トピック

橋本洋平の「三菱自動車 アウトランダーPHEVの走りを一般道でチェック」

「S-AWC」のアウトランダーPHEVで舗装路から「ラリージャパン」のコースまで走破!

 今では「アウトランダーPHEV」の“エコカー”としての性能を全面に打ち出している三菱自動車工業。エコと聞いて「貧弱」「質素」「我慢」というイメージを持つ人も多いかもしれないが、アウトランダーPHEVにはそんな印象は皆無。SUVであること、そして4駆システムを持っていることもまた、そんなエコカーのネガティブな印象を薄めている。

 そんなクルマが三菱自動車で誕生したのはむしろ自然な流れだったのかもしれない。1953年には「ジープ」を発売。その後も「パジェロ」や「ランサーエボリューション」をはじめとするモデルであらゆる方式の4駆システムを開発、販売してきたことは周知の事実。現在でもさまざまな方式の4WD車を販売しているが、その技術や制御を結集した結果が現在のアウトランダーPHEVに行き着いているといっていい。

 その一方で、三菱自動車は古くから電動車両に着手。1966年から研究開発を開始し、1971年には試作車の「MINICA VAN EV」を発表。1999年にはこれまた試作車の「FTO EV」により、24時間で2142.3kmを走り切るというギネス世界記録を樹立している。その後は量産EVとして世界初となる「i-MiEV」を発売。アウトランダーPHEVへとつながるこうした歴史は、今年でちょうど50周年を迎えている。

 前編とも言える三菱自動車主催の試乗会では、三菱自動車が誇るさまざまな4駆システムを搭載したクルマをクローズドコースで試乗してみたが、そのなかでもアウトランダーPHEVは、やはり今までとは違う領域に足を踏み込んだクルマであることを体感した。単なるAWDではなく、AWC(オール・ホイール・コントロール)だとメーカーが謳うだけのことはあると素直に思えたのだ。

クローズドコースでの試乗に続き、アウトランダーPHEVの4駆システムを一般道でもチェックしてみた。さすが北海道という雪深さ。そして寒い!

 それは例えば、センターデフロックを模した制御を行ないながらも、コーナー進入時にはデフのロック率を下げて旋回を助けていたこと。本格SUVのオイシイ部分を取り入れながらも、乗用車のような身のこなしも忘れないオールマイティさが光っていた。

 そこで今回は、そんなアウトランダーPHEVをさらに理解するために、一般道からワインディング、そしてSUVでしか進入できないような林道にまで足を踏み入れて徹底的に試乗してみることにした。いったいどんな顔を見せてくれるのだろうか?

試乗車はオプション品のレイズ製ホイールにブリヂストンのブリザックを組み合わせて装着

 まず走り出した十勝近郊の一般道は、1月半ばだというのに路面に雪が全くないような状況。モーター駆動だけで走っているとあまりにも静かなために、スタッドレスタイヤがきしむ音が聞こえてくるほどである。ただ、クルマを借りた日の夕刻は日陰の路面が凍っているような場面もあり、やはり気の抜けない状況であることに変わりはない。クローズドコースではさんざんはしゃぎまくって走っていたが、一般道となると雪がないとはいえ、気を引き締めながら安全運転をしている自分に気づく。はっきり言ってコース上でドリフトをするより一般道の交差点を駆け抜けるほうが怖い。先読みできないことがそんな気持ちにさせるのだろう。

 だが、そんなおっかなビックリの状況であったとしても、アウトランダーPHEVは難なく走って見せる。ときにスタビリティコントロールは介入しているが、それでも涼しい顔をしていられるのは、路面自体は先読みできなくても、クルマからは先読みできる動きが感じられるからだ。あらゆる条件下で制御を煮詰めてきたアウトランダーPHEVの「S-AWC」は、ドライバーに安心を与えるに十分な相手であることがだんだん理解できてくる。これなら明日トライする予定の「ラリージャパン」のコースにもなったという林道だって十分にイケるかもしれない。

 翌日、ホテルをチェックアウトした筆者は、真っ先に雪深い林道に向かっていた。まだ北海道に来てから一般道できちんとした雪に出会えていなかったから、なおさら気は逸る。地元のカメラマンに道先案内人になってもらい、いよいよ雪道に足を踏み入れる。平野部からはしばらくお別れ。ここからは勾配のある山道に突入だ。

 圧雪されており、まだまだ一般的な走行には不自由しない雪のワインディング。そこでは上り勾配でちょっとアール(半径)が急なコーナーで、「S-AWC」の制御に感心した。それはスロットルを入れながら立ち上がっていくときに、アンダーステア知らずでしっかりとライントレースをしてみせること。一般的なクルマならフロントがアウト側にふくらみそうになり、なかなかスロットルを開けられないだろうという状況でも、どんどんアクセルが踏んでいけるのだ。上り勾配のコーナー脱出という一番難しい状況であっても、4WD車であることを忘れさせてくれる制御に大いに感心した。これはかなり乗りやすい!

「アウトランダーPHEV」での圧雪路走行(1分46秒)
路面の雪はどんどん深くなり、ステーションワゴンの最低地上高では進めなくなるほどの状態に

 そこからさらに進んでいくと路面の雪はどんどん深くなり、先導していた地元カメラマンが乗る4WDのステーションワゴンがハザードランプを点滅させた。おそらくここまでしか行けないということなのだろう。クルマを道路脇に寄せてカメラマンと打ち合わせを始める。「この先もラリーに使われる林道なんだけど、コイツ(アウトランダーPHEV)で行ってみる? 本当に圧雪されていないからスタックも心配ではあるけど……」とカメラマン。地元民もビビるこの環境。けれども、敢えて言われるとそこにトライしたくなるのが人情ってもの。このアウトランダーPHEVならやれるはず。そう思い、さらに雪深いところまで踏み込んでみることにした。

 するとカメラマンの心配をよそに、アウトランダーPHEVはグイグイと車体を前に進めて行くから面白い。さすがにスタッドレスタイヤだけでどこまでも踏み込むのは自殺行為だろうから、ほどよい勾配のところで引き返したが、「S-AWC」の設定を「4WD ロック」モードにしてしまえば、どこまでも行けそうなほどのトラクション性能を実現していた。圧雪されていない雪深い状況であったとしても、クルマの下に雪がたまり込むようなこともなく安心して走ることができたのだ。

足がすねまで埋まるほどの雪だが、190mmの最低地上高を持つアウトランダーPHEVは楽々とクリア
折り返しての上りでも、リアモーターで後輪を駆動させてグイグイと車体を前に進める
「アウトランダーPHEV」での未圧雪路走行(41秒)

 そこで最後に見えてきたのは、おそらくウサギと思われるかわいらしい足跡。雪深いなかまで飛び込んできたからこそ出会えたその光景には思わずニッコリ。季節を問わず大自然と戯れることができるアウトランダーPHEVの世界を体験して、これは単なるエコカーじゃないと改めて思えた。やはりこのクルマは、ほかとはひと味もふた味も違うのである。

「ラリージャパン」のSS(スペシャルステージ)ともなる平地の林道も走ってみた。こちらもなかなかの深雪だったが、車体を左右に振りながらアウトランダーPHEVはしっかりと走破
「アウトランダーPHEV」での雪道走行まとめ(1分18秒)

【お詫びと訂正】記事初出時、「FTO EV」の記録についての記述が一部間違っておりました。お詫びして訂正させていただきます。

協力:三菱自動車工業株式会社

(橋本洋平/Photo:市川 潔)