イベントレポート
【ジュネーブショー 2018】英アストンマーティン、サーキット専用モデル「ヴァルキリー AMR Pro」世界初公開。生産台数25台はすでに完売
出力1100BHP、車両重量1000kgのハイパーカー
2018年3月7日 15:43
- 2018年3月6日~18日(現地時間)開催
英アストンマーティンは、スイス ジュネーブで開催されている「第88回 ジュネーブ国際モーターショー」(プレスデー:3月6日~7日、一般公開日:3月8日~18日)で、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーと共同で開発しているハイパーカー「Valkyrie(ヴァルキリー)」のサーキット専用バージョン「ヴァルキリー AMR Pro」を世界初公開した。同モデルはわずか25台の生産で、すでに完売とのこと。
AMR(アストンマーティン・レーシング)ブランドは2017年のジュネーブショーで発表された新ブランドで、WEC(FIA世界耐久選手権)などのレース活動とプロダクションモデルをつなぐ存在。AMRモデルとしては大きく2種類あり、「AMR」モデルはアストンマーティン本社のエンジニアリングチームが、「AMR Pro」モデルは同社のオーダーメイドサービス「Q by Aston Martin」のアドバンスド・オペレーション部門が製作を担う。
今回公開されたヴァルキリー AMR Proは、サーキット走行に特化して開発されたモデル。エクステリアでは、フロントとリアのウイングをロードカーであるヴァルキリーから大型化して空力性能を高めるとともに、WECのLMP1クラスで使用するタイヤと同じ仕様で製造されるというミシュラン製レーシングタイヤを装着。F1マシンからヒントを得たレース仕様のカーボンファイバー製ブレーキ・ディスク/キャリパーなども装備する。
また、ヒーター/デミスター・ブロアやインフォテインメント・スクリーンを廃止するとともに、ポリカーボネート・ウィンドウスクリーン(ヒーターエレメント入り)やサイドウィンドウ、カーボンファイバーサスペンション、レーシングバケットシート、軽量エキゾーストシステムといったサーキット専用パーツの採用により、車両重量1000kgを実現したという。
パワートレーンについては、ヴァルキリーと同じく自然吸気のV型12気筒6.5リッターエンジンを搭載するが、エンジンキャリブレーションの大幅な見直しとエネルギー回生システムの制御ソフトウェアを再プログラミングしたことによって、総出力はヴァルキリーを上まわる1100BHP以上を発生。「1kg/1BHPを上まわる夢のパワーウェイトレシオを実現した」とする。なお、ヴァルキリー AMR Proの最高速は予測値として約400km/hとされていたが、約360km/hに修正されている。
ヴァルキリー AMR Proについて、レッドブル・レーシングのチーフ・テクニカル・オフィサーであるエイドリアン・ニューウェイ氏は、「このジュネーブで、ヴァルキリー AMR Proとアストンマーティン・レッドブル・レーシングのF1ショーカーを同時に展示することができて、感無量です。アストンマーティン ヴァルキリーロードカーには、F1を通じて培った経験が惜しげなく投入されています。AMR Proバージョンでは、公道走行用の型式認証を受けるという制約が取り払われただけでなく、実用性さえも重視しなくて済むようになりました。皆様には、このモデルの秘密をいくつかお教えすることはできますが、すべてはご容赦ください。ラップタイムの予測は、いずれ公表できると思います。ごく控えめに申し上げても、実に印象的な数値であることに間違いはありません」とコメント。
また、アストンマーティン CEOのアンディ・パーマー氏は「私のことを知っている人々は、私が熱狂的なレースファンであることをご存じだと思います。ここジュネーブで、サーキット専用のアストンマーティン ヴァルキリー AMR Pro、アストンマーティン・レッドブル・レーシングのF1マシン、そしてアストンマーティンのWECマシンを同時に見ることができて、大変嬉しく思っています。これらのクルマは、エイドリアン(ニューウェイ)、レッドブル・レーシング、アストンマーティン、そして有能なテクニカルパートナーが力を合わせると、いかに素晴らしいことが実現できるのかを示しています。今回、ヴァルキリーの公式オイル/燃料パートナーとして、Mobil 1とEssoも加わりました。アストンマーティン ヴァルキリー AMR Proは、圧倒的な性能を備えたハイパーカーです」とアピールしている。