ターボモデルにも健在 | ドアミラーはターンインジケーター付。2.0GT DITには「オールウェザーパック」が標準のためヒーテッド機構も装備 |
リアゲート左側には「シンメトリカルAWD」のバッヂ | レガシィロゴの下には専用となる「DIT」のバッヂ |
左側リアコンビランプにはバックランプが付く | 右側リアコンビランプにはリアフォグランプを内蔵 |
新開発のFA20直噴ターボエンジン。エンジンルームが若干スッキリしたように見える | ブルーのアクセントが入ったエンジンカバーは専用アイテム。空冷式のインタークーラーを搭載 | マフラーはデュアルテールタイプで大径マフラーカッターも装備 |
ガンメタリック塗装+切削光輝仕上げの18インチアルミホイールが標準。タイヤはPOTENZA(ポテンザ) RE050Aでサイズは225/45 R18 | フロント倒立式のビルシュタイン製ダンパーはお約束的なアイテム。2.0GT DITのほかは2.5i EyeSight S Packageのみ標準となる |
造形は大きく変わらないものの上質感が増した印象のインストルメントパネルまわり。センターパネルなどの加飾がシルバー調からダークメタリック調に変更になったことが大きい。また、グローブボックス上などの加飾はカーボン調を採用 |
マルチインフォメーションモニターのウェルカム動画 |
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ステアリングの加飾もダークメタリック調に | 左右のスポークにはボタンが多く配置される。左は従来どおりオーディオ系、その下はマルチインフォメーションディスプレイ用 | 右にはSI-DRIVEのスイッチがコンソールから移設されている |
インパネ中央にはナビゲーション、オーディオ、エアコンパネルが並ぶ | オプションのマッキントッシュオーディオ。パワーアンプの2台化、ツイーターのクロス配置化などによりさらなる高音質化が図られている | インパネ右側にはドアミラーなどのスイッチ。従来ヒルホールドスイッチはエンジンオフでリセットされていたが、ラストメモリー化により使い勝手を向上。エンジンスターターはプッシュ式を採用する |
シートはスポーティクロスと合成皮革のコンビネーションタイプ。ステッチのカラーは専用のブルーとなる | 運転席は10ウェイ、助手席は8ウェイのパワーシートが標準 | 運転席ドアのアームレスト部にはパワーウインドーのスイッチ。今回の改良により全ウインドーがオート化されている |
BR/BM型の大きな美点でもあるリアシートの居住性はそのまま | リアのウインドースイッチもオート化されている(写真は別グレードのもの) |
ワゴンならではの広いラゲッジルーム。6:4分割可倒式のリアシートを利用すれば大きな荷物もラクラク |
マッキントッシュ装着車はラゲッジに大きなサブウーファーを用意 | 荷物用のフックとともにリアシート用のリモートフォールディングレバーが備わる | フロア下には収納スペース。後方(写真手前側)にトノカバーが収納できるようになっている |
さらにその下にはスペアタイヤおよび牽引用フック、ジャッキなどを収納 | フロアボードには開口状態をサポートするためのフックが付いている |
■B4
セダンボディーであるB4の変更点は、エクステリア&インテリアをはじめツーリングワゴンに準じたもの。グレード構成もツーリングワゴンとまったく同じ6タイプとなっている。価格は226万8000円~343万3500円。
撮影車両は2.5i EyeSight、ボディーカラーはダークグレー・メタリック。オプションとしてサンルーフが装着されている。
ツーリングワゴン同様のフェイスリフトにより、全体的に落ち着いた印象となった | リアビューでは変更前モデルとの見分けはつきづらい |
ヘッドライトはシルバータイプ | 2.0GT DIT、2.5i EyeSight S Package以外のモデルはメッキのグリルが付く |
バンパー形状は曲率を変更することでボリューム感をアップ。それに伴って全長も15mmほど伸びている。フォグランプは全グレードに標準 | サイドシルスポイラーもグレードに関わらず装着される |
燃料タンク容量は65L。自然吸気エンジン搭載車はレギュラー、ターボエンジン搭載車はハイオク指定だ | リアワイパーはオールウェザーパックにセット。同パックはベースグレードの2.5i以外には標準装備されている |
右のリアコンビランプにはリヤフォグランプをビルトイン。これもオールウェザーパックのセットアイテム |
2.5リッターの自然吸気モデルに搭載される新世代ボクサーエンジン「FB25型」は、国内モデルでは初となる |
マルチインフォメーションディスプレイの表示。最上部から「ECOゲージ」「基本画面」「SI-DRIVE/シフト/インフォメーション」「EyeSight/低速クルーズコントロール」「オド/トリップ」表示となる |
