まるも亜希子の「寄り道日和」
進化する高速道路のトイレのお話
2021年2月4日 00:00
なかなか自由なお出かけができるようにならず、やんなっちゃいますね~。仕事や大事な用事で出かけた時も、道中はなるべくクルマから降りないように心がけているんですが、どうしても降りずにいられないのが、トイレ。こればっかりは、ねぇ。
マスクと消毒をしっかりしてから、おそるおそる立ち寄るんですが、少し前から、入った瞬間にほんわかと、心を癒してくれるようなおもてなしが、以前よりたくさんのトイレで見られるようになったと感じています。
もちろん、これまで世界20か国くらいを訪れていろんなトイレを利用させてもらいましたが、そのたびに「日本のトイレは世界一だなぁ」と実感してきました。それは清潔感や温水洗浄便座などの機能面で飛び抜けているだけでなく、バッグを置く場所や傘立て、足の不自由な人のための杖をかけるフック、着替えをするための折りたたみボードまであったり! ここまで、使う人のことをとことん考えたホスピタリティは、外国のトイレで一度たりとも遭遇したことはないのでした。
とくに、高速道路のSA/PAのトイレはここ数年でものすごく進化しましたよね。実は日本には「トイレ診断士」という、トイレのプロフェッショナルの方々がいらっしゃって、NEXCO中日本では2011年から、SA/PAのトイレを診断してもらい、指摘された問題点を改善してきたのだそうです。
その結果、2011年の診断では30項目にものぼる問題点が指摘されていたのが、2020年には5項目にまで減少したほか、2013年に初めて、トイレに関する要望やお叱りの意見よりも、褒める意見が上まわったとのこと。こうした取り組みは、これも初めて耳にする方も多いと思いますが、1985年に発足した「日本トイレ協会」という一般社団法人が、「目指すべき日本のいいトイレ」を研究し続けている中で、毎年表彰している「グッドトイレ推奨」にもノミネートされています。
続々とSA/PAの改装が進むにつれて、まるで高級ホテルのようなトイレがあったり、広々として窓からの景色も素晴らしい設計のトイレがあったりと、皆さんもビックリした経験はありませんか? 「トイレも旅の一部」という認識のもと、トイレの清掃を行なうスタッフのことを「キャスト」さんと呼んで、切磋琢磨している努力の賜物だと感心しています。
もちろん、大掛かりな改修が行なわれていない、昔ながらのトイレもまだまだ多いのですが、設備の古い新しいに関係なく「気持ちよく利用してほしい」というキャストさんの温かい心が感じられるトイレもたくさん。少し前に見つけたのは、季節のお花を美しく飾ってくれて、メッセージカードまで添えてあった外環自動車道・新倉PAのトイレ。
そして、折り紙を使って大小さまざまの魚や葉っぱを折り、壁一面に飾って目を楽しませてくれたのは、東北自動車道の佐野SA(下り)。日本人の私でもすごく心が弾んだので、もし外国からまた観光客が訪れるようになったら、これは日本ならではのとても素晴らしいおもてなしになるのではと思います。
また、東京湾アクアラインの海ほたるPAの4Fにあるトイレは、洗面所の前が大きなガラスになっていて、海が一望できるパノラマトイレ。ちょっとしたプレゼントをもらったような、うれしい気持ちになりました。
そのほか、多くのトイレで感じるのは、オムツ替えのスペースや子供用のトイレなど、子育て世代への心遣いがひと昔前とは比べ物にならないくらい、パワーアップしたなぁということです。アンパンマンなど、子供が喜ぶキャラクターを飾ったり、液晶モニターが置かれて子供番組が放映されているトイレもあったくらい。うちの娘も大喜びだったのを思い出します。
さらに最近は、「2分以上待たせない」ための最適トイレ数を算出する方法を編み出し、新東名高速道路のSA/PAに導入しているのだとか! この「2分」というのは、高速道路を利用するお客さんからの声を踏まえて算出した、トイレを待つことのできる許容時間とのこと。いや~、トイレって奥が深いですよね。
こうしていろいろ知るとやっぱり、日本のトイレは世界一。旅の途中でこうしたおもてなしが感じられる日本を、あらためて誇らしく思います。早くまた、たくさんの外国人にもこんなおもてなしを体感してもらえる日が戻るといいですよね。これからも、トイレの進化に注目したいと思います。