イベントレポート 東京オートサロン 2023

ルノー、“最後のルノー・スポール車”「メガーヌ R.S. ウルティム」発表会 「ぜひ日本のファンに試してもらいたい」と開発ドライバーのロラン・ウルゴン氏

2023年1月13日~15日 開催

「東京オートサロン2023」で世界初公開された「メガーヌ R.S. ウルティム(ULTIME)」。写真はルノー・ジャポン株式会社 代表取締役社長/アルピーヌ・ジャポンCEOの小川隼平氏(写真左)とルノー・スポール開発ドライバーであるロラン・ウルゴン氏

「ルノー・スポール」の名を冠す最終限定車「メガーヌ R.S. ウルティム」初公開

 千葉県千葉市美浜区の幕張メッセで、カスタムカーと関連製品の展示会「東京オートサロン2023」が1月13日~15日の会期で開催されている。

 西ホール2にあるルノー・ジャポンブースでは13日にプレスカンファレンスが行なわれ、今春に日本への導入を予定しているルノー・スポールの名を冠す最終モデルとなる限定車「メガーヌ R.S. ウルティム(ULTIME)」を世界初公開した。1月11日(現地時間)にフランスでデジタルアンベールされていたが、実車披露はこれが世界初となる。

ルノー・スポール最後のモデルとなる「メガーヌ R.S. ウルティム」

 メガーヌ R.S. ウルティムは、ルノー・スポールが設立された1976年にちなんで全世界で1976台が販売される限定車となる。ルノー・スポール開発ドライバーで、ニュルブルクリンク北コースでFF車の世界最速タイムを記録した、ロラン・ウルゴン氏のサインとシリアルナンバーが入ったプレートが車内に付けられる。スペックや価格、日本での販売台数といった詳細は今回発表されず、今春に発表される。日本仕様はEDCとMTの導入を計画していて、価格は600万円台中盤を予定する。

 スペックは基本的に2022年に販売された「メガーヌ R.S.トロフィー」に準じたものになるとのこと。参考までにメガーヌ R.S.トロフィーは、最高出力300PS/6000rpm、最大トルク420Nm(MTは400Nm)/3200rpmを発生する直列4気筒1.8リッター直噴ターボエンジンを搭載。6速MTにはローンチコントロールを搭載し、スポーツドライビング向けにロールを抑えたシャシー「シャシーカップ」を採用。シャープかつ正確で安心感のあるハンドリングを実現する「4コントロール」、アクティブバルブ付きのスポーツエキゾースト、アルカンターラのレカロ製フロントバケットシート、好みの運転モードの選択やカスタマイズができるルノー・マルチセンスなどを装備する。

メガーヌ R.S. ウルティム
ルノー・スポール開発ドライバーであるロラン・ウルゴン氏のサインとシリアルナンバーが入ったプレートが付く
メガーヌ R.S. ウルティムのディテール
メガーヌ R.S. ウルティムの運転席まわり
アルカンターラのレカロ製フロントバケットシート
メガーヌ R.S. ウルティムの車内ディテール

ルノーとアルピーヌ、ともに2022年は好調

ルノー・ジャポン株式会社 代表取締役社長/アルピーヌ・ジャポンCEO 小川隼平氏

 プレスカンファレンスに登壇したルノー・ジャポン代表取締役社長/アルピーヌ・ジャポンCEOの小川隼平氏は、ルノー・アルピーヌ合計の2022年の新車販売台数が過去最高となる8615台を記録したことを報告。2022年は輸入車唯一のフルハイブリッド車である「E-TECH ハイブリッド」をアルカナとルーテシア、キャプチャーに投入し、新車販売のうち約6分の1がこのE-TECH ハイブリッドとのこと。