SI-DRIVEは全車標準となり、右スポーク下部にスイッチが配置される。左側に「S#/I」ボタン、右側に「S/I」ボタン | 標準状態はI |
S以外のモードでS/Iボタンを押すとSに。SではIになる | S#以外のモードでS#/Iボタンを押すとS#に。S#ではIになる |
センターコンソールにはヒルホールド機能付電動パーキングブレーキのスイッチ | ペダルはごく普通のラバータイプ | オーディオは全車オプションだが、2.5i以外はフロント4+リヤ2の6スピーカーが用意されている |
インパネ右のスイッチパネル。2.5i以外の自然吸気エンジン搭載車にはアイドリングストップが装備されるため、そのキャンセルスイッチが追加されている | マップランプのほかバニティミラーにも照明が付く |
カメラ画像認識処理の変更などにより進化したEyeSight(ver.2) |
EyeSight(ver.2)の設定やアラートは、マルチインフォメーションディスプレイにも表示される |
従来は速度設定が5km/h刻みだったが、新たに1km/h刻みの設定も可能になった |
シート表皮は「シルキークロス」。2.5i以外は運転席10ウェイ、助手席8ウェイのパワーシートが標準と豪華。ステッチのカラーはホワイト | パワーウインドーは前席オート対応 |
リアシート中央にはカップホルダー付のアームレストが備わる |
奥行きが深く大容量のトランク。アームレスト部分はトランクスルーとなっている |
■アウトバック
アウトバックにはターボモデルの設定がなく、すべて自然吸気エンジンを搭載。2.5リッターモデルはB4、ツーリングワゴンと同じ4タイプ。そのほか唯一、6気筒3.6リッターエンジン搭載の「3.6R EyeSight」が設定されている。価格は269万8500円~372万7500円。
メインの撮影車両は2.5i EyeSight S Package、ボディーカラーはヴェネチアンレッド・パール。オプションとしてLEGACYマッキントッシュ・サウンドシステム&HDDナビゲーションシステムとサンルーフが装着されている。
右から2.5i EyeSight S Package、3.6R EyeSight、2.5i EyeSight。このサイズだと分かりづらいが、エクステリアが少しずつ異なる |
アウトバックの中でもっともスポーティなモデルに位置づけられる2.5i EyeSight S Package。唯一ルーフレールが付かない設定 |
フォグランプは全グレード標準だが、バンパーが唯一カラードタイプとなる |
フロントグリルは2.0GT DITと同じダーク調を採用 | 通常LEGACYエンブレムが装着される位置にはOUTBACKのロゴに |
エンジンは2.5リッター自然吸気のFB25 | ほかのグレードが225/60 R17のオールシーズンタイヤを履くのに対し、このグレードのみ225/55 R18タイヤに。銘柄も「デューラーH/Pスポーツ」と高性能タイプになっていた |
マフラーはテールパイプが後方から見えない下向き排気タイプ | 2.5i EyeSight S Packageのみビルシュタイン製ダンパーが標準となる |
インパネまわりは共通。スポーツモデル的な位置づけとなるため2.0GT DITと同じカーボン調加飾パネルなどが装着される | ステアリングは本革巻き。マッキントッシュ装着車のため、左スポークにはオーディオ系の操作スイッチが付く |
メーターパネルは共通 | センターコンソール周辺もほかのモデルと変わらない | スポーツタイプのアルミペダルを装備 |
オプションのLEGACYマッキントッシュ・サウンドシステム&HDDナビゲーションシステムは利便性や快適性はもちろん高級感も | シートも2.0GT DITと同じサイドに合成皮革を使ったスポーティクロス。このグレード以外はシルキークロス |
3.6リッターエンジンを搭載する3.6R EyeSight。バンパー下部が無塗装のため少し車高が高く見える |
このグレードのみルーフレールがシルバータイプに。ほかのグレードは無塗装のためブラックタイプ。左が3.6R EyeSight | 3.6リッターのEZ36ユニット。最高出力191kWQ(260PS)/6000rpm、最大トルク335Nm(34.2kgm)/4400rpmと2.5リッターの自然吸気を大幅に上回る。トランスミッションもCVTではなくE-5AT |
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http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/
(安田 剛)
2012年 5月 15日