東京モーターショー2017
【東京モーターショー2017】日産、完全自動運転技術&航続距離600km以上のEVコンセプト「ニッサン IMx」世界初公開
フォーミュラE参戦について「EVの持つとてつもないパワーと性能を披露することになる」とスキラッチ副社長
2017年10月26日 07:00
- 2017年10月25日~26日:プレスデー
- 2017年10月27日:プレビューデー
- 2017年10月28日~11月5日:一般公開日
10月25日、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で「第45回東京モーターショー2017」が開幕した。27日はプレビューデー、28日~11月5日は一般公開日となる。
東展示棟1階にある日産自動車ブースでは、EV(電気自動車)のクロスオーバーコンセプト「ニッサン IMx」が世界初公開された。「Together we ride」をコンセプトに掲げ、意のままに操る喜びと、今までになかった移動の楽しさを提供する、身近で頼りになるパートナーという位置づけのモデルになる。
ニッサン IMxでは新しいEV専用プラットフォームを採用し、段差のないフラットなフロアと開放的な広いキャビンスペースを実現。パワートレーンには高出力モーター2基を前後に搭載した「ツインモーター4WD」を採用しており、320kW/700Nmという出力を発生する。このEV専用プラットフォームのボディやシャシー、低重心パッケージがもたらすスポーティなハンドリングにより、クロスオーバーモデルであることを感じさせないフットワークを実現したという。また、エネルギー密度を高めた大容量バッテリーを採用し、1充電あたりの航続可能距離を600km以上とした。
また、ニッサン IMxはリーフに搭載される「プロパイロット」を進化させ、ドライバーが運転に一切介在しない完全自動運転を実現。クルマに任せてドライブができる「プロパイロットドライブモード(PDモード)」を搭載し、同モードを選択することでステアリングが格納され、シートは深くリクライニングし、乗員全員がリラックスした状態で移動することができるという。また、「マニュアルドライブモード(MDモード)」を選択するとドライバーの前にステアリングが現れ、シートが適切なドライビングポジションに変化するといったギミックも持つ。
エクステリアでは日産のデザインシグネチャーを取り入れながら、EVならではのピュアでクリーンなイメージを表現。Vモーショングリルを採用したほか、特徴的なフロントフェンダーはシームレスなグリルから始まり、広いボディサイドへ繋がる面の上にレイヤー状に被せるようにデザインされた。ボディカラーのホワイトパールとコントラストをなす朱色のアクセントは、日本の着物に使われる内に秘めた情熱を表現する“裏勝り”から着想を得たという。
2018年からのフォーミュラE参戦発表も
日産ブースで行なわれたカンファレンスでは、日産自動車 副社長 グローバルマーケティング&セールス、EV本部 日本・アジア・オセアニア事業担当のダニエレ・スキラッチ氏が登壇。
スキラッチ氏は冒頭、一連の完成検査の不備に関しての問題について触れ、「このたびは弊社および日産車体の国内事業所での型式指定自動車の完成検査における不適切な取り扱いにより、ここにおられる皆さまや関係者の皆さま、なにより日産車に乗っていただいているお客様に多大なご迷惑をご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます」と謝罪するとともに、「現在、第三者を中心とする調査チームを編成し、実態把握と原因究明に全力を挙げています。二度とこのようなことを引き起こさないよう、全社を挙げて再発防止に取り組んでまいる所存です。現時点ではこれ以上お伝えできる情報はありませんが、引き続き皆さまのご理解とご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします」と述べた。
その後、会場に鳴り響いたのは将来の電動車用の車両接近通報音として検討されている「カント」の音。カントはラテン語で「歌う」との意で、車両が各国の規制に合わせて、20㎞/hあるいは30㎞/hまでの低速走行時に加速、減速、後退それぞれの状態に合わせて作動するというもの。各国の法規要件と照らし合わせたうえで、同社が将来生産する電動車に順次採用していくという。
また、新型リーフについても触れたスキラッチ氏は、「おかげさまで新型リーフはお客様に大変ご好評をいただいており、わずか1カ月でリーフの昨年度の総販売台数の5割を超えました。しかしながら、新型リーフは進行中の『ニッサン インテリジェント モビリティ』(安全で持続可能な社会の実現を目指すことを目的とした取り組み)の1ページに過ぎません。国内ではノート e-POWERを発売し、今年の上半期にはコンパクトカーセグメントでナンバーワンをいただきました。お客様にご支持をいただいているe-POWERは今後、他の市場・モデルにも順次拡大していく計画です。国内ではセレナに2018年春からe-POWERを搭載します」と、e-POWERシリーズ第2弾として「セレナ e-POWER」の発売を予告。
また、「自動運転技術の第1弾にあたる『プロパイロット』を搭載した新型セレナは、おかげさまで大変ご好評をいただいています。セレナは高い居住性と滑らかなドライビングに定評があり、プロパイロットとe-POWERを組み合わせることでニッサン インテリジェント モビリティのアイコンとなります」とアピールしたのち、クロスオーバーコンセプト「ニッサン IMx」が世界初公開された。
そのニッサン IMxについては、「新型リーフが単なるEVではないのと同じく、ニッサン IMxも単なる構想ではありません。ゼロエミッションのクロスオーバーコンセプトであるニッサン IMxは、日産の将来のモビリティの世界観です。しかもそれは決して遠い将来のことではなく、極めて近い将来に実現します。ニッサン IMxはEVがもたらすワクワク感とニッサン インテリジェント モビリティを支える想像力を持つと同時に、伝統的な日本の美を体現しています。これこそ数年後にクルマとドライバーの関係が進化した新たな形であり、ワクワクするドライビングとより楽しい旅をお約束します」。
「例えば近い将来、お客様にはご自身で運転するか、自動運転に任せるかを選んでいただけるようになります。ニッサン IMxにはプロパイロットドライブモード(PDモード)とマニュアルドライブモード(MDモード)の2つのモードが設定されています。PDモードにすると内装が切り替わり、自動的にハンドルが格納され、シートはリクライニングし、よりリラックスできる空間へと変貌します。美しい木目調が簡素で落ち着いた日本の伝統の和を表現しています」とアピールした。
また、会場で初公開となった「リーフ NISMO コンセプト」については「空力性能と性能を向上させたリーフ NISMOは、真のドライビングマシンとなったEVです。日産が脈々と受け継いできたモータースポーツの歴史に支えられたリーフ NISMOは、EVがもたらすさまざまなワクワク感をお客様にご提供するという当社の強い決意の証です」と述べるとともに、2018年から日系自動車メーカーとして初めてEVによるフォーミュラカーレース「FIAフォーミュラE選手権」に参戦することを発表。
この件について、スキラッチ氏は「2018年12月に、当社はあのスリル満点のフォーミュラE選手権の第5シーズンより参戦することを決定しました。フォーミュラE選手権への参戦で、ニッサン インテリジェント モビリティのハードルはさらに上がり、EVの持つとてつもないパワーと性能を披露することになるでしょう」と述べるとともに、「本日ご紹介したのは単なるコンセプトにとどまりません。これからのニッサン インテリジェント モビリティの姿とすぐそこに迫っている未来をお目にかけました。ぜひ、この東京モーターショーの日産ブースと(日産ブランドの発信拠点である)銀座のNISSAN CROSSINGでニッサン インテリジェント モビリティをご体感ください。日産自動車は決して立ち止まることはありません。常に前進あるのみです。ニッサン インテリジェント モビリティのもと、皆さんをよりよい世界にお連れできることを楽しみにしております」と述べ、プレゼンテーションを締めくくった。