 2022年はアルピーヌにとってもとても好評な年で、4店舗の拡大、前年比で140%となる238台の新車販売台数を達成したことも報告があった。特筆は注文数で年間受注前年の倍となる3501台を超えたこと。これは過去最高の年間受注実績で、フランス、ドイツに次ぐ3位の台数となる。さらに2023年には新型カングーの発表も控えている。

 グループ・ルノーは2021年に「ルノー・スポール・カーズ」を「アルピーヌ・カーズ」に組織変更を行なっていて、グループ・ルノーにおけるスポーツモデルの開発やモータースポーツの活動はアルピーヌ・カーズが担当することが告げられた。「アルピーヌは、これからの電動化時代のスポーツモデルの在り方を体現するブランドになる」(小川社長)とのことで、このことからメガーヌ R.S. ウルティムはルノー・スポールにとっての最終モデルとなる。

ルノーとアルピーヌ、ともに2022年は好調
アンベールシーン
メガーヌ R.S. ウルティム初公開

 続けてルノー・スポール開発ドライバーのロラン・ウルゴン氏が登壇し、ニュルブルクリンクFF最速のDNAを継ぐ高性能スポーツモデルとして集大成となるメガーヌ R.S. ウルティムへの思いを語った。氏は2004年にルノー・スポールに入社して開発を努めており、現在ではアルピーヌ「A110」の開発ドライバーも務めている。

 ニュルブルクリンクなどサーキットも使用するが、基本的に公道を使って開発しているそうで、日本の鈴鹿サーキットやアネスト岩田 ターンパイク箱根も使ったこともあるとのこと。エンジニアも一緒に乗って開発するのがルノー・スポールの大きな特徴で、「4輪HCC(ハイドロリック・コンプレッション・コントロール)」や「4コントロール」、シャシーなど、実際の動きを体で感じながら開発してきたという。

 メガーヌ3世代から開発完成間近にニュルブルクリンクでラップタイムを計測することになり、現在でも2019年にロラン・ウルゴン氏がドライブした「メガーヌ R.S. トロフィー R」が北コースで出した7分40秒100がFF車最速となっている。「ニュルブルクリンクでのラップタイムが開発完了を証明する数値のようなもの。メガーヌ R.S. ウルティムには1976年から続くパッションとノウハウすべてが詰まっている。ぜひ日本のファンに試してもらいたい」(ロラン・ウルゴン氏)と語ってくれた。なお、ルノー・スポールのチームはそのままアルピーヌの開発に移っているという。

ルノー・スポール開発ドライバーのロラン・ウルゴン氏

 そのほかにも、会場には2022年11月のラリージャパンに参戦した競技車両「ルーテシア RALLY5」を展示しており、こちらは「ルーテシア R.S. ライン」がベース車両となっている。

ラリージャパンに参戦した競技車両の「ルーテシア RALLY5」
ルーテシア RALLY5

 会期中には、今回登壇したロラン・ウルゴン氏のほか、ルーテシア RALLY5でラリージャパンに挑戦したモータージャーナリストの国沢光宏氏、アルピーヌ「A110 S」で2022年全日本ジムカーナ選手権チャンピオンに輝いたレーシングドライバーの山野哲也氏を招いてトークショーが開催される。

アルピーヌ「A110 R」

 併設されているアルピーヌ・ジャポンのブースでは、2ドアミッドシップスポーツカー「A110」のもっとも過激(RADICAL)とされる追加グレード「A110 R」も展示されている。価格は1500万円から。フロントとサイドのボディ、リアディフューザーはカーボンファイバーでエアロダイナミクスを突き詰め、最高速は285㎞/hを誇るという。車内はサベルトのカーボンファイバー製シングルシェルシートを装備し、タイトでレーシングコックピットさながらの雰囲気だ。

“過激な”2ドアミッドシップスポーツカー、アルピーヌ「A110 R」
アルピーヌ「A110 R」
アルピーヌ「A110 R」ディテール
アルピーヌ「A110 R」運転席まわり
アルピーヌ「A110 R」のインテリア
村上俊一