2015ジュネーブショー

ホンダ、ニュル北コースで7分50秒63をマークしたFF最速モデル「シビック TYPE-R」がデビュー

欧州での販売価格は約3万5000ユーロ。日本市場に導入する時期と価格の検討も?

2015年3月5日~15日(現地時間)

スイス ジュネーブ

GENEVA PALEXPO

シビック TYPE-Rと収まるホンダ・モーター・ヨーロッパのフィリップ・ロス副社長(左)と本田技研工業の岩村哲夫副社長(右)

 本田技研工業は、ジュネーブモーターショーで市販モデルとなるシビック TYPE-Rのワールドプレミアを行った。

 今回のジュネーブモーターショーの国産メーカーから出展されるモデルとしてはもっとも注目を浴びる存在ということで、各国から多くの報道陣がプレスカンファレンスに駆けつけた。プレスカンファレンスの前日に行われたプレビューナイトで、実車のシビック TYPE-Rは一足早く公開されていたのだが、開発当初から公言していたニュルブルクリンク最速のFFを目指すという証のタイムについてはプレスカンファレンスでの公表となった。

 注目のニュルブルクリンク北コースのラップタイムは7分50秒63で、ライバルとなるルノー「メガーヌRS」やセアト「レオンクプラ」がマークしているタイムを大幅に上回ることに成功した。

プレスカンファレンス前のカウントダウン時には、3台のマシンがベールを被っていた
ニュルブルクリンク北コースをタイムアタックする様子が、プレスカンファレンスで初公開された

 シビック TYPE-Rのベースとなるのは、2012年から欧州で販売されている9代目シビックとなるが、シャシーの鋼材、スポットの数などはTYPE-R専用となっているため、いちからの開発となった。足まわりの特徴となるのはアダプティブダンパーシステムを採用した前後サスペンション。減衰力を自在にコントロールすることで、走行するシチュエーションに合せて最適なダンピングを得られる。

 エンジンは、2.0リッター直列4気筒直噴ターボの「VTEC TURBO」となる。最高出力は歴代TYPE-Rで最高の310PSで、最大トルクは400Nm。0-100km/h加速は5.7秒で、最高速は270km/hをマークする。TYPE-Rとしては初のターボモデルとなるが、ターボ化は開発当初から考えられていたことで、ターボによるエンジンフィーリングのマイナス要素は一切ないという。高回転域はVTECにより優れたレスポンスを実現し、低中回転域のトルクをターボが補うという考え方になるからだ。

 シビック TYPE-Rの予約は欧州で間もなく始まるそうで、価格は国によって異なるが、約3万5000ユーロ。生産されるイギリスのスウィンドン工場では、すでに量産モデルがラインに流れているそうで、デリバリーされるのを待っている状態だという。気になる国内への導入だが、今回のジュネーブモーターショーでは正式な回答がなかった。だが、間違いなく導入するようで、時期と価格を検討しているようだ。

ワールドプレミアされたシビック TYPE-R
前後フェンダーやフロントバンパー、リアディフューザーなどは、コンセプトカーに比べてよりエッジが立っている。空力のバランスを考慮した結果として取り入れられたデザインだ
フロントグリルに装備されるホンダバッヂは、これまでのモデルでもっとも大きいサイズとなっている
タイヤサイズはフロント/リアともに235/35 R19。ブレーキはフロントにブレンボ製の4ピストンキャリパーをセット。ローター径は350mmとなっている
インテリアはTYPE-Rの象徴となるレッドとブラックのツートンカラーで仕立てている
メーター横には「+R」ボタンを配置。ボタンを押すことでアクセル開度、エンジン制御、足まわりなどがTYPE-Rモードとなり、本来のパフォーマンスが引き出されることになる
リアシートやドアパネルにも赤のステッチが入っていてTYPE-Rの存在感を感じさせる
エンジンは2.0リッター直列4気筒直噴ターボエンジンの「VTEC TURBO」を搭載。最高出力は310PS、最大トルクは400Nm。トップスピードは270km/hをマークする
WTCC(世界ツーリングカー選手権)を戦う2015年モデルのシビック。現状はベースがシビック TYPE-Rではないが、シーズン中にも切り替えられる予定となっている
年初のデトロイトモーターショーで初公開された市販版「NSX」は、ホンダバッヂを付けて欧州プレミアされた
今シーズンからマクラーレンとタッグを組みF1に復帰するホンダ。新型マシン「マクラーレン MP4-30」も展示されていた

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。