本田技研工業の新型「シャトル」はコンパクトサイズのステーションワゴン。実質的な初代モデルとなるのは、3代目シビックと同時期に販売されていた「シビックシャトル」。4代目シビック登場と同時に2代目が販売されたものの、その後、シャトルの名前は一時姿を消してしまう。だが、2011年に2代目フィットが誕生したのに伴い「フィットシャトル」として復活。そして3代目フィットのステーションワゴンモデルとなるのが、このシャトル。ただし、ネーミングはこれまでのベースモデル+シャトルの組み合わせから、この新型では純粋に「シャトル」のみとなった。
ボディーは5ナンバーサイズならではの取りまわしのよさを重視し、4400×1695×1545mm(2WD車の全長×全幅×全高。4WD車の全高は1570mm)。全長はフィットから400mmほど長くなっているものの、ホイールベースは同じ2530mmとなっている。最小回転半径も同じく4.9m(一部モデルでは5.2m)で、ほとんどの立体駐車場にも問題なく駐車可能と、都市部のユーザーに嬉しいサイズだ。
コンパクトなボディーサイズながらラゲッジスペースはステーションワゴンならではの広さを確保。シャトルにはガソリン車とハイブリッド車がラインアップされるが、床下収納を含めた荷室容量は前者が5名乗車で606L、2名乗車には1177L、ハイブリッドシステムを搭載する後者でもそれぞれ570L、1141Lを実現している。これは燃料タンクを前席下に納めるホンダの独自技術「センタータンクレイアウト」により実現したものだ。
パワートレーンは3代目フィット譲り。メインとなるのは1.5リッター直列4気筒ガソリンエンジンとモーター内蔵7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせた「SPORT HYBRID i-DCD」ハイブリッドシステム。スペックは、システム最高出力としては110kW(137PS)。それぞれ単体になると、エンジンが最高出力81kW(110PS)/6000rpm、最大トルク134Nm(13.7kgm)/5000rpm。モーターが最高出力22kW(29.5PS)/1313-2000rpm、最大トルク160Nm(16.3kgm)/0-1313rpmとなる。JC08モード燃費は25.8km/L~34.0km/Lと、ハイブリッド車ならではの低燃費を実現している。
一方、ガソリンエンジンはフィットの上級グレードに採用される1.5リッター直列4気筒 i-VTECユニット「L15B」を搭載。こちらはCVTとの組み合わせとなり、最高出力97kW(132PS)/6600rpm、最大トルク155Nm(15.8kgm)/4600rpm。JC08モード燃費は19.4km/L~21.8km/Lと、ハイブリッド車には及ばないものの十分にハイレベルな数値と言える。
グレードはハイブリッド車が「HYBRID」「HYBRID X」「HYBRID Z」の3タイプ、ガソリン車が「G」の1タイプ。すべてのグレードに2WD(FF)と4WDが用意される。HYBRIDの価格は2WD車は200万円を切る199万円、4WD車は218万4400円。
HYBRID Z
ハイブリッド車の最上級グレードとなるのがこのモデル。HYBRID Xの装備に加えフォグランプやシートヒーター、ルーフレール、16インチアルミホイールなどを標準で装備する。撮影車両のボディーカラーはオプション設定される「ミッドナイトブルービーム・メタリック」。内装色は「リゾーターブラウン」だが「クラッシーブラック」も選択可能。「Hondaインターナビ」+「リンクアップフリー」+「ETC車載器」はハイブリッド車にメーカーオプションとなる。車両価格は2WD車が238万円、4WD車が254万2000円。
エクステリアはステーションワゴンらしいシルエット。フロントタイヤ後方からリアへと続くキャラクターラインが印象的だ フロントマスクはフィットより落ち着いた印象。横基調のグリルはハイブリッド車専用 LEDウインカー内蔵の電動格納式リモコンカラードドアミラーは全車に標準装備。スマートキーによるロック、アンロックに連動して開閉するオートリトラミラータイプ フロントフェンダーにはお馴染みのハイブリッドバッヂが付く HYBRID Zには16インチアルミホイールが標準。撮影車両のタイヤはブリヂストン「トランザ ER370」でサイズは185/55 R16 ガソリンは無鉛レギュラー仕様。タンク容量はHYBRIDの2WD車のみ32L、その他は40L アルミ製ルーフレールはHYBRID Zにのみ標準装備となる ハイブリッド車のLEDリアコンビランプはクリア部分がブルーに着色される リアコンビランプの導光部分がリアゲート部まで伸びているのもハイブリッド車のみ エンジンルームには1.5リッター直列4気筒ガソリンエンジンのほか、モーター内蔵7速DCTなどが収る。ただ、見た目は普通のガソリン車のようだ インパネはフィットに似た造形ながらよりワイド感を強調したデザイン。見た目にも上質な仕上がりだ シフトレバーはホンダハイブリッド車共通のシフトバイワイヤ仕様 ハイブリッド車はHondaスマートキーシステムが標準になる ハイブリッド車専用のメーターパネル。左はパワーメーターなど、右はマルチインフォメーションディスプレイ マルチインフォメーションディスプレイには各種情報表示を可能 HYBRID Zのみ左右独立温度コントロール式フルオートエアコンが標準になる。プラズマクラスターも内蔵 シフトレバー下にはDC12VアウトレットやUSB&HDMIなどの端子を装備 センターコンソール後方はアームレスト&収納スペース。サイドブレーキが足踏み式になったことでフィットより使い勝手がアップしている インパネ右側上部に小さな収納。キーを置いておくのに便利そうだ サンバイザー裏にバニティミラーを装備。これは全車共通 サイドに本革風の質感を持つプライムスムース、中央にファブリックを配したコンビタイプのシート表皮を採用。HYBRID Zはショルダー部などのステッチをダブルタイプにすることで高級感をアップ ドアトリムには木目調パネルとともにシート表皮と同じファブリックを採用 座面のチップアップも可能。リアラゲッジに収まらない高さのあるものを積み込める リアシート背面には折り畳んで収納することが可能なマルチユースバスケットを装備 荷室容量は5名乗車時でもサブトランクを含んで570L。9.5型のゴルフバッグ4個を積み込める リアシートを畳めば荷室容量は1141Lまで拡大。フロアはフラットで荷物の出し入れがラク リアシートは6:4分割可倒式。乗車人数や荷物の大きさによってアレンジ可能だ フロア後方にサブトランクを装備。ハイブリッド車の場合、IPU(インテリジェントパワーユニット)があるためフロア前側は収納として使えない サブトランク下にはパンク修理キットなどが収まる。全車スペアタイヤは非装備だ HYBRID X
ハイブリッド車のミドルグレード。LEDヘッドライトや本革巻ステアリング&パドルシフト、事故回避支援システム「シティブレーキアクティブシステム」などをセットにした「あんしんパッケージ」などが標準となる。撮影車両のボディーカラーはオプション設定される「ミスティックガーネット・パール」。内装色は「アイボリー」だが「ブラック」も選択可能だ。車両価格は2WD車が219万円、4WD車が238万4400円。
ルーフレールやフォグランプが付かないためか、HYBRID Zと比べるとさっぱりとした印象 ホイールはスチール。タイヤはブリヂストンの「エコピア EP150」でサイズは185/60 R15 ヘッドライトの点灯パターン。HYBRID XとZにはLEDヘッドライトが標準 シート表皮はHYBRID Zと同じプライムスムースとファブリックのコンビネーションタイプ ファブリックのパターンはHYBRID Zと異なり、ステッチもシングルタイプになるなど若干の差別化が図られている G
唯一のガソリンエンジン搭載グレード。装備的には「HYBRID」をよりシンプルにした内容となっており、ナビゲーションシステムもハイブリッド車に用意されるシステムは設定なしとなる。撮影車両のボディーカラーは「ホワイトオーキッド・パール」、内装色は「ブラック」。車両価格は2WD車が169万円、4WD車が188万4400円と、唯一駆動方式を問わず200万円を切るプライスが付けられている。
ヘッドライトはプロジェクタータイプのハロゲン仕様。LEDもオプションで選択可能だ サイドスポイラー付の大型テールゲートスポイラーは全車標準装備 リアコンビランプのクリア部分は若干スモークが入った仕上げ ホイールはスチールでフルホイールキャップが付く。タイヤはヨコハマゴムの「ブルーアース E50」でサイズは185/60 R15 マフラーはテールパイプが後方から見えづらいデザイン 内装色の違いによりイメージが異なるが見た目にはハイブリッド車と大きな違いはない。加飾はブルーメタリック塗装 ステアリングはウレタンタイプでスポーク部のボタンなども少ない。パドルシフトも非装着 シフトはストレートタイプのゲートを持つタイプ。「S」モードがない代わりにアイドリングストップのオフボタンが付く ナビゲーションはディーラーオプション。ナビ装着用のバックカメラなどをセットにした「ナビ装着用スペシャルパッケージ」はメーカーオプション フルオートエアコンは標準だがプラズマクラスターは非搭載