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英アストンマーティン、サーキット専用モデル「ヴァルキリー AMR Pro」発表。“ラップタイムはF1マシンに匹敵”

25台限定モデルはすでに完売

2017年11月16日(現地時間)発表

ヴァルキリー AMR Pro

 英アストンマーティンは11月16日(現地時間)、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーと共同で開発しているハイパーカー「Valkyrie(ヴァルキリー)」のサーキット専用バージョン「ヴァルキリー AMR Pro」を発表した。生産台数は25台で、すでに完売したとのこと。納車時期は2020年の予定。

 ヴァルキリー AMR Proはサーキット走行に特化して開発されたモデル。エクステリアではフロントとリアのウイングがより大型化されるとともに、WEC(FIA世界耐久選手権)のLMP1クラスで使用するタイヤと同じ仕様で製造されるというミシュラン製レーシングタイヤを装着。また、F1マシンからヒントを得たレース仕様のカーボンファイバー製ブレーキ・ディスク/キャリパーを装備する。

 重量の削減もヴァルキリー AMR Proにおいて重要な項目になっており、ヴァルキリーで採用するヒーターやインフォテインメント・スクリーンといったサーキット走行に必要のないコンポーネントを排除。そのうえでポリカーボネート製ウィンドウスクリーン(ヒーター・エレメント付き)/サイドウィンドウ、より軽量な構造のカーボンファイバー・ボディワークといった専用品により軽量化が進められている。

 また、ヴァルキリーと同じくコスワース製のV型12気筒6.5リッター自然吸気エンジンを搭載するが、エンジンキャリブレーションの大幅な見直しと、エミッション・コントロール・システムを改良したことによってパワーとトルクをさらに増強したとのこと。詳細なスペックは今後明らかになるとしている。

 これらにより、ヴァルキリー AMR Proの最高速は約400km/h(予測値)としており、レッドブルによるシミュレーション評価によると、ヴァルキリー AMR Proのサーキットでのラップタイムは最新のF1マシンやLMP1レーシングカーに匹敵するという。

 ここまで高性能化されたことを受け、ヴァルキリー AMR Proの購入者にはドライバー育成プログラムを用意。ユーザーはアストンマーティン・レッドブル・レーシングのF1ドライバー用の施設を利用することができ、シミュレーターによるタイムアタック、プロドライバーによるサーキット走行講習会、フィジカル・トレーニング・プログラムなどを受けることができる。

 今回のヴァルキリー AMR Proについて、レッドブル・テクノロジーズでチーフテクニカル・オフィサーを務めるエイドリアン・ニューウェイ氏は、「ヴァルキリーは卓越したパフォーマンスを備えていますが、このクルマが公道走行可能なロードカーとしての完全な機能を備えていることは、私にとって常に極めて重要な意味を持っています。そのために、ある程度の制約が発生することはやむを得ないことです。しかし、サーキット専用のヴァルキリー AMR Proによって、私たちは、一切の制約から解放され、究極の進化を遂げるための自由を手に入れました。公道バージョンとサーキット・バージョンの基本的なエレメントは共通ですが、エアロダイナミクス、シャシー、パワートレーン、重量など、AMR Proのあらゆる側面が、パフォーマンスの限界を大幅に引き上げるために最適化されています。このクルマは、これまでのあらゆる2シーター・クローズド・ルーフ・カーを大きく超えるサーキット・パフォーマンスを発揮します」とコメント。

 また、アストンマーティン社長兼CEOのアンディ・パーマー氏は「ヴァルキリーは常に限界を打ち破り、新たな可能性を再定義してきました。ヴァルキリーは、正真正銘のハイパーカーとして、パフォーマンス、エンジニアリング、テクノロジーの面で、新しいベンチマークを打ち立てます。サーキット専用のヴァルキリー AMRによって、これらの限界がさらに拡張されます。これは、まさに注目すべきプロジェクトといえるでしょう。このクルマは、アストンマーティンおよび25人のもっとも情熱的なお客様を、まったく新しい驚きに満ちた世界へと駆り立てることになります」と述べている